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2022年の路線価発表

公開日: 2022.10.17

最終更新日: 2023.07.07

2022年7月に、2022年分の路線価が発表されました。
路線価は、土地の相続税評価額を算出するために用いられる公的価格です。路線価の変動にともない相続税額も変動します。

この記事では、不動産を所有されている方に向けて、路線価の概要、および2022年分の路線価の傾向、路線価変動による影響について、ご説明します。

この記事のポイント

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  • 路線価は相続税や贈与税の計算の基礎となる価格として用いられる
  • 2022年、路線価の変動率は前年比で上昇したエリアが多数。全国的には回復基調か?
  • 路線価変動の各種影響について、専門家による資産の診断を定期的に実施することが望ましい

1.路線価とはなにか

路線価とは、路線(道路)に面する標準的な1㎡当たりの価額のことで、路線価が定められている地域において相続税や贈与税を計算するときに活用されます。

なお、路線価が定められていない地域においては、固定資産税評価額に「評価倍率表」に定められている数値を掛けて、相続税評価額を算出します。

1-1.路線価の調べ方

相続税や贈与税の計算の基礎となる路線価は土地自体ではなく、接している道路に価格がつけられています。

国税庁が公表している「財産評価基準書路線価図」から、所有する土地が含まれている路線価図を検索し、その土地が接している路線価を確認します。


例えば、土地(200㎡)が路線価図の青い部分にある場合、この土地の路線価は、面している道路上の赤く丸で囲まれている数字で示されています。





表示されている路線価は1㎡あたり千円単位となっており、この場合は「1?当たり46万円」ということになります。この路線価に土地面積を乗じて「相続税評価額」を算出します。



参考)路線価図の説明(国税庁 路線価図・評価倍率表)
https://www.rosenka.nta.go.jp/docs/ref_prcf.htm

2.路線価の使い方

上述にて路線価は相続税や贈与税を計算するときに活用すると述べましたが、実際どのような場面で使われるのか簡単に説明します。

相続税や贈与税を計算する際、財産(現金、有価証券、不動産など)の評価額を算出しなくてはなりません。
その評価の方法は財産ごとに異なり、その評価方法に従って評価額を算出します。
現金が1億円あれば評価額も1億円ですが、土地は、土地面積に路線価を掛けて求めます。

例えば、路線価40万円の土地200㎡の評価額は、単純計算で200㎡×40万円=8,000万円ということになります。

ただし、実際の計算では、当該土地が二方向で道路に面していたり、角地だったり、使い勝手の悪い奥行きの長い土地だったりした場合には補正する必要が生じます。

また、賃貸建物は自分自身で100%利用できませんから、「貸家建付地」として利用価値分が軽減評価されるなど、利用形態によって様々な調整が行われることを覚えておきましょう。

3.2022年度 路線価の傾向


新型コロナの影響は続いているものの、感染対策の行動制限が全面解除されて以降、旅行者などの客足が回復傾向にあると考えられ、
前年まで下落幅が大きかった外国人旅行者への依存が大きい観光都市の路線価は引き続き下落しているところが多いものの、下落幅が縮小しました。
また、国内の旅行者需要を見込む京都の観光地などでは上昇に転じている地点も見られました。

「2022年分 都道府県庁所在都市の最高路線価」を見てみると、47地点中31地点で上昇もしくは横ばいとなっており、マイナスとなった16地点でもマイナス幅が減少しいる地点が多く、全体的には上昇基調にあるとの見方もあります。


主要な観光地を例に挙げると、那覇市久茂地では令和3年分に関しては前年比マイナス1.4%だったものが令和4年分に関してはマイナス0.7%に縮小、大阪市北区では令和3年分に関しては前年比マイナス8.5%だったものが令和4年分に関してはマイナス4.0%に縮小、京都市下京区では令和3年分に関しては前年比マイナス3.0%だったものが令和4年分に関しては3.1%の上昇でした。

コロナ禍の影響で路線価もさまざまな影響がありましたが、感染状況の落ち着きを見せたことによる観光地需要の回復、また再開発地域におけるニーズ強化、コロナ化で普及したリモートワークやデュアルライフなどによって都心近郊や地方都市の需要が伸びた地域もあることから、さらに下落した地域があるものの全国的に路線価は回復傾向にあるといえるのではないでしょうか。


4.路線価変動の影響

路線価は上述のように毎年数%変化があるところや横ばいで推移しているところなどその地域によってさまざまです。

1年単位や数年単位ではさほど変化がないように思える数字ですが5年や10年、30年と長い年月の経過によって評価額に大きな差がでていることもあります。

4-1.15年前と比べるとこんなに相続税が増えていることも!?

ここで長い期間が経過してどれくらい変化しているか具体的に見てみましょう。

令和4年の路線価が53万円の世田谷区のある地点を例にしてみます。
その地点の平成18年度の同一地点の路線価は、46万円となっていました。


上記の世田谷区のある地点を例に、相続税にどれほどの影響があるのか検証してみましょう。
(実際には土地の持ち方や家族構成、小規模宅地の特例などによって税額は大きく異なります)

相続人は生計を一としていない自宅を所有している子供一人(小規模宅地等の特例を使えない場合)、被相続人の財産に金融資産はなく、この自宅のみと考えた場合(世田谷区のある地点に200?の土地)平成18年時点では相続税評価額は9,200万円となり、相続税は980万円でしたが、令和4年度では相続税評価額は1億600万円となり、相続税は1,400万円となります。

この例から、路線価は数年前と比べるとかなり変化していることがあるということに加え、路線価の変動だけで相続税の負担が大きく増える可能性があるということも理解しておきましょう。

5.まとめ

2022年度においては全国的にコロナ禍でマイナス推移となっていたものが、概ね上昇基調となってきたという結果でしたが、路線価は社会情勢、地域環境の変化などにより年々変化するものです。
また、路線価は相続税や贈与税に大きく関与するものですから、最新の路線価のチェックと定期的な資産診断を心掛けましょう。

「土地活用」関連用語集

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資産承継や賃貸経営に関するホットな情報をお届けいたします。


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■監修者プロフィール

株式会社優益FPオフィス 代表取締役
佐藤 益弘

マイアドバイザー®
Yahoo!Japanなど主要webサイトや5大新聞社への寄稿・取材・講演会を通じた情報提供や、主にライフプランに基づいた相談を顧客サイドに立った立場で実行サポートするライフプランFP®として活動している。
NHK「クローズアップ現代」「ゆうどきネットワーク」などTVへの出演も行い、産業能率大学兼任講師、日本FP協会評議員も務める。
【保有資格】CFP®/FP技能士(1級)/宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/住宅ローンアドバイザー(財団法人住宅金融普及協会)