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コロナ禍における不動産運用のポイント

最終更新日: 2023.03.24

公開日:2022.05.17

はじめに

2019年の12月、「中国・武漢で原因不明の肺炎の流行が発生している」というニュースが、小さく報道されました。
「新型コロナウイルス」と名付けられた、感染力のきわめて強いウイルスはその後あっという間に世界を席巻し、多くの人命を奪い、人々の生活様式や働き方まで一変させました。


それからおよそ2年4ヶ月。未曽有のウイルスに対する人類の戦いはいまだに続いています。
医療の力で新型コロナウイルスを絶滅させてその後の生活や働き方を模索する「アフターコロナ」から、昨今はコロナウイルスと共存することを前提にした「ウィズコロナ」へと、人々の意識も変容しつつあるように思います。

またここにきて、物価の上昇が顕著になり、インフレ懸念も台頭してきています。
今回はそんな時代背景を踏まえ、これからの不動産運用のポイントを考えていきます。


入居者を取り巻く環境の変化

コロナ禍により、不要不急の外出の自粛が求められ、自宅などオフィス以外の場所でIT環境を用いて仕事を行う、いわゆるテレワークが奨励されました。

その結果、今までは「デスクワークや会議は、オフィスに集まって行うもの」という定説が覆され、「自宅でも仕事をする」というワークスタイルが普及・定着しつつあります。

意識の変化について


新型コロナ危機を契機とした働き方・住まい方の変化、必要な方策、先進的な取組等について、国土交通省都市局が有識者や事業者、自治体を対象にヒアリングやアンケートを行った
「ニューノーマルに対応した新しいまちづくりに関する調査結果(令和2年11月~3年1月実施、3月31日発表)」によれば、有識者、民間事業者、スタートアップ企業、自治体等が感じている「コロナ禍における居住環境の変化」には、
主に以下のものがあります。

  • 都市に人やさまざまな機能が集積することは変わらない。都市におけるリアルの場での交流や偶然の出会い、居心地の良いまちなかづくりが継続して求められている。一方で、都市の過密への対策や働き方の変化から、 「非接触」や緑・オープンスペースなどの「ゆとり」ある空間が求められている。郊外では職住遊などさまざまな都市機能が混ざり合っていくと考えられる。
  • 首都圏近郊エリアが居住地として選ばれるようになってきた。
  • 駅近くに住みたい人が郊外を選ぶ動きもある。住宅近くに商業施設、学校があるなど、働く、暮らす機能に加え、自然豊かなところが好まれる。
  • かつては一人暮らしや50代の方の二拠点居住が多かったが、最近は、オンライン・オンデマンド教育の進展により子育て世代も増えている。
  • コロナ禍で過渡期の今は、在宅勤務に頼っているが、場所がない等ストレスに繋がってしまい、働きやすい環境が求められている。結果、サテライトオフィスの需要が伸びている。
  • コロナ禍を受けても、事業所の半数以上はオフィス立地の判断で重要視する要素に変化はない。一方、一部企業では顧客・市場や他社・協業先との近接性から、オフィス周辺の憩い、環境等に、重要視する要素が変化した。
  • コロナ禍を受けても、事業所の約半数はオフィス移転を検討しない(予定もない)が、一部企業は、リモートワークへの移行、固定費の削減の観点からオフィス移転を検討または実施している。

生活者、特に現役世代で居宅の(首都圏などの)立地へのこだわりが薄れ、郊外、首都圏近郊などの人気が高まりつつあるようです。

また事業者にとっては、オフィスの立地を検討するうえでコロナ禍に特段大きな影響を与えられたわけではないものの、一部企業ではオフィス移転の検討や実施に至っている、という結果が出ました。

居宅、居住環境に求めていること


では次に、もう少し具体的に、一般生活者が求める居宅、居住環境に、いかなる変化があったのか、を見てみます。
民間の調査機関、「suumoリサーチセンター」の「新築分譲マンション・一戸建て商品ニーズ調査(2021年)」によれば、新築分譲マンション、新築一戸建て検討者のニーズとしては以下のトレンドが読み取れるそうです。

    • 「通風・換気性能に優れた住宅であること」「通信環境が充実していること」「遮音性に優れた住宅であること」「省エネ性(冷暖房効率)に優れた住宅であること」などの『基本性能・快適性』関連項目は、今回のコロナ禍でその必要度が増し、コロナ禍が収束した後も必要度の水準が高い(永続度が高い)項目である。
    • 「窓を開けずに換気ができるウイルス除菌システム」などの『除菌・非接触』関連項目の多くは、今回のコロナ禍でその必要度が増したが、コロナ禍が収束した後の必要度の水準は平均以下の比率にとどまっている。(永続度は相対的に低い)

つまりコロナ禍以降、「(仕事をしている時間も含めた)おうち時間を快適に過ごすための性能、装備」が、より強く住宅に求められるようになった、ということです。

不動産オーナーを取り巻く環境の変化

次に、不動産のオーナーにとって、コロナ禍はどのような影響を与えたのか、について考えます。

物価の変化について


まず、不動産市況にも大きな影響を与えた国内経済の動向をおさらいします。

2020年のGDP(国内総生産)は約528兆円。2013年とほぼ同程度にまで落ち込みました。

2021年はやや回復して約536兆円となりましたが、2015年(約538兆円)の水準にはまだ戻っていません。



我が国の実質GDP
2011年 510,841.60
2012年 517,864.40
2013年 528,248.10
2014年 529,812.80
2015年 538,081.20
2016年 542,137.40
2017年 551,220.00
2018年 554,439.50
2019年 553,106.90
2020年 528,230.70
2021年 536,792.40
(単位:10億円)





ところが、国税庁の「申告所得税標本調査結果」によれば、不動産所得がある人の年間不動産所得は、標本調査ではありますが、統計上の直近である2020年で約540万円。標本数を増やした2010年以降では最も大きい金額となっています。

あくまで統計上の数字ですが、国内景気の足踏みと裏腹に不動産所得は伸びている、ということになります。

そしてもうひとつ、今後に向けて留意しておきたいこと。それは、昨年秋頃から、インフレへの懸念が静かに強まっていることです。

コロナ禍により世界的に労働力が不足、生産や物流が停滞する傾向にあります。またロシアのウクライナ侵攻等を起因として原油などの資源価格が高騰。2022年3月18日に総務省が公表した2022年(令和4年)2月分の消費者物価指数は、変動の大きい生鮮食品を除いた総合指数が前年同月比で0.6%の上昇。 昨年9月以来、6カ月連続の上昇となっています。


さて、物価が高騰すれば、日銀の金融政策としては当然、長年続けてきた金融緩和政策の転換を検討すべき段階とも思われますが、そこで意識されるのが、2016年秋以降日銀が導入している政策の枠組みのひとつ、「オーバーシュート型コミットメント」です。

これは日銀が物価安定の目標とする消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)の前年比上昇率2%を一時的に上回ってもすぐに金融緩和政策を打ち切るのではなく、同実績値が安定的に2%を超えるまでマネタリーベース(資金供給量)の拡大を継続すること、を意味します。

つまり、日銀が「物価安定の目標が達成された」と判断するにはまだ早計であり、現在のような緩やかな物価上昇の余地はまだ残っている、ということです。土地の価格はどうなっているのでしょうか。


国土交通省の「令和4年地価公示の概要(2022年3月発表)」によれば、以下の傾向が見て取れます。

    • 全国平均 では全用途平均・住宅地・商業地のいずれも2年ぶりに地価は上昇に転じた。
    • 三大都市圏では全用途平均・住宅地は東京圏、大阪圏、名古屋圏のいずれも2年ぶりに上昇に転じ、商業地は東京圏、名古屋圏は上昇に、大阪圏は横ばいに転じた。
    • 住宅地は、景況感の改善を背景に、低金利環境の継続、住宅取得支援施策等による下支えの効果もあり、住宅需要は回復し、2022年1月発表の公示地価は上昇に転じた。
    • 商業地では、都心近郊部において、景況感の改善により、店舗やマンション用地に対する需要が高まり、上昇に転じた地点が多く見られる。


全体のトレンドとして、土地の価格は上昇傾向であると考えられます。

賃金の変化について


さて、物価の上昇に比べて、賃金は上昇しているのでしょうか。

厚生労働省発表の実質賃金指数を見ると、令和元年~3年の実質賃金(名目賃金指数を消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合指数)で除した数値)は、平成27年を100とすると、令和元年から99.8-98.6-98.6。物価の上昇を勘案すると、相対的に賃金が伸び悩んでいることがわかります。


物価は上昇の傾向だが日銀の設定している目標にはまだ遠い、賃金が伸び悩んでいる、そんな情勢の中で、家賃の滞納は増えてきているのでしょうか。


公益財団法人日本賃貸住宅管理協会・日管協総合研究所が発表している「賃貸住宅市場景況感調査(『日管協短観』)によれば、2020年度上期(4月~9月)と同下期(10月~翌年3月)の月末における1カ月滞納率、2カ月滞納率は全国平均で1.8%から2.1%、0.9%から1.1%と、いずれも下期の方が高くなっています。

2021年度の統計はまだ出ていませんが、上述した昨今の物価上昇を受け、さらに滞納率が高まっていることも予想されます。


家を借りる人の生活の逼迫は、まわりまわって家を貸す人にも影響を及ぼしかねません。一般的なビジネス同様、アパート経営に関しても、これから厳しい時代に突入する可能性がありますので、仲介・管理の実績があり信頼できるパートナーの選定が、安定経営のカギになってくるかもしれません。

ウィズコロナ・インフレ懸念の状況における土地活用の必要性とは

さて、それでは、資産運用の手段としての不動産運用は、今後、相対的に価値を下げ、意義を失っていくのでしょうか。

現預金との比較

まず、「現預金との比較」で、不動産運用のメリット、デメリットを考えてみます。
上述したように、日本経済が今後緩やかながらインフレの傾向を強めていくとしたら、理論的には不動産はインフレ率に準じてその資産価値を高めていきます。

その意味で、インフレへの抵抗力の弱い現預金よりは、資産としての不動産は相対的に高い価値を持ちうる、と考えてよいと思います。

株式との比較


株式も不動産同様、インフレへの抵抗力が強いと一般的に言われます。また収益性が期待でき、流動性、換金性は高いものの、リスクが大きく安全性が低いという特徴があります。

コロナ禍の第一波が世界を席巻した2019年末から2020年3月にかけての世界的な株式相場の急落(当該3か月間に日経平均は約20%、NYダウは約23%下落しました)は記憶に新しいところです。


この間の賃料相場ですが、不動産情報サービスの東京カンテイの調査によれば、2019年12月の首都圏の分譲マンションの月額賃料は1平米当り2,936円。2020年3月の同賃料は3,050円と、堅調に推移しました。ちなみに直近、2022年3月の同賃料は3,890円と、好調を維持しています。


リスクマネーの受け皿として機能している結果、実体経済からしばしば乖離し、大きく変動する傾向のある株式に比べ、換金性、流動性がやや低いものの安全性に勝る「不動産の特徴」をしっかり押さえておきたいところです。

相続対策としての不動産


資産管理・資産運用の主目的は言うまでもなく「手持ちの資産を増やす」ということですが、そのほかにも、「円満・円滑に資産を承継する」という目的もあります。


具体的には、自身や配偶者が安定した生活を継続するために資産運用を実施した結果、収益向上や節税につながり、所有者が万一の時に、配偶者さん、お子さん、お孫さんに、少しでも多くの財産を円満に承継すること。

その方策の代表例が、手持ちの金融資産の一部で、あるいは金融機関等から融資を受けて、不動産を建築・購入すること。それにより収益力を向上させつつも「課税遺産総額」を減らすことが可能になります.

加えて、折からのコロナ禍により、将来の生活設計が見えにくくなっている方が多くなってきています。上述した物価の上昇傾向・伸び悩む賃金という状況の中、継続的に収入をもたらしてくれる不動産を資産の一部に持つことは、基本的に相続人にも歓迎されます。

ただし、何事も時間がかかることですので、必要であれば早めに対策を検討・実行しておくことが望ましいといえます。

まとめ

2022年3月3日に発表された、「不動産投資に関する調査 2021年~年金基金および機関投資家に聞いた最新の不動産投資動向~」(株式会社三井住友トラスト基礎研究所)によれば、年金基金、および機関投資家(銀行、保険会社、共済組合等)は、新型コロナウイルス感染症拡大前と比較した不動産投資方針の変化の有無について、変化がなかったとする回答が過半(年金基金では85%、機関投資家では69%)占めました。

特に年金基金については、今後の不動産投資について、「不動産投資を減らす予定である」および「不動産投資を行っておらず今後も行う予定はない」との回答が25%で、2016年の調査開始以来最低となったとのことです。不動産投資についてこれまで以上に前向きに取り組む基金の意向が見て取れます。

巨額の資産を運用する主体である年金基金や機関投資家の多くが「今後も不動産による運用を続けていく」としているスタンスは、大いに参考になることと思います。


以前のコラム「保存版!資産の種類と特徴」でも申し上げましたが、現預金、債券、株式、不動産など、各種資産にはそれぞれ特徴やメリット・デメリットがあります。

そして、3年先、5年先、10年先にそれぞれの資産がどれほどの価値になっているかを正確に予測する理論や公式は存在しません。

大事なことは、

    • 特定の資産に偏って保有しないこと
    • 短期の資産の騰落に一喜一憂せず、長期的な視点で運用を行うこと
    • 絶え間ない情報収集に励み、それぞれのプロフェッショナルの意見を参考にしたうえで意思決定を行うこと


です。


特に不動産運用に関しては、頻繁に売買できるような資産でなく、個々の物件の価格も大きいので、知識の浅い方が独断で判断することは極めて危険です。必ず専門家の意見を聞いたうえで方策の立案、実行を行うことをお勧めします。

執筆者プロフィール
【高橋泰源】

マイアドバイザー®
1961年生まれ。日本経済新聞グループの金融情報サービス会社に長年勤務し、ファイナンシャルプランナー向け情報提供サービス、公開株式の相続税評価額算定サービス等の企画・販売等に従事。真言宗僧侶としての顔を持ち、終活関連の執筆やセミナー講師も頻繁に行っている。「必勝!終活塾」(双葉社)などを出版。

【保有資格】
・CFP®・FP技能士(1級)
監修者プロフィール
【株式会社優益FPオフィス 代表取締役 佐藤 益弘】

マイアドバイザー®Yahoo!Japanなど主要webサイトや5大新聞社への寄稿・取材・講演会を通じた情報提供や、主にライフプランに基づいた相談を顧客サイドに立った立場で実行サポートするライフプランFP®として活動している。
NHK「クローズアップ現代」「ゆうどきネットワーク」などTVへの出演も行い、産業能率大学兼任講師、日本FP協会評議員も務める。

【保有資格】
・CFP®・FP技能士(1級)・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
・住宅ローンアドバイザー(財団法人住宅金融普及協会)
・日本学生支援機構認定スカラシップ・アドバイザー(令和3年10月認定)

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