土地にかかる税金とは?購入・保有・売却・相続時にかかる税金の種類
公開日: 2022.10.28
最終更新日: 2025.11.28
不動産を所有していくうえで土地と建物に係る税金として「都市計画税」と「固定資産税」については特に知っておくべきです。納税額がどのくらいになるか、どうやって算出されるのかなど、固定資産税についてしっかりと理解しておくことが、土地活用を考える際には欠かせません。
目次
1. 土地と家屋にかかる「固定資産税」
1-1. 固定資産税のしくみ
固定資産税は、毎年1月1日(賦課期日)に固定資産(土地、家屋および償却資産)の所有者に対し固定資産が所在する市町村が課税する税金(地方税)です。
固定資産税評価額を課税標準(税額算出の基準になる数値のこと)として税額を算出します。
※売買の価格とは異なります。
固定資産税額=課税標準額(固定資産税評価額×軽減率)×標準税率(税率1.40%)
固定資産税評価額は、実際に売買された金額ではなく、総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づいて評価が行われます。
市町村長が評価額を決定し、納税義務者に通知されます。納税者はそれに基づき税額を納付します。
納税通知書は1月1日現在の物件の所有者として固定資産課税台帳登録された人に納付書とともに納税通知書が送られます。
原則毎年4~5月の送付ですが、自治体によって発送時期は多少異なります。 ちなみに価格等の算出の結果、各財産で定められた免税点未満の場合には課税されないため、納税通知書の交付はありません。
(免税点の例:土地:30万円、家屋:20万円、償却資産:150万円)
税金の支払い方法は納付書を使って支払う方法もありますが、東京都の23区など一部の地域ではクレジットカードによる納付も受け付けておりますので具体的なやり方に関しては自治体にお問い合わせください。 クレジットカードで納付することのメリットは家から振り込みができることと、ポイントがたまることです。(※カード振り込みの場合、手数料はかかります。)
>>関連記事:土地にかかる固定資産税とは?計算方法と税額を軽減させる方法
1-2. 特例措置
課税標準には特例措置や税負担の負担調整措置(負担水準)が適用されることがあり、その場合は課税標準額が低く算定されます。
たとえば、住宅の敷地として利用されている土地については、課税標準に一定割合をかけて評価を低くする特例措置があります。
・小規模住宅用地(200㎡以下の部分)......固定資産税評価額 × 1/6
・一般住宅用地(200㎡超の部分)......固定資産税評価額 × 1/3
他にも特例が設けられています。市区町村側が税額を計算する際、特例を適用する手続きも併せて行いますので、所有者が申請等を行う必要はありません。
2. 固定資産税評価額の決まり方
納めるべき固定資産税を算出するためには、固定資産税評価額を知る必要があります。ここでは、土地・建物それぞれの評価方法と、固定資産税評価額を確認する方法を解説します。
2-1.土地の評価方法
土地の固定資産税評価額とは、各市区町村が固定資産評価基準に基づき決定します。
この評価額は3年に一度、「評価替え」によって見直されます。ちなみに、直近では2024年に実施されたため、次回の評価替えは2027年度になります。
土地の固定資産税評価額の算出方法は2つあり、「路線価方式」もしくは「標準宅地比準方式」を用います。
路線価とは、土地の価格が同等と認められる路線ごとに評価した、1平方メートルあたりの価格のことです。
土地はそれぞれ条件が異なるため、土地を評価する際はこの路線価を基に、角地の有無、土地の奥行や形状といった個別の条件に応じて補正(加算)を加えて算出します。
【計算式】
土地の固定資産税評価額=固定資産税路線価×土地面積×補正率(加算率)
標準宅地比準方式とは、標準的な土地の単価を定めて、その値を基に算出する方法です。
場所によっては路線価が定められていない地域もあるので、その際に利用する算出方法です。土地ごとに形状や条件が異なるため、補正率を加えて計算します。
【計算式】
土地の固定資産税評価額=標準宅地1平方メートルあたりの単価×土地面積×補正率(加算率)
2-2. 建物の評価方法
建物については、再建築価格を基準に固定資産税評価額を算出します。
所有している建物を建て直すと想定した場合の建築費を計算し、年月の経過による価値の減少分(経年減点補正率)を考慮して算出する方法です。
建物の評価は、築年数や面積、構造、仕様などによって異なります。例えば以下のとおり、さまざまな要素を加味して評価されます。
【評価対象になる要素の例】
・建物の種類:住宅、共同住宅、事務所、併用住宅、店舗、付属家、工場等
・建物の構造:木造、鉄筋コンクリート造、軽量鉄骨造、コンクリートブロック造等
・床面積
・間取り・内部仕様
・使用資材、使用量及:屋根材、外壁材、内装材、断熱材等
・設備・仕様:ユニットバス、システムキッチン、床暖房設備等
・施工の程度
具体的な評価は、屋根や外壁、柱、内道などに使われている建材や施工の程度を、市区町村の家屋調査士が確認して評価します。
なお建物についても3年に一度評価替えによって見直されるため、年数の経過とともに評価は下がっていくのが一般的です。
ただし、近年のように建築費の上昇が続く中では、必ずしも下がるとは限らず、据え置かれることもあり得ます。
2-3. 固定資産税評価額を簡単に把握したいときは
固定資産税評価額の算出には、先述したとおり少々手間がかかります。簡単に確認したい場合は、市区町村から届く固定資産税の納税通知書を確認しましょう。納税通知書は毎年4〜月頃に、土地・建物の所有者のもとに郵送されます。
もし納税通知書が手元にない場合は、市区町村で固定資産課税台帳を閲覧するか、固定資産評価証明や公課証明書を取得することでも可能です。
ただし閲覧や取得に数百円程度の手数料がかかることがあるほか、所有者以外が閲覧・申請する場合は委任状が必要になります。
なお、新築した建物の固定資産税評価額については、建設会社やハウスメーカーへ相談することで大まかな目安は把握できます。
3. 土地と家屋にかかる「都市計画税」
土地や建物の所有者に対して課税する税金に、都市計画税があります。固定資産税と一緒に納税通知書が届くため、あまり深く意識したことがないという方も多いかもしれません。 あらためて都市計画税を知ってもらうために、その仕組みと特例措置について解説します。
3-1. 都市計画税のしくみ
土地・建物の所有者すべてが固定資産税の納税義務者であるのに対し、都市計画税は「市街化区域内」にある土地・建物の所有者が対象になります。
市街化区域とは、すでに整備された市街地や、今後優先的に市街地として整備される予定区域のことです。
都市計画税は、都市計画事業や土地区画整理事業に充てることを目的とした税金(地方税)で、所有者に対して課すか否かは、各自治体にゆだねられています。
固定資産税と同じく、毎年1月1日に固定資産(土地・家屋等)を所有する者が、都市計画税の納税義務者になります。税率の上限(0.3%)は定められていますが、実際の税率がどれくらいかは自治体によって決められています。
自分が所有する土地が位置している市区町村のホームページや窓口で確認してみましょう。
【計算式】
都市計画税額=課税標準額(固定資産税評価額×軽減率)×制限税率(上限0.3%)
どのくらいの都市計画税がかかるのか、以下の条件でシミュレーションしてみましょう。
・土地の面積:250平米
・固定資産税評価額:1億円
・税率:0.3%
【計算式】
1億円×0.3%=30万円
3-2. 特例措置
都市計画税も固定資産税と同様に、軽減措置が受けられることがあります。
たとえば、住宅の敷地として利用されている土地については、住宅用地の特例措置により、課税標準に一定割合をかけて評価額を低くできます。
・小規模住宅用地(200㎡以下の部分)...... 固定資産税評価額 × 1/3
・一般住宅用地(200㎡超の部分)...... 固定資産税評価額 × 2/3
実際にどのくらいの減免になるのか、シミュレーションしてみましょう。
・土地の面積:250平米
・固定資産税評価額:1億円
・税率:0.3%
【住宅用地の特例措置が適用になった場合の計算式】
・200㎡までの部分:1億円×200/250=8,000万円× 1/3 = 約2,666万円
・200㎡超の部分:1億円×50/250=2,000万円×2/3=約1,333万円
・合計:約2,666万円+約1,333万円=約4,000万円
約4,000万円×0.3%=約12万円
30万円-12万円=18万円
特例措置が利用できなかった場合と比較すると、約18万円低くなる計算になるのがわかります。
4. 土地の用途で税額が決まる
土地を所有することで税金が発生しますが、同じように見える土地でも、地目やその用途によって税額が異なることがあります。土地活用に税金対策の側面があるのであれば、税金の仕組みを理解したうえで、活用方法を決めるようにしましょう。
土地を宅地・駐車場・農地として活用した場合の、税金のしくみと優遇措置の有無について解説します。
4-1. 土地が「宅地」の場合の税金
土地に住宅が建っている場合は、庭先も含めて「宅地」と見なされ、アパートやマンションも例外ではありません。宅地は「住宅用地の特例」が適用されて、固定資産税や都市計画税が軽減されます。
なお軽減の割合は土地の面積に応じて異なり、課税標準額を求める際に以下のとおり軽減されます。
|
住宅用地の区分 |
固定資産税課税標準額 |
都市計画税課税標準額 |
|
小規模住宅用地 (住宅の戸数×200㎡まで) |
評価額×1/6 |
評価額×1/3 |
|
一般住宅用地 (住宅の戸数×200㎡を越える部分) |
評価額×1/3 |
評価額×2/3 |

4-2. 土地が「駐車場」の場合の税金
土地を駐車場として活用する場合、建物が建っていない更地と同じ「非住宅用地」と見なされるため、原則「住宅用地の特例」は適用されません。
つまり固定資産税や都市計画税の減免措置はなく、それぞれ課税標準額に税率を乗じた額が納税額になります。
4-3. 土地が「農地」の場合の税金
農地として土地を利用している場合、その農地がどの区域にあるかによって、土地の評価方法と税額が異なります。
農地は大きく分けると市街化区域外にある「一般農地」と、市街化区域内にある「市街化区域農地」等に区分され、評価法や課税額が異なります。
市街化区域内にある農地は宅地並みに評価・課税されますが、生産緑地であれば軽減措置が講じられています。
5. 土地や建物を売買した際にかかる税金
土地や建物を売買する際に、いくつかの税金が発生します。それぞれ税率や計算式、条件が異なるため、苦手意識を持たれている方もいるかもしれません。ここからは、土地や建物の購入時と売却時にかかる税金を解説します
土地活用において知っておくべき、不動産に対する税金の概要を、わかりやすく紹介していきます。
5-1. 不動産取得税
不動産取得税とは、土地や建物を購入した際に、一度だけ課税される税金(地方税)です。税率は4%ですが、2027年3月31日までに取得した土地・住宅については、軽減税率の3%が適用になります。
また、宅地については課税標準額が1/2になる特例があり、計算式は以下のとおりです。
【計算式】
宅地の不動産取得税=固定資産税評価額×1/2×3%
なお新築住宅は、固定資産税評価額から1,200万円を控除でき、その敷地は一定の条件を満たすことで、45,000円もしくは、(土地1㎡あたりの固定資産税評価額×1/2)×(住宅の課税床面積×2※)×3%によって算出した値のどちらか多い金額が控除できます。
不動産取得税には控除や軽減税率が設けられており、実際には不動産取得税がかからない、もしくは低額になるケースが多いです。
※:上限200㎡
5-2. 登録免許税
土地や建物を購入したら法務局へ所有権移転登記を申請しますが、その際におさめる税金を登録免許税といいます。
登記の種類によって税率が異なり、土地の所有権移転は2%、新築建物の所有権移転の際は、0.4%です。
なお2026年3月31日までに行う登記には軽減措置があり、土地の所有権移転は1.5%、建物は0.3%になります。
|
登記の種類 |
本則 |
軽減措置(2026年3月31日まで) |
|
土地の所有権移転登記 |
2.0% |
1.5% |
|
住宅用家屋の所有権移転登記 |
0.4% |
0.15% |
5-3. 印紙税
不動産売買契約書は、印紙税法上の課税文書に該当します。つまり契約書を作成する際は印紙を貼付し、印紙税を納める必要があります。
税額は契約書の額面によって異なり、例えば5,000万円超1億円以下の不動産売買契約書の印紙税は6万円です。
なお2027年3月31日までに作成される売買契約書は軽減措置が適用になり、5,000万円超1億円以下の場合は3万円に軽減されます。
ちなみに、工事請負契約書も印紙税が課税されます。万が一貼付し忘れると、本来納税すべき印紙税の1.1倍もしくは3倍が過怠税として課されるため注意してください。
5-4. 消費税
建物購入にあたっては、代金に対して消費税がかかります。工事請負契約書にて、税込みの金額なのか否かを確認しましょう。なお、土地はその性質上、消費税はかかりません。
5-5. 譲渡所得税
譲渡所得税とは、不動産売却して利益が出た際にかかる税金です。高額な売買取引であっても、購入時よりも安く売却した場合はかかりません。
なお購入時や売却時にかかった経費を差し引くことができます。
【計算式】
譲渡所得額=収入金額-(取得費-減価償却費+譲渡費用)
なお、譲渡する年の1月1日時点で所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得、それ以下であれば短期譲渡所得の税率が適用になります。
【計算式】
譲渡所得税=課税譲渡所得金額×税率
|
|
譲渡所得税※ |
住民税 |
|
長期譲渡所得 |
15% |
5% |
|
短期譲渡所得 |
30% |
9% |
※2037年までは「復興特別所得税」として、基準所得税額の2.1%を所得税と併せて納付することになります。
6. 土地や建物を相続・贈与した際にかかる税金
土地や建物を相続・贈与した場合、どのくらいの税金がかかるのでしょうか。相続時になって慌てないためにも、ある程度試算しておく必要があるでしょう。特に大規模な土地を所有している場合は、路線価のわずかな上昇で大きく影響を受けるため、評価替えのタイミングでしっかりと確認をし、試算しておきましょう。
ここでは相続税の概要を説明し、実際にどのくらい相続税がかかるのかシミュレーションします。
6-1. 相続税
相続税とは、被相続人から相続した財産が、基礎控除額を超えた場合にかかる税金です。法定相続人の人数によって基礎控除額が異なり、相続する財産額によって税率が変動します。
なお、相続税は相続の開始から10カ月以内に現金で納付しなければなりません(現金一括納付)。この機会に相続税がどのくらいかかるのか、試算することをお勧めします。
モデルケースを参考にしながら、計算方法を解説します。
<モデルケース>
相続財産:評価額8,000万円の自宅の土地と、現金4,000万円(合計1億2,000万円)
相続人:子供2人
<ステップ1:課税対象額を計算する>
基礎控除額:3,000万円 + (600万円 × 2人) = 4,200万円
課税遺産総額:1億2,000万円 - 4,200万円 = 7,800万円
相続財産から基礎控除の3,000万円と、法定相続人1人に対し600万円が控除できます。
モデルケースは子供2人のため、合計で4,200万円、課税遺産総額は7,800万円になります。
<ステップ2:1人あたりの税額を計算>
子供1人あたりの法定相続分:7,800万円 ÷ 2人 = 3,900万円
子供1人あたりの税額:3,900万円 × 20% - 200万円 = 580万円
相続税の総額:580万円 × 2人 = 1,160万円
相続税の総額は1,160万円です。
続いて、330㎡までの部分の評価額が80%減額される、「小規模宅地等の特例」を利用できた場合をシミュレーションしてみましょう。
<ステップ3:小規模宅地等の特例を使った場合の再計算>
土地の評価額:8,000万円 → 1,600万円(80%減額)
相続財産:1,600万円 + 現金4,000万円 = 5,600万円
課税遺産総額:5,600万円 - 4,200万円 = 1,400万円
子供1人あたりの法定相続分:1,400万円×1/2=700万円
子供1人あたりの税額:700万円×10%=70万円
最終的な相続税の総額:70万円×2=140万円
土地については特例により80%減額できるため、土地は1,600万円に減額できます。さらに、基礎控除額4,200万円を差し引いた1,400万円が相続による課税遺産総額になります。
法定相続分が700万円の場合税率は10%のため、相続税の総額は140万円になります。
なお、この特例は「被相続人と同居していた」など詳細な要件を満たさないと適用されないので、その点だけ注意しておきましょう。
ちなみに、算出された相続税の総額は、実際に財産を取得した割合に応じて各相続人が分担して納税します。
6-2. 贈与税
相続が発生する前に、計画的に贈与する方法もあります。しかし贈与にも税金がかかります。
実際に検討する際は、贈与税がどのくらいかかるのか、またどのような方法が得なのか試算しておきましょう。
贈与税には、「暦年贈与」という基本的な仕組みがあります。
これは、1月1日から12月31日までの1年間に贈与された財産の合計額から、基礎控除額である110万円を差し引いた金額に対して課税されるものです。
つまり、基礎控除額の110万円までは贈与税は発生しません。110万円を超える場合ですが、贈与額に応じて段階的に高くなる「超過累進課税」の仕組みが採用されています。
なお、贈与税は夫婦間や未成年の子供への贈与(一般贈与財産用の税率)と、18歳以上の者が父母や祖父母から贈与(特例贈与財産用)を受けるケースで税率は異なります。
多額の財産があるとき、もしくは早期に贈与したいときは、相続時精算課税制度の選択も検討してみましょう。
これは、贈与時には最大2,500万円の特別控除を利用することで税負担を抑え、その贈与財産を将来の相続時に相続財産に加算して相続税として精算する制度です。
例えば値上がりする可能性がある不動産を早期に贈与することで税金対策になり、アパートなどの収益財産であれば、その収益は贈与を受けたものの収入になります。
ただし相続時精算課税制度を利用すると、相続の際に小規模宅地等の特例が利用できません。家族でよく検討したうえで、選択するようにしましょう。
6-3. 登録免許税
贈与により土地や建物を取得して不動産登記を申請する場合、登録免許税がかかります。なお税率は2%で、軽減措置はありません。
6-4. 不動産取得税
贈与によって土地や建物を取得した場合、原則贈与税が発生するほか、不動産取得税も課税されます。
7. 建物が特定空家に該当する場合の税金
相続や贈与で不動産を受け継いだものの、活用できずに空き家として所有し続けるケースは少なくありません。
しかし、その空き家の管理を怠ると、思わぬ形で税負担が増える可能性があります。
空き家を適切に管理せず放置してしまうと、「特定空家」に認定される可能性があるのをご存知でしょうか。
もし認定されれば、自治体から空き家の管理について指導や勧告を受けるだけでなく、税金が高くなる可能性があります。
ここでは、特定空家にまつわる税金のリスクについて詳しく見ていきましょう。
特定空家の概要とその判断基準、固定資産税への影響について解説します。
7-1. 特定空家とは
近年増加する空き家が社会問題化している状況を重く見た政府は、各自治体が管理が不十分な空き家に対して指導や強制執行できるように、「空家等対策の推進に関する特別措置法」を制定しました。
特定空家とは、状態が悪く、倒壊の危険性がある建物や、周辺住民に悪影響や危険を及ぼす恐れのある空き家のことを言います。
7-2. 特定空家とされる判断基準
空き家が、特定空家とされるか否かは、空き家そのものの状態と、周辺への影響の両面から判断されます。
以下の4つの状態にあると、是正措置の対象となり、是正されない場合は「特定空家」となり、固定資産税などの軽減特例が受けられなくなります。 1.そのまま放置すれば倒壊など、著しく保安上危険となるおそれのある状態 2.そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態 3.適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態 4.その他周辺の生活環境の安全を図るために放置することが不適切である状態 住宅が建っているだけでは優遇措置が受けられるとは限りません。維持管理をするなど、「特定空家」と認定されないよう注意が必要です。
7-3. 特定空家が受ける固定資産税への影響
特定空家に認定されると、固定資産税は6倍、都市計画税は3倍になる可能性があります。これは、倒壊の危険や衛生上有害となるおそれのある空家に対し、適切な管理をしていない場合には、特定空家に認定され、住宅用地の特例の適用外となり、軽減措置を受けられなくなるためです。また、法改正により、特定空家以前に「管理不全空き家」が創設されており、より厳しくなっています。
8. 長期的な戦略を立てることが大切
今回は土地を中心に、不動産にかかる税金のことを網羅的に解説しました。土地や建物など所有していると固定資産税がかかり、もしその不動産が市街化区域内にあれば、都市計画税がかかります。
不動産を売買や相続、贈与しても税金がかかりますが、特例や軽減措置が利用できれば、納めるべき税金を減額できる可能性があります。
土地活用にあたっては、固定資産税対策も含め、長期的な戦略を立てることが大切です。どのような方法が適しているか、税理士などの専門家に、早めに相談しましょう。
「税金・相続」関連用語集
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