不動産投資で融資を活用する流れや必要な書類は?
公開日: 2022.10.28
最終更新日: 2023.03.24
公開日:2022年6月30日
不動産投資は賃貸物件を購入して、家賃収入により利益を上げるビジネスです。
しかし、投資用不動産は高額であり、自己資金のみでは購入が困難な場合が大半です。
また、自己所有地に賃貸建物を建築する場合でも多額の資金が必要なので、多くの不動産投資家は金融機関から融資を受けて物件を取得しています。
そのため、これから不動産投資を始める方は、融資を受ける場合の流れや必要書類を把握しておく必要があるでしょう。
本記事で詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
1.融資を活用して不動産投資を始める利点
初めに融資を活用して不動産投資を始めることによる利点を紹介します。
なお、現在の日本は政府の金融政策により、各金融機関とも金利を低めに設定する傾向にあります。
そのため、不動産投資に限らず借入れの利息額は比較的抑えやすい状況です。
しかし、金利は景気の変動により影響を常に受けるので、借入時の利率がそのまま続くとは限りません。
特に借入期間が長期に渡る場合は、将来金利が上昇するリスクがあることを理解しておく必要があります。
1-1.自己資金が十分でなくても不動産投資を始められる
一般的に不動産投資では高額な資金が必要になります。自己資金のみで始めるのは難しい特徴があります。
特に金額が大きいのは物件の購入費です。戸建てやワンルームの場合、都心の一等地などを除けば数千万円程度で購入可能ですが、アパートやマンションの一棟投資を行う場合、億単位の費用が必要になるでしょう。
また、その他にも不動産取得税、固定資産税などの税金や金融機関へ不動産会社への仲介手数料など、さまざまな諸費用がかかります。
こうした費用をすべて自分で用意するのは困難なので、融資を活用して資金援助を受けることで必要な資金を確保しやすくなります。
1-2.レバレッジ効果を最大化できる
レバレッジ効果とは「てこの原理」のように、小さな力で大きな効果をもたらすことを指します。
不動産投資におけるレバレッジ効果とは、少ない資金で規模の大きな賃貸物件に投資して、高い収益を得ることを表します。
不動産は高額な商品なので、自己資金のみでは購入できる物件が限られてしまいます。
しかし、自己資金に融資をプラスすれば、購入できる物件の価格帯が広がるため、より多くの家賃収入を見込める物件を購入できる可能性が高まります。
また、頭金を入れずに物件価格の全額を金融機関からローンで借入れる「フルローン」という手法もあるため、金融機関の信用が得られれば初期投資なしで物件を購入することも可能です。
しかし、フルローンは金融機関側もリスクを抱えることになり、実際、不祥事の件数も少なくなかったため、審査基準は以前よりも厳しくなっています。
借り手側も高い返済リスクを背負うことになるので、余裕を持った返済計画を立てる必要があります。
さらに融資を活用すれば、複数の物件に投資することもでき、規模拡大もしやすいので、リスク分散の効果も期待できるでしょう。
2.不動産投資で融資を得るまでの流れ
次に不動産投資で融資を得るまでの流れを解説します。
同じ不動産の融資でも不動産投資ローンと住宅ローンは必要書類や手続き方法に異なる点があるため、それぞれの違いを理解しましょう。
Step1.融資申請の準備をする
最初に実施するのは、融資申請の準備です。融資を希望する金融機関を選び、相談の際に必要となる書類を用意することから始めます。
金融機関の例には都市銀行や地方銀行、信用金庫などのほか、近年では店舗を構えないネット銀行でも扱っている場合があります。
融資に必要な書類は後述しますが、金融機関によって異なる場合もあるので、事前に確認することをおすすめします。
Step2.融資審査を申し込む
次に融資審査の申し込みに移ります。必要書類がそろったら、融資を希望する金融機関へ融資相談のアポイントを取りましょう。
相談する場合は、電話やWebサイトで予約した後に面談を申し込むのが基本です。
なお、融資の申し込みは自分自身で金融機関を探す場合と、他者から紹介してもらう場合があります。
しかし、不動産投資の場合、融資金額が非常に高額になるケースが多いことから、誰の紹介も受けず自分で新規開拓するのは、抵抗を感じる方が多いでしょう。
そのため、物件を購入する不動産会社や建設会社、投資仲間から紹介してもらうケースが一般的です。
Step3.担当者と面談をする
融資審査の申し込みが完了したら、用意した資料や物件の情報などをもとに、金融機関の担当者と面談を行います。
金融機関の担当者は、申し込み者に返済能力があるか、物件の収益性は十分か、といった点に注目します。
希望通りの融資額を得るためには、年収や勤務先など個人の経歴、事業計画書の情報が重要視されます。
また、面談の際に担当者から事業計画に関して質問が来ることが想定されるので、はっきりと答えられるよう準備しておくことが大切です。
Step4.金融機関が審査を開始する
書類を提出して融資担当者との面談が完了した後、金融機関が融資を行うための審査の段階に移ります。
不動産投資ローンの審査基準では、申し込み者の返済能力のほか、事業性や事業目的、資産背景などを参考にして公正に判断されます。
事業性が考慮される点は、住宅ローンと異なる特徴といえるでしょう。
ローン審査は、金融機関内で何度も検討するため、結果が出るまでは時間がかかることが多く、必要に応じて追加の書類提出などを行う場合もあります。
そのため、ある程度余裕を持ったスケジュールを立てておくことをおすすめします。
Step5.融資の手続きを行う
金融機関の審査が通り、融資可能と判断されたら、契約の手続きに移ります。
契約手続きの際、融資限度額や期間、金利の条件などの詳しい説明を受けるので、不明点があれば担当者に確認するようにしましょう。
特に同じ融資額でも、固定金利型と変動金利型のどちらを選択したかによって、利息や月々の返済額などが異なるため、条件をよく理解しておく必要があります。
説明を受けた後、金融機関と正式に金銭消費貸借契約を結ぶことで、融資の手続きが完了となります。
3.不動産投資で融資を受けるために用意したい書類
不動産投資で融資を受けるために用意する書類は複数あります。
ただし、必要書類は金融機関によって異なり、一律に決まっているわけではありません。そこで一般的に必要とされる書類を紹介します。
書類が必要となる理由は、金融機関が融資をするかどうかの判断基準とするためです。
個人の資産背景や経歴などのほか、不動産投資の事業性や物件の資産価値を見極めるためのものが多くを占めています。
実際にどんな書類があるのか、前もって調べておくことが大切です。
もちろん、金融機関の担当者に聞くこともできますが、自分で調べて準備できる力があるかどうかも、融資を受けるにあたって重要なポイントとなるため、ある程度調べたうえで質問するのが理想です。
【主に必要となる書類】
- 事業計画書
投資物件の収益性などの情報をまとめた計画書。建物や土地の情報のほか、家賃収入、資金計画などを詳しく記載する必要がある。 - 登記簿謄本
物件の所在地や面積、所有者、物件の権利関係などが記載された書類。 - 物件概要書
物件の名称、所在地、構造、敷地面積といったさまざまな情報を記載した書類。 - レントロール
賃貸物件の入居状況、家賃、賃貸借契約の締結時期などを記載した書類。 - 公図、用途地域図
- 建物図面
- 固定資産税評価証明書
- 建物修繕履歴
- 勤務先の会社概要
- 職歴書
- 家族関係図
- 資産背景
銀行の預貯金、不動産のほか、株式・債券などの現金化可能な金融資産のエビデンス。通帳、株式証書、不動産の登記簿謄本のコピーなど。 - 保有物件一覧
- 生命保険、損害保険加入一覧
- 生命保険解約返戻金一覧
4.融資を行う金融機関が重視している点
不動産投資の融資をする金融機関は、申し込み者のどんな点に着目して融資の判断をしているのか、気になるところではないでしょうか。
以下に重視している3つのポイントを解説します。
4-1.個人の経歴
金融機関としては貸し倒れリスクを防ぐため、審査の際はお金を貸す相手に返済能力があるかどうかを慎重に見ています。
具体的には年収や勤務先、勤続年数、年齢、健康状態などです。
他にもローンの借り入れ状況や、クレジットカードの支払いに関する滞納歴や遅延歴なども含まれます。
そのため、現在は問題がなくても、支払いの過去に滞納をしていると審査が通りにくくなる可能性もあります。
また、金融機関が融資の相談を受ける際は、相手が信用できる人物かどうかを判断するため、約束の時間を守るか、身だしなみは整っているか、提出する資料や数字を正しく把握しているかなど、基本的なマナーまでチェックしている場合もあります。
少しでも有利な条件で融資を受けるためには、常に審査される立場であると意識することが大切です。
なお、不動産投資ローンでは、一般的に融資の限度額はおおよそ年収の7~10倍程度と言われており、最低でも500万円程度が必要と考えられています、
もちろん、金融機関や購入する物件によって条件は異なりますが、一つの目安として知っておくと良いでしょう。
4-2.物件の収益性
融資を使って購入する物件に収益性があるかどうかを見ています。
物件の収益力が低いと判断された場合、返済が滞るリスクがあるため、個人の経歴が問題なかったとしても、物件が理由で融資の審査が通らないこともあります。
物件の収益性を見るうえでチェックされるのは、原則として立地や築年数、間取り、価格、設備などですが、このうち最も重要視されるのは立地です。
人気エリア、駅近などの好条件であれば、建物としての魅力が乏しくても、人が集まる可能性が高いため、収益物件として優れていると判断されやすい傾向があります。
また、物件を購入してどのようなことをしたいのか、どのようにして収益を生み出すのか、担当者に対してストーリーを示すことが大切です。
そのためには事業計画書や資金計画を詳しく記載することが求められます。
4-3.物件の担保価値
物件の担保評価とは、投資対象となる不動産の物的担保としての評価です。
つまり債務者が返済できなくなった場合に、その物件を売却することで債務を回収できるだけの価値のあるものを指します。
担保評価が高い物件は高値で売却できるものと判断され、担保として強い価値を持つため、融資の審査に通りやすくなるでしょう。
一方、担保評価が低いと審査でマイナスになってしまうため、たとえ物件の利回りが良かったとしても、希望通りの融資が得られない可能性がある点を理解しておく必要があります。
5.不動産投資では融資の理解が必須
不動産投資は融資を受けて始める利点が大きいビジネスといえます。
金融機関から良い融資条件で融資を受けることができれば、自己資金のみでは購入できない高額の物件を運用でき、レバレッジ効果を得られるためです。
そのため融資を受けるための流れや必要書類、審査に通るためのポイントを掴んでおくことは極めて重要です。
また、不動産のローンは固定金利、変動金利のどちらを選択するかによって、利率が異なるため、それぞれのメリット・デメリットも理解しておく必要があります。
大東建託では土地活用に関する相談を無料で受け付けていますので、賃貸経営や資産運用に関して疑問点や不明点がありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
宅地建物取引士・FP2級の知識を活かし、不動産専門ライターとして活動。賃貸経営・土地活用に関する記事執筆・監修を多数手掛けている。ビル管理会社で長期の勤務経験があるため、建物の設備・清掃に関する知識も豊富。
- 【保有資格】
- ・宅地建物取引士
・FP2級
・建築物環境衛生管理技術者
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