賃貸経営で戸建てを選ぶメリットとデメリットは?注目される理由
公開日: 2022.10.28
最終更新日: 2025.04.02
不動産や土地を活用して収益性を高める賃貸住宅への不動産投資。投資効果が可視化しやすいだけでなく節税効果の期待や相続税対策としても注目されています。
戸建ての賃貸経営はアパート経営やマンション経営と比較して、 子供の教育環境を重視してファミリー層の入居期間が長くなりやすい傾向にあることから、始めるオーナー様も多いのではないでしょうか。
この記事では賃貸経営で戸建て住宅を選ぶメリットとデメリット、失敗しないためのポイントや注意点を解説していきます。
目次
1-1戸建物件のニーズが変化している
1-2ペット可の賃貸物件の需要が伸びている
2-1少額の資金から始めやすい
2-2長く住んでくれる人が多い傾向にある
2-3出口戦略が複数見込める
2-4狭い土地でも始めやすい
2-5税金対策になる
3-1空室のリスクヘッジができない
3-2物件の管理がしづらい
3-3得られる利益が少ない
6. 戸建て賃貸経営で土地活用する際は相談先を確保しておくことも重要
1. 戸建ての賃貸経営が注目される理由
区分マンションの賃貸経営と異なり戸建て賃貸は土地を単一で所有することができるため、売却などの出口戦略の選択肢が多く再建築することもできるため、ターゲットのニーズに柔軟に対応できることが魅力です。
1-1. 戸建物件のニーズが変化している
かつて賃貸市場において戸建賃貸は非効率な土地活用法の1つと言われていました。貸し出せる戸数が1つしかなく、複数戸あるアパートやマンションと比べて賃貸収入を多く稼げないため、収益として劣り空室時のリスクが大きいと考えられていたためです。
一軒家に住みたいファミリー層は一定量存在します。加えて、将来への不安などから持家より賃貸と考える人が増加傾向にあり、テレワークの普及など賃貸ニーズの多様化などにより郊外の需要も増加しています。
増加傾向にある需要に対して、戸建賃貸の供給があまり多くないという現状があるため、賃貸経営の方法としては狙い目と考えられるでしょう。
1-2. ペット可の賃貸物件の需要が伸びている
アパート・マンションの賃貸住宅ではペット不可の物件も多く存在します。
しかし、ペットと一緒に快適な生活を送れるような広い面積や間取りの家を求める人も多く、十分なスペースを確保できる戸建てへのニーズが高まっています。
そのため、ペット可物件とすることで入居希望者が集まりやすくなる傾向にあります。
2.戸建ての賃貸経営のメリット
一戸建ての賃貸住宅のメリットは下記が挙げられます。
- 少額の資金から始めやすい
- 長く住んでくれる人が多い傾向がある
- 出口戦略が複数見込める
- 狭い土地でも始めやすい
- 税金対策になる
それぞれ説明していきます。
2-1. 少額の資金から始めやすい
一棟の集合住宅を購入するためには億単位の資金が必要なケースもあります。戸建てなら低い投資額で需要が見込める物件を購入しやすいのが特徴です。
アパートやマンションの場合、駅近などのアクセスが良い場所でないと借主が見つかりにくく、アクセスが良い物件は高価になりやすく、手が出しにくいのが現状です。
戸建ての場合は郊外にある物件でも車を利用する前提で借りるケースが多いため、駐車場を敷設するとなおよいでしょう。
2-2. 長く住んでくれる人が多い傾向にある
戸建ての場合、アパートやマンションと比べてファミリー層が利用する傾向があります。
子供がいる世帯の場合は学校などの兼ね合いから比較的入居期間が長くなるケースが多いため、安定した賃貸経営を実現することが可能です。
2-3. 出口戦略が複数見込める
一般的に戸建ての場合は 賃貸経営を終える際に複数の選択肢が考えられます。
新しいオーナーに売却する
オーナー(大家さん)が賃貸経営を終える場合、入居者がいるケースも考えられます。退去してもらうという選択肢もありますが、賃料が発生している以上、収益は継続するため、入居者がいる状態で売却するオーナーチェンジという方法があります。
入居者が長い間住み続けた後、購入して持ち家にしたいというケースもあるため、今住んでいる人に売却することも可能です。
その場合、購入者を探す手間を省くことができます。ただし、更地にして売却する場合は解体費用を見込んでおく必要があるので注意しましょう。
自分の住まいとして住む
賃貸用として運用していた住宅も所有者であることから自分で住むことが可能です。
ハウスメーカーに相談して設備の取り換えや間取りを3LDKから4LDKなどへ変更するなどリノベーションしたり、修繕を施したりして、ライフスタイルが変わった後の生活拠点として検討しても良いでしょう。
2-4. 狭い土地でも始めやすい
アパートやマンションを建てるのは難しい狭い土地や変形した土地でも、戸建て賃貸経営なら始められる可能性があります。戸建ては約30坪ほどの広さがあれば建築できるケースもあります。
実際、住宅地の狭い土地の主な活用方法としては、戸建て賃貸か駐車場経営が選択肢に挙げられるケースは少なくありません。
戸建て賃貸の方が投資した分高い家賃設定をできることから、そういった土地をお持ちの方は検討してみるとよいでしょう。
2-5. 税金対策になる
厳密には戸建て特有のメリットではありませんが、賃貸として誰かに貸すことで税金の負担を軽減できる可能性があります。
住宅が建っている土地は「住宅用地の特例」により、固定資産税が最大1/6、都市計画税が最大1/3に軽減されます。固定資産税や都市計画税は更地にも課せられるため、戸建て物件を建てて土地活用をするメリットと言えるでしょう。
また、賃貸経営にかかる経費(修繕費や管理費、ローンの利息、固定資産税など)は、所得から差し引くことができるため、課税対象となる所得を減少させることができます。
3.戸建ての賃貸経営のデメリット
一戸建ての賃貸住宅のメリットは下記が挙げられます。
- 空室へのリスクヘッジができない
- 物件の管理がしづらい
- 得られる収益が少ない
- 入居者が変わったときの修繕費が大きくなりやすい
それぞれ説明していきます。
3-1. 空室のリスクヘッジができない
戸建ては集合住宅と異なり、原則として1つの世帯だけにしか貸し出せないため、空室になると家賃収入を全く得られなくなるリスクがあります。
家賃収入がない間も固定資産税や都市計画税などの税金や維持費、管理料、火災保険やローンの返済(借入金)など支払いは発生するため、どの程度の空室期間であれば事業が継続できるのか、シミュレーションをして収支計画やプランをしっかり立てておくことが重要です。
3-2. 物件の管理がしづらい
マンションやアパートの場合、共用部分であれば定期的な清掃や巡回点検などの際に状態を確認することが可能です。
しかし戸建ての場合、共用部分の概念はないため、状態を確認しにくい特徴があります。そのため、管理のほとんどは入居者任せになってしまい維持管理が不十分となる傾向があります。
また戸建てであっても、退去時の立会いや修繕費の見積もり、滞納への対応などオーナーとして行うべき管理業務は存在します。こうした業務を行うのが困難な場合は、管理手数料を支払い管理会社に任せることをおすすめします。
3-3. 得られる利益が少ない
戸建経営で得られる賃料は貸し出せるのが一世帯である関係上、アパートやマンションの一棟経営と比較すると見劣りするでしょう。戸建てを複数所有するなどの選択肢はありますが、資産を増やしていくのには時間がかかる傾向にあります。
3-4. 入居者が変わったときの修繕費が大きくなりやすい
前述した通り、戸建て賃貸は共用部分がなく、貸しっぱなしのためアパートのような定期メンテナンスはほとんどありません。
しかしその分、入居者が退去した時のクリーニング費やリフォーム費は、アパートやマンションなどと比べると割高になりやすい傾向にあります。
これは修繕の対象となる部屋が多いほか、建物の状況に応じて外装や外構工事なども行う必要が生じるからです。こういった費用がかかることも踏まえて、余裕のある家賃設定をするのがよいでしょう。
4.土地活用で戸建ての賃貸経営を始める流れ
では、具体的にどうすれば戸建て賃貸経営を始めることができるのでしょうか。
流れを順番に見ていきましょう。
Step1.目的を明確にする
なぜ賃貸経営をしたいのかを考えます。「将来の収入を増やしたい」、「土地を有効活用したい」など、目的がはっきりしていると物件のイメージがわきやすく専門家への相談もスムーズになります。
Step2.専門家に相談する
次に、専門家に相談しましょう。不動産投資の専門家として、不動産会社や建築会社、不動産管理会社などの専門家と相談し、初期費用、運営費、税金、法的リスクなどを具体的に把握します。また、地域の賃貸需要や市場動向についても、地元に詳しい不動産会社やコンサルタントから情報を集めましょう。
Step3.土地の調査をする
賃貸物件に適した土地なのか、調査を行います。以下のポイントを確認しましょう。
立地:交通の便や周辺施設(学校、スーパー、病院など)
土地条件:用途地域や、建ぺい率、容積率などの法的制限
市場調査:近隣の家賃相場や競合物件の状況
地盤調査:地盤の状態から建築にかかるコストを把握
Step4.計画する
賃貸経営の目的やターゲットを明確にし、それに基づいて計画を立てます。
ターゲット層:ファミリー向け、シングル向け、ペット可など。
間取りと設備:ターゲット層のニーズに応じた間取りや設備を検討します
収支シミュレーション:家賃収入、ローン返済、固定資産税、管理費などを見積もり、収益性を確認します。
Step5.建築会社を選ぶ
計画に基づいて、信頼できる建築会社を選びます。
戸建て賃貸の施工実績が豊富かどうか、提案力やアフターサービスはどうかなどを複数社比較しましょう。最終的には、複数社から見積もりを取り、コストと品質のバランスを確認して一社を選定します。
Step6.契約する
建築会社と、建築請負契約を締結します。契約書の内容を十分にチェックしましょう。
チェックすべき項目としては、工期、費用、施工範囲、追加費用の有無、支払いタイミングや金額、建築後の保証期間や内容が挙げられます。
Step7.建築する
建築がスタートしたら、進捗状況を定期的に確認しましょう。完成後、設備や仕上がりに問題がないか入念に確認し、引渡し完了です。
Step8入居者の募集を開始する
不動産仲介会社に、入居者の募集を依頼します。市場相場や物件の魅力を考慮し、適正な家賃を設定してもらいましょう。借り手が決まったら、建物賃貸借契約書の署名捺印をし、契約完了です。物件の引き渡しなどの入居者とのやりとりは仲介会社が行ってくれます。
5. 戸建ての賃貸経営を成功させるために重視したいこと
戸建ての賃貸経営で安定性を維持し、失敗しないために大切なことを理解しておくとよいでしょう。
5-1. 入居者が求める設備
入居者にニーズが高い設備を置くことにより、コストはかかりますが、入居者募集の際に有利に働き、入居希望者が集まりやすくなります。
例えばモニター付きインターホン、宅配ボックス、無料インターネット設備などが人気を集めている設備です。また、複数人が住むことの多い戸建てならではの人気設備もあります。
例えば浴室の追い焚き機能、広めの洗面台などの設備を充実させれば、家賃設定を高くすることや競合との差別化も可能で、投資効率をあげることができます。
5-2. 戸建ての立地
立地条件は賃貸経営の重要なポイントである家賃相場や賃料単価、価値を左右します。
ただし、戸建ての場合は駅から距離があっても一定の需要が期待できます。戸建物件はファミリー層に選ばれやすいため、小中学校や幼稚園、保育園が近くにあるエリアの戸建ても需要があり、不動産仲介会社も紹介や提案がしやすくなります。
また、リビングの面積が広く南向きで日当たり良好であることなども重視されるポイントです。
5-3.余裕のある返済計画
空室が長引いても返済できるようにゆとりのある収支シミュレーションを立てましょう。
そのためには、事前の市場調査で地域の家賃相場を把握するとともに、建築費用などの初期費用や、ランニングコストを抜け漏れなく確認しておく必要があります。
賃貸住宅経営のノウハウがある不動産会社などに相談し、堅実な計画を立てましょう。
6. 賃貸経営は相談先を確保しておくことも重要
今回は、一戸建ての賃貸経営について解説しました。
住宅用地で投資額少なく土地活用を始めるにあたって、戸建て賃貸経営は始めやすい手法です。
とはいっても、すべての土地が戸建て賃貸に向いている訳ではありません。
土地の周囲に戸建て物件に住みたいと考える人の需要がなければ、そもそも住んでくれる人が見つかりづらくなってしまいます。土地活用はどのような方法が適しているのかを市場調査し、不動産会社やハウスメーカーなど信頼できる土地活用の専門家に相談しながら進めるようにしましょう。
土地活用や賃貸経営、不動産管理の実績がある大東建託では、宅地建物取引士や鑑定士など経験豊富なスタッフが対応させていただきます。
お気軽に、大東建託へご相談ください。
大東建託のご提案
大東建託ではオーナー様の目的に合わせさまざまな土地活用メニューをご提案いたします。
賃貸アパート・マンションはもちろんのこと、賃貸併用住宅やテナント誘致、駐車場など、その土地に合わせた最適な土地活用メニューをご提示いたします。
「戸建ての賃貸住宅ってどうなのか?」「この土地で成り立つのか?」などの疑問をお持ちの方は、施肥一度ご相談ください。
■監修者プロフィール
有限会社アローフィールド代表取締役社長
矢野 翔一
関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。
【保有資格】2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者
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