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2021年分 路線価発表!相続に影響が生じる可能性のある路線価の動向とその対策

公開日: 2022.10.28

最終更新日: 2022.11.08

2021年7月に、2021年分の路線価が発表されました。路線価は、土地の相続税評価額算出のために用いられる公的価格のひとつです。つまり、路線価の動向によって、相続に影響が生じる可能性があるということです。

この記事では、将来、不動産を相続する・させる予定のある方に向けて、路線価の概要、および2021年分の路線価から読み取れる傾向と今後の予測を整理し、路線価の変動による影響についてご説明します。

この記事のポイント
  • 路線価は相続税や贈与税の計算の基礎となる価格として用いられる
  • 2021年、路線価の変動率は前年比マイナス0.5%と6年ぶりに下落したが、上昇エリアも
  • 路線価変動の各種影響について、専門家による資産の診断を定期的に実施することが望ましい

路線価とはなにか


路線価の概要と路線価を使った自用地の評価方法について、ご説明します。
不動産の価値を指標化する際の、4つの価格(一物四価)については、こちらの記事で解説しています。

>【2021年公示地価発表】全国平均で6年振り値下がりも、上昇エリアも!要因や節税対策など徹底解説!

路線価の調べ方


土地価格のひとつである路線価は、相続税や贈与税の計算の基礎となる価格です。路線価は、他の土地価格と異なり、土地ではなく道路に価格がつけられています。

そのため、まずは国税庁が公表している「財産評価基準書路線価図」から、所有する土地が含まれている路線価図を検索し、その土地が面している道路を探します。


例えば、土地(200?)が路線価図の青い部分にある場合、この土地の路線価は、面している道路上の赤く丸で囲まれている数字で示されています。





表示されている路線価は1?あたり千円単位となっており、土地面積を乗じて「評価額」を算出します。この計算で算出されるのは、自用地(他人の権利が付着しておらず、自由に利用することができる土地)としての評価額計算方法です。


土地は、権利関係によって、自用地のほか、貸家建付地、貸宅地などがあり、それぞれ評価方法が異なります。

また、間口の広さや奥行きの長さ、道路付け、広大地評価など、さまざまな補正があります。


参考)路線価図の説明(国税庁 路線価図・評価倍率表)
https://www.rosenka.nta.go.jp/docs/ref_prcf.htm

2021年度 路線価の傾向と今後の予測


全国の平均値(標準宅地の評価基準額の対前年変動率の平均)は、以前の推移を見ると、2020年分路線価は前年比プラス1.6%で推移しており、近年、路線価は上昇傾向にありました。しかし、2021年分路線価では前年比マイナス0.5%となっています。



出典:国税庁データより引用



新型コロナウイルス感染拡大によって、活動自粛が求められ、経済が停滞したことは、不動産市場にも影響を与えています。また、新型コロナウイルスの影響は、日本人の活動自粛や経済停滞だけにとどまりません。

2011年以降、順調に訪日外国人の数が増えていましたが、2020年の訪日外国人旅行者数(推計値)は、前年比87.1%減の411万5,900人となっています。東京オリンピック開催による、さらなるインバウンド需要増加に応える整備を日本各地で進めていたことも、路線価の上昇傾向に寄与していたものと考えられます。

しかし、新型コロナウイルスの影響により、訪日外国人の数が激減し、整備の中止・延期を余儀なくされたことが、路線価のマイナス推移につながったといえるでしょう。

また、「2021年分 都道府県庁所在都市の最高路線価」を見てみると、2021年分の路線価は、昨年の路線価と比較して、都道府県庁所在都市の最高路線価が上昇した都市は大幅に減少しています。47地点中22地点がマイナスとなっており、その他の25地点は上昇および横ばいとなっていますが、上昇した都市の上昇幅は縮小しています。



令和3年 都道府県庁所在都市の最高路線価

※画像をクリックすると、拡大表示されます。

出典:国税庁データより引用

※路線価は、毎年1月1日を評価時点として、地価公示価格等を基にした価格の80%程度を目途に評価しています。


マイナスとなったエリアは、外国人観光客に人気のあったところが多いようです。一方、上昇しているエリアは、仙台、宇都宮、千葉、横浜、福井、佐賀、大分と少数ですが、コロナ禍においてリモートワークが進み、感染が拡大したエリアの近県郊外として注目が集まったことが大きく影響していると考えられます。




出典:国税庁データより引用


新型コロナウイルスの影響は長期にわたっており、今後、どこまで継続するのか明確ではありません。過去、大きく路線価が落ち込んだバブル崩壊後、リーマンショック後も再び上昇基調に戻っています。そのため、今回もコロナ禍が収束した後は、再び上昇傾向に回復する可能性が高いと考えられるでしょう。


路線価が変動するとどれくらいの影響が生じるか


路線価の変動によって、相続税にどれくらいの影響が生じるのか、ケーススタディでご説明します。

ケース


Aは世田谷にある住宅(土地面積:200?/家屋の固定資産税評価額:2,000万円)に妻、長男とその妻の計4人で居住。長男夫婦は、親夫婦が亡くなった後も、現在の住宅に居住予定です。

Aは、自宅以外に預貯金1,000万円を資産として保有しています。その他の資産はないものとします。なお、住宅地の路線価は、40万円/?と46万円/?で比較するものとします。

単純計算での路線価の変動による相続税総額の差は、1?あたり6万円上昇したという今回のケースでは、自宅に対する小規模宅地の評価減を適用すると24万円の増加という結果になりました。

これだけを見ると、大きな影響はないと思われますが、自宅に対する小規模宅地の評価減が適用できないようなケースや、比較的大きな敷地が必要となる駐車場や農地といった土地を所有しているケースでは、1?あたりの路線価の変化が土地の評価額および相続税額に及ぼす影響はかなり大きなものとなることが予想されるため、遺産分割の仕方によっては注意が必要です。

まとめ


2021年の路線価の状況は全体的にはマイナス推移となりましたが、時代背景などにより部分的に上昇している地域もあり、今後上昇基調となることも考えられます。

いざ相続が発生した時に慌てることがないように、専門家による定期的な資産診断や、円満・円滑な資産承継に向けた対策を、できることからひとつずつ実行していくことが望ましいでしょう。

監修者プロフィール
中西 諒太 
不動産ライター・宅建士・ファイナンシャルプランナー・住宅ローンアドバイザー 

アパレル、飲食店での勤務を経て、不動産業界へ。
仲介・管理業務を経験。現在は不動産業務の傍らライティングや監修に携わる。

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