土地活用で賃貸経営を始めるときの資金計画の考え方と資金調達の方法
公開日: 2022.10.28
最終更新日: 2025.03.27
土地活用は、所有地を最大限に活用し、安定した収益を生み出すための重要な選択肢です。
賃貸物件の経営、駐車場の運営、あるいはシェアハウスなど、さまざまな方法がありますが、それぞれの特徴や仕組みを理解した上で計画を立案する必要があります。
そこで今回は、賃貸経営を始めるときの資金計画の考え方と資金調達の方法を説明します。必要となる費用や資金調達の方法、資金計画のポイント等も解説します。
最後までぜひチェックしてください。
1.土地活用でアパートの賃貸経営をする際に必要となる費用とは?
資金計画を考えるには、そもそも土地活用はどのような費用がかかるのかを知る必要があります。
土地活用といっても方法によって細かい費用は変わってきますので、今回は代表的な方法の1つであるアパート経営でどのような費用がかかるのかを見ていきましょう。
1-1.建築費用の内訳
建築費用は大きく分けて、建物本体の建築工事費、電気給排水設備などの「付属設備工事費」、車庫・塀・植栽などの「外構工事費」に分けられます。
また、建設費以外に発生する費用として、税金や手数料、保険料などがあげられます。
建築に関わる建築確認申請等の手数料や金融機関への資金調達によるローン手数料、また賃貸住宅物件を取得したことによる不動産取得税・登録免許税といった各種税金や火災保険料などです。
このような諸費用が発生するため、建物本体の工事費の10~20%増しの資金を用意しておくと良いでしょう。
また、費用の種類の分類はケースバイケースであることも覚えておきましょう。
以下は、費用の種類を建築本体工事、付属設備工事、附帯工事、手数料、税金に分けたケースの内訳です。
>>関連記事:アパート経営の資金計画に備えよう〜アパートローン〜
費用の種類 | 主な費用 |
---|---|
建築本体工事 |
|
付属設備工事 |
|
附帯工事(外構工事など) |
|
手数料・保険料 |
|
税金など |
|
1-2.費用を抑える方法
賃貸アパート経営では、高額な設備投資を避け、収益の回収スピードを向上させる工夫が求められます。
建築費用を抑える方法として、以下の要素が挙げられます。
①設計施工一貫方式で建築する
設計と施工を同じ専門業者に依頼することを設計施工一貫方式と呼びます。これにより初期費用やランニングコストを抑えることが可能です。
この方法は、戸建て賃貸やアパート経営、マンション経営といった不動産投資の事業計画でもよく活用されます。設計段階からコスト削減の提案を受けることで、収益物件の収益性を高められます。
加えて、設計と施工の間の情報伝達ミスが起こりづらくなり、工事に関するトラブルが減少し、安心してプロセスを進められる点もメリットです。
②シンプルな内装にする
賃貸物件の内装は、過剰な設備を省き、実質利回りを高めるために機能的かつシンプルな設計にすることが推奨されます。
例えば、「床材や壁紙をシンプルで耐久性のある素材にする」、「過剰な装飾を省く」などの工夫が有効です。
また、量産品の設備や標準仕様のデザインを選ぶことで費用をさらに抑えられます。
③建築する建物の階数を抑える
建物の階数を減らすことで、構造体の強度を確保するために必要な材料費や工事費を削減できます。
特に、2階建てや平屋建ては、地盤改良工事や基礎工事にかかる費用が低く抑えられます。エレベーターや階段にかかるコストも削減できるため、全体の建築費用を大幅に下げることが可能です。
階数を抑える手法は、ほかにも駐車場併設型の戸建て賃貸や、郊外の土地を活用したコインランドリー経営、コインパーキング事業など、規模を抑えた事業モデルに適しています。
都市部や住宅街では、容積率や用途地域の規制に従いつつ、小規模で利回りの高い物件を計画することも重要な選択肢となるでしょう。
2.土地活用に必要な資金の調達方法
ここまで費用を紹介してきましたが、ではそれらの費用を賄うための資金はどのように調達すればよいのでしょうか。自己資金とローンについて説明します。
2-1.自己資金はどの程度用意するか?
賃貸経営には多額の資金が必要になりますので、銀行からの融資を受けるのが一般的です。 自己資金をある程度投入することができれば、借入額が少なくなる分収支も良くなりますので、融資の審査が通りやすい傾向にあり、その後の返済もずいぶんと楽になります。したがって、「一定額の自己資金が用意できたら、賃貸住宅経営を考える」とおっしゃる方も少なくありません。
ただし、すでに土地をお持ちの方であれば、土地を購入する費用がない分、自己資金が少なくても、融資は比較的通りやすくなります。建築資金の多くを借り入れた場合、その後の返済額や金利負担は多くなりますが、「自己資金が蓄えられるまで建築するのを待つ」と、当然ながら賃貸建物もなく賃貸経営も始めていませんから、その間は賃貸料収入がないわけです。
ゆえに、長期的に見れば、早い段階で賃貸経営を始めたほうが有利になるケースも少なくありません。
賃貸経営を始めた後の資金収支をきちんとシミュレーションして、借入額と自己資金のバランスを考えるといいでしょう。
2-2.資金調達の方法
自己資金以外の調達方法としては、土地活用に利用できるアパートローンがあります。
アパートローンを選ぶ際には、借入金額や返済期間、変動金利や固定金利などの条件のリスクを理解しましょう。
また、事業計画書を具体的に作成することも重要です。建物の規模や土地の用途地域、需要と供給のバランス、管理会社の選び方やランニングコスト、将来的な市場変動など、具体的で詳細な資金計画などの事業計画書であるほど、ローン審査の通過率を向上させることができます。 ローンは少ない自己資金で収益を最大化するのに良い手法ですので、効果的に活用しましょう。
3.ローンを組むときは借入と自己資金のバランスに注意する
「借入額を少なく抑えられれば、借入金返済の負担も小さくなるので「利益のほとんどが返済にあてられてしまい、手元に資金がほとんど残らない」という失敗は起こりにくいです。シミュレーション上の収支計画も良くなります。
ただ、借入額を抑えるということは、その分、自己資金を用意しなければならないということです。自己資金を多くつぎ込んでしまうと、手元に残るお金が少なくなってしまいます。その結果、将来の相続税の納税資金が不足したり、遺産分割で子供たちに与えるためのお金が少なくなる危険性が出てきます。
また、「投資効率」という意味では、借入の多いほうがむしろ高くなることもあります。
たとえば、毎年1,200万円の収入が得られる建物を1億円で建築するとします。建築後、固定資産税や管理費などの諸経費が500万円かかるとすると、ローンがなければ毎年700万円の「純利益」が得られることになります。
この物件を、「自己資金1,000万円、借入9,000万円」で建築し、毎年、元利返済を600万円するとします。これにより、毎年得られる金額は実質100万円に減ってしまいます。しかし、この状況は見方を変えれば「自己資金1,000万円だけを投じ、毎年100万円を得ている」ということになります。実に10%の「利回り」になります。
上記の例で、「自己資金5,000万円、借入5,000万円」で建築し、毎年の元利返済を300万円に抑えれば、毎年得られる金額は実質400万円になり、300万円収益が向上します。
しかし、自己資金との対比では「5,000万円を投じて毎年400万円の利益」となり、収益はあがりますが利回りという点では8%に下がってしまいます。
このように、借入によって投資効率が上がることを「レバレッジ効果」と言いますが、収益性が高い建物であれば、このレバレッジ効果も大きくなります。
>>関連記事:不動産投資で融資を活用する流れや必要な書類は?
4.土地活用の資金計画のポイント
土地活用を成功させるための重要な要素の一つが、「資金計画」です。不動産投資や賃貸経営における収益性を確保し、安定した経営を実現するために必要なポイントを押さえましょう。
4-1.返済計画を綿密に立てる
アパートローンの返済計画については、金融機関からの借入額や返済期間、金利を考慮した返済計画を立てましょう。返済計画でしばしば陥りがちなのが、楽観的な計画を立ててしまうことです。経年劣化による家賃収入の減少や修繕費の増加が考えられていないと、始めた後で資金繰りに困るリスクが増大してしまいます。 ローン返済後も十分なキャッシュフローが確保できるよう、収支計画を具体的に作成しましょう。
4-2.土地活用で起こりがちなリスクに対処する
土地活用では、空室リスクや賃料下落リスク、家賃滞納リスクなどが発生します。これらのリスクに備え、市場調査を行い、周辺環境や地域の需要を十分に調査することが重要です。 また、賃貸経営の安定には、リスク管理のノウハウがあり、状況に応じた柔軟な対応ができる不動産会社や管理会社を選ぶことも欠かせません。例えば、空室が発生した際に広告戦略を強化し、ターゲット層を広げる工夫をしてくれる不動産会社を選べば、空室が続く期間を極力少なくできるでしょう。
>>関連記事:【2024年版】土地活用の方法19選|運用を行うメリットや実際の進め方
4-3.税金の支払いに備える
土地活用で得た所得には、所得税、住民税が発生します。また、土地・建物には固定資産税が発生しますし、相続の際には相続税も発生します。これらの支払いに備える必要があります。 これらの税金がいくらかかるのかも試算しておき、手元に十分な現金を持っておくようにしましょう。また、税理士などの専門家に相談し、資金計画を最適化するのもよいでしょう。
5.土地活用の相談で安心な資金計画を立てよう
今回はアパート経営に関するお金について説明しました。 アパート経営では、かかる費用を細かく理解した資金計画と自己資金とのバランスを考慮した資金調達戦略が求められます。これらを踏まえた十分な準備とノウハウの活用が、資産運用の成功に大きく貢献するでしょう。 事業計画書の作成については、不動産会社の担当者からのアドバイスをもらうことが成功への鍵となります。大東建託では、土地活用に関する相談を受け付けております。もし興味のある方はお気軽にお問い合わせください
注目のハッシュタグ
お悩みから探す
カテゴリから探す
人気記事ランキング