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令和5年度税制改正要望から読み解く『今から備える税制改正』とは!?

最終更新日: 2023.09.15


公開日:2022年9月26日

令和4年8月、国土交通省から令和5年度の「税制改正要望事項」が発表されました。ちなみに税制改正要望事項とは、各省庁や業界団体・税理士会などが、財務省または総務省に、毎年8月頃に提出する「税金ルールに関する要望」をまとめたものになります。

税制改正の影響を直接的に受けやすい事業者にとっては、極めて気になる内容のはずです。そこで今回は、この税制改正要望事項の中から、特に大家さんに関係しそうな重要な部分をピックアップしてお伝えします。

1.税制改正ってなに?

税制改正とは、文字通り「税金の制度を改定すること」、つまり税金のルール(制度)を変えることです。
具体的には、既存の制度や税率が変わったり、特例が延長・終了したり、あるいは新たな税制が作られたりします。

一般の方にとっては、「消費税」の創設や税率変更が身近な税制改正かもしれません。

この税制改正は毎年行われています。

なぜこの税制改正が毎年行われるかということを一言で言うと、「社会の変化に十分に対応するため」です。


今はコロナ禍をきっかけに急速な社会構造の変化が大きく進んでいます。
ただ、このような特段なことがなくても、経済社会は常に変化をし続けています。その変化に敏感に対応するために、その時々の状況に応じて、各省庁などが改善したいことや懸念への対策として行われるのが、税制改正です。

裏を返せば、この税制改正の内容を知ることで、現在の日本における問題は何なのか(国が何を問題だと認識しているのか)、どのように改善をしたいのかといった、将来に向けた国のスタンスや方向性が分かることに繋がります。


国家権力は極めて大きな力ですから、自分のスタンスや方向性に順応しているなら大きな追い風となりますが、逆行しているほどに強烈な逆風となりかねません。

このため、税制改正の内容が自分自身に関係する部分はないか、あるならどの程度の影響がありそうかを自分事としてしっかり捉え、必要に応じて適切に対応していくことがとても重要です。

国のスタンスや方向性に自分が順応している方が上手くいくことが多いですから、なるべくライフプランなど自分自身の目標設定を意識しながら、税制改正に対応するよう努めましょう。

2.令和5年度の税制改正の注目政策を予測!

冒頭でお伝えした「税制改正要望事項」は、文字通りの「要望事項」です。

つまり、この段階では要望している段階なので、実際に実現するかは未知数といえます。

ただ、方針として大きくぶれることは無く、「(いずれ)このような方向性で改正される可能性がある」わけですから、しっかり内容を知っておきましょう。


今回はその中から大家さんにとって重要な税制改正要望事項に関して紹介します。

2-1.相続税・資産承継関連

相続税・資産承継関連としては、特に「土地の所有権移転登記等に係る特例措置の延長(登録免許税)が挙げられます。

現在、土地を登記する際に必要な登録免許税の税率が下げられている(所有権移転登記:本則2%、特例1.5%/信託登記:本則0.4%、特例0.3%)という特例です。

この措置を2年間(令和5年4月1日から令和7年3月31日まで)延長するという内容になります。

2-2.保有税関連

保有税関連では、特に「長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する特例措置の創設(固定資産税)」が注目です。

これは令和4年6月7日に閣議決定された「新しい資本主義実行計画フォローアップ」の一環として、新たに創設される制度になります。

この制度は、一定の要件を満たすマンションが、必要な修繕積立金を確保して、長寿命化に資する一定の大規模修繕工事を実施した場合、工事完了の翌年度分の固定資産税を1/3減額する制度です。
これは令和5年4月1日から令和7年3月31日までの2年間の特例措置になります。

また「耐震改修が行われた耐震診断義務付け対象建築物に係る税額の減額措置の延長(固定資産税)」も大切です。
この特例措置とは簡単にいえば、一定の建築物において耐震改修をした場合、工事完了の翌年度から2年間、改修工事費の2.5%を限度として、固定資産税を1/2減額する制度になります。この措置を3年間(令和5年4月1日?令和8年3月31日)延長するという内容です。

2-3.所得税関連

所得税関連では、特に「空き家の発生を抑制するための特例措置(3000万円控除)の拡充・延長(所得税・個人住民税)」が挙げられます。

この特例は、一定の空き家を相続した相続人が、耐震改修した家屋または家屋を除去した土地を売却した場合、家屋または土地の譲渡所得から3000万円を特別控除できるという制度です。

従来の制度は、一定の工事を売却前にした場合に限って適用できましたが、この工事が「売却後」であっても適用するという拡充になります。
またこの制度を4年間(令和6年1月1日から令和9年12月31日まで)、延長するという要望です。

また、「低未利用地の適切な利用・管理を促進するための特例措置(100万円控除)の拡充・延長(所得税・個人住民税)」も大切といえます。
この特例は簡単にいえば、都市計画区域内にある一定の低額な土地を売却した場合、長期譲渡所得から100万円を控除できるという制度です。

従来の制度は、譲渡価格が500万円以下の場合に適用できましたが、これを800万円に引き上げるという拡充になります。
またこの制度を3年間(令和5年1月1日から令和7年12月31日まで)延長するという要望です。

2-4.環境関連

環境関連としては、国土交通省のもの以上に、環境省の「税制全体のグリーン化」が特に注目すべき内容です。

これは、平成24年10月から施行されている「地球温暖化対策のための税制」を維持しつつ、税制を全体的に「環境負荷に応じたものにする」といった内容になります。

「地球温暖化対策のための税制」とは、地球温暖化の原因の一つである二酸化炭素を排出する石油などの化石燃料に対する課税制度です。

つまり、「税制全体のグリーン化」とは、化石燃料に留まらず、環境に負荷をかける可能性があるあらゆるものに税金をかけ、逆に環境に優しいものは優遇する、といった方向性の内容ということが伺えます。

3.なぜ予測できるか。どのような意図が隠されているのか?

ここまで紹介した要望事項には、すべて何らかの「国の意図」が隠されています。

その意図を理解すれば、より国のスタンスや方向性を把握しやすくなるはずです。ピッタリと一致していなくとも、なるべく歩調を合わせるために、その意図をしっかり捉えておきましょう。

3-1.相続税・資産承継関連

「土地の所有権移転登記等に係る特例措置の延長」の特例については、「もっと土地を売買してほしい」という意図があると思われます。
現時点で、土地≒不動産の売買が以前より少なくなっています。

出典:国土交通省令和5年度「税制改正要望事項」


つまり、土地売買などの際に必要となる登録免許税の負担を下げることで土地の流動化、ひいては不動産の流動化を高めて経済の活性化を図り、コロナ過からの経済回復を目指したい意図が伺えます。

タイミング良く土地売買を検討中の方にとっては朗報といえる要望ですが、そういつまでも延長されるとは限りませんから、決断を急ぎましょう。

3-2.保有税関連

「長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する特例措置の創設(固定資産税)」も、「耐震改修が行われた耐震診断義務付け対象建築物に係る税額の減額措置の延長(固定資産税)」も、どちらも分かりやすく「切迫している未来への備え」が伺えます。

というのも、まず今後、高経年マンションが10年単位で倍々に増加する見込みです。

出典:国土交通省令和5年度「税制改正要望事項」


南海トラフ地震や首都直下地震などの発生も切迫しているとされています。

これらのように予測されている迫りくる未来のリスクに対して、ぜひ国民にも積極的に備えて欲しいという意図が伺える内容です。

大規模修繕工事も耐震改修も、大家さんとして必要な工事なのは確かですから、未来への保険の意味も込めて、なるべく国の思惑に乗っておきましょう。

3-3.所得税関連

「空き家の発生を抑制するための特例措置(3000万円控除)の拡充・延長(所得税・個人住民税)」も、「低未利用地の適切な利用・管理を促進するための特例措置(100万円控除)の拡充・延長(所得税・個人住民税)」も、どちらも分かりやすく「もっと不動産を有効活用してほしい、活用できないなら活用できる人に売却してほしい」という意図が伺える内容です。

これは相続税・資産承継関係にも通じる国の思惑といえます。

なお、空き家問題は有名ですが、低未利用地も深刻具合が増している状況です。
実際、この要望事項によると、以下のような状況になっています。


さらに深読みすれば、これらは事業者や大家さんへの後押しとも見える内容です。
個人が売却しやすい環境を整えたから、積極的に買い取って活用してほしい...とも伺えます。
どちらにしても、国としては積極的に不動産を動かしたい意図が強くあるようです。これから賃貸経営を拡大したい方にとっては、思惑が一致しているともいえます。
ぜひ制度が使えるうちに、積極的な活動を検討しましょう。

3-4.環境関連

「税制全体のグリーン化」は、極めて分かりやすい「環境問題への対策」といえます。
近年、毎年のように発生している大規模な自然災害も、地球温暖化が原因とされていますから、環境問題への対策は国としても緊急の課題ということが伺える内容です。
これはもちろん、世界すべての国や事業者、国民にも強く関係することですから、当然といえば当然といえます。

ちなみに現在、政府は「2050年のカーボンニュートラルの実現」を掲げている状況です。カーボンニュートラルとは簡単にいえば、地球温暖化の原因である二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を(木々が吸収してくれる分を差し引いて)実質的にゼロとする目標になります。
この目標達成のための「税制全体のグリーン化」というわけです。


この税制全体のグリーン化という方向性で話が進めば、少なくとも「温暖化対策を推進しているほど有利」ということになります。

なお、すでに賃貸経営においても少しずつ温暖化対策の後押しは進められていますが、それがさらに強化される可能性が高いわけです。
今後の賃貸経営においては、なるべく環境問題に配慮した建物建築・賃貸管理をしていきましょう。

4.まとめ

令和5年度の税制改正で特に注目したい点は環境問題と未来へのリスク対策、そして空き家や未利用地へのテコ入れ(流動化・活性化)などが強く表れている点といえます。

国として懸念しているという分かりやすいメッセージとして受け取ることができる内容です。
実際に税制改正の発表と施行されるまでには時間があるので、今のうちに把握・準備をしておきたいところといえます。

そして、このような最新の情報、情勢を知るための情報収集先(提携先)を確保しておくことも非常に重要なことと心得ておきましょう。

監修者プロフィール
【株式会社優益FPオフィス 代表取締役 佐藤 益弘(マイアドバイザーR)】

Yahoo!Japanなど主要webサイトや5大新聞社への寄稿・取材・講演会を通じた情報提供や、主にライフプランに基づいた相談を顧客サイドに立った立場で実行サポートするライフプランFPRとして活動している。
NHK「クローズアップ現代」「ゆうどきネットワーク」などTVへの出演も行い、産業能率大学兼任講師、日本FP協会評議員も務める。

【保有資格】
・CFPR・FP技能士(1級)・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
・住宅ローンアドバイザー(財団法人住宅金融普及協会)

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