1. TOP
  2. 土地活用ナビ
  3. 賃貸経営
  4. アパートを経営する際にかかる維持費は?費用を抑えるポイント

土地活用に役立つ情報が満載!土地活用ナビ

アパートを経営する際にかかる維持費は?費用を抑えるポイント

公開日: 2024.03.15

最終更新日: 2024.03.15

不動産経営による不労所得に興味がある、眠っている土地を有効活用したい、そのように考えている場合、アパート経営は魅力的な選択肢です。アパートは証券などと異なり現物が存在します。アパートを良い状態に保ちつつ所有するには維持費が必要です。

しかし「アパート経営にはどのような維持費がかかるのか?」「費用をいかに抑えればよいのか?」といった疑問が頭をよぎることでしょう。

この記事では、アパート経営における維持費の全体像と、効率的に管理しコストを最小限に抑える方法を紹介します。
賃貸経営で失敗しないために、ぜひ記事を参考にしてください。

 

1.アパートにかかる維持費の例

アパート経営には多様な維持費が発生します。
ここでは、光熱費や清掃費、修繕費など、実際の経営における主要な維持費の例を具体的に見ていきましょう。

 

1-1.光熱費


アパート経営において重要なのが、共用部分に対してかかる光熱費の管理です。
共用部分とは、アパートの廊下、エレベーター、共用洗濯室など、すべての入居者が利用するエリアを指します。
これらのエリアで発生する電気代は、すべてオーナーが負担する費用として計上されます。

 

しかし、実際の経営では、これらの光熱費を共益費として入居者から徴収するケースが一般的です。

共益費とは、アパートの共用部分の維持管理に必要な費用を入居者が分担する仕組みのことを指し、この方法を選ぶことでオーナーの負担を軽減することができます。
共益費は毎月の賃料に加えて入居者が支払う費用であり、共用部分の清掃やメンテナンスに充てられます。共益費を設定する際には、実際にかかる光熱費の金額を適切に算出し、公平かつ透明な方法で入居者に負担してもらうことが重要です。

 

1-2.清掃費


アパート経営を失敗させないためには、賃貸住宅の清掃が欠かせません。
アパートの共用部分の清潔さは、入居者の満足度を高める重要な要素であり、その維持のためには定期的な清掃が必要です。

 

この清掃には、廊下や階段、エレベーター内部の掃き掃除、ゴミ置き場の除菌清掃、共用トイレやランドリールームの清掃などが含まれます。
これらの作業は、専門の清掃業者に依頼することが一般的で、業者は日常的な清掃はもちろん、定期的な大掃除も行うことがあります。

 

清潔な環境は入居者の満足度を高め、結果的にアパートの評判を向上させることに繋がるため、清掃費はアパート経営における必要経費として捉えられます。

 

多くのアパートでは、この清掃費を共益費として入居者に分担してもらうのが一般的です。
毎月清掃業者に依頼することで、アパートの清潔さと借主の快適さを維持しつつ、オーナーの負担を軽減することができるのおすすめです。

 

1-3.原状回復費


アパート経営における原状回復費は、退去する入居者が使用した部屋を元の状態に戻すための費用です。
この費用は、壁紙の張り替えや床の修理など、入居者の使用によって生じた損耗を修復するために使われます。

 

壁に穴を開けるなどの故意過失によるものは退去する借主が負担しますが、通常の使用による経年劣化は原則オーナー負担です。

 

1-4.修繕費


アパート経営で欠かせない維持費の一つが修繕費です。
これは建物や設備の老朽化に対応するための費用で、屋根の補修や配管の交換、外壁の塗装などが含まれます。

 

定期的な修繕はアパートの価値を維持し、入居者の安全と快適さを確保するために不可欠です。
修繕計画をしっかりと立て、適切に予算を配分することが、長期的な資産管理と入居者満足度の向上に繋がります。

 

1-5.広告料


アパートの維持費には、広告料が含まれる場合があります。
広告料とは、賃貸物件の空室対策として仲介会社に支払われる追加の広告宣伝費用です。

広告料の額は通常家賃の0.5~1か月分程度で、空室期間の短縮を目的としています。

 

最近は広告料の有無を仲介会社間で非公開にするケースもあるようですが、物件の早期入居を図るためのコストとして賃貸業界では一般的に利用されています。

 

1-6.管理委託費


アパートの管理委託費は、アパートの運営管理を管理会社に委託するための費用です。

具体的には、入居者対応、鍵の管理、共用部の清掃、設備のメンテナンス、緊急時の対応など、アパートの維持管理に関する業務全般を管理会社が代行することに対する報酬が含まれます。

 

管理委託費は、オーナーの負担を軽減し、アパート運営の効率化を図るために投資されます。
プロの管理により、アパートの品質維持と入居者満足度の向上が期待できるでしょう。

 

1-7.損害保険料


アパート経営における損害保険料は、予期せぬ事故や災害から資産を守るための重要な維持費です。
この保険料は、火災、地震、水害などさまざまなリスクに対する保険に支払われ、万が一の事態に備えるためのものです。

 

適切な損害保険の選択は、アパートの安全性を確保し、オーナーの財務リスクを軽減するために欠かせません。
保険の範囲や保険料は物件の特性や立地によって異なります。損害保険に加入しているからといって、すべてを補償してくれるわけではありません

加入する保険の補償範囲をあらかじめ確認することをおすすめします。

 

 

1-8.アパートや土地にかかる税金


アパート経営における主な税金は、建物と土地に課税される固定資産税があります。
この税金はアパートや土地の評価額に基づいて決定されます。
また、アパートが市街化区域内にある場合、都市計画税の支払いが必要です。

 

さらに、アパート経営から得た収益には、所得税や住民税が課されます。
アパートから得られる賃貸収入からアパート経営にかかる経費を控除した純賃貸所得に対して所得税が課税されます。

経費計上される費用が多いと、その分賃貸所得が少なくなり、所得税も軽減します。
なお、法人としてアパート経営を行っている場合は、個人の所得税の代わりに法人税が課せられます。

これらの税金は、アパート経営の財務状況を理解し管理する上で重要な要素です。

 

 

費用の種類

費用の例

光熱費

共用部の照明の電気代や水道代など

定期清掃費

共用部の掃除など

原状回復費

退去時の室内のクリーニングや修繕など

修繕費

定期的なメンテナンスや大規模修繕など

広告料

入居者募集のための広告

管理委託費

管理業務の委託料

損害保険料

火災保険や地震保険など

各種税金

固定資産税、所得税など

 

2.アパートの維持費を抑える方法

アパート経営において、維持費の削減は利益を最大化する鍵です。
次に、コストを効果的に抑える方法を紹介します。

これらのテクニックを活用して、経営の効率を高め、長期的な成功を目指しましょう。

 

2-1.日常的に物件をメンテナンスする


アパート経営で維持費を抑える有効な方法の一つが、日常的なメンテナンスと予防保全です。修繕が必要な箇所は、放置すればするほど修理費が増大する傾向にあります。早期に対処することで、大規模な修繕とそれに伴う高額な支出を避けることが可能です。

 

予防保全は、定期的な点検と小さな修理を通じて、物件の老朽化や劣化を未然に防ぐ戦略です。例えば、定期的に配管のチェックを行い、小さな漏れがあれば直ちに修理することで、将来的な大規模な水漏れを防ぐことができます。このように、予防保全により、アパートの長期的な状態維持とコスト削減が実現します。

 

2-2.経費計上して所得に含める


アパート経営において、経費計上は維持費削減の重要な手段です。
経営に必要な費用は、経費として計上することができます。
これにより、物件の維持にかかる費用は直接減少するわけではありませんが、事業の支出として扱われることで事業の所得から差し引くことが可能です。

 

結果として、所得税の負担が軽減される可能性があります。
例えば、修繕費や管理委託費などは、適切に経費計上することで税負担を抑え、効果的な資金管理に繋がるのです。

また、建物の価値が時間とともに減少することを考慮した減価償却費も経費として毎年計上できます。
減価償却費は建物の取得費用(土地の価値は除く)をもとに計算され、数年から数十年にわたって経費として計上できるので所得税を抑えることが可能です。
このような税務上の戦略は、アパート経営の財務効率を向上させる重要な要素となります。



メルマガ訴求.png

 

3.アパート経営でより収益性を高めるには

アパート経営の成功は、維持費を抑えることだけでなく、収益性を高めることにもかかっています。

次に、効率的に収益を増やす方法を紹介しましょう。
これらのアプローチを活用することで、より安定した収入を確保し、経営の成功を実現できます。

 

3-1.空室の発生を極力抑える


アパート経営で収益性を高めるためには、空室率の低減が鍵となります。
空室はキャッシュフローに直接影響を与え、入居者がいない部屋は収益を生み出しません。

入居者の退去を完全に防ぐことは不可能ですが、適切な対策により空室の発生を減らすことは可能です。

 

これには、物件の魅力を高めるリノベーション、適切な家賃設定、効果的な広告戦略などが含まれます。
また、既存の入居者に快適な居住環境を提供し、長期間の滞在を促すことも重要です。

これらの努力は、安定した収入源を確保し、アパート経営の収益性を向上させるために不可欠です。

 

3-2.入居者に選ばれる物件を目指す


アパート経営で収益を安定させるには、入居者に選ばれる物件を目指すことが重要です。
空室が発生しても、魅力的な物件であれば新しい入居希望者が早く現れます。
入居者のニーズに応えるためには、例えば宅配ボックスの設置が近年では効果的です。

 

また、リノベーションを行うことで、物件の間取りや外装を刷新し、より魅力的な物件に変えることができます。
ただし、リノベーションは費用対効果を考慮しながら計画的に進める必要があります。これらの取り組みによって、アパートは競争力を高め、安定した収益源となるでしょう。

 

4.アパート経営の資金計画とリスク管理


アパート経営は、単に物件を建築・購入し運営するだけではありません。
実際には、物件購入・建築のための頭金や諸経費などの現金が必要です。

 

また、築年数の経過とともに必要となる大規模リフォームや新しい設備の導入により、予想以上の費用がかかることもあります。
これらの支出は、入居者の快適さを保ち、物件の価値を維持するために欠かせないものです。

 

さらに、空室が発生するリスクも常にあり、その期間中の家賃収入の減少に備えるためにも、一定額の現金を確保しておくことが推奨されます。
また、アパート経営は安定した家賃収入の確保や相続税対策といったさまざまな効果が得られるものの、いくつかのリスクも存在します。
パートナー企業によって対応力に差があるため、管理会社は慎重に選択しましょう。

パートナー企業と協力することでアパート経営におけるリスクを事前に理解し、適切に準備・対応することができるので、効果的な経営を行うことができます。

 

アパート経営を始める際の資金計画は、初期投資だけでなく、維持費や税金にも目を向けなければなりません。

 

管理費や修繕費、ローン返済などは、家賃収入から賄える場合が多いですが、アパート経営の規模が大きくなれば消費税や個人事業税などの追加費用も発生します。

これらを踏まえ、アパート経営は資金計画とリスク管理を適切に行うことで成功する確率が上がるでしょう。

■監修者プロフィール

有限会社アローフィールド代表取締役社長
矢野 翔一

関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。

【保有資格】2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者