土地活用関連の令和3年度税制改正について解説!コロナ禍への対応は?
公開日: 2022.10.28
最終更新日: 2022.12.16
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令和3年度の税制改正大綱が発表されました。令和2年度はコロナ禍により経済的に大きな影響が及んでいます。
土地活用に取り組んでおられる土地オーナーの方の中にも新型コロナウイルスの影響を受けたという方も多いでしょう。これに対して、税制関連ではどのような対応が取られているのでしょうか。
また、新型コロナウイルスに関わらず不動産関連の税金は所得税や住民税のほか、固定資産税、不動産取得税などさまざまなものがあり、それぞれ高額になることも多いので、各種特例の状況など気になっている方もいらっしゃるでしょう。
本記事では、令和3年度の税制改正について特に土地活用関連に絞って内容をお伝えしていきます。
この記事のポイント
- コロナ禍による影響を考慮して3年間固定資産税(都市計画税を含む)の負担調整措置が実施される
- 2020年末までだった控除期間13年間の住宅ローン控除が、2022年末まで延長され、床面積要件が40?以上に緩和
- 登録免許税や不動産取得税など各種適用期限の延長
土地に係る固定資産税等の負担調整措置
新型コロナウイルスによる影響を考慮して、固定資産税にについて、以下のとおり負担額調整措置が行われます。
- 固定資産税が増額となる一定の土地は前年度の同額に据え置き
- 令和3年度から令和5年度は現行の負担措置の仕組みを継続
固定資産税が増額となる一定の土地は前年度の税額に据え置き
固定資産税は通常3年に1回の評価替えが行われます。
また、通常令和3年度の評価替えは令和2年1月1日時点の地価などを基準に税額が決められます。
昨年まで東京オリンピックやアベノミクスによる円安誘導としたインバウンド需要などを理由に令和2年1月1日時点では全国地に地価は上昇傾向でした。しかし、その後新型コロナウイルスの影響により地価が下がるとみられる地点も多く、実際の地価との乖離をどのようにするかが焦点となっていました。
この問題について、令和3年度税制改正大綱では「令和3年度限りの措置として、固定資産税の納税額が増加する地点について令和2年度と同額に据え置く」こととしました。
なお、固定資産税が安くなる場合にはそのまま反映されることになります。
令和3年度から令和5年度は現行の負担調整措置の仕組みを継続
さらに、令和3年度から令和5年度は現行の負担調整措置の仕組みが継続されることとなっています。
商業地と住宅地で、負担水準に応じた調整措置が決まっています。
ちなみに負担水準とは、それぞれの宅地等の前年度の課税標準額が当年度の価格に対してどの程度まで達しているかを示すもので、以下の計算式で求められます。
負担水準=前年度の課税標準額÷当年度の価格×100%
商業地の負担調整について
商業地については以下のように負担調整が行われます。
- 負担水準が70%以上の場合:今年度の評価額の70%に引き下げ
- 負担水準が60%以上70%未満の場合:前年度の課税標準額と同額に調整
- 負担水準が60%未満の場合:今年度の評価額の5%を前年度課税標準額に上乗せ
例えば、前年度が700万円、今年度が1,000万円であれば負担水準は700万円÷1,000万円×100%=70%となります。
この場合、今年度の評価額を70%程度に引き下げられる措置が取られるため、固定資産税評価額が1,000万円であれば700万円に引き下げられることになります。
住宅用地の負担調整について
住宅用地については以下のように負担調整が行われます。
- 負担水準が100%以上の場合:固定資産税評価額の100%
- 負担水準が100%未満の場合:今年度の評価額の5%を前年度課税標準額に上乗せ
なお、上記2つの負担調整措置は都市計画税についても同じ措置が取られます。
住宅ローン控除の期間延長と条件緩和
住宅ローン控除についても以下のとおり期間延長や条件緩和が行われることが決まりました。
- 住宅ローン控除の期間延長
- 不動産取得税(住宅・土地)の特例の3年延長
- 床面積要件が50?以上から40?以上に緩和
住宅ローン控除の期間延長
住宅ローン控除は一定の要件を満たしたうえで住宅ローンを組んで住宅を購入する場合、10年間、毎年年末の住宅ローン残高の1%分について最大40万円(ただし、長期優良住宅など一定の住宅については50万円)まで所得税や住民税から控除を受けられるというものです。
この住宅ローン控除について、令和元年10月に実施された消費税8%から10%への増税の影響を緩和するため、令和2年12月まで控除期間を13年とする措置が取られていました。今回、新型コロナウイルスによる影響を緩和するために、控除期間を13年とする措置を令和4年末まで2年間延長することが決定されています。
ただし、住宅ローン控除はあくまでも控除のため、そもそも所得税や住民税を納めていなければ控除を受けることはできません。
なお、住宅ローン控除はマイホーム取得時に適用を受けられる制度ですが、賃貸併用住宅を建てるケースなど土地活用でも利用できることがあります。ただし、自宅部分のみ適用となる点には注意が必要です。例えば、賃貸併用住宅を建ててその内自宅部分が60%、賃貸部分が40%だった場合、住宅ローン控除を受けられるのは自宅部分の60%の部分のみとなります。
床面積要件が50?以上から40?以上に緩和
住宅ローン控除の適用を受けるためには対象の住宅が50?以上でなければならないという要件がありました。この要件について、40?以上50?未満の住宅でも適用を受けられるよう要件が緩和されることになりました。
ただし、40?以上50?未満の住宅については、合計所得1,000万円を超える年については適用を受けられないことになっています。
なお、ここでいう合計所得額とは収入から必要経費や給与所得控除を差し引いた所得の合計額のことを指します。
50?以上の住宅については1,000万円の所得制限はありませんが、もともと住宅ローン控除は1年間の合計所得が3,000万円超の年には適用を受けられないという要件がある点に注意が必要です。
面積 | 所得制限 |
---|---|
40?以上50?未満 | 1,000万円 |
50?以上 | 3,000万円 |
その他不動産関連の税制について
その他、不動産関連の税制について以下のような取り決めがなされています。
- 所有権移転(土地)の登録免許税の2年延長
- 不動産取得税(住宅・土地)の特例の3年延長
- 住宅取得資金贈与の非課税限度額の引き上げ
それぞれについてみていきましょう。
所有権移転(土地)の登録免許税の2年延長
土地の所有権移転登記について、令和3年3月31日まで固定資産税評価額×2%の登録免許税が係るところ、税率が1.5%に軽減される措置が取られていました。
この措置が2年間延長され、令和5年3月31日までとなります。
不動産取得税(住宅・土地)の特例の3年延長
不動産取得税について、令和3年3月31日まで以下の軽減措置が用意されていました。
- 土地及び住宅の不動産取得税について4%の税率を3%とする軽減措置
- 宅地の課税標準が1/2となる軽減措置
上記軽減措置について、3年間延長され令和6年3月31日まで延長されます。
住宅取得資金贈与の非課税限度額の引き上げ
一定の要件を満たす住宅の取得金について、直系尊属から贈与を受ける場合、一定額を非課税とする特例があります。
この特例は、令和3年4月1日?令和3年12月31日について消費税10%の場合、上限額1,200万円(それ以外の場合800万円)となっていましたが、この上限額について消費税10%の場合、1,500万円(それ以外の場合1,000万円)とする措置が取られます。
なお、この非課税限度額はそれぞれ令和2年4月1日?令和3年3月31日までの非課税限度額と同額であり、減額される予定だったものが据え置きされることとなったものです。
内容 | 改正前 | 改正後 |
---|---|---|
住宅用の家屋の新築等に係る対価等の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合 | 1,200万円 | 1,500万円 |
上記以外の住宅 | 800万円 |
1,000万円 |
まとめ
令和3年度の税制改正大綱の内容についてお伝えしました。
全体として新型コロナウイルスによる経済的なダメージを緩和する目的で、負担が増えることのないようにこれまでの軽減措置が据え置かれたり、拡充されたりしたものが多くなっていることが分かります。
土地活用において税金の負担が大きく感じることも多いでしょう。状況次第では、こうした税政策が取られることはチャンスとも捉えることができます。
それぞれの内容についてよく理解して、少しでもお得になるタイミングで物件の取得など進めていくとよいでしょう。
私立大学卒業後、不動産ディベロッパー勤務を経験し 不動産の用地仕入れや、分譲マンションの販売・仲介などを手掛ける。
居住用不動産や投資用不動産などの不動産全般のノウハウに加え、 自身でマンション売却経験もあるため、
実体験を元にした執筆が強み。 現在は独立し、不動産関係の記事で幅広く活動中。
「税金・相続」関連用語集
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