賃貸仲介のポイント~仲介会社の選び方と重要性~
公開日: 2022.10.28
最終更新日: 2023.10.06
最終更新日:2022年6月7日
建物賃貸経営においては、賃貸管理とともに「賃貸仲介」が極めて大切なポイントとなります。
しかし建物賃貸経営を始めたばかりのような方からは、その重要性や仲介力の違いがイマイチ分からないという声も少なくありません。
そこで今回は、賃貸仲介の重要性や選別ポイントなどについて詳しくお伝えします。
1.賃貸経営における仲介力の重要性
賃貸仲介とは、簡単に言えば「(自分の物件の空室に)入居者を入れること」を指します。
ものすごく簡単な話ではありますが、これがものすごく難しく、そして建物賃貸経営にとってものすごく重要なことなのが実情です。
そんな賃貸仲介について、しっかり知っておきましょう。
1-1.空室の弊害
根本的な話ではあるものの、入居者の確保は賃貸事業経営の大前提です。
どんなに立派な賃貸建物という「商品」を造ったとしても、入居者という「お客様」に住んでいただけなければ事業になりません。入居者に入居して頂いて、はじめて建物賃貸事業は成り立ちます。
入居者が入居していない状態の部屋は空室となりますが、この状態では一切の利益になりません。
そればかりか空室の状態が続くと、設備の劣化や景観の悪化、異臭の発生など、様々な問題を生み出してしまいます。
さらにそういった悪影響が、新規入居者や他の入居者にも悪影響を及ぼし、建物離れを起こしてしまいかねないのが実情です。
しっかり建物管理(空室管理)をしてくれる管理会社がいれば、空室の悪影響についてはある程度は抑えてくれるものの、利益を生むという点だけはどうにもなりません。
この利益のための大切な入居者の確保をサポートしてくれるのが賃貸仲介事業者という存在です。
建物賃貸経営において、賃貸仲介事業者の協力がいかに大切かという点を、まずは理解しておきましょう。
1-2.賃貸仲介の概要と留意点
賃貸仲介とは、一定の手数料を支払う代わりに、物件のオーナーに代わって入居者を入れてくれる存在です。
具体的には、様々な宣伝・広告をして入居者を募集し、入居に関する様々な事務手続き(契約の締結や説明書の説明、カギの受け渡しなど)を代行してくれます。
ただし、「仲介力の違い」には注意が必要です。世の中には多くの賃貸仲介事業者がいますが、当然に仲介力は一律ではありません。たとえば、全国賃貸住宅新聞の2021年「賃貸仲介件数ランキング」によると、以下のような結果になっています。
会社名 |
賃貸仲介件数 |
店舗数 |
A社 |
22万7,706件 |
424店 |
B社 |
14万5,496件 |
232店 |
C社 |
7万5,437件 |
197店 |
D社 |
6万7,324件 |
99店 |
E社 |
5万5,529件 |
101店 |
物件オーナーの中には、仲介手数料の安さだけで賃貸仲介事業者を選んだ結果、仲介力が弱く延々と入居者が入らないなどといった失敗の声も少なくありません。
物件オーナーからすると、空室のままでは一切の利益になりませんから、少しでも早く入居者を入れてくれる仲介力の高そうな賃貸仲介事業者を選ぶことが大切です。
1-3.賃貸仲介の基本ポイント
賃貸事業においては、どんなに優れた立地であっても、引っ越しによる退去は避けて通れない問題です。勤め先が変わった、転勤が決まった、もう少し広い部屋に住みたくなった、学校を卒業して就職が決まった...などの理由から、新しい入居先を求める需要は一定数、必ず発生します。
退去はいずれ発生するのに新規入居が不安定では、そのまま賃貸事業自体が不安定になりかねません。このため賃貸事業においては、いかに短い期間で次の入居者を自身の物件に誘導できるかが重要なポイントになります。仲介力の高い頼れる賃貸仲介事業者を味方に付け、一緒になって賃貸事業を発展させていきましょう。
2.仲介力のポイント
賃貸事業において賃貸仲介は極めて重要な部分ですが、だからこそ賃貸事業者は仲介力を左右するポイントを理解しておくことが大切といえます。
そのうえで賃貸仲介事業者を適切に選べるよう、どのような点に気を付けるべきか知っておきましょう。
2-1.入居希望者との接点(拡大)
まず賃貸仲介においては、何より入居希望者との接点が必要です。接点がなければ物件を紹介する機会をつくることができず、当然に入居には繋がりません。
逆に接点が多ければ多いほど、多くの入居希望者に物件を紹介することができるので、結果として入居に繋がりやすくなります。
また接点が多ければ多いほど、入居希望者からすれば安心感や身近さなどに繋がり、より仲介が成立しやすくなりがちです。
これはいわば、賃貸仲介における「集客力」となります。そして賃貸仲介における接点・集客力とは、WEBを中心とする宣伝力などとともに、シンプルに「店舗数」も大切です。店舗数が多いほど接点も多くなり、ひいては仲介が成立しやすくなります。
実際、上記の賃貸仲介の概要と留意点でお伝えした結果を見ても、ほぼ店舗数と仲介件数が比例している結果です。
なお、店舗を全国に構えているような事業者なら、入退居者を全国的に融通しあうようなことも可能になります。入居者からしても、それまでの満足度が高ければ、引っ越し先も同じ事業者のほうが安心に繋がりやすいところも利点です。
このため、単純な店舗数とともに「事業規模・ネットワークの広さ」もポイントになります。
このため、現在どれだけの店舗数があるか、どれだけ店舗数を拡大しているか、事業展開している地域や規模はどうか、などが仲介力を測るうえでのポイントの一つです。
2-2.物件紹介時の成約率を高めるための仕組みや努力
入居希望者からすると、どれだけ多くの物件を取り扱っているかも大切です。紹介物件のバリエーションが豊富なら、それだけ入居希望者の需要にマッチした物件が見つかる可能性が高まります。
また新規入居における初期費用や退去時の費用などを下げることも大切です。貸す側としては少しでも多くの費用を入居者に支払っていただくことが望ましいですが、それによって空室期間が延びてしまうようでは長い目で見て、かえって不利益を被ることも少なくありません。
なので、初期費用についてはできる限りオーナーに負担を掛けることなく入居者が納得のいく水準に抑えることで入居していただき、長く住んでいただくなど、総合的な視点をもって利益を求めていくことも重要な要素でしょう。
そして何より、これらのような点を意識しているかどうか、どれだけ成約率を高めるための工夫・努力をしているかが大切です。いわば、賃貸仲介事業者の「仕事に対する姿勢」ともいえます。賃貸仲介事業者を選ぶ際には、このような点も意識して見てみましょう。
2-3.入居者満足度の向上
これは賃貸管理とも被る部分になりますが、賃貸仲介においても大切な要素です。
入居者の満足度が高ければ入居期間の長期化につながり、入居者に住み替える事情が生じたとしても再入居を獲得しやすくなります。そうして入居者の満足度が高い、つまりハード・ソフト両面で人気が高い物件であればあるほど、家賃の維持や向上にも繋げやすく、長期の安定経営にも繋がるのが実情です。
なお、入居者の満足度を高める方法は色々とあります。たとえば賃貸管理において、塗装やデザイン変更などによる美観の維持・向上、設備の追加、頻繁な清掃による衛生面の管理などは代表例です。また賃貸仲介において、入居者との24時間対応や家賃のクレジットカード決済、(連帯)保証人を不要とする仕組みを導入しているところもあります。
個人では限界がありますが、強力な賃貸仲介事業者や賃貸管理事業者の支援があれば十分に実行可能です。むしろ、このような入居者満足度を高めるための仕組みをどの程度準備しているかという点でも、賃貸仲介事業者や賃貸管理事業者を見比べましょう。
3.入居者ニーズの変化
入居者のニーズというのは一定ではなく、常に変化しています。
その結果、少し前までは簡単に仲介が成立していた物件が、途端に成立しにくくなるということも起こりうるのが実情です。
ここでは、基本的な入居者ニーズの変化についてご紹介していきます。
3-1.家族構成の変化
一般財団法人住宅改良開発公社の令和2年「賃貸住宅市場の動向と将来予測調査」によると、入居者が住み替える理由は以下のような結果になっています。
転勤や転職という理由が28.5%で最多、次いで結婚などによる世帯の独立が2位という結果です。
また就職や離婚、子の誕生や親などとの同居など、何らかの家族構成の変化が多めに住み替え理由として挙がっています。家族構成(住む人の数)が変われば、必要となる部屋数や間取りなども変わってきますから、住み替えを希望するのも当然です。
このような入居者ニーズの変化にも対応できるよう、やはり物件オーナーとしては物件のバリエーションを取り揃え、仲介の機会を逃さないように対応していきましょう。
3-2.その他の変化
昔と違って最近では少子高齢化の時代と言われています。
年金不安も高まっている中で昨今のさまざま問題が発生し、現役の方から高齢者まで幅広く先々への(経済的)不安も高まっているのが実情です。また最近では、毎年のように大規模災害が起こっている点も見逃せません。
このような時代背景の変化も手伝って、一般財団法人住宅改良開発公社の令和2年「賃貸住宅市場の動向と将来予測調査」によると、最新の転居先を選ぶ際に重視するポイントは以下のようになっています。
相応の年齢になっても、災害や犯罪が起きても、なるべく快適に暮らせそうな環境を求める方が多いようです。
これは視点を変えれば、「なるべく引っ越しせずに長くそこで暮らしたい」という方が増えているのかもしれません。これは賃貸(仲介)事業の観点で見れば、プラスに働く可能性があります。入居満足度が高い物件を準備できれば、居住期間が長くなる可能性があることを意味しています。
また上記の下半分には、少し特殊な賃貸物件を求めている結果が並んでいます。最近では多様化の時代とも言われていますから、ある意味で入居者ニーズも広がりを見せてきているのかもしれません。
これはつまり、「未開拓の需要」という可能性があります。
ぜひ今のうちに賃貸仲介を強化し、末永い安定経営に繋げていきましょう。
4.まとめ
長期にわたる賃貸事業においては、社会環境の変化などにより入居者ニーズも変化する可能性があります。
安定継続した賃貸経営を実現するには、状況変化への対応力を含む、仲介・管理を中心とする運営力がとても重要です。そのためには、まずは強力な賃貸仲介事業者・賃貸管理事業者を見つけることが大切といえます。
仲介や管理の重要性を理解しつつ選別ポイントを意識して、最適な事業パートナーを味方に付けましょう。
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商品先物会社、税理士事務所、生命保険会社を経て、2008年8月8日に開業。
現在は日本初の「婚活FP」として、恋愛・婚活・結婚・離婚×お金をメインテーマに活動中。婚活中の方や新婚夫婦、または独身を貫きたい方など、比較的若い方向けのご相談や執筆、講演を行っています。趣味は漫画(約6,000冊所有)。物の設備・清掃に関する知識も豊富。
【保有資格】
・CFP®(婚活FP)
マイアドバイザー®。Yahoo!Japanなど主要webサイトや5大新聞社への寄稿・取材・講演会を通じた情報提供や、
主にライフプランに基づいた相談を顧客サイドに立った立場で実行サポートするライフプランFP®として活動している。
NHK「クローズアップ現代」「ゆうどきネットワーク」などTVへの出演も行い、産業能率大学兼任講師、日本FP協会評議員も務める。
【保有資格】
・CFP・FP技能士(1級)・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
・住宅ローンアドバイザー(財団法人住宅金融普及協会)
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