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統計と政策から見る!賃貸住宅ストックの動向

最終更新日: 2023.03.24

公開日:2022年7月12

賃貸住宅の需要は人口数よりも世帯数に影響されます。

世帯数が増えれば、基本的に必要な住居数も増えるからです。2020年の国勢調査の結果によれば、人口は2015年から約95万人減少しています。

一方で世帯数は238万世帯増えています。一般世帯5,583万世帯のうち約4割の2,115万世帯が単身世帯です。単身世帯の多くは賃貸住宅に住んでいます。
今回は3つのポイントを中心に賃貸住宅ストックの動向について、考えていきたいと思います。

この記事のポイント
  • 【1.住宅ストックにおける賃貸住宅の占有率は増加傾向にある?】
  • 【2.防災上、耐震補強又は建替えるべきストックが多く存在する】
  • 【3.住宅に関する国の方針】

1.賃貸住宅ストックの推移

2018年度の「住宅・土地統計調査」によれば居住されている住宅ストックは5,362万戸あります。
そのうち61.0%(3,208万戸)が持家で、借家は35.6%(1,907万戸)です。不詳は3.3%(175万戸)その他に分類された持家9万戸です。
1998年から2018年の30年間で住宅ストック数は1.43倍と1,620万戸増加し、住宅ストックに占める民間賃貸住宅数の割合は25.8%28.5%とだんだんと増えている状況です。



次は長期の視点で住宅ストックの推移をみてみます。

「住宅着工統計」によれば昭和42年度に年間新設住宅着工数は調査以来はじめて100万戸を超えました。
当時は57ヵ月間続いたいざなぎ景気の真っただ中です。日本経済はこの間にGNP(国民総生産)が2倍になりました。


消費税が導入されたバブル期は160万戸を超える水準で推移します。バブル崩壊で一旦は新設住宅着工数は130万戸と減少します。
阪神・淡路大震災以後は120万戸の水準を保ち、平成20年(2008年)のリーマンショックで40年ぶりに100万戸を下回ります。

ただし、この大幅に減少した理由は平成19年(2007年)6月に施行された建築基準法改正による影響も考えられます。
法改正の詳細な解説書の発行が遅れ、現場サイドが対応できず業務が停滞し申請に時間がかかったことも減少の要因と考えられます。


平成27年(2015年)1月の貸家着工が増加した理由は相続課税強化の影響があります。
改正により相続税の基礎控除額が引き下げられ、相続税が増額となるとともに、対象となる人が増加しました。相続税対策として賃貸住宅の建築が促進されたと考えられます。


簡単に説明します。

①税法上の建物の評価額は現金よりも低くなります。
②賃貸住宅が建っている土地の評価額は更地よりも低くなります。これは賃貸住宅が建っている土地は「貸家建付地」といい相続税上、約2割の減額評価となります。
③相続税の評価額を8割下げる小規模宅地等の特例を受けることができる場合がある。


などの理由により賃貸住宅の需要が伸びたわけです。
平成30年(2018年)度は貸家の着工数は減少しています。これは当時、金融庁のアパートローンの監視が強化されたことも要因の一つです。


賃貸需要は生活に密着した法改正や世界経済などと連動し乱高下することがあります。需要を推測することはできませんが、過去の動きを知ることは今後の動きを推測する上で必要なことです。

1つめのポイントである住宅ストックにおける賃貸住宅の占有率は増加傾向にある?に関しては住宅ストック数に占める民間賃貸住宅の割合は30年間で2.7%とごくわずかな伸び率です。

しかし、注目したいのは単身世帯の増加です。今後は約4割が単身世帯となると見通しです。
さらに、49歳以下の単身世帯は6割以上が借家の共同住宅に居住しています。ここから推測できることは賃貸住宅の需要は微増傾向にあると推測します。

抜粋:一般財団法人住宅改良開発公社(https://www.kairyoukousya.or.jp/wp-content/uploads/2021/05/2020_syouraiyosoku.pdf)

次に2つ目のポイント「防災上、耐震補強又は建替えるべきストックが多く存在する」について考えていきます。

2.築年別賃貸住宅及び住戸ストックの推移

住宅ストック(空き家を含む)総数は約6,063万戸で、そのうち居住されている住宅ストックは5,362万戸です。築年・建物の種類が不明なものを除くと昭和55年(1980年)以前の旧耐震基準で建てられた住宅ストックは1,160万戸あります。昭和56年(1981年)以降に建築された住宅ストックは3,612万戸あります。

もう少し詳しく観てみましょう。防災上、耐震補強又は建替えるべき賃貸住宅ストックは多く存在しているのでしょうか。

耐震基準とは一定の強さの地震が起きても倒壊または損壊しないように建築基準法や建築基準施工例等により定めている基準のことです。

1980年以前に建築された建物は旧耐震規のため防災上、耐震補強又は建替えるべきストックと言えるでしょう。
旧耐震規準の建物の割合は総数で約22%です。うち民間借家旧耐震規準の割合は約11%となっています。


かなり怖いデータがでています。
木耐協(2022年3月版)の最新耐震診断結果では旧耐震規準の建物の約97%の住宅が現行の耐震規準を満たしていません。
倒壊する可能性が高いが約85.6%倒壊する可能性があるが約11.8%です。

1980年以前の建物は築年数が42年超です。耐震性が低くすぐにでも補強や建て替えの必要な建物と言えるでしょう。


ポイントの2つめである「防災上、耐震補強又は建替えるべき住宅ストックは多く存在するのか?」に関しては約2割のストックが耐震補強又は建替えるべき住宅ストックと考えます。

防災上の観点からも今は平気だが老朽化により将来建替えが必要だろうという戸数も建替えるべきストックと考えたいです。
特に共同住宅においては複数世帯の居住があります。近年甚大な被害をもたらす自然災害が頻発しています。

今後、賃貸物件においては災害対策、防災性能を備えた物件が求められていくはずです。そこから推測することは耐震基準の数値を満たしていてもその数値以上に一定量の建替えが進むことが予測されます。

耐震規準の変遷
1981年(S56年) 建築基準法施行令大改正 宮城県沖地震後、耐震設計が大きく見直され耐震基準が大幅に改正
木造住宅においては
・壁量規定の見直し
・構造用合板やせっこうボード等の画材を張った壁等の追加
・床面積あたりの必要壁長さ、軸組の種類・倍率が改正
1995年(H7年) 建物の耐震改修に関する法律制定(耐震改修法) 阪神・淡路大震災後耐震改修法が施行1981年以前の建物には耐震診断が義務づけられた
2000年(H12年) 建築基準法改正 木造住宅
・耐震力に応じて基礎を特定
・地番調査が事実上の義務化
・構造材とその場所に応じて継手、仕口の仕様を特定
・耐力壁の配置にバランス計算が必要となる。
 

3つめのポイントは「住宅に関する国の方針」が今後の賃貸需要にどのような影響を及ぼすのか考えていきます。

3.国の政策と築古物件オーナーを取り巻く環境

住宅の耐震化目標は令和12年までに耐震性を有しない住宅をおおむね解消することと定めています。

また、エネルギーや消費にも強い関心を持っておりZEH住宅やゼロエネルギーを進めたいなどの脱炭素・SDGsなどの風潮があります。
今後、賃貸物件においてこういった国の政策に沿った供給が求められていくでしょう。

ZEHの普及とカーボンニュートラルの実現のため

前菅総理大臣が所信表明演説において、2050年のカーボンニュートラルの実現を目指すことを宣言したことは記憶に新しいでしょう。

これを受けて2030年以降に新築される住宅の6割において太陽光発電の設備が導入されること、ZEH基準の水準の省エネルギー性の確保を保つことを目指しています。


ZEH(ゼッチ)とは

「快適な室内環境」+「年間で消費する住宅のエネルギー量がおおむねゼロ」を同時に実現する住宅のことです。
2030年以降に新築される住宅の6割において太陽光発電の設備が導入されることという目標を国が掲げていますので確実に住宅の主流となるでしょう。

建設年から30年以上を経過した物件を「築古物件」といいます。賃貸オーナー様の中には築古物件を所有している方もいらっしゃるはずです。
築古物件は賃貸オーナー様にとって見えないリスクを含んでいます。
メンテナンスが行き届いていない築古物件が破損し入居人または通行人が事故に遭った場合はオーナー様が損害賠償責任を負うことになります。
これは民法の『工作物の責任』で定められています。不動産オーナーは所有物件を適切に維持、管理する注意義務が課せられているからです。

逆にいえばメンテナンスの行き届いた賃貸物件に重要が高まります。

4.まとめ

人口は減少しますが単身世帯、高齢世帯により賃貸住宅の占有率は微増して行くと推測します。

防災上、耐震補強又は建替えるべき住宅ストックは政策に沿った供給が求められるので結果として建替えが占める割合は増加していくのではないでしょうか。

特に賃貸住宅経営において居住者の安全を確保することはオーナー様の責務となります。甚大な被害をもたらす自然災害が発生しています。
入居者が求める賃貸住宅にも分譲住宅と同様に災害対策についての意識が高まっています。SDGsの観点からも持続可能なまちづくりが求められます。

現状、賃貸住宅の建て替えは滅失と新規着工の繰り返しの中で行なわれています。今後はより質の高い賃貸物件に需要が高まり一定の新規供給があると推測します。

執筆者プロフィール
【めいファイナンシャルプランニングルーム 馬渡初代】

マイアドバイザー®
外資系メーカー退職後、専業主婦に。その後、行政機関で相談員として従事。2019年4月に開業。現在は笑いの絶えない終活セミナー「終活紙芝居」で人気講師として各地セミナーや行政講座で活動中。昨年よりライフプランに基づいた終活、保険コラムも多数寄稿。女性のお金のご相談と実行をサポートするFP。に関する知識も豊富。

【保有資格】
・1級FP技能士 AFP 宅地建物取引士
監修者プロフィール
【株式会社優益FPオフィス 代表取締役 佐藤 益弘】

マイアドバイザー®
Yahoo!Japanなど主要webサイトや5大新聞社への寄稿・取材・講演会を通じた情報提供や、主にライフプランに基づいた相談を顧客サイドに立った立場で実行サポートするライフプランFP®/マイアドバイザー®として活動している。
NHK「クローズアップ現代」「ゆうどきネットワーク」などTVへの出演も行い、産業能率大学兼任講師、日本FP協会評議員も務める。

【保有資格】
・CFP®・FP技能士(1級)・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
・住宅ローンアドバイザー(財団法人住宅金融普及協会)

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