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空き家の固定資産税は跳ね上がる!?

公開日: 2022.10.28

最終更新日: 2023.02.15

2015年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されたことによって、空き家を放置すると、多額の固定資産税等が課税される可能性があることをご存知でしょうか。そのような事態を回避するためには、どのような対策を講じればよいのかを紹介します。

この記事のポイント
  • 市町村長から「特定空家等」の判断を受けた場合、「空家等対策の推進に関する特別措置法」によって多額の固定資産税が課税される
  • 「特定空家等」に認定された場合、「住宅用地の特例措置」は非適用となり、課税額が大きく跳ね上がる
  • 「特定空家等」に認定されないようにするには、常日頃からしっかりとした管理が重要

空き家と「空家等対策の推進に関する特別措置法」

平成30年の住宅・土地統計調査によると全国の空き家は846万戸にのぼり、その数は年々増加しています。もし、管理が不十分な空き家が増加すると、火災の発生や建物の倒壊、衛生面や景観面での悪化等多岐にわたる問題を発生させる可能性が高まります。

そのため、その対策として施行されたのが、「空家等対策の推進に関する特別措置法」です。その規定に基づいて、市町村長が「特定空家等」の所有者等に対して周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとることを勧告した場合には、固定資産税等の住宅用地の特例措置の対象から当該「特定空家等」にかかわる敷地を除外することができるようになりました。つまり、空き家を放置すると、多額の固定資産税が課税される可能性があるということです。

特定空家の要件とは?

空き家が、「特定空家」とされるか否かは、空き家そのものの状態と、周辺への影響の両面から判断されます。
以下の4つの状態にあると、是正措置の対象となり「特定空家等」となります。

  • そのまま放置すれば倒壊など、著しく保安上危険となるおそれのある状態
  • そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  • 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
  • その他周辺の生活環境の安全を図るために放置することが不適切である状態

空き家の税金(固定資産税)はどのくらい跳ね上がる?

土地に対する固定資産税や都市計画税が課税される年の1月1日(賦課期日)において、住宅やアパート等の敷地として利用されている土地(住宅用地)については、特例措置があり、税金が軽減されています。これは、「住宅用地の特例措置」と呼ばれているものです。

住宅用地の特例措置
固定資産税
空き地(更地) 課税標準額 × 1.4%

小規模住宅用地

200㎡以下の部分

課税標準額 × 1/6 × 1.4%

一般住宅用地

200㎡を超える部分

課税標準額 × 1/3 × 1.4%
※「住宅用地の特例措置」は固定資産税と都市計画税に対して適用されますが、ここでは固定資産税の特例措置について紹介します。

具体的には、小規模住宅用地(住宅1戸につき200平方メートル以下の部分)に当たる場合に、固定資産税の課税標準額(課税される金額)が6分の1となり、一般住宅用地(住宅1戸につき200平方メートルを超える部分)においても、課税標準額が3分の1となります。

しかし、「特定空家等」と指定された場合は、この特例が適用できなくなります。
例えば、住宅用地180㎡で築50年の木造2階建ての場合を見てみましょう。

上記事例で試算すると、小規模住宅用地に該当するときは固定資産税標準額の6分の1に軽減できますが、「特定空家等」に認定された場合は満額の16.8万円が固定資産税額となります。この場合、増税額は14万円となり、3.5倍の増加と大きく跳ね上がることになります。



固定資産税の「住宅用地の特例措置」を維持するために

「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行される前は、空き家を所有していても、解体するには費用がかかるなどの理由から、自然に朽ちるまで放置をしていたとしても固定資産税の「住宅用地の特例措置」の適用が維持されているケースが多くみられました。

しかし、「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されている現在、 対策を講じておかなければ「特定空家」と認定され、「住宅用地の特例措置」の適用維持ができなくなってしまう可能性があります。

では、どのような対策を講じておけばよいのでしょうか。 対策にはさまざまなものが考えられますが、 重要なのは、「特定空家等」と認定されないようにしっかりとした管理を行うということです。 いくつか管理例を紹介します。

管理例1:別荘(自己使用)として管理

たまに使う自分用の別荘として利用、管理するというのも一つの方法です。しかし、所有している空き家が遠方にあるなどの理由から、自分で利用することが難しい場合もあります。

管理例2:賃貸物件(建物活用)として管理

整備をしたうえで賃貸物件として活用すれば空き家に認定されることを回避できるうえ、賃貸収入を得ることもできます。

管理例3:賃貸物件(土地活用)として管理

空き家を解体して青空駐車場など別の方法で土地活用する方法もあります。ただし、駐車場の場合、固定資産税の住宅用地の特例適用を維持することはできません。固定資産税の増加分をカバーするだけの収益を上げることができるかどうか、シミュレーションが必要です。

管理例4:管理の委託を行う

さまざまな企業で月1回の定期清掃や郵便物の回収など、サービスは色々ですが、空き家の管理を行っている会社もあります。そのような企業に空き家の管理をお願いすることもできます。

管理が難しい場合は?

そもそも、費用等の面で管理が難しい場合は、売却をするという方法も一案です。

まとめ

どの対策が有効であるかは、所有者の意向および土地の立地環境などによって異なります。現在、空き家を所有している方はもちろんのこと、そして将来的に、空き家を所有する可能性がある方も、このような税制面での優遇措置などをしっかり把握し、有効的な空き家の活用について、早め早めに対策を考えることが大事です。

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