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賃貸建物のプランニング

最終更新日: 2023.03.09

最終更新日:2022年4月18日

賃貸建物での事業においても、事前のプランニング・計画性が大切です。

一方で、甘い見通しや独りよがりな計画を実行して失敗した方も少なくありません。

初めて事業用の建物賃貸事業をしたような場合は尚更です。

そこで今回は、賃貸建物プランニングの基本とリスク、テナントを誘致する基本についてお伝えします。

建物プランニングの基本

建物賃貸事業を始める場合は、当然に建物が必要です。

しかし、とにかく建てれば良いものではなく、「どのような建物を建てれば良いか」が重要になります。

それを把握するために、エリアマーケティングなどを駆使して、まずは存分に様々な調査をすることが大切です。

以下、手順に沿って建物プランニングの基本についてお伝えします。

手順①:需要把握

事業は需要がなければ成立しませんから、まずは需要を把握することが出発点です。建物賃貸事業を始めようとする地域にはどのような方が集まり住んでいるのか、おおよその年収や年齢、家族構成などがポイントになります。

流出入はどうなのか、賃貸率・持ち家率はどうかなども大切なポイントです。


たとえば東京都港区の場合、「港区の区民の消費に関する調査報告書」によって、おおよその年収や世帯人員などが掲載されています。

全体平均や県単位なら国の統計を調べるのが基本ですが、賃貸建物の場合は地域ごとの事情・特性が大切です。
このため、役所の統計や民間企業の調査結果を活用するのが基本になります。

統計や調査というのは調査などの仕方によって結果が違うこともありますから、なるべく多くの結果を見比べ、情報を精査することも大切と心得ておきましょう。


また既存の賃貸物件(競合他社)の動向も重要といえます。その地域にはどの程度の賃貸物件があるのか、家賃や設備はどうなっているのか、空き家率はどうか...。

これから新築物件を建てる以上、一定の優位性はあるものの、それだけで競争に勝ち続けられるものでもありません。
競合の長所や短所なども把握して、より確かな需要を掴めるよう努めましょう。

手順②:当該土地の特性把握

入居者はその地域で当面の生活をすることになりますから、その土地の特性を把握することも大切です。

近くにはどのようなお店や施設があるのか、駅までの距離や基本的な移動手段は何なのか、今後の土地価格(市場価値)はどうなりそうか...。地域環境と合わせて最適と思ってもらえるような建物の建築を目指しましょう。


土地の特性把握は、地図を確認するとともに、自分の足で実際に歩いてみるのが基本です。また東京都港区などもそうですが、役所のホームページにて、その地域の傾向や特色が書かれていることもあります。
可能であれば、実際にその土地に住んでいる人(または地域の不動産業者など)に話を聞くのも良いかもしれません。


また少し視野を広げて、他の地域との関係性も大切です。繁華街や(代表的な)勤務地への移動時間や交通の便なども入居者が気にするポイントになります。

特に事業用の場合は、逆に他の地域からの来訪者数や来訪のしやすさ、来訪の目的となる施設やお店、企業などの存在も重要です。その土地がどのような土地なのか、存分に調べましょう。

手順③:目的・リスク許容度による、建物仕様・客層などの比較検討

地域の特性などから入居者の需要を把握したら、併せて「あなた自身の把握」が必要です。簡単にいえば、「あなた自身のライフプラン作成」が大切になります。

そしてひいては、どの程度の利益がいつまでに必要で、どの程度のリスクやコストに耐えられるのか、最終的に売却や相続などをどうしたいのか、などを自分で検討・理解することが大切です。
建物賃貸事業以外の要素も存分に考えて、ライフプランを作成しましょう。


なお、ライフプランの作成はプロであるファイナンシャルプランナーなどに依頼するのが一番です。特に不動産に強いファイナンシャルプランナーなら、全体的な相談も可能となります。


地域特性、入居者需要、ライフプラン、この3点を把握したら、あとはこれらを統合して調整し、実際の建物建築をどうするかを比較しながら考えていきます。構造や間取りはどうするか、設備はどれくらい揃えるか、デザインはどうするか...。

必要に応じて、アパートローンの複数比較なども大切です。なるべく頼れる専門家にも相談しながら、様々な角度で比較検討していきましょう。

その他:需要の変化や注意点について

需要や地域性は一定ではなく、常に変化していきます。あなた自身のライフプランも、一年も経てば人間の考えは変わるものです。また、取り巻く環境も変化するかもしれません。

そして現在の状況が変われば、そのまま自然と将来性も変わっていきます。
中でも需要の変化は、入居者の不満に繋がりやすく、ひいては引っ越しに繋がりやすいため要注意です。
変化を敏感にキャッチするため、建築後の調査にもしっかり力を入れていきましょう。


なお、諸々の調査や把握は、なるべくデータや数字を使うことが大切です。数値化しにくい部分もありますが、数字で捉えないと客観的・大局的に把握しにくく、ひいては読み違いを生みやすくなります。

諸々の数値化は大変ですが、そういう場合は専門家に任せれば簡単です。調査やデータ分析も専門家のほうが容易・精密なものですから、尚更といえます。必要に応じて専門家の力も借りながら、常に変化に対処できるよう動いていきましょう。

プランニングにおけるリスクについて

建物賃貸事業に不慣れな方が一人で建物プランニングをした場合、どうしても調査や見通しが甘くなりやすいといえます。

専門家が精密なプランニングをしても絶対ではないのですから、その場合は失敗しやすいのも当然です。実際にどのような失敗があったのか、簡単に知っておきましょう。

失敗事例について

あくまで失敗の一例ですが、以下のようなケースが比較的よく見られます。

<社宅撤退>


とある会社の社宅として貸していたものの、その会社自体の倒産や規模縮小によって社宅として使われなくなったケースです。
一般的に社宅として貸し出す場合、一気に大量かつ安定的・継続的な入居が見込める反面、撤退も一気に起こります。

規模が大きいほどに穴埋めは困難になりがちですから、たとえば半分は普段から一般の方に貸し出す、複数社に貸し出すなど、撤退時のことも踏まえて判断しましょう。

<狭い間取り>


計算上の利益を最優先にした結果、間取りを小さくしすぎて借り手が付かないケースです。

間取りを小さくして部屋数を増やせばトータルの利益は増えやすいものの、肝心の入居者が付かないようでは事業になりません。
同種の失敗として、間取りを大きく設備を豪華にして高額な家賃になりすぎ、同じく入居者が集まらないこともあります。

需要や地域性など入居者のことを無視した建物プランニングは失敗の元ですから、十分に注意しましょう。

<大学移転>


近くの大学生の入居を見込んでいたものの、肝心の大学が移転してしまったようなケースです。
大学生の求める立地や家賃(設備や間取りも)などのニーズは、一般の方とは少し違うことが少なくありません。

このため、移転後の一般の方への転用が上手くいかないことがあります。今は少子化の時代ですから、特に私立大学の場合は倒産の可能性もゼロではありません。十分に警戒しておきましょう。


いずれのケースも、目先の(計算上の)利益のみを考えた末の失敗といえます。目先の(特殊な)需要があるうちはいいですが、それがなくなった時の反動も大きくなりがちです。

これらの需要を狙うのがダメではないものの、建物賃貸事業は長期に渡りますから、需要がなくなった時にどうするかも踏まえたうえでの、長期的な視野での建築を心がけましょう。



コロナで変化した需要について

2020年の初期頃に日本でも猛威を奮い始めた新型コロナは、世の中に様々な大きな変化を迫りました。建物賃貸事業に関係する部分でいえば、やはり「リモートワークの推奨」が挙げられます。

これによって一般財団法人住宅改良開発公社の令和2年「賃貸住宅市場の動向と将来予測調査」によると、コロナ前ほど駅近が求められなくなった反面、快適な住環境を求める声が増えつつある傾向です。

一方で今後の見通しの悪さを感じ、家賃を上げたくない・下げたい意向も高まりつつあります。


この需要の変化は、これから建物賃貸事業を始める方には有利というのも一つの見方です。立地は駅近でなくてもいいから、間取りや設備を相応に整えれば入居者に好まれる可能性があります。

また肝心のリモートワークは、まだ十分に浸透しているわけではないものの、今後定着しそうな気配です。


ただし、まだまだコロナによる変化は起こっており、今後のことは未知数といえます。しかしコロナによる変化自体が今後も定着・継続しそうな傾向ですし、物価や金利の動向などを考えても、落ち着くまで待つのも問題です。専門家の力も借りながら存分に今後の可能性を予測し、どこかで決断しましょう。

事業用賃貸の特徴

一般的な居住用の建物賃貸事業と比べて、事業用の賃貸建物を建ててテナント(居住用の賃貸物件でいう入居者)を誘致する場合は、いくつかの違いがあります。

居住用と同じように考えていると失敗しかねませんから、しっかり違いを理解しておきましょう。

テナント誘致の基本について

そもそもテナント誘致とは、一定の事業用の施設やお店を建てて(造って)、それを該当する業者に貸し出す行為です。居住用の賃貸建物と比べて、「割高な家賃を設定できる」というメリットがある反面、立地や仕様にも因りますが、「需要が限られる」点がデメリットになる場合もあります。


このため居住用以上に退去リスクが高くなったり、立地や対象とする業種によっては次のテナントを見つけるのに苦労したりすることもしばしばです。

しかし継続的にテナントが見込める場合は、居住用よりも割高な家賃が見込めるので、土地の立地によっては検討したい事業形態といえます。

テナント誘致のポイントについて

事業用の賃貸建物の場合は、土地の立地とともに「どの業種を対象とした施設やお店を建てるか」でリスクやコスト、利益率などが大きく変わります。このため、建築前には「その業種の事情や動向」も十分に理解しておくことが大切です。

事業ごとに必要となる設備(や建物用件)なども違ってきますから、それらも踏まえて建物を準備する必要があります。


ちなみに、テナント誘致の対象となる業種は本当にさまざまです。その土地の(将来的な)地域性や需要などを存分に調査し、建物を準備しましょう。


以下、テナント誘致の代表的なものをいくつか紹介します。

<介護施設・保育施設>


高齢化や待機児童が増加している日本では、国や自治体がそれに備え制度化や助成金などを整えている関係でさまざまな種類の介護施設・保育施設ができています。

異業種からの参入も多く、業界として大きくにぎわっています。有料老人ホームを例にすると、平成元年から令和元年の約30年間で約91倍の14,118施設あります。


同じように保育所等に関しても施設数は大きく増えています。背景としては働き方の変化により保育施設の利用者が増えたことが大きく上げられます。
保育所等施設を例に挙げますが、施設数としては平成24年から令和3年の施設数の推移は1.63倍の38,666施設あります。


しかしこういった中で両施設に共通して言えることですが、慢性的な人手不足、価格競争、人件費による経営難で撤退していく施設も多くあります。
仮にこういった施設にテナントとして賃貸をしていた場合は、撤退時のリスクも考えなくてはいけません。

退去後に再度同じような施設が入居してくれるのを待つよりは撤退リスクがどれくらいあるのかの下調べと、万が一撤退があった時に他業種に貸すことができるのかあらかじめ考えておきましょう。

<医療施設>


国民が安心して暮らすためには、医療施設は欠かせない存在です。この認識は、地域住民は元より自治体や国でさえ同じということもあり、厚生労働省の令和元年「医療施設(動態)調査」を見ても、全体として医療施設は少しずつ増えている結果になっています。

このため、どちらかといえば医療施設は手堅いテナントかもしれません。


一方で上記の調査結果を詳しく見ると、患者20人以上の入院施設を要する病院は少しずつ減少傾向です。
た患者19人以下の入院施設を要する一般診療所にいたっては、平成11年から令和元年までの約20年間で1/3程度にまで減っています。

しかし同時に、入院施設のない一般診療所は大幅に増え続けている結果です。仮に退去されても、いくらか次のテナントを見つけやすい施設かもしれません。


ただし、今や医療施設は歯科診療所が約7万、一般診療所にいたっては約10万もの施設があります。過当競争で騒がれがちなコンビニ(2022年3月時点で約5.7万)よりも数が多い状況なので、地域によっては退去リスクが高いこともあるかもしれません。
建築前には、しっかり地域のニーズを調査するよう努めましょう。

<宿泊施設>


2020年の初期頃から騒がれている新型コロナによって、今でこそ騒がれがちな宿泊施設ですが、コロナ前は特に外国人旅行者によって極めて盛況でした。


厚生労働省の令和2年「衛生行政報告例」を見ると、中でも簡易宿所営業の伸びが良く、平成28年度から令和2年度にかけて8000程度も施設数が増えています。このため、宿泊施設ならテナントも見つけやすいかもしれません。


一方、同報告で約30年前(平成5年)と比べると、簡易宿所営業は2.7万程度から4万程度に増えているものの、旅館・ホテル営業は8万程度あった施設数が5万程度にまで下がっています。

また中小企業庁の令和2年度「小規模事業者の動向」によると、宿泊・飲食サービス業はもっとも開業率が高い反面、もっとも廃業率も高い業種です。このため、テナントの入退去のサイクルは短いものになる可能性があります。


ただ、国土交通省の令和2年「観光の動向」によると、コロナ前(2019年・令和元年)の外国人旅行者受入数ランキングでは、日本は世界で12位、アジアに限れば中国・タイに続いて3位という人気ぶりです。

コロナ前は毎年、旅行者数も増えていましたから、今後のコロナや各国の動向によっては改めて、高い宿泊需要が見込めるようになるかもしれません。

テナント誘致のその他のポイントについて

最近では一定の専用施設ではなく商業用のビルなどを建築して、あとはテナントに改良してもらうスタイルも一般的です。

しかしそれでも居住用とは大幅に違いますし、立地や広さの都合で、一定の業者にしか貸し出せない(借りてもらえない)点は同じといえます。

繁華街や駅近の土地など、多くの業種のテナントが見込める場合に検討してみましょう。


事業用の賃貸建物を建てる場合は居住用以上に、情報を持つ頼れる専門業者(建築業者など)が必要不可欠といえます。

できれば事前のエリアマーケティングから建物建築、建築後の管理やテナント募集まで、一貫して頼れる業者を探しましょう。

まとめ

建物プランニングは、特殊な需要に頼るなど目先の利益だけで判断するのではなく、将来的に起こり得るリスクを織り込んで検討することが大切です。

一人で考えると、どうしても独りよがりになりがちですから、なるべく頼れるパートナー(事業者など)を味方につけて、一緒になって考えを深めていきましょう。


執筆者プロフィール
【山本FPオフィス 代表 山本昌義】

マイアドバイザー®
商品先物会社、税理士事務所、生命保険会社を経て、2008年8月8日に開業。
現在は日本初の「婚活FP」として、恋愛・婚活・結婚・離婚×お金をメインテーマに活動中。婚活中の方や新婚夫婦、または独身を貫きたい方など、比較的若い方向けのご相談や執筆、講演を行っています。趣味は漫画(約6,000冊所有)。

【保有資格】
・CFP®(婚活FP)
監修者プロフィール
【株式会社優益FPオフィス 代表取締役 佐藤 益弘】

マイアドバイザー®
Yahoo!Japanなど主要webサイトや5大新聞社への寄稿・取材・講演会を通じた情報提供や、主にライフプランに基づいた相談を顧客サイドに立った立場で実行サポートするライフプランFP®として活動している。
NHK「クローズアップ現代」「ゆうどきネットワーク」などTVへの出演も行い、産業能率大学兼任講師、日本FP協会評議員も務める。

【保有資格】
・CFP®・FP技能士(1級)・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
・住宅ローンアドバイザー(財団法人住宅金融普及協会)

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