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建築費って上がる?下がる?わかる市場動向

最終更新日: 2022.12.16

最終更新日:2022年6月17日

はじめに

どのような事業でもコスト管理が大切です。
建物賃貸事業においては、「建築費」と「金利」が事業開始後の収益性や安定性に大きく影響を与えるコストの要素となりますので、「建築費」の細かな内容や今後も含めた動向などを知っておくことが大切といえます。今回は、建築費の構成要素や動向などについて詳しくお伝えします。

建築費の構成要素

一般的な賃貸物件を建てるのに必要な費用は、大きく分けてコンクリートや鉄筋などの「建築資材費用」、キッチンやトイレなどの「住宅設備費用」、そして職人などの「人件費」の3つです。

それぞれの費用の全体に占めるおおよその割合は、「建築資材費用」は20%40%程度、「住宅設備費用」は10%15%程度、「人件費」は4050%程度と言われています。
実際には、既存建物の有無や物件規模、地盤の状況などによりさまざまですが、まずはそれぞれの基本や相場観について知っておきましょう。

建築資材

建物を建てるには、木材や鉄骨、コンクリートなどの建築資材が必要です。実際にどの資材をどれだけ使うかは、地盤の強弱や建物の仕様によって差がありますが、どのような建物でもかなりの量が必要になります。
ここでは、代表的な建築資材とその価格についてご紹介します。

一般財団法人建物物価調査会の2022年2月「主要資材価格動向」によると、代表的な資材の価格は以下のようになっています。

住宅設備

賃貸住宅には、キッチンやトイレ、エアコンなどさまざまな住宅設備が必要です。
これら住宅設備は、賃借人が物件を比較検討する際のポイントでもあるので重要です。


一般財団法人建物物価調査会の2020年度「個人住宅工事費の価格傾向に関する研究報告書」

によると、代表的な住宅設備工事の価格相場は以下のようになっています。


他にもさまざまな住宅設備がありますが、決して安くない金額がかかっていることがわかります。また部屋数(設備数)が多ければ、より多くの費用が必要となります。

職人の人件費

建築費用の大きな部分を占めるものに「人件費」があります。実際に何人が関わるかは建物の規模などにもよりますが、施工管理者を筆頭に多くの職人(大工や左官、足場屋など)が必要です。


直接的な各職人の人件費は勤め先や技術力などによってさまざまですが、国土交通省の令和3年「公共工事設計労務単価」(国土交通省、農林水産省、都道府県、政令指定都市、NEXCO等の公共工事を対象として、公共事業従事者の賃金実態を調査している)においては、各職人の日給は以下のようになっています。


全職種の平均は2万409円、被災3県(岩手・宮城・福島)では2万2,216円です。事業主は職人に諸経費(法定福利費、安全管理費、労務管理費など)8,368円を別に支払う必要があるため、実際には合計2万8,777円が必要になっています。

しっかりした建物を建てるには、それだけ多くの専門家・プロが必要です。それだけに人件費の上昇は料金に反映されやすいため、十分に注意しましょう。

建築費動向

建築費は一定ではなく、世の中のさまざまな事情によって常に変動しています。
ここでは、建築費の構成要素ごとに、過去からの動向や、今後の見通しについてご紹介していきます。

建築資材について

日本建設業連合会の2020年「建設業ハンドブック」によると、建設資材の価格は以下のように推移しています。
建設資材の多くは上昇基調となっています。2011年の東日本大震災のタイミングで全体的に値下がりしているのが印象的ですが、一方で東京オリンピックの開催が決まったタイミング(2013年)で急上昇している結果です。

その後は価格が落ち着いたものの、2016年にリニア新幹線のための法改正(鉄運機構法)が行われた頃からまた値上がりが始まっています。また2018年に大阪万博の開催(2025年)が決定したあたりから、特に鉄鋼製品が一気に値上がりしている結果です。

建設資材は、「何らかの大規模工事が行われるイベント開催が決まったら」値上がりしやすい傾向にあるといえます。それだけ建設資材が必要になるのですから、当然といえば当然の傾向です。そのようなイベント開催が決まる前に、建築しておいたほうが無難かもしれません。


特に建築資材は、「サプライチェーンの混乱」にも注意が必要です。これは簡単にいえば、何らかの原因で物流が停滞し、物不足によって値段が高騰することを意味します。2021年頃にはコロナが原因で、まさにこれが起こっていたのが実情です。時間が経てば解消されますが、高止まりが落ち着く時期は未知数ですから、このような事態が起こる前に建築してしまうのも判断の一つといえます。

また「ウッドショック」にも警戒が必要です。建築資材としての木材は7割程度が輸入であり、大きな輸入元のアメリカで住宅需要が急増すると日本に木材が入って来にくくなり、木材価格が高騰することがあります。経済産業省の2021年10月記事によると、最近のアメリカの住宅需要と国内の丸太価格の推移は以下の通りです。




今回のウッドショックの原因であるアメリカの住宅需要の急騰は、コロナによるリモートワークの急増が一因とされています。さらに同じくコロナにより、製材所が稼働しにくくなったこともウッドショックの一因です。まさにコロナショックともいえる現象ですが、だからこそコロナと同じく収束時期は未知数ともいえます。今後の動向を注視しておきましょう。

住宅設備について

一般財団法人建物物価調査会の2022年「建築費指数」によると、設備の値段(費用)は以下のように推移しています。
設備に関しては、徐々に徐々に値上がりしていることが伺える結果です。この値上がりは、設備そのものの値上がりに加え、暮らしを良くするための便利な設備がどんどん世の中に登場していることも背景になっています。

たとえば昔とは違って最近では、エアコンなどは賃貸物件において標準装備の如くです。ウォシュレットや宅配ボックス、モニター付インターフォンや防犯カメラ、浴室乾燥機などを備えている建物も当たり前となってきました。他にも最近ではIOTに特化した住宅など「あったら便利な設備・住宅」がどんどん登場中です。

費用が掛かるからと言って設備を絞ることも事業主の判断の一つですが、長期の安定経営を実現するためにも、市場のマーケティングをしっかり行い、入居者に選ばれる物件づくりを心がけましょう。

職人の人件費について

日本建設業連合会の2020年「建設業ハンドブック」によると、建設業に従事する人の人件費は以下のように推移しています。
ここ数年は上昇基調となっており、2000年から見ると約10%の賃金の上昇が起きています。

一方、国土交通省の令和3年「公共工事設計労務単価」によると、公共工事に関係する人間の賃金(労務単価)は、以下の通りです。
平成25年(2013年)に労務単価の計算方法を大幅に変更して以降、9年連続で上昇している結果になっています。民間の賃金とは上がり方が違うものの、民間の賃金上昇も同じく2013年頃が始まりです。民間でも今後、追随することが考えられます。

特に建築業は、全体的に就業者数が減少傾向(詳細は後述)です。その中でも建築には(建築費の構成要素でお伝えした通り)常に多くの人材・職人が必要ですから、その分だけ需要も高く、おのずと賃金上昇の可能性はあるといえます。その前に建築してしまうことも視野に入れておきましょう。

建築費の今後の動向

今までの動向のグラフを見ると、人件費・建築資材費用・設備費用のどれを取っても高止まりの傾向が今後も続くことが伺えます。特に気になるのが建築費の50%程度を占めるとされる人件費ですが、その就業者数と高齢化が以下のようになっているのが実情です。

建設業の就業者数は年々減っている結果となっています。就業者が減れば、必要な職人を確保するのに賃金UPが必要となるなど、人件費が上昇するのは自然です。そして近年は緩やかですが、全体的に高齢化も進行しています。職人の減少・高齢化に伴い人件費の止まりは今後も続くと考えられます。

前述でもありますが、建築資材費用の動向において、まさに現在(2022年2月時点)起こっている「ウッドショック」も気になります。 収束時期が未知数なだけに、特に木造建築を希望する場合は、建築時期の判断が難しいかもしれません。

一方で建築資材に限らず、最近は消費者に身近な商品でさえ年々、値上がりしています。このような状況で、部分的にはともかく建築費に関するものだけ値下がりするというのは考えにくいはずです。
少なくとも、今後の建築費の高止まり傾向は続きそうですから、いつかは賃貸事業を検討する事情が少しでもあるなら早い方が賢明かもしれません。

建築費を賄うには手持ち資金のほか、アパートローンを使うことも一般的ですが、その金利は現在、最低水準を保っています。建築費の上昇率をローン金利の低下率が大きく上回っている状況です。この観点からも、さまざまな環境変化で急いで判断をしなければならなくなるのを回避するためにも、せめて検討だけは早めに始めておくことをお勧めします。


まとめ

「オリンピックが終われば建築費も下がる」との声が多くありましたが、現状はそのようになっていません。むしろ動向を見る限り、将来のことは誰にも分かりませんが、少なくとも下がってくる要素は見当たらないのが実情です。将来的に建築する可能性があるなら、現在の状態で一度は検討しておくことも無駄ではない気がします。まずは信頼できるパートナーに相談して、プロの意見を聞いてみるところから始めてみましょう。

執筆者プロフィール
山本FPオフィス 代表 山本昌義

商品先物会社、税理士事務所、生命保険会社を経て、2008年8月8日に開業。
現在は日本初の「婚活FP」として、恋愛・婚活・結婚・離婚×お金をメインテーマに活動中。婚活中の方や新婚夫婦、または独身を貫きたい方など、比較的若い方向けのご相談や執筆、講演を行っています。趣味は漫画(約6,000冊所有)。


【保有資格】
・CFP®(婚活FP)



監修者プロフィール
株式会社優益FPオフィス 代表取締役 佐藤 益弘

マイアドバイザー®
Yahoo!Japanなど主要webサイトや5大新聞社への寄稿・取材・講演会を通じた情報提供や、主にライフプランに基づいた相談を顧客サイドに立った立場で実行サポートするライフプランFP®/マイアドバイザー®として活動している。
NHK「クローズアップ現代」「ゆうどきネットワーク」などTVへの出演も行い、産業能率大学兼任講師、日本FP協会評議員も務める。


【保有資格】
・CFP®・FP技能士(1級)・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
・住宅ローンアドバイザー(財団法人住宅金融普及協会)



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