マンション経営の種類|それぞれのメリット・デメリットは?
公開日: 2022.10.28
最終更新日: 2024.06.04
公開日:2022年9月13日
土地活用の手段として、マンション経営を考えている方は多いのではないでしょうか。
マンション経営は入居者の家賃を収入源とするビジネスで、安定した収益を得やすく、結果的に節税となる側面もあります。
しかし、一棟・区分マンションのどちらを選択するかによって経営の規模が異なるほか、新築、中古など物件の種類、立地や周辺環境などの条件によって、利回りや初期費用に大きな差が生じます。
そこで本記事ではマンション経営の種類、それぞれのメリット・デメリットを解説していきます。
目次
2-1空室リスクを分散できる
2-2マンションの修繕計画を自分で立てられる
3-1多額の費用がかかる
3-2物件内トラブルの影響を大きく受ける場合がある
3-3修繕費が高くなりやすい
4-1経営に必要な投資金額が少ない
4-2物件の数が比較的多い
4-3複数の場所に物件を所有できる
5-1管理に関する権限が限られる
5-2空室リスクを分散しづらい
5-3修繕積立金がかかる
5-4物件内で起こった事故やトラブルの影響を受けやすい
マンション経営の概要
資産運用の方法として、マンションやアパート経営は広く知られています。
入居者の家賃により安定収入を得られ、景気変動の影響を受けにくいため、老後の年金対策や相続対策としても有効な手段の一つです。
その一方、想定する効果を得るためには、仲介や管理を中心とする賃貸経営を適正に遂行することは欠かせませんし、そのためには管理費や修繕費、税金などさまざまな支出が発生するため、収入と支出のバランスをよく考えて経営することが大切です。
以下にマンション経営の基本的な仕組みを説明します。
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マンション経営とは
マンション経営とは、主にマンションを購入もしくは建設し、入居者から家賃収入を得るビジネスです。
家賃を収益源とするため、長期間住んでくれる入居者、空室発生時に新たに住んでくれる入居者を確保できれば、安定的な収入を期待できる点が一番のメリットといえるでしょう。
さらにマンション経営は税制面でも有利な点がいくつかあります。たとえば建物の減価償却期間を活用すれば、申告上の収益がマイナスになった場合、他の所得と損益通算を行うことで、所得税を圧縮でき、高い節税効果を得られるケースがあります。
一方、マンション一棟の建築費は非常に高額であるため、自己資金のみで建築・購入するのは困難でしょう。しかし、ローンを組んで建築・購入する場合でも、職業や資産背景などの金融機関の審査を通過しなければなりません。
また、マンション経営で実質の利益となるのは、家賃収入からローン返済費、管理費、固定資産税などを差し引いた額です。物件の規模にかかわらず、空室率が高くなると経費が家賃収入を上回り、赤字経営に陥るリスクが高まります。
したがって、物件を購入する前に管理費や固定資産税といった固定で掛かる経費の目安を理解しておき、「空室率」に対して「実質利回り」がどの程度になるか、計算しておくことをおすすめします。
この他にも災害リスクへの対処、入居者の募集、契約管理、家賃滞納の督促、入居者同士のトラブル対応など、オーナーとして行うべき業務は多くありますが、ほとんどの対応は不動産管理会社へ委託することが可能です。
特に一棟マンション経営の場合、賃貸管理に大きな手間を要するため、管理会社へ委託した方がオーナーとして安心できるでしょうし、信頼できる事業者ならサブリースも選択の一つでしょう。
マンション経営の種類
マンション経営には、大きく分けて一棟マンションの経営と区分マンションの経営の2種類があります。
それぞれの違いは以下の通りです。
- 一棟マンションの経営:マンションを丸々購入もしくは建設し運用する
- 区分マンションの経営:マンションのうち一部の部屋を購入し運用する
一棟マンションの経営と区分マンションの経営には、それぞれの特徴があります。
どちらの方式を選ぶかによって、収益の規模、必要経費や初期費用、ランニングコストが大きく異なるため、事前に特徴を掴んでおくことが重要です。
マンションを一棟経営する際のメリット
一棟マンション経営を行う場合、主に2つのメリットがあります。
・空室リスクを分散できる
・マンションの修繕計画を自分で立てられる
それぞれの内容を以下に解説します。
空室リスクを分散できる
一棟マンション経営では貸し出す部屋が一つではないため、複数の入居者と賃貸借契約を締結することになります。そのため、仮に空室が1件発生しても、入居者がいる別の部屋から家賃を得られるため、空室リスクを分散できます。
もし戸建ての賃貸経営や一部屋のみを所有する区分マンション経営の場合、入居していた方が退去すれば、その時点で空室率100%となり、収入がゼロになってしまいます。
一方、複数の部屋を抱える一棟マンション経営では、一部屋が空室になっても大きな減収にはなり得ません。たとえば一棟に30部屋あるマンションの場合、空きが3部屋あっても空室率は10%に収まります。
満室時より家賃収入は減少するものの、部屋数の90%は入居している状態であるため、収支が著しく悪化することはないでしょう。
マンションの修繕計画を自分で立てられる
一棟マンション経営の場合、建物の修繕計画をオーナー自身の裁量で行えます。10年後20年後など、先を見据えた長期的な修繕計画を立て、必要な工事内容や概算費用を前もって確認しておけば、修繕費の積み立てがしやすく、将来資金難に陥るリスクを減らせます。
また、高い入居率を維持するには適切な修繕と管理が重要です。
修繕計画に沿って計画的に建物の修繕やリニューアル工事を進めていけば、マンションの築年数が経過しても真新しさを保つことができるため、入居者が集まりやすく、家賃下落の防止にもつながります。
実際に工事を実施するリフォーム会社などの選定も、自分で判断して対応できる点もメリットといえるでしょう。
マンションを一棟経営する際のデメリット
一棟マンション経営を行う場合、主に3つのデメリットがあります。
・物件取得に多額の費用がかかる
・物件内で起こった事故やトラブルの影響を受けやすい
・修繕費が高くなりやすい
それぞれの内容を以下に解説します。
多額の費用がかかる
マンション一棟の購入は、区分マンションと比較して大きな費用を要します。「新築マンションと中古マンションのどちらを選ぶか」「どのエリアを選ぶか」など条件によって、大きな価格差が出ますが、特に都心に近いエリアでは坪単価が高いため、億単位の価格で売却されるケースも珍しくないでしょう。
一括購入するのは困難であるため、ローンを組んでの購入が一般的ですが、頭金などで必要となる初期費用もかなり高額になります。
また、金融機関から高額の融資を低金利で受けるには、資産背景やご職業が関係し、不動産投資ローンにおいては事業計画書の提出が要求されます。
物件内トラブルの影響を大きく受ける場合がある
マンション内でトラブルが発生すると、物件全体の入居率や評判に影響する場合があります。めったにあることではありませんが人が亡くなるなど大きなトラブルが発生してしまった場合、マンションの資産価値が下がり、賃料下落や空室率の増加を招く可能性があります。
区分マンション経営と違い、保有する部屋数が多いため、こうしたトラブルの発生がマンション全体の収益に影響を及ぼすため、損失が大きくなりやすい傾向にあります。
修繕費が高くなりやすい
建物は築年数が経過すれば劣化が進行するため、修繕や改修が必要になります。マンションのように規模の大きい建物では、10数年ごとに大規模修繕を計画して、外壁塗装、屋上防水、給排水管の更新などの工事をまとめて実施するのが基本です。
上記のような工事は、マンションの規模が大きく保有する設備が多いほど、修繕費が高額になります。さらに工事期間も長くなりやすいため、入居者からクレームが発生しないように配慮する必要が出てきます。
しかし、大規模修繕を実施せず放置していると、建物の老朽化が進み、設備のトラブルや重大事故につながる可能性があるため、マンション経営を行うならば避けては通れない工事といえます。
また区分マンション経営においても修繕積立金などがある為一棟マンション経営と同じく修繕費に対する費用は必要となります。
マンションを区分経営する際のメリット
区分マンション経営を行う場合、主に3つのメリットがあります。
・経営に必要な投資金額が少ない
・物件の数が比較的多い
・複数の場所に物件を所有できる
それぞれの内容を以下に解説します。
経営に必要な投資金額が少ない
区分マンション経営は、一棟すべてを購入するのではなく、マンションの1部屋または数部屋を購入して賃貸経営する手法です。そのため、一棟マンション経営と比較して少ない資金で不動産経営が始められます。
価格は立地条件や築年数などによりますが、1部屋または数部屋の購入であるため、一棟マンションより少額で購入できるケースがほとんどであり、ローンを組まず借入金無しで購入できる物件も見つかるでしょう。
家賃収入は一棟マンション経営より少額になりますが、リターンが少ない分、一棟マンションと比べ失敗したとしても損失額は少なく、不動産投資初心者の方におすすめです。
物件の数が比較的多い
区分マンションは新築から中古まで物件が豊富にあることが特徴です。価格帯や地域の選択肢が多く、すでに建っているマンションも候補に含められるので、自分の理想とする物件が見つけやすいでしょう。
また「立地が良い」「利回りが高い」などの理由で人気のある物件は、市場に出ればすぐに買い手がつくため、購入が困難な場合が大半です。しかし区分マンションであれば、選択肢の数が多いことから、立地など条件の良い物件を購入できる可能性が高まります。
複数の場所に物件を所有できる
区分マンション経営では、異なる場所に建つ区分マンションをいくつか所有して、複数の入居者から家賃収入を得る方法もあります。
こうした方法を取れば、万が一、一つの区分マンションの資産価値が下落して、収益減となった場合でも、他の場所に建つ区分マンションからの家賃収入によって、ある程度カバーすることが可能です。
一棟マンション投資と比べ、立地条件のリスクの分散という点で有効な対策になるといえます。
マンションを区分経営する際のデメリット
区分マンション経営を行う場合、主に2つのデメリットがあります。
・管理に関する権限が限られる
・空室リスクを分散しづらい
・修繕積立金がかかる
それぞれの内容を以下に解説します。
管理に関する権限が限られる
区分経営は複数の区分所有者と一つのマンションを経営する手法です。
したがって、建物の劣化が進行しても自分の意志だけで修繕や改修を実施できず、主に管理会社などが主導して行います。
マンション全体のリニューアルや共有スペースの改良などを行いたいと思っても、各部屋のオーナー全員の承諾が必要になるため、実施のハードルは高いでしょう。
空室リスクを分散しづらい
区分マンションの一部屋のみを経営する場合、部屋が空室になると家賃収入が得られなくなります。
一棟経営のように他の部屋でカバーすることができないため、次の入居者が決まらない期間は、収入がゼロになってしまいます。
しかし、空室期間中も固定資産税などの税金やローンの返済額の支払いは続くため、経営が赤字に陥るでしょう。
ただし、空室対策として、区分マンションの部屋を複数所有する選択肢もあります。
資金に余裕のある方やある程度実績を積んだ方は、異なる区分マンションの購入を検討しても良いでしょう。
修繕積立金がかかる
修繕積立金とは建物の診断や修繕工事を行うために充てられる費用のことです。マンションの所有者から毎月一定の額を徴収します。
特に10数年置きに実施する大規模修繕の際に、多くの修繕費が発生するため、計画的に積み立てていく必要があります。
修繕積立金を負担するのはマンションの賃借人ではなく所有者であるため、仮に部屋が空室状態だったとしても、ローンや税金と同じように支払いは発生します。
そのため、部屋が空室になった場合でも、ある程度の期間は修繕積立金を支払えるだけの資金力を残せるよう、余裕をもった資金計画を立てることが大切です。また、入居者の立ち退き交渉や近隣への配慮などを考えると、余裕を持った期間を設けることをおすすめします。
本記事で解説した建て替えの流れをよく理解して、ステップごとに有効な対応方法を考えるようにしましょう。
物件内で起こった事故やトラブルの影響を受けやすい
一棟経営する場合と同様ですが、マンション内の部屋で事故やトラブルが発生した場合、物件の入居率や評判に影響します。
大きな事故やトラブルがマンションの一室でおこればマンション全体の評判を落とすことにつながることもあります。また、自身が所有する部屋だけでなく、他人が所有している部屋で事故やトラブルが起こった場合でも、影響を受けてしまう可能性があります。
一棟経営や自身が所有する部屋だけであれば、入居審査を慎重に行うなどの対策により、事故やトラブルの発生をある程度抑えられますが、他人の部屋に関しては避けようがなく、リスク回避が難しいのが実情です。
マンション経営では投資対象の選択が重要
マンション経営ではどんな物件を購入するかが、成功するためのポイントになります。物件を選ぶ際は築年数、立地条件、周辺環境などさまざまな観点から考えることや、価格や利回りの相場を知っておくことが大切です。
しかし、物件の選び方を考える前に、一棟マンション、区分マンションのどちらに投資するかを決める必要があります。
一棟マンションと区分マンション経営には、それぞれメリット、デメリットがありますが、もっとも大きな特徴として、一棟マンション経営は「まとまった初期投資が必要だが収入が大きい」区分マンションは「初期投資は抑えられるが収入は少ない」であることを踏まえておくと良いでしょう。
もし不動産投資に関係する税金の種類、物件購入時から運用までの流れや手続きに関して、不安な点や疑問点、取得したい情報などがあれば、信頼のできる不動産会社へ相談してアドバイスを受けることをおすすめします。
大東建託では相続や土地活用に関する相談を無料で受け付けていますので、資産運用を検討中の方はぜひお気軽にご相談ください。
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宅地建物取引士・FP2級の知識を活かし、不動産専門ライターとして活動。賃貸経営・土地活用に関する記事執筆・監修を多数手掛けている。ビル管理会社で長期の勤務経験があるため、建物の設備・清掃に関する知識も豊富。
- 【保有資格】
- ・宅地建物取引士
・FP2級
・建築物環境衛生管理技術者
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