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土地貸しのメリットと注意点とは?

公開日: 2022.10.28

最終更新日: 2023.11.28


「土地の有効活用」というと、アパートやマンションを建てて人に貸すというイメージが強いかも知れません。

しかし、この方法以外にも、さまざまな土地活用方法があります。今回はそのうちの一つ、「土地貸し」という方法をご紹介します。

「土地を保有してはいるけれど、有効に活用できていない」という悩みを持つ人は少なくないでしょう。相続などで土地を引き継いだとしても、多額の初期費用が必要なアパート経営などに踏み切る決断はなかなかできない。

しかし、土地は所有しているだけでも固定資産税などの維持費がかかるので放置はできないし、かといって親が守ってきた大切な土地を、ご自身の代で手放してしまうのも忍びない...。このような場合には、初期費用を抑えられる「土地貸し」「駐車場経営」などの土地活用法があります。

>>関連記事:「土地活用の方法16選|運用を行うメリットや実際の進め方

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1. 「土地貸し」のメリット・注意点

「土地貸し」とは、土地にオーナー自身で何も建てずにそのまま貸して、地代収入を得るという方法です。土地には固定資産税が掛かるため、単に所有しているだけでは収支としてマイナスになってしまいます。

しかし、土地を貸すことで地代収入を得られるようになり、収支をプラスに変えていくことができます。


また、土地を活用せず空き地の期間が長引いてしまうと雑草が生えたり、ごみが投げ込まれたりなど、メンテナンスが滞ってしまいがちですが、土地を貸し出すことで土地が荒れることを防げるようにもなります。

さらに、土地だけを貸すことは、アパートやマンション、戸建て住宅などを建てて貸し出すよりも、大きな収益は望めないものの初期費用が安く抑えられる点が大きなメリットです。

ただし注意点もあります。先に借り主が建物をいったん建て、それを登記してしまうと、借地権という権利が借り主側に発生します。

そうすると将来、その土地を土地オーナーが使いたいと思ったとしても、「土地を明け渡してほしいのに、借り主が借地権を主張して出て行ってもらえない」という事態になりかねません。

そのような可能性を考慮した上で、長期的な視点で活用方法を考える必要があります。


>>関連記事:「等価交換による土地活用

2. 旧「借地法」と新「借地借家法」の違い

平成4年8月に「借地借家法」が施行され、それ以前の「借地法」と比べて土地オーナーが安心して土地を貸し出すことができるよう、法整備が行われました。ここでは旧「借地法」と新「借地借家法」の違いを見てみましょう。

2-1. 借地法(旧法)



旧法では建物の種類によって、借地権の存続期間を定める場合の期間が異なっています。

・堅固建物(石造、土造、レンガ造、コンクリート造、ブロック造等)......30年以上
・非堅固建物(木造等)......20年以上

契約で期間を定めない場合は、建物の種類によって借地権の存続期間の最短期間が定められました。

・堅固建物......60年以上
・非堅固建物......30年以上

また、更新期間の最短期間が建物の種類ごとに定められていました。


・堅固建物......30年以上
・非堅固建物......20年以上

2-2. 借地借家法(新法)

新法では、建物の種類による借地権の存続期間の区別がなくなり、また、更新のある「普通借地権」と更新のない「定期借地権」に分けられました。

「普通借地権」では、契約で期間の定めをする場合は30年以上、期間を定めない場合は30年とされました。

更新については、期間の定めをする場合は最初の更新は20年以上、以降の更新は10年以上となっており、期間を定めない場合は最初の更新は20年、以降の更新は10年となっています。

更新のない「定期借地権」には、「一般定期借地権」、「建物譲渡特約付借地権」、「事業用定期借地権」の3種類が設けられています。

一般定期借地権
  借地期間を50年以上とするもので、借地期間が終了したときには、借り主は建物を取り壊し、更地に戻したうえで、土地を返還することになります。

建物譲渡特約付借地権
  契約後30年以上経過した時点で、土地所有者が建物を買い取るという方法です。建物を買い取った時点で借地権は消滅します。

事業用定期借地権
  店舗や工場などの事業用の建物を建てて利用するための定期借地権です。居住用の建物は建てられません。借地期間は10年以上50年未満です。

定期借地権の種類
一般定期借地権 建物譲渡特約付借地権 事業用定期借地権
存続期間 50年以上 30年以上 10年以上50年未満
利用目的 制限なし 制限なし 事業用
契約の形式 公正証書 事実上書面 公正証書
借地関係の終了 期間満了による 30年以上経過した時点で建物を相当の対価で地主に譲渡することを特約する。口頭でも可 期間満了による
契約終了時の建物 原則として借地人は建物を取り壊して土地を返還する

1.建物は地主が買取る

2.建物は収去せず土地を返還する

3.借地人または借家人は継続して借家として住まうことができる

原則として借地人は建物を取り壊して土地を返還する


旧法は借主保護の性格が強いため、土地オーナーにとっては使いづらい制度だったといえますが、新法では目的に応じて制度を選択することができるので、土地貸しの幅が広がったといえます。

土地貸しを検討する際は、それぞれの制度の特徴を押さえ自分の目的に合致するかどうかを確認しましょう。

借地法の旧法と新法 存続期間についての違い
初回の契約期間 更新後

借地法

(旧法)

堅固建物 期間の合意がない 30年以上 30年以上
期間の合意がある 60年 30年
非堅固建物 期間の合意がない 20年以上 20年以上
期間の合意がある 30年 20年
初回更新 初回更新 2回目以降の更新

借地借家法

(新法)

普通借地権 期間の合意がない 30年以上 20年以上 10年以上
期間の合意がある 30年 20年 10年
定期借地権 一般定期借地権 50年以上
建物譲渡特約付借地権 30年以上 建物譲渡により借地権は消滅
事業用定期借地権 10年以上50年未満



>>関連記事:「土地や建物の所有に関わる借地権とは?権利に関わるお金や認定課税

>>関連記事:「
借地での賃貸経営メリット・デメリット -よくあるトラブル事例を交えて詳しく解説-

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3. 駐車場経営のメリット・注意点

「土地貸し」に興味が出てきたけれど、やはりそれに伴うリスクのことも気になる。家族ともじっくり話し合って今後のことを決めたい、という考えを持っている土地オーナーは少なくないでしょう。

とはいえ、土地をそのまま保有しているだけでは、土地を管理する労力と固定資産税などのコストだけがかかってしまいます。

その場合、いったん駐車場を経営して収入を得られるようにし、今後の方針については、関係者でじっくりと話し合うという方法があります。

なお、駐車場に関しては借地借家法の適用対象外なので、より短い期間の借地契約を締結したり、期間の定めがない契約でも、一定の解約予告期間を経過した後に利用者に立ち退いてもらうことが可能となります。

駐車場には、大きく分けて月極駐車場とコインパーキングという運営の形態があります。月極駐車場は月単位で自動車一台ごとに契約をする方法、コインパーキングは時間単位で駐車場を貸すという方法です。

月極駐車場は大掛かりな設備を導入することなく、気軽に始められるというメリットがあります。郊外エリアなどで人口が少なくても、自動車を必要とする人が多い地域で駐車場経営をすれば、高い稼働率も期待できます。

整地やアスファルト舗装などの初期投資はオーナーが行い、駐車場利用者の募集・管理を不動産会社に委託する方法が一般的です。

しかし、たとえ管理を委託していたとしても、舗装のひび割れ・剥がれなどが利用者に損害を与えかねない状態となった場合など、オーナーに追加で費用負担が発生する場合もあります。

一方、コインパーキングを運営する場合は、運転に慣れた人だけではなく、初心者マークの人から高齢ドライバー、お子さん連れのファミリーなど、さまざまな人が利用する可能性があります。

駐車場から道路にかけて、車だけでなく人も出入りするので、利便性の高い地域で運営するだけではなく、駐車場への出入りがしやすいこと、安全性にも配慮することなどが、成功の秘訣となります。

オーナーは土地を貸すだけで、初期投資から管理・運営まですべてコインパーキング業者が行う方法が一般的です。
この方法の場合、オーナーは毎月一定の賃料を得ることができ安定した収入を見込めますが、業者によってコインパーキング需要の多いエリアでなければならないなどの制限が設けられている場合があります。

以上、多額の初期投資を必要としない「土地貸し」「駐車場経営」についてご紹介しました。

今回は"事業を始めるうえでの初期投資"という観点でご紹介しましたが、土地オーナーとして、"収益性"、"節税効果"、"管理・運営"などさまざまな観点で、将来の目的に向かってどの方法が最適か、多角的に検討することを心掛けましょう。


>>関連記事:「土地活用で駐車場経営をする方法|月極・コインパーキングの特徴は?

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