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建物賃貸事業における税金(固定資産税・都市計画税編)

公開日: 2022.10.28

最終更新日: 2023.05.09


公開日:2022年5月26日

不動産とは、所有しているだけでも維持費が必要です。しかし、税制や特例を理解すれば税金を抑えることができます。

つまりそれだけ、維持費を抑えることができますから、その分だけ収益に繋げていくことも可能です。


今回は、建物賃貸事業を通した固定資産税・都市計画税の基本と各種特例、空家等対策の推進に関する特別措置法についてお伝えします。

固定資産税・都市計画税の算出方法

不動産を保有していると、管理費のほかに毎年「固定資産税・都市計画税」が必要となります

これらの課税からはけして逃げられないものの、おおよその金額は事前に把握することができるため、事業計画に組み込むことは可能です。

まずその基本について、しっかり知っておきましょう。

固定資産税・都市計画税の基本的な算出方法

固定資産税・都市計画税とは、土地・家屋(と償却資産、詳細は後述)の所有者に対して課せられる税金です。

固定資産税は基本的にすべての土地・家屋に課せられる一方、都市計画税は利便性の良い一部の市街地などでのみ固定資産税に追加で課せられます

これらの税金の基本的な算出方法は以下の通りです。

    • 課税標準額×税率(固定資産税1.4%・都市計画税0.3%)=税額


課税標準額とは、各自治体が不動産毎に決めています。一度決められた課税標準額は「固定資産課税台帳」に載せられ、基本的に以後3年間は据え置きです。毎年1月1日時点の所有者に対して、この仕組みで課税されるのが固定資産税・都市計画税の基本となっています。


たとえば課税標準額が1億円の不動産なら、固定資産税は1億円×1.4%で140万円、都市計画税が課税される場合は1億円×0.3%で30万円です。都市計画税の0.3%とは税率の最大のこと(制限税率)なので、自治体によっては安くなっているところもあります。

課税標準額の見直しについて

課税標準額は3年に1度、全体的に見直しされます。直前の見直しは令和3年度に行われたので、次は令和6年度に見直しされる予定です。逆にいえば、令和6年度までは基本的に現在の課税標準額のままとなります。


全体的な見直しは3年に1度ですが、途中でも新築や増改築、分合筆のあった土地などについて、課税標準額が不適当と判断された場合は、新たな金額が設定されます。

固定資産税・都市計画税は延々と同じ税額ではないので、事業計画を立てる際は少し注意が必要です。

現況毎の固定資産税・都市計画税の基本

一口に不動産といっても、それは土地と家屋に2分されるだけでなく、実にさまざまな形があります。

このため、「自分の不動産の場合はどうか」が分かりにくいことも少なくありません。

そこで以下、代表的な不動産の現況毎の固定資産税・都市計画税について、基本をお伝えします。

自宅(一戸建て)

一戸建ての自宅の場合、土地と家屋の2つの不動産があることになります。自宅の敷地と一体になっている庭や駐車場などは土地という扱いです。

この場合は基本通り、土地と家屋それぞれに固定資産税・都市計画税が課せられます。

アパート・マンション

アパートやマンションの一室を所有している場合は、まずその一室という家屋に基本通り固定資産税が課せられます

アパートやマンションの敷地(土地)については、区分所有者全員の共有となるので、自分の割合分が課税対象となる形です。共有名義の場合は、うち誰かが代表者となって税金を納めます


アパートやマンションを一棟所有して賃貸事業をしている場合は、(後述する特例もあるものの)基本的には一戸建てを所有しているのと同じく、土地と建物それぞれに固定資産税・都市計画税が課せられます。

駐車場

駐車場の場合でも、基本は上記と同じです。特に建物がない(自宅の敷地と一体になっていない、少し離れたところにあるような)青空駐車場なら土地についてのみ、固定資産税・都市計画税が基本通り課せられます


賃貸事業として駐車場経営をする場合、建物は不要な反面、相応の設備が必要になります。
場合によっては、この設備にも固定資産税が課せられる点には注意が必要です(設備は固定資産税のみが対象で、都市計画税は対象外。詳細は後述)。

農地

農地の場合は基本的に駐車場と同じく、土地にのみ固定資産税・都市計画税が基本通り課せられます

農地は大きく「一般農地・市街化区域農地」に区分され、一般農地は農地課税といい、負担調整措置が取られるため宅地(市街化区域農地)と比べ低い税金になります。

市街化区域農地は宅地並み課税といい、宅地に近い評価をされることもあるので、一般農地と比べ高い税金になりやすいです。
簡単にいえば、都市部にある農地ほど税金が高くなる傾向があります。

土地の負担調整措置について

現在の土地の課税標準額とは、地域によってばらつきが生じています。このばらつきを均衡化する一方で、今まで課税の少なかった土地所有者の負担が急激に増えないようにするのが、負担調整措置です。

簡単にいえば、土地の課税標準額が上がる場合でも、そう大きく上がらないようにする制度ともいえます。なお、下がる時には下がるので安心です。


この措置は土地ごとに判断されるため、近所で固定資産税が上がっても、自分の土地も上がるとは限りません。
通常の見直しと同じく、増改築や分合筆のあった土地、利用状況に変更があったなどの場合は、増税になる可能性がある点には注意が必要です。


令和3年度は課税標準額の見直しをする年度でしたが、同時に新型コロナウィルスが猛威を奮った年度でもあります。
そこで令和3年度に限り、税額が上がらないよう前年度の課税標準額を据え置く措置が取られました。この措置は令和5年度まで続けられる予定です。


令和4年度は課税標準額が(負担が)上がった場合、商業地などでは通常の増加の半分にする措置が取られました。これも新型コロナウィルスの影響を考えてのこととされていますが、今後の措置は未定な点に注意しましょう。

償却資産(税)について

償却資産とは、土地や家屋以外の事業用資産のことです。法人税または所得税の計算上、損金や必要経費として減価償却できるものを指します。


都市計画税は対象外ですが、償却資産にも固定資産税は同じく課せられ、同じく税率は1.4%です。固定資産税と区別して、償却資産税と呼ぶこともあります。


具体的な償却資産とは、以下がその一例です。

一般 パソコン・応接セット・コピー機・エアコン など
賃貸業 看板・門や緑化施設工事・内装 など
駐車場 路面舗装・駐車設備・フェンス・照明・精算機 など
償却資産は、課税標準額150万円未満の場合は課税されません。これは一種の免税措置といえますから、この範囲で節税しつつ設備投資していくのも判断の一つです。

土地や建物と違い、償却資産の課税標準額は毎年見直される点には注意しましょう。

固定資産税・都市計画税の各種特例

不動産には、さまざまな税金上の特例・優遇措置があります。特例や優遇措置を使うためにも、まずは基本的な特例をしっかり知っておきましょう。

小規模住宅用地の特例

これは文字通り、小規模な住宅用地の固定資産税・都市計画税を大幅に減額してくれる特例です。具体的には、以下のような内容になっています。

固定資産税 都市計画税
小規模住宅用地 200㎡までの部分 課税標準額1/6 課税標準額1/3
一般住宅用地 200㎡超過の部分 課税標準額1/3 課税標準額2/3

※一般住宅用地は、住宅の床面積の10倍まで。10倍を超える部分は適用ナシ

この特例には期限がなく、また住戸一戸ずつ計算できます。このため面積が許すのなら、より多くの住戸で賃貸経営したほうが有利です。店舗併用住宅の場合、居住床面積が全体の25%以上なら部分的に、この制度が使えます。固定資産税・都市計画税は毎年のことですから、賃貸経営の際はなるべく、この制度を使う前提で事業計画を練りましょう。

新築の賃貸建物の特例

この特例は、新築住宅に限り、当面の家屋の固定資産税を(都市計画税は対象外)減額してくれる制度です。具体的には、以下のような内容になっています。

対象不動産 期間 減額割合 対象床面積
① ②以外 3年度分 1/2 居住床面積120㎡ まで
② 3階建て以上の耐火構造住宅 5年度分

※床面積:居住部分の床面積50㎡以上(戸建以外の貸家住宅は40㎡以上)280㎡以下

※居住割合:居住部分の床面積が全体の1/2以上


上記の①については、2階建てまでのアパートも対象です。家屋が「認定長期優良住宅」の場合は2年が加算され、①は5年度分、②は7年度分まで減額となります。この特例は、令和6年3月31日が期限という点に注意しましょう。

空家等対策の推進に関する特別措置法

「空家等対策の推進に関する特別措置法」とは、2015年に定められた法律です。この法律に沿って対象不動産が特定空家等と判定された場合、小規模住宅用地の特例から外されることになります。

具体的な特定空家等とは、以下の空き家です。

1:倒壊など著しく保安上危険となる恐れのある状態
2:著しく衛生上、有害となる恐れのある状態
3:適切な管理が行われていないことにより、著しく景観を損なっている状態
4:その他、周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態


この法律における具体的な措置は、以下のような流れになっています。


① 複数回の助言や指導
② 勧告(小規模住宅用地の特例除外)
③ 命令(50万円以下の過料)
➃ 戒告(行政代執行法の適用) ...行政代執行や略式代執行と費用の徴収


このような法律ができた背景には、ひとえに空き家の増加に伴って、生活環境に深刻な影響を及ぼしているためです。
総務省統計局の平成30年「住宅・土地統計調査」によると、空き家はここ20年で1.5倍(2018年で約850万個、空家率は13.6%、空家の約半数が賃貸用住宅)となっています。


実際、長年放置された今にも倒壊しそうな空き家や、あからさまに環境に不釣り合いな汚れた空き家などがニュースで取り上げられることもしばしばです。末永い節税や賃貸経営のため、建築後の管理についても、しっかり計画を立てておきましょう。

まとめ

土地や建物は保有しているだけで税金がかかります。しかし税制や特例を理解すれば、過剰な納税を防ぎつつ収益を生むことも可能です。

ご自身の状況を検証し、ライフプランに沿って、適切に活用することをお勧めします。

執筆者プロフィール
【山本FPオフィス 代表 山本昌義】

マイアドバイザーR
商品先物会社、税理士事務所、生命保険会社を経て、2008年8月8日に開業。
現在は日本初の「婚活FP」として、恋愛・婚活・結婚・離婚×お金をメインテーマに活動中。婚活中の方や新婚夫婦、または独身を貫きたい方など、比較的若い方向けのご相談や執筆、講演を行っています。趣味は漫画(約6,000冊所有)。

【保有資格】
・CFPR(婚活FP)

監修者プロフィール
【株式会社優益FPオフィス 代表取締役 佐藤 益弘】

マイアドバイザーR
Yahoo!Japanなど主要webサイトや5大新聞社への寄稿・取材・講演会を通じた情報提供や、主にライフプランに基づいた相談を顧客サイドに立った立場で実行サポートするライフプランFPRとして活動している。
NHK「クローズアップ現代」「ゆうどきネットワーク」などTVへの出演も行い、産業能率大学兼任講師、日本FP協会評議員も務める。

【保有資格】
・CFPR・FP技能士(1級)・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
・住宅ローンアドバイザー(財団法人住宅金融普及協会)

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