1. TOP
  2. 土地活用ナビ
  3. 土地活用
  4. 【最新版】2024 年の路線価解説!! 3 年連続上昇。路線価上昇の影響は?

土地活用に役立つ情報が満載!土地活用ナビ

【最新版】2024 年の路線価解説!! 3 年連続上昇。路線価上昇の影響は?

公開日: 2024.08.27

最終更新日: 2024.08.27

202471日、令和6年の路線価が発表されました。

路線価の変動は建物賃貸事業のほか、相続税や贈与税にも影響してきますので、賃貸オーナーは正しく内容を把握しておくことが大切です。

今回は、そんな令和6年の路線価について、詳しくお伝えします。

 

1.路線価とは何か?

路線価とは、路線(道路)に面する標準的な1㎡あたりの宅地価額のことです。
路線価が定められている地域において、相続税や贈与税を計算するときに活用されます。
中には路線価が定められていない地域(=倍率地域)もありますが、その場合は路線価の代わりに「評価倍率」が定められており、これを用いて計算します。

 

似たような土地価格に「公示地価」がありますが、こちらは主に「都市部の土地そのもの」を、およそ2万箇所を対象にしているのに対し、路線価は全国30万箇所以上を対象にしています。

用途の違いもありますが、土地の面積さえ分かれば、あとは自分で価格を計算できるところが路線価の大きなポイントです。

1-1.路線価の調べ方

路線価も評価倍率も、現在はどちらも国税庁の「財産評価基準書、路線価図・評価倍率表」で、簡単に調べることが可能です。

 

上記のリンクをクリックすると、大きな日本地図が表示されますので、まずはそこから該当する都道府県を選択します。
すると一番上に「路線価図」が表示されているので、それをクリックし、あとは土地の所在地を探す...という流れです。

 

注意点として、路線価は土地の所在地ごとに書かれているわけではなく、以下のように一定の地域ごとに地図的にまとめて記載されています。

2024rosenkamihon.png

出典:国税庁「路線価図・評価倍率表」

 

このため、住所から直接、路線価を検索できるわけではありません。
長年その土地に住んでいる方ならともかく、相続で知らない土地を得た場合や、賃貸経営を始めたばかりで地域の地理に疎い場合などの際には、注意が必要です。

 

上記の見本にもある通り、路線価で当該土地を探せば、もしその土地が倍率地域に該当するなら、その旨の記載があります。
倍率地域に該当する場合は、都道府県を選んだ次のページで、路線価図ではなく「評価倍率表(一般の土地等用)」を選べば大丈夫です。

1-2.路線価の計算方法

先ほどの例のように、路線価は「数字+アルファベット」で記載されています。

数字は1㎡あたりの土地の値段(1000円単位)、アルファベットはAGで記載されており、以下のように、その土地の借地権割合を示しています。
仮に表示が「93D」なら、1㎡あたりの土地の価格が93000円、借地権割合が60%となるわけです。

 

2024syakuchikenwariai.png

出典:国税庁「路線価図・評価倍率表」

 

計算式の基本は、「路線価×奥行価格補正率×土地の面積」です。
奥行価格補正率とは、文字通り、道路から見た奥行に応じて土地の使い勝手が悪くなるため、その分を補正するための値になります。

以下が、その一覧です。

 

2024tyouseiritu.png

出典:国税庁「土地及び土地の上に存する権利の評価についての調整率表(平成31 年1月分以降用)

 

仮に、先ほどの「93D」の土地が普通住宅であり、奥行が25mなら補正率は0.97となりますから、土地の面積が25m×20m=500㎡なら、路線価上の土地価格は「93000円×0.97×500㎡=45105000円」となります。

 

土地によっては正面と側面、正面と裏面という、2つの道路に面している場合があります。
この場合は、それだけ利用価値が高いと見なされるため、正面以外の部分にそれぞれ以下の「側方路線影響加算率・二方路線影響加算率」を掛け、その分を合算して計算します。
なお、正面とは「路線価×奥行価格補正率」が高いほうです。
また角地とは十字路の端、準角地とはL字型の道路の端の土地を意味します。

 

2024tyouseirituhyou.png

出典:国税庁「土地及び土地の上に存する権利の評価についての調整率表(平成31 年1月分以降用)

 

仮に、先ほどの「93D」の土地の側面が「95D」であり、これが角地にあるなら、まず正面判定が以下のようになります。

 

93D...93000円×0.9725m)=9210

95D...95000円×120m)  =95000円 ←こちらが正面になる

 

よって、93Dのほうに側方路線影響加算率の0.03を掛け(9210円×0.032706.3円)、これを95Dに足し(95000円+2706.3円=97706.3円)、そして面積を掛けたもの(97706.3×500㎡=48853150円)が土地価格となります。

 

なお、他にも不整形地など、いくつかの例外もありますから、確実な数字が知りたい場合は、お付き合いされている不動産業者や税理士などに相談しましょう。

 

その土地が倍率地域にある場合は、その土地の「固定資産税評価額」に、その土地の倍率を掛けるだけです。
仮に固定資産税評価額が1000万円、倍率が1.1倍なら、「1000万円×1.11100万円」が土地価格となります。

2.不動産の「一物四価」


不動産には「一物四価」といって、同じ不動産でも4つの異なった公的価格があります。

路線価はそのうちの一つであり、それぞれの名称や用途、価格の目安は以下の通りです。

 

名称

用途

価格の目安

公示地価

土地収用時の価格目安

金額そのまま

基準地価

土地収用時の価格目安

公示地価に準ずる金額

路線価

相続や贈与時の評価

公示地価の約80

固定資産税評価額

固定資産税等の基準

公示地価の約70

 

公示地価は「国が3月下旬に発表する価格」、基準地価は「都道府県が9月下旬に発表する価格」です。
他に細かな違いもありますが、一般的に基準地価は公示地価の価格や値動きを補完する用途で使われます。

 

上記の通り、路線価は相続税や贈与税を計算するときに使います。
逆にいえば、他の用途の際には別の価格になりますから、この点には注意が必要です。

 

また上記以外に、「実勢価格」というものもあり、これは「実際の売買の際の価格目安」を指しています。
金額は一般的に(一部の都心部などを除いて)公示地価の1.11.2倍程度です。
ただし、実勢価格は最終的に「当事者間の話し合い次第」です。需給関係や当事者の思惑・事情なども絡みますから、参考程度に把握しておくと良いでしょう。

 

2-1.路線価で相続税評価額を算出する方法

先ほども触れましたが、路線価で相続税評価額を出すには、基本として所在地の把握以外に「その土地の面積(と奥行)」が分かれば十分です。
仮にその土地が「93D」の道路に面しており、奥行きが適切な1に収まる範囲で、面積が500㎡なら、93000円×500㎡=4650万円となり、これが相続税における土地の評価額になります。

 

その土地が2つの道路に面しているなどの事情以外に、以下のような事情もありがちです。
それぞれの事情の場合の計算(相続税評価額)は、以下のようになります。

なお、自用地評価額とは、上記で計算した(自分の土地としての)基本的な相続税評価額のことです。分かりやすく「93D」の道路に面した500㎡の土地を前提に、お伝えします。

 

▲借地権(他人から土地を借りている状態)

 

計算方法...自用地評価額×借地権割合

      4650万円 ×    60%(借地権割合が60%の場合)  =  2790万円

 

▲貸宅地(他人に土地を貸している状態)

 

計算方法...自用地評価額×(1-借地権割合) ※ 上の借地権の残り

      4650万円 ×  40%  =  1860万円

 

▲貸家建付地(自分の土地に賃貸物件を建てて、その建物を貸している状態)

 

計算方法...自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

※借家権割合は全国一律で30

※賃貸割合とは、いわば入居率。仮に全10室で3室が空室なら賃貸割合は70

 

      4650万円×(1-60%×30%×70%=0.874)≒4064万円

 

余談ですが上記の通り、自分の土地に賃貸物件を建てて賃貸経営を始めると、相続税評価額が下がる、ひいては「相続税が安くなる」ことになります。
相続税対策を検討中の方は、ぜひ覚えておきましょう。

 

この他にも、たとえばその土地が傾斜地にある、付近と比べて高低差がある、地盤にヒドい凹凸があるなど、さまざまな事情で相続税評価額が変わることもあります。自分で計算した数字は参考程度に考え、なるべくなら付き合いのある不動産業者や税理士に相談することがおすすめです。

 

32024年度の路線価傾向

今年度の路線価は、昨年と比べて全国平均として2.3%上昇したという結果でした。
今年の3月に発表された公示地価も全用途平均の全国平均が2.3%の上昇でしたから、同じ結果となっています。

 

また、各都道府県の県庁所在地における最高路線価は以下の通りです。

 

2024tosirosennka.png
2024toshirosennka2.png

出典:国税庁「例話6年分の路線価等について、別表」

 

公示地価の上昇は、総じてシンプルに「新型コロナからの順調な回復」というのが一つの見方でしたが、路線価の上昇も同様の見方ができる可能性があります。また円安によってインバウンド需要が高まっている点も、背景として大きいかもしれません。

3-1.路線価の今後の見通し

路線価も不動産価格の一種ですから、不動産価格自体の今後を見通すことでの予測が可能です。
国土交通省が20247月末に発表した最新の「不動産価格指数」では、近年の不動産価格は以下のように推移しています。

 

2024hudousankakakusisu.png

出典:国土交通省「不動産価格指数」

 

この通り、不動産価格は上昇の一途となっています。
よって路線価についても、今後も少なくとも当面は、同様に上昇していく可能性が高い...というのが一つの見方です。

 

一方、近年は「金利の上昇」が気がかりといえます。
一般の方の住宅購入でも住宅ローンを使いますし、建物賃貸経営を始める際にもアパートローンなどのローンを使うことが多いです。

不動産取引にはローンが付き物ですから、金利が上昇するほどに、その取引が鈍化する、ひいては値下がりとまではいかなくても、今までほどには上昇しなくなる可能性も考えられます。

4.路線価変動による影響


路線価の変動は、特に賃貸オーナーにとって影響が小さくありません。
実際にどのような影響が出るのか...正しく理解しておきましょう。

4-1.相続税に関する影響

路線価は「相続や贈与時の評価額」にそのまま影響します。
このため、路線価が上昇するということは、そのまま相続税や贈与税も上昇するということです。

 

そもそも不動産とは「高額な資産」ですから、少しでも数字が変わると、相続税などにも大きな影響が出やすいといえます。
また、だからこそ、突発的な対応が難しいことも珍しくなく、追加での納税対策が必要になることもありがちです。

4-2.不動産投資に関する影響

そもそも、路線価を含めた不動産価格とは「需要と供給の関係」が基本です。
路線価が上昇したということは、その土地の需要・人気が高まっているということも意味していますから、今後の建物賃貸事業などにおいても集客が容易になるなどのプラス効果が期待できます。

 

また今後、賃貸建物の売却を検討中の方においても売値の上昇が期待できるでしょう。
反面、これから建物賃貸経営を始めようと検討中の方にとっては、今後は購入費用(や建築費)の上昇が予測できますから、決断を早めたほうが無難といえます。

5.事前に準備しておこう。


そもそもとして、土地の価格・評価は常に変動するものです。このため、事前に地価の変化を見通しておくことが大切といえます。
また地価は税金面にも、建物賃貸事業や土地売買にも関連しますから、常に評価や活用方法の見直しを行い、事前に変化に対応できるようにしておくことが重要です。

 

路線価からの相続税評価額の計算は、基本的には個人でもできる反面、土地によっては難しい場合もあります。
上記の変化の見通しや、活用方法の見直しなども同様です。

個人では限界や、できるにしても大変な部分もありますから、なるべく早めに、頼れる不動産業者というパートナーを探し出しておき、一緒になって路線価の変動にも対処していきましょう。

リスク対策 (1).gif
みらいノート.gif



■監修者プロフィール

株式会社優益FPオフィス 代表取締役
佐藤 益弘

マイアドバイザー®
Yahoo!Japanなど主要webサイトや5大新聞社への寄稿・取材・講演会を通じた情報提供や、主にライフプランに基づいた相談を顧客サイドに立った立場で実行サポートするライフプランFP®として活動している。
NHK「クローズアップ現代」「ゆうどきネットワーク」などTVへの出演も行い、産業能率大学兼任講師、日本FP協会評議員も務める。
【保有資格】CFP®/FP技能士(1級)/宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/住宅ローンアドバイザー(財団法人住宅金融普及協会)/JーFLEC認定アドバイザー(金融経済教育推進機構)