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不動産投資の経費まとめ|認められるものと認められないものは?

公開日: 2022.10.28

最終更新日: 2022.11.07


最終更新日:2022年6月16日

不動産投資は安定した家賃収入が得られるメリットがある一方、修繕費、管理費などさまざまな支出が発生します。

このような支出には経費として計上できる項目とできない項目があります。


経費を有効に活用できれば節税対策にもつながるため、不動産投資家の方はそれぞれの違いを理解しておくことをおすすめします。

本記事では不動産運営にかかわる経費について徹底解説します。

1.なぜ不動産投資で経費が重要なのか

不動産投資では経費の種類や計算方法の把握が重要です。
経費が重要である主な理由を以下で2つ紹介します。

使用した費用を正確に把握するため

不動産投資では物件の入居者から家賃を得られる一方、修繕や管理費、税金などさまざまな支出が発生します。

しかし、上記の中には必要経費として計上可能な項目と計上できない項目があります。
経費計上が適切に行われないと、節税効果が表れず不動産投資に見合った収益が得られない可能性があります。


そのため、経費の考え方や節税のコツを理解することが、不動産投資のリターンを大きくするポイントといえるのです。

適切な額の納税を行うため

経費を正しく計上することは、不動産投資に限らず経営において重要です。

賃貸経営で課税対象となるのは、基本的に総収入金額から経費を引いた分であるため、多くの金額を経費計上すれば税金は抑えられる仕組みになっています。


ただし、不適切な経費計上はペナルティのもとになります。実際に個人や法人が過剰な計上をして罰則を受けたケースもあるため、決して行ってはいけません。

また、納税者の勘違いにより本来の納税額より税金を多めに支払っても、税務署は特に指摘してくれませんので、正しい知識をもって適切に行う必要があります。

2.不動産投資で経費計上できる項目の例

不動産投資で経費計上できる主な項目を紹介します。
経費の計上が節税につながる場合もあるため、見落とさないように注意しましょう。

不動産投資にかかる税金

不動産購入の初年度にかかる税金は、経費として計上できます。
不動産取得税、登録免許税のほか、売買契約書や領収書などの文書にかかる印紙税も該当します。


また固定資産税や都市計画税は土地・建物を所有している限り、毎年かかるものになりますが、継続的に経費として計上可能です。
特に固定資産税は都心など立地条件が良く、資産価値の高い物件ほど高額になるため、経費として計上できる金額の割合も大きくなります。

保険料

自然災害や火災など、万が一のリスクに備えて加入する保険の費用は、経費の対象となっています。

対象となる保険の種類として、火災保険、地震保険が挙げられます。自分が住む目的で物件を購入する場合もよく利用される損害保険ですが、不動産投資では加入が必須といえる保険です。


万が一、火災や地震で建物が損害を受けた場合、修繕費用の支払いや家賃収入の減少により、大きな損失を被る可能性があるほか、金融機関によっては保険の加入がない場合、ローンの審査に通らないこともあるためです。

この他に施設賠償責任者保険なども経費にできるため、特にアパート経営やマンション経営をする場合は、加入をおすすめします。
保険を経費として計上するためには、利用明細が必要になりますが、加入している保険会社に連絡することで取り寄せられます。

管理委託料・管理費

アパートやマンション経営においては、賃貸管理や修繕・メンテナンスなどの業務を不動産管理会社へ委託するのが一般的です。

管理委託料や管理費とは、こうした管理会社へ支払う費用のことです。修繕や清掃を臨時に行った場合だけでなく、定期的に行う住宅の共用部分の清掃や設備の点検・保守に関連する費用も経費に加えられます。


ただし、サブリース契約の場合、サブリース会社が管理費を負担しているため、費用計上できないケースもあります。
なお、こうしたケースでは、サブリース会社が管理費を負担することを見込み、管理費相当分を相場賃料から差し引いて借り上げ賃料を設定することが多くなっています。そのため、オーナーに支払う借り上げ賃料は相場より低めに設定される傾向があります。

ローン返済時の金利

不動産投資ローンを組んで物件を購入した場合、借入金の返済をしなければなりません。ローン返済の費用は、元本部分は経費計上できませんが、金利部分は経費として計上することが可能です。


なお、ローン金利は固定と変動のどちらを選択したかによって、支払うべき利息額が異なります。固定の場合、変動より利率が高めに設定されるデメリットがありますが、毎年変更がないため、トータルの借入金利子がいくらになるか、予測がつきやすいメリットがあります。


一方、変動の場合、借入れ時の金利は固定より低めですが、一定期間ごとに利率の見直しが行われるため、 金利の更新を常に気にしていなければなりません。

さらにローンを組む際に保証会社へ支払う保証料も、経費として計上可能となっています。
ただし、長期一括払いしている場合には、年数で割って1年分を計上する必要があるため注意しましょう。

司法書士・税理士への報酬金

賃貸経営では、司法書士や税理士などの専門家に業務を依頼するケースがあります。
例えば契約書などの書類作成、所有権登記名義人の変更、確定申告の手続きが考えられます。

このような専門家に業務を依頼した場合の報酬金も、経費として計上可能です。司法書士や税理士以外にも、不動産鑑定士に不動産の価値の査定をする場合の依頼料、弁護士に入居者との間で発生したトラブル解決の相談料などがあげられます。

仲介手数料

仲介手数料とは物件購入時に仲介を担当した不動産会社へ支払う手数料です。
経費として計上可能ですが、計上できるのは建物部分のみで、土地部分は対象外となります。

また、この場合の仲介手数料は「建物の取得価額」に算入されるため、初年度に全額計上はできず、取得価額によって計算される減価償却の額が、不動産所得の必要経費に算入されることとなります。

広告宣伝費

広告宣伝費は入居者募集などで必要となる費用です。賃貸経営は入居者がいなければ収入が得られないビジネスであるため、こちらは経費として計上が可能です。
入居を決めた方へのプレゼントとして、家具や家電、商品券などを渡す場合があります。これらの購入費用は交際費として経費計上ができます。

入居者へのプレゼントはオーナーの負担になりますが、経費として計上できることを理解していれば、入居者を集める手段として効果的な方法といえるかもしれません。
ただし、プレゼントにかける金額や種類は、費用対効果をよく考えたうえで、検討する必要があります。

3.不動産投資で経費計上できない項目の例

続いて不動産投資で経費計上できない主な項目を紹介します。
誤って経費計上してしまうと、税務署から指摘を受ける可能性があるので、経費計上できる項目との区別がつけられるようにしましょう。

特に経費計上可能な項目であってもプライベートでの使用、もしくはプライベートでも使用できると判断されたものは、原則として経費計上できない点に注意してください。

被服費・カバン代


不動産会社や金融機関の担当者に会う際、スーツを着用したり、ビジネスバッグを持参したりするケースがあるでしょう。
不動産投資に関係する打ち合わせや商談をするのであれば、こうした被服費やカバン代は経費と計上できるように思われます。

しかし、スーツやビジネスバッグは不動産投資以外の仕事の場面や私用でも使えることから、原則として経費の対象外となります。

個人に課せられる税金

所得税や住民税といった個人に課せられる税金は、不動産投資と関係なく発生するという判断をされるため、経費の対象外となります。
会社員など本業で得た所得に対する税金と、不動産収入の税金は別に考えることが大切です。

ただし、前述した減価償却による損益通算は、所得税額や住民税額を減らす手段として活用できることは覚えておきましょう。

反則金・罰金

不動産投資に関係する交通費や自動車のガソリン代、自動車税などは経費として計上可能ですが、交通違反をした際の反則金や罰金は計上できません。

罰金の例としては、主に自動車やバイクのスピード違反、駐車違反などが考えられます。移動のための費用が経費にできるとはいえ、自分のミスで起きた反則金や罰金を経費計上するのは、常識的に考えても不適切といえるでしょう。

4.経費計上する際に注意が必要な項目の例

ここまで経費計上できるものとできないものの違いを説明してきましたが、経費計上できる項目の中には、注意すべき項目がいくつかあります。

以下に主な項目6つについて解説します。

減価償却費

減価償却費とは、物件を購入する際にかかった取得費用を法定耐用年数に応じて配分した金額のことです。

会計の計算上発生する費用項目であり、実際の支出を伴わないにもかかわらず、帳簿上の利益を減らせるため、節税の手段として有効です。


また、減価償却費の計上により不動産経営の収支が赤字になった場合、オーナー自身の給与所得などと損益通算することで、課税所得額の合計を抑えることが可能です。

なお、減価償却費の計算に用いる法定耐用年数は、木造は22年、鉄筋鉄骨コンクリートは47年といったように、建物の構造によって 異なります。
詳細は国税庁の「主な減価償却資産の耐用年数表」より確認するようにしてください。


さらに実際に減価償却費を算出をするためには、定率法や定額法による計算方法や税率の確認も必要です。

ただし、減価償却費は建物のみであり、土地の購入にかかった費用は経費計上できないので注意しましょう。


出典:主な減価償却資産の耐用年数表(国税庁)

旅費・交通費

不動産購入の際の現地視察、不動産会社への訪問に使った旅費や交通費は、経費として認められます。

例えば宿泊費、公共交通機関の運賃、高速道路料金、ガソリン代、駐車場代などが考えられます。

ただし、これらはあくまで不動産投資に関係する費用である必要があります。
プライベートで使われたと判断されたものは経費計上できないため、公私混同をしないよう注意しましょう。

交際費

不動産投資にかかわる交際費は、経費として計上可能です。
例えば取引先との会食や接待の際に要した飲食代、贈答品に使った費用などが考えられます。

もちろん、事業運営に必要な出費であることが条件であり、関係のない出費は対象外です。
交際費は公私混同が起こりやすいことから、税務署のチェック対象になりやすい項目なので、特に注意深く考える必要があります。

家族に支払う給与

不動産所得が事業的規模であれば、確定申告時に青色申告を行うことで、家族に支払う給与は経費計上が可能です。
さらに青色申告控除(最大65万円)を受けられるメリットもあります。


ただし、多額の給与を申告すると税務調査が行われる可能性があるので、申告書に記載する計上額は慎重に検討しなければなりません。
なお、青色申告をするためには、事前に青色申告承認申請書を税務署へ提出する必要があります。

提出期日は原則として青色申告をしようとする年の3月15日までとなっており、もし期日を過ぎてしまうと、白色申告による申告になってしまうため、遅れないように注意してください。


出典:事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分(国税庁)

出典:所得税の青色申告承認申請手続(国税庁)

修繕費

退去に伴う原状回復工事、設備の故障などの修理やリフォームにかかった工事費用は、修繕費として経費計上が可能です。
ただし、修繕費と混同しやすい内容として「資本的支出」があります。
修繕費は経費計上できますが、資本的支出は対象外であることから、それぞれの違いを理解しておかなければなりません。
金額でどちらに該当するかを判断する場合、以下のような基準があります。

出典:資本的支出と修繕費(国税庁)

    • 【修繕費】
      1度で支払う金額が20万円未満のものが修繕費として経費計上できる
    • 【資本的支出】
      20万円以上になると資本的支出に該当して資産を購入したと見なされる

しかし、修繕費と資本的支出の違いは金額のみではありません。

原則として工事内容が建物の維持管理・原状回復に該当するものは修繕費、現状よりも性能を高める工事(リノベーションなど)は資本的支出に該当すると考えられています。

資本的支出で要した費用は修繕費の対象外ですが、減価償却費として経費計上が可能です。

資本的支出の減価償却は基本的に新たに資産を取得したものと考えて、その取得価格を種類や耐用年数に応じて償却を行います。

ただし、工事内容によっては上記2つのどちらに該当するのか、判断が難しいケースがあるのも事実です。
そのような時は自己判断せず、できるだけ税理士などの専門家へ確認することをおすすめします。

情報収集や勉強のための費用

不動産経営をしていると、情報収集や知識取得の勉強を行う機会が増えるでしょう。
情報と知識は不動産経営を有利に進めるために欠かせないため、積極的に取得したいものですが、こうした目的で購入した新聞図書費、有料セミナーへの参加費用などは経費計上できます。

ただし、宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士といった不動産関連の資格取得費用、資格の参考資料の購入費などは経費計上できないので注意しましょう。

上記の資格を取得すれば、不動産の知識が向上するため役立つ場面も多いと考えられますが、不動産投資で必須となる資格ではないためです。

5.不動産投資では経費の有効活用が重要

不動産投資ではさまざまな支出が発生しますので、経費計上できるかどうか、その都度、調べていると大きな手間がかかっています。

そのため、経費の種類や計上できる項目、計上できない項目の区別は、不動産投資を始める前に、ある程度の基礎知識をつけ、シミュレーションしておくことをおすすめします。


経費計上の判断が難しい場合は、担当の税理士や信頼できる不動産会社などに確認をして、裏付けを取ることが大切です。
大東建託では土地活用に関する相談を無料で受け付けていますので、不動産投資や資産運用に関して疑問点や不明点がありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。







監修者プロフィール
【伊野文明】

宅地建物取引士・FP2級の知識を活かし、不動産専門ライターとして活動。賃貸経営・土地活用に関する記事執筆・監修を多数手掛けている。ビル管理会社で長期の勤務経験があるため、建物の設備・清掃に関する知識も豊富。

【保有資格】
・宅地建物取引士
・FP2級
・建築物環境衛生管理技術者

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