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人口・世帯数の見通しから考える不動産運用のポイント ~人口問題への国の対策~

最終更新日: 2023.07.03

公開日:2022.07.29






【人口・世帯数の見通しから考える不動産運用のポイント 人口・世帯数の推移と見通し】でご紹介させていただきました。

厳密には地域差があり、日本の人口は減少傾向で、世帯数においても8年ほど経つと減少していくことがわかりました。


賃貸住宅経営の需要がなくなるということはありませんが、綿密なエリアマーケティング・需要予測に基づく供給計画がとても重要になってきます。


本コラムではこのような人口問題に対して国がどのような対策を行っていくのか、またそれを踏まえてどのような賃貸経営の需要を考えればよいのか見ていきます。

1.少子高齢化のマイナス面とは

この国は少子高齢化社会への道を進んでいる、とよく言われますが、実際にどの程度の「少子高齢化」なのか、諸外国と比べてみます。


上表は内閣府が発表した「令和3年版 少子化社会対策白書 全体版」からの抜粋ですが、諸外国と比べて14歳以下の比率が低く、65歳以上の比率が高いことが一目瞭然です。

2020年の時点ですでに子どもが少なく、高齢者が多いことがわかります。


では、少子高齢化の何が問題なのでしょうか。

1-1.年金・保険問題

「令和3年版高齢社会白書(全体版)」によれば、昭和25年には1人の65歳以上の者に対して12.1人の現役世代(1564歳の者)がいたのに対して、平成27年には65歳以上の者1人に対して現役世代2.3人になっています。

今後、高齢化率はさらに上昇し、現役世代の割合は低下、令和47年には、65歳以上の者1人に対して1.3人の現役世代という比率になります。ほぼ「ひとりがひとりを支える」という、まさに肩車型の社会になると予想されています

また公的保険でも同様の問題があり、医療保険、介護保険等について、「医療やサービスを受ける人(高齢者が多い)」が増え、「保険料を負担する人(現役世代)」が減り、こちらも現役世代ひとりひとりの負担増、不公平感の醸成につながりかねません。

1-2.労働力の問題

生産年齢人口とは、その国の生産活動を中心となって支える人口のことで、経済協力開発機構(OECD)は15歳から64歳の人口と定義しています。

上の「令和3年版 少子化社会対策白書 全体版」でお分かりの通り、我が国の生産年齢人口は2020年10月現在で全人口の59.3%と、諸外国と比べても極めて低率になっています。


生産年齢人口が減ると、十分な経済活動が行えず、モノやサービスが十分に供給できない、という状況になります。


その結果、質的・量的に、十分な生産年齢人口を有する国のモノやサービスに取って代わられ、企業業績が飲み悩み、十分な賃金が支払われず、生活水準が低下する、という悪循環に陥る懸念が生じます。


これらが、少子高齢化の大きな問題点です。

2.少子高齢化問題への取り組み・目標

さて、前項でご説明したように、人口問題の核は、なんといっても少子化です。

国としても当然、少子化を食い止めるための施策を打ち出しています。


ともすれば高齢者を対象にした施策が優先的に実施されてきたようにも感じられる社会福祉政策ですが、2023年度のできるだけ早い時期に「こども家庭庁」が設置されることも決まり、今後の動向が注目されます。

2-1.自治体の工夫

さて、コロナ禍に関わらず、今後長期にわたる我が国の人口減少のトレンドは現時点では否定し得ない流れではありますが、人口減少を食い止め、むしろ人口を増やしている自治体は存在します。

例えば、千葉県の流山市。

出典:流山市Webサイト



ご覧のように人口が増え続け、令和2年(2020年)の国勢調査で2021年の調査で人口増加数全国8位、人口増加率でも5位となり、2021年には人口は20万人を突破しました。

流山市のキャッチフレーズは「母になるなら流山」。

働きながら子育てをする夫婦のために、「送迎保育システム」を運用しています。
これは駅に送迎保育ステーションを開設し、親は朝、そこに子を預け、各保育所の送迎バスがそこに子を迎えに来て各保育所まで乗せていく、という仕組みです。

また「保育士就職支援制度」を設け、同市で働く保育士さんに手当を支給、さらに家賃補助まで行っています。

3.人口問題への取り組み(外国人受け入れ)

3-1.外国人受け入れ・目標

人口減少、特に現役世代の人口減は、我が国の経済に大きな影響を及ぼします。そこで考えられるのが、外国人材の受け入れと活用です。

外部環境としては現在、以下の状況があります。

    • 日銀の「雇用人員判断DI(DIとはDiffusion Index(ディフュージョン・インデックス)の略で、企業の業況感や設備、雇用人員の過不足などの各種判断を指数化したもの)」によれば、現在我が国ではほぼすべての業種で人材が不足している。
    • 15~64歳のいわゆる生産年齢人口は、平成7年に8,716万人でピークを迎え、その後減少に転じ、令和2年には7,449万人と、総人口の59.3%となった。



外国人労働力の受け入れが「待ったなし」の状態であることがうかがわれます。

政府は、生産年齢人口(15歳64歳)の減少を踏まえ、従来以上に外国人の労働力を積極的に導入すべく、令和3年6月 の「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議において「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(令和3年度改訂)」を決定しました。

その内容ですが、具体的施策として

 ① 外国人との共生社会の実現に向けた意見聴取・啓発活動等
 ② 円滑なコミュニケーション・情報収集のための支援
 ③ ライフステージ・生活シーンに応じた支援
 ➃ 非常時における外国人向けのセーフティネット・支援等
 ⑤ 外国人材の円滑かつ適正な受入れ
 ⑥ 共生社会の基盤としての在留管理体制の構築

等が挙げられており、国としても今まで以上に本腰を入れて、生活面や危機管理面も含めて外国人材が働きやすい環境づくりに取り組もうとしている姿勢がうかがえます。

ちなみに現在の外国人雇用状況ですが、「外国人雇用状況」の届出状況【概要版】(厚生労働省発表:令和3年 10 月末現在)によれば、外国人労働者数は 1,727,221 人(前年 1,724,328 人)。
前年比で 2,893 人増加し、届出が義務化されて以降、最高を更新したが、対前年増加率は 0.2%と、前年の 4.0%から 3.8 ポイントの減少、となっています。

出典:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(厚生労働省発表:令和3年 10 月末現在)



外国人労働者のさらなる受け入れに関して懸念される点ですが、産業社会学者の上林千恵子氏の言を借りれば、

 ① 日本語能力が一定レベル以下だと単純労働にしか従事できない
 ② 不法労働者を斡旋する組織を取り締まる体制の強化
 ③ 地域社会との融和
 ➃ 老後の生活保障

といった点が挙げられます。

ただし、個人的には、紆余曲折はありながらも、外国人材の受け入れは進行していくものと思われます。

そして当然のことながら、彼らの日本における住環境に対するニーズは多様化しつつ増加していくものと思います。
一緒くたに「外国人材」とまとめるのではなく、出身国や宗教による細かな属性の差異を踏まえた居宅の整備、提供が求められそうです。

2020年の国土交通省資料「豊かな暮らしの実現について」では、在留外国人数に帰化人口と国際児(外国籍の親を持つ子)人口を加えた、「外国に由来する人口」は、2065年には1,076万人となる見通しである、と予測しています。

同資料によれば、これは、総人口の12.2%にあたります。

つまり、2065年の日本は、大雑把に言えば、「人口の1割が外国由来人口」という構成を持つ国になると国は予測しているわけです。

4. マーケティングの重要性

先に述べた流山市のような「住民を増やすためにさまざまな工夫をこらす自治体」はこれからも増え、自治体間の人口の増減が激しくなることも予想されます。

そして国としては「コンパクトシティ構想(郊外に広がった産業や生活機能を一定の範囲内に集中させる構想)」を推進しており、自治体と連携して住環境の整備を積極的に進めています。

また、主に大手電機メーカー等の企業が主体となって「サステナブルタウン構想(長期的な居住を前提に住人の快適性、地域特性や未来のくらしを考えてライフスタイルを提案し、次にそれらに最適な家や施設など街全体をスマート空間として設計する構想)」なども一部地域で始まっており、今後の動向が注目されます。

さらに、上述した「外国人の増加」という状況が出てきます。
2065年には外国人が現状の約3倍、人口の1割を占める社会になると国が見ていることは、彼らを受け容れるための住環境のニーズが拡大していくことを示しています。
技術革新はさらに進み、多言語対応のエリアや住居も当然のように増えていくことが予想されます。
現状のような「もともと日本人が住んでいた物件に外国人が入る」のではなく、「最初から外国人にフォーカスした、彼らが住みやすい物件」も今後の大きなカギになるかもしれません。


つまり、今後の不動産投資においては、「少子高齢化の行方や外国人受け入れの状況を把握した上での住宅需要の把握」、そして「どの自治体、どの地域の物件に投資するか」というエリアマーケティング」、という大きな二つの考え方が、特に重要になります。

5.まとめ

日本の人口は減少傾向にありますが、人口減少は年金問題や労働力不足に直結する問題であるため、国や自治体で外国人の受け入れや少子高齢化対策などさまざまな対策、取り組みが行われています。

自治体によっては人口増加に転じている所も存在するなど予測が難しい状況にあります。これを踏まえたうえで、今後の不動産投資は「少子高齢化の行方や外国人受け入れの状況を把握した上での住宅需要の把握」、そして「どの自治体、どの地域の物件に投資するか」というエリアマーケティング」に注力することが望まれます。


といっても、投資家が独力で継続的に情報収集を行い、不動産投資に関する戦略・戦術を構築していくことにはおのずから限界もあります。
景気動向や想定し得ない出来事の発生により、政府や民間のシンクタンク(研究機関)の予測通りに市場が動かない可能性もあります。


そういった不測の事態を迎えた時に備えて平素から意識しておきたいのは、ニーズ把握やエリアマーケティングに関する専門知識を持ったプロフェッショナルとの連携です。
不動産投資をお考えの方は、ご自身での情報収集に加え、信頼できるパートナーとなるプロフェッショナル(管理会社・仲介会社)を選び、情報を得ていくことを、心がけていただきたいと思います。





動画で分かる!
エリアマーケティングレポート



執筆者プロフィール
【高橋泰源】

マイアドバイザー®1961年生まれ。日本経済新聞グループの金融情報サービス会社に長年勤務し、ファイナンシャルプランナー向け情報提供サービス、公開株式の相続税評価額算定サービス等の企画・販売等に従事。真言宗僧侶としての顔を持ち、終活関連の執筆やセミナー講師も頻繁に行っている。「必勝!終活塾」(双葉社)などを出版。

【保有資格】
・CFP®・FP技能士(1級)

監修者プロフィール
【株式会社優益FPオフィス 代表取締役 佐藤 益弘】

マイアドバイザー®。Yahoo!Japanなど主要webサイトや5大新聞社への寄稿・取材・講演会を通じた情報提供や、

主にライフプランに基づいた相談を顧客サイドに立った立場で実行サポートするライフプランFP®として活動している。

NHK「クローズアップ現代」「ゆうどきネットワーク」などTVへの出演も行い、産業能率大学兼任講師、日本FP協会評議員も務める。


【保有資格】

・CFP・FP技能士(1級)・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士

・住宅ローンアドバイザー(財団法人住宅金融普及協会)

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