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コロナが賃貸経営に与える影響とは?事業用(商業施設・オフィス)や居住用など分野別に解説

公開日: 2022.10.28

最終更新日: 2022.11.07


新型コロナウイルス(以下、コロナ)が世界の経済に大きな影響を与えていますが、国内の賃貸経営においてコロナによる影響はあるのでしょうか。
コロナへの対応は全ての人にとって未知のことで、難しい部分もありますが正しい情報を把握することが大切です。
本記事では、コロナが賃貸経営に及ぼす影響について、賃貸経営の業態ごとにお伝えしていきます。

この記事のポイント
  • コロナによる影響は賃貸経営にも少なからず及ぶ
  • ただし、事業用賃貸か居住用賃貸かにより影響の度合いは異なる
  • 正しい情報を活用して冷静に判断、対応することが大切

賃貸経営にもコロナによる影響は少なからずある

2020年初頭から世界中に猛威をふるっているコロナ。人々の活動が大きく制限されることになり、これによる経済への影響も非常に大きなものになっています。賃貸経営に取り組むオーナー様も不安を感じているのではないでしょうか。

賃貸経営がコロナによる影響を少なからず受けていること自体に間違いはありませんが賃貸経営の業種ごとにコロナによる影響は大きく異なります


ここからは、事業用(商業施設・オフィス)と居住用に分けて解説していきます。

賃貸経営の分野1:事業用賃貸(商業施設・オフィス)

では、賃貸経営の中でも事業用賃貸について、商業施設とオフィスのそれぞれについて見ていきましょう。

コロナが商業系の事業用賃貸に与える影響とは

賃貸経営の中でも、飲食店や買い物施設などの商業系の事業用賃貸については、コロナによる外出制限や自宅待機で人が来ないということもあり、大きな影響を受けているといえるでしょう。実際、街に出るとつい最近まで入居していたテナントが退去してしまっているという状況を目にしたこともあるのではないでしょうか。

緊急事態宣言の発出や国の支援に着目

商業系の事業用賃貸については緊急事態宣言の発出や国の支援の影響を強く受けやすい点がポイントです。

飲食店の営業時間が制限されると、飲食店自体の売上が上がらず、また人々が街に出なくなるため、商業施設への影響も大きいといえます。

ただし、緊急事態宣言によって営業に制限を受ける業態については、国からの給付金が得られるということもあり、現在事業用賃貸に取り組んでいる方、またこれから取り組むことを考えている方は、このような給付金の状況について知っておくことが大切だといえるでしょう。

コロナ後は回復する可能性が高い?

商業系の事業用賃貸については、コロナによる影響を強く受けているといえますが、ワクチンの接種などによりコロナが収束した後は元通りになる可能性が高いでしょう。

コロナにより制限されていた分、収束からしばらくは特需が生まれることも考えられます。そのようなコロナ後の動きも予測して行動していくことが大切です。

コロナがオフィス系の事業用賃貸に与える影響とは

事業用賃貸の中でも、オフィス系はどうなっているのでしょうか。

コロナの影響を受けて、広告代理店の電通や音楽事業などをおこなっているエイベックスが本社オフィスを売却しています。

これには、「コロナによる業績悪化」と「従業員のリモートワークの推進」の2つが理由として考えられます。

前者については、コロナが収まった後、各企業の企業努力により回復する可能性はあります。一方で、リモートワークについては、働き方改革といった社会の流れもありコロナ後も定着する可能性があるでしょう。

このような働き方が加速すれば、オフィス系の事業用賃貸については今後大きく変わっていくかもしれません。
オフィス系の事業用賃貸についても、社会やコロナ後の動きを予測しながら行動していくことが大切なのです。

賃貸経営の分野2:居住用賃貸

一方、居住用賃貸はコロナによってどのような影響を受けるのでしょうか?

住まいを維持することは最優先事項のため影響は少ない

居住用賃貸については、事業用賃貸と比べるとコロナによる影響を受けづらいと考えられます。

これは、たとえコロナにより景気が悪化しても、住まいは日々の暮らしに欠かせない普遍的なものであることが大きな理由の一つです。

コロナ禍による家賃滞納への影響は限定的

とはいえ、コロナにより景気が悪化すれば、収入が低下し、家賃を支払えなくなってしまうのでは...といった心配をされる方も少なくありません。確かに、今後そのようなことが起こる可能性はありますが、データによると2020年9月時点ではまだコロナによる影響は少ないことが確認できます。

例えば、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の家賃滞納率の推移を見てみると以下のようになっています。(各年4〜9月の情報)

 

月初滞納率

1カ月滞納率

2カ月以上滞納率

 

2018年

2019年

2020年

2018年

2019年

2020年

2018年

2019年

2020年

首都圏

5.8

4.5

4.2

4.0

1.7

1.5

1.5

0.9

0.6

関西圏

7.3

5.9

7.2

2.7

2.4

2.1

1.0

1.4

1.1

その他

7.4

5.2

5.5

2.5

2.2

2.0

1.3

1.0

1.0

全国

6.8

5.0

5.2

3.1

2.1

1.8

1.3

1.0

0.9

          家賃滞納率とは入居者のうち、家賃を滞納してしまった人の割合のことです。
    月初滞納率については、単に入金し忘れで家賃を滞納してしまった可能性が考えられますが、2カ月以上の滞納になると家賃を払えない何らかの理由があることが考えられます。
            上記データを見てみると、少なくとも2020年4〜9月の時点ではコロナによる影響はあまり感じられないものとなっていることが分かるでしょう。

        空室対策や入居促進策をおこなうことは重要

        先述の通り、居住用賃貸においては、コロナによる影響は限定的であることが予想されます。

        とはいえ、全く影響がないわけではありません。特にコロナの収束まで時間がかかり、景気が大きく悪化することになれば、家賃を払えない人も増えてくる可能性があるでしょう。より家賃の低い賃貸物件へ転居する動きが加速するなどして、所有物件で空室が増えてしまうことも考えられます。


        そのような事態に備え、入居者に現在の家賃でも満足してもらえるように努力したり、転居が発生した場合でも新たな入居者募集活動の対策も積極的におこなっていかなければなりません。

        まとめ

        コロナが賃貸経営に与える影響について、事業用賃貸(商業施設・オフィス)と居住用賃貸の経営について解説しました。

        コロナによる影響は賃貸経営にも少なからず及ぶことが予想されますが、その影響の内容は分野ごとに若干異なります。ご自身が経営されている分野に応じた対策をおこなっていくことが大切だといえるでしょう。

        コロナへの対応は今後どのように推移していくか分からない部分も多く、先の見通せない不安な状況の中、誤った情報に振り回されないためにも、正しいデータが頼りになります。
        本記事で取り上げた家賃滞納率など、不動産に関するデータはさまざまな機関が調査・公表しており、参考にすることができます。


        このような情報を集めたうえで、冷静に判断していくことが大切です。

        監修者プロフィール
        中村裕介 不動産ライター(保有資格:宅地建物取引士、保育士)

        1983年福岡生まれ。上海復旦大学卒。
        商社、保育園、福祉施設での勤務を経て、現在は不動産の記事を中心に手がけるライター兼不動産経営者。

        実際に店舗・住宅を提供している立場から、不動産に関する記事を執筆中。趣味はフットサル、旅行、読書。

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