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賃貸住宅における『家賃』のはなし

最終更新日: 2023.01.11

最終更新日:2022年7月29






賃貸事業主としては、なるべく家賃は高くしたいものですが、割高と感じる家賃では賃借人に借りてもらえません。

このため事業主は、適正な家賃とは何かを知ることが大切です。

そこで今回は、家賃の動向や基本、決定要素、家賃の下落防止などについて詳しくお伝えします。

1.家賃の動向

消費者というのは、家賃を含めた様々なモノやサービスの値段が高いか安いかを、最初に「相場」で考えます。
そして相場は時代によって変わるとともに、何らかの別の相場や指標に影響されがちです。

まずは家賃の動向とともに、関係性のある指標について知っておきましょう。

1-1.家賃の動向と関連する価格指標について

総務省の平成30年「住宅・土地統計調査」によると、専用住宅(店舗や事務所などとしての使用を含まない住むためだけの住宅)の1ヶ月あたりの全国平均家賃は以下のように推移しています。


出典:総務省平成30年「住宅・土地統計調査」を元に作成

1970年当初は1万円程度だった家賃は、1970年代のオイルショック、1990年頃のバブル景気を経て、急速に4万円を上回るまで上昇しています。

しかしその後は上昇を続けるものの緩やかになり、最近では5万円台半ば程度になっている流れです。

1990年代にはバブル崩壊、2008年にはリーマンショックなどもありましたが、それでも総じて家賃相場は上昇を続けたというのも印象的といえます。


一方で代表的な賃借人といえば、学校を卒業して一人暮らしを始める方々です。
そのような新卒者の初任給の推移は以下のようになっています。



<男性>

出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「新規学卒者初任給」

<女性>

出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「新規学卒者初任給」

男女に大きな差はありませんし、学歴によって金額はともかく値動きにも違いがないことが伺えます。
そして1990年代前半頃までは急速に上昇している一方、その後は緩やかに上昇を続けている結果です。家賃の値動きと見比べると、本当に似たような動きをしていることが見て取れます。



出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「消費者物価指数」

若干の差異はありますが、それでも家賃や初任給と同じく、1970年代のオイルショックや1990年頃のバブル景気までは急速に上昇し、その後は緩やかに上昇していることが伺えます。
つまり、家賃と物価は密接に関係しているのが実情です。

実際、上記の家賃グラフと物価指数グラフを重ね合わせると、以下のようになります。

実数と指数の違いはあるものの、それでも1973年以降の物価が上昇傾向の時には家賃も上昇傾向になり、1993年頃以降は物価が落ち着くとともに家賃上昇も落ち着いていることが伺える、つまりは一定の相関関係が見て取れる結果です。

1-2.家賃の今後の動向について

過去の動向を見る限り、家賃も物価もほぼ値下がりしたことはない反面、最近は緩やかな上昇傾向になっています。

この動きは、2000年以降もリーマンショックや東日本大震災、東京オリンピックなど様々なことがあったにも関わらず、特に何も変わっていないのが実情です。

今後の家賃相場についても、ひとまず当面は同じく緩やかに上昇を続けるものと考えるのが自然といえます。
同時に今までほぼ値下がりしたことがないという過去の動向から考えて、少なくとも値崩れは起きにくいというのもポイントです。
しかし一方で、厚生労働省の令和2年「厚生労働白書」によると、平均給与は以下のように推移しています。


出典:厚生労働省 令和2年「厚生同労白書」



平均給与は、ここ数年は少し持ち直してきたものの、過去と比べて下がっているのが実情です。

企業努力によって新卒者の給与は何とか物価に合わせて維持できているものの、以後は少なくとも給与が上がりにくい実情が伺えます。
家賃収入を継続して得るためには、しっかりと入居者のニーズを捉え、ソフト・ハードともに入居者満足が得られる物件の供給が重要となってくるかもしれません。

まずは、このような家賃動向の大局観を知っておきましょう。

2.家賃の決定要素

前段では家賃動向についてみていきましたが、ここからは家賃の決定要素についてみていきましょう。
基本的な家賃相場とは、おおむね立地で決まります。その地域に住みたい人が多いほど高めの家賃でも問題ありません。

一方で同じ地域でも、物件によって家賃や入居率は様々です。
次は何が具体的な家賃や入居率を左右するのかを、しっかり知っておきましょう。

2-1.入居者のニーズ・需要

入居者の人数や年収で、好まれる部屋の大きさや間取り、家賃は違ってきます。

また、入居者が望む設備(利便性)や快適性などもその感じ方はさまざまです。便利な設備が欲しい、災害・特定の人間(子供や女性、高齢者など)・ペットなどに配慮が欲しいという方もいれば、(それらがない代わりに)割安な家賃がいいという方もいます。

ただ、たとえばエアコンや防音性など多くの人が共通して望む・気にする部分もあるため、一つ一つの個人差の有無への配慮も大切です。

基本的なニーズから外れていないこととともに、どれだけ細かなニーズを満たしているかで家賃が決まるのが基本と考えましょう。


2-2.地域の物件の供給量

家賃を含めたあらゆるモノの値段というのは、需要とともに供給との関係でも決まってくるのが基本です。
コロナ初期のマスクのように需要は高いのに供給量が少なければ値段は上がります(高くても人は求めます)し、都心部の飲食店のように需要を上回る過剰な供給があれば値段は下がります(安くしないと求めてもらえません)。

入居者にはさまざまなニーズがあり、それぞれのニーズに対する供給量がどうかという点が大切になります。
供給量が少ないほどに高めの家賃でも求めてもらえるかもしれません。

賃貸経営を始める際には、(専門業者の力も借りながら)その前に十分なエリアマーケティングを行いましょう。

2-3.その他の家賃の決定要素

やはり需要と供給の関係が家賃を決める大きな要素ですが、家賃はそれだけで決まるものでもありません。
それ以外の重要な要素についてもしっかり知っておきましょう。

防音性・静粛性

要素の一つは「防音」です。多くの人は他人の生活音などが大きいほど、不快になります。

逆に、自分の生活音が他人に聞こえないかも気になりがちです。
赤ん坊がいる、声の大きなペットがいる、神経質な入居者がいる...入居者の事情も様々ですが、ともかく防音性・静粛性が高いほどに気に入られやすく、低いほど避けられがちといえます。

また関係する「入居者の制限」もポイントです。代表例にはペットお断りなどが挙げられますが、他にも静粛性を阻害するおそれのある方には入居を断ることも時として必要といえます。
厳しすぎると入居率が悪くなります総合的にどうするのが一番か、じっくり検討しましょう。

立地の周辺環境

立地の周辺環境とは、たとえばどれだけ駅に近いか、周辺にはどのようなお店がどれだけ揃っているか、どのような施設があるのか...などといった要素です。

当然、周辺環境が良いほどに人気が高く、入居者に選ばれやすくなります。
なお、部屋の間取りが単身者を狙ったものなのか、ファミリー層を狙ったものなのかによって、周辺環境として求められる要素は異なります。

また、「周辺にはどのような人たちが多く暮らしているか」もポイントです。単身者や既婚者、若者や高齢者、そして外国人...世の中には実に様々な方がいますが、入居予定の方と似た属性の方が多いほど安心に繋がる、ひいては人気が高くなる傾向にあります。

共用部や室内の設備

シンプルに、設備が整った物件であるほどに人気があります。
代表的な設備といえばエレベーターやエアコンですが、最近では他にも無料インターネットやウォシュレット、宅配ボックスや防犯カメラなど、実に様々な設備が登場中です。
入居者にとって気になる・欲しい設備を備えているほどに、入居してもらいやすくなります。

ただし、入居者が負担できる限度を超えた家賃になるようでは入居してもらえません。
その設備がない代わりに割安な物件を求める入居者もいます。設備を考える際には、事前に十分なエリアマーケティングを行うよう心がけましょう。

その他、入居者が快適だと感じる要素

たとえば安全性が要素の一つです。耐火・耐震性能(設備)などは元より、赤ん坊や高齢者などへの配慮のある造りもポイントになります。
また採光や植樹なども要素の一つです。

なお、快適性は「入居者を選ぶ」傾向にあります。
たとえば一般的なマンションと高級マンションでは、家賃とともに快適性も違って当然です。
自分がターゲットと見定めている入居者層を考え、それに沿った形で快適性を高めていきましょう。

2-4.家賃が下がる、下げざるをえない要因について

初めて賃貸事業をする方は、入居率の悪さや家賃を下げざるをえない要因を「物件の古さ」と考える方が少なくありません。
それも一つの要因なのは確かですが、それ以上に「入居者のニーズへの対応力が劣っている」のが最たる原因という点を、しっかり理解しましょう。

たとえば広尾ガーデンヒルズは、建築後40年ほど経過していますが、未だに資産価値が上がり続けているとされる人気の物件です。
これはまさに入居者のニーズへの対応力が高く、常にニーズに沿った改良・改善を繰り返した賜物といえます。

つまり、賃貸経営は「物件を建築した後の管理による美観と機能の維持・改善」が極めて大切です。できれば建築前から、建築後のことも視野に入れておきましょう。

3.家賃下落を防止する工夫

先ほど、家賃が下がる・下げざるをえない要因とは「入居者のニーズへの対応力」とお伝えしました。
つまり、「入居者がその家賃を払ってもここに住みたいか」ということです。しっかり基本的ニーズを知って対応し、他の物件に対する競争力を保ちましょう。

3-1.美観の維持

やはり人間は、美しく綺麗な生活環境を好みます。ゴミが散らかっている、汚れが目立つ、悪臭が漂う、木々が枯れている、建物が古ぼけている...。
そのような物件であればあるほど、入居者には避けられてしまいます。

このため、日頃からの清掃や修繕などによる美観の維持が大切です。
そしてこれは、入居者から清掃などを「要望される前に」常に意識・維持しておくことが大切といえます。賃貸物件は長く借り続けてもらうことも大切ですから、常に借り続けたくなる生活環境を提供し続けましょう。

3-2.機能の維持・改善

どうしても機械設備というのは一定の年月がたてば壊れます。また設備は常に新しいものが登場しますから、入居者が(入居途中で)その設備を欲しくなることもあります。
壊れた状態や欲しい設備がない状態が続けば続くほど、その不便な思いは不満になり、引っ越しを検討されかねません。

また何らかの要望や困りごとがあれば入居者は管理人に連絡・相談しますが、そもそも連絡が付きにくかったり、不誠実な対応だったりすると、これも引っ越しの原因になりがちです。
設備というハード面、管理対応というソフト面の両方において、常に最大限の満足を提供するよう心がけましょう。

3-3.立地条件に適した入居者層の集客力

立地条件に適した入居者層を集客するためには、まずは「立地に適した物件を建てること」が最優先で大切です。
物件自体に魅力(集客力)がなければ、どうしても家賃を下げることでしか需要を満たせなくなる恐れがあります。

どんなに立派な物件を建てても、宣伝力や集客力が劣るようでは(未来の)入居者に気づいてもらえず、ひいては入居してもらえないことになります。
もちろん集客力は仲介事業者によりますから、集客力の強い仲介事業者を選ぶ・探すことが大切です。

総じて、家賃下落を防止するためには「管理・仲介」が極めて大切といえます。
なるべく安心して管理・仲介を任せられるプロの事業者を味方に付け、顧客満足度の維持に努めましょう。

4.まとめ

当初想定した事業計画どおりに家賃収入を得て、安定した賃貸経営を実現するためには、入居者がその家賃を支払ってもよいと思ってくれるような建物の供給や入居者サービスがとても重要です。

しかし、長い賃貸経営期間においては、人の価値観や市場環境の変化などにより"入居者が何を望むのか"といったことも変化することも考えられます。
時代の動向や入居者のニーズを十分に汲み取ったうえでの適正な賃貸経営をおこなうために、賃貸経営の実績やノウハウが豊富なパートナー企業から定期的に情報を得ることも心がけておきましょう。






執筆者プロフィール
【山本FPオフィス 代表 山本昌義】

マイアドバイザーR
商品先物会社、税理士事務所、生命保険会社を経て、2008年8月8日に開業。
現在は日本初の「婚活FP」として、恋愛・婚活・結婚・離婚×お金をメインテーマに活動中。婚活中の方や新婚夫婦、または独身を貫きたい方など、比較的若い方向けのご相談や執筆、講演を行っています。趣味は漫画(約6,000冊所有)。


【保有資格】
・CFPR(婚活FP)

監修者プロフィール
【株式会社優益FPオフィス 代表取締役 佐藤 益弘】

マイアドバイザーR。Yahoo!Japanなど主要webサイトや5大新聞社への寄稿・取材・講演会を通じた情報提供や、

主にライフプランに基づいた相談を顧客サイドに立った立場で実行サポートするライフプランFPRとして活動している。

NHK「クローズアップ現代」「ゆうどきネットワーク」などTVへの出演も行い、産業能率大学兼任講師、日本FP協会評議員も務める。


【保有資格】

・CFP・FP技能士(1級)・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士

・住宅ローンアドバイザー(財団法人住宅金融普及協会)

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