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土地活用検討の前に、ご家族で話し合っておきたい現状把握とライフプラン

公開日: 2022.10.28

最終更新日: 2023.12.21

土地の活用方法について、「いつから考え始めるのか」「どのように検討を進めていくのか」「いつまでにどんな効果を出したいのか」、ということを明確にイメージできていないという方も少なくないのではないでしょうか。

一口に土地活用といっても、駐車場・アパート・マンション・店舗・トランクルームやコインランドリーなどさまざまな活用方法があり、土地を売却したとしても、手にした現金をただ消費するのか、他の手段で運用するのか、将来を見据えてどの方法が適しているのかを考える必要があります。また、活用方法を検討する前に、現状分析・未来予測などから「そもそも、土地活用をしなければならない状況なのか」「どの程度の対策がいつまでに必要なのか」ということを検証しておくことが非常に重要です。

本記事では、検討を後送りすることによるリスク、実施しておきたい事前準備について解説していきます。

この記事のポイント
  • 土地活用(資産運用)の検討が遅れることにより、認知症の発症や、突発的な相続の発生、建築費・金利の上昇など、さまざまな問題が起こる可能性がある
  • ライフプランニングなどを実施して、将来に向けての課題や対策の方向性などを家族と共有しておくことが重要


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1.土地活用(資産運用)の検討が遅れることにより発生するリスクとは?

土地を所有されている方の中には、将来に向けて漠然とした不安はあるものの、差し迫った問題がないために、検討を先送りしているという方もおられるのではないでしょうか。

しかし、検討を先延ばしにしてしまったために思わぬリスクが発生してしまうことも...。

具体的には、以下のようなものがあります。

    • 課題への対策が講じられないまま相続が発生
    • 金利や建築費が上昇して思った成果が出せない
    • 認知症の発症により法律行為が制限された  など

それぞれのリスクを詳しく見ていきましょう。

1-1.課題への対策が講じられないまま相続が発生

円満な資産承継を実現するためには、事前に課題を整理して、一つずつ対策を講じておく必要があります。

特に土地を何らかの形で活用することなく、空き地のままで所有されている方は、税金面での土地の優遇措置が期待できないため、評価額が高額となるケースが多く、相続税の節税や相続人が争わないように遺産分割の対策を検討しておくことをおすすめします。相続税の節税対策にはさまざまな方法がありますが、土地を所有している場合、「小規模宅地等の特例」の適用や「貸家建付地の評価」を受けることで、土地の相続税評価額を下げる方法が有効です。

小規模宅地等の特例の対象は、「被相続人(亡くなった人)が居住していた土地」「事業をしていた土地」「貸していた土地」の3つで、一定の要件を満たすことで軽減を受けることが可能です。また、貸家建付地の評価とは、所有の土地の上にアパートやマンション、貸家など賃貸用物件が建っていることで一定の割合で評価額が軽減されるというものです。いずれにしても、資産背景の現状把握をしたうえで、相続税対策が必要なのか、対策方法をどうするかなど、相談することができないまま、相続が発生してしまうと「後悔先に立たず...」という事態にならないように心掛けましょう。

また、事前に相続の準備をしていれば、相続後の親族間の争いを避けやすいというメリットがありますが、土地は個人の方が持つ資産の中でも大きな資産価値を持つことが多く、一方で現金のように簡単に分割できないことから、遺留分の配慮がされていないなど遺産分割の意見調整がされていなかったり、口頭で話し合っていた内容を遺言書などで残さずに相続が発生してしまった場合、親族間のトラブルに発展してしまったりすることも珍しくありません。

最高裁判所 司法統計年報(家事事件編)によると、1999年に10,645件だった調停・審判件数は2019年には15,842件と20年で約1.5倍に増加しており、近年では相続トラブルの件数が増加傾向にあることがわかります。

円満な資産承継のためには、事前に親族間での合意形成をしておくことをおすすめします。

1-2.金利や建築費が上昇して思った成果が出せない

融資にて資金調達をして、建物賃貸事業やその他事業を検討する場合には、金利や建築費の動向にも注意が必要です。

2021年現在、金利は非常に低く推移しており、お金を借りて土地活用を始めるには絶好の機会と言われています。建築費は高止まりしているものの、金利が市場最低水準であることから、月々の返済額が少額となるためです。

しかし、金利もいつまでも低いままではありません。例えば、借入額1億円、借入期間30年で、金利が0.5%上昇すると総返済額が約750万円程度増えてしまうことになります。長きにわたる建物賃貸事業の場合、金利上昇リスクを回避する一つの手段として、全期間固定金利を選択する場合など、事業開始時期によって全期間の金利が決まってしまうため、金利の動向を視野に入れて検討することも重要です。

また、建築費の上昇にも注意が必要です。例えば、東京オリンピックや2025年開催予定の大阪万博などによる建設需要や原油高などを理由に、コンクリートの価格が上がっています。コンクリートはマンションをはじめとするRC建築物はもちろん、橋梁、道路などのインフラ整備にも必要不可欠なものです。今後も価格上昇が続けば、土地活用後の利回りが下がってしまうことが考えられるでしょう。

また、木材については、もともと日本の自給率は約4割弱で、6割強を輸入に頼っております。輸入材は国産よりも安価に仕入できることが要因の一つです。しかし、この輸入木材価格が高騰する「ウッドショック」が、2021年から日本でも問題視されています。新型コロナウイルスの影響で、海外では都市部から地方への移住が進み、住宅の建築需要が高まっていることや、貿易企業の輸送回数の減少でコンテナ不足になり、輸入木材の供給も不足しています。その煽りを受けて、国産木材の高騰も続いており、スギの柱材の価格木材単価では昨年度と比べて約1.3倍も高騰しています。

その他、就業人口不足などを理由とする職人の人件費高騰の問題もあります。国土交通省のデータによると、2012年から2017年にかけて建設業に従事する男性労働者の年間賃金総支給額は14.7%上がっています。この問題は今後さらに深刻化する可能性があるでしょう。土地活用は、検討する時間も必要です。検討を後送りにすることで、知らず知らずのうちに、将来の利益を減らしている可能性があるのです。

1-3.認知症の発症により法律行為が制限された

土地活用を検討している間に、名義人の健康に問題が発生する可能性も否定できません。
その一つが認知症です。日本では高齢化が進んでいますが、年齢が高くなるほど認知症になる割合は高くなります。

厚生労働省によって2012年に公表された「高齢者の年齢段階別認知症出現率」をみると、80代になると5人に1人が、90代になると2人に1人が認知症になっていることが分かります。高齢者全体でみれば、2010年には認知症者は280万人で65歳以上の高齢者に占める割合が9.5%であるのに対し、2025年には12.8%にまで増えると予測されています。また、日本医療研究開発機構(AMED)認知症研究開発事業によって実施された若年性認知症の調査(2017年?2019年)において、日本の若年性認知症有病率は18歳?64歳人口10 万人あたり50.9 人、若年性認知症者の総数は 3.57 万人と推計されました。「認知症は高齢になってからの病気だ」という思い込みから発見が遅れるケースが多く、認知症は高齢者だけの問題ではありません。

認知症と認定されてしまうと、意思能力がないと判断され、売買などの契約行為や不動産の名義変更、資産運用などの法律行為ができなくなってしまいます。なお、過去の判例を見ると、認知症であることを理由に契約後に不動産取引を無効とできるかどうかは、状況によります。例えば、問診による神経心理学検査と脳画像検査の結果や、前後のさまざまな状況を見て判断されることになりますが、

いずれにせよ、将来認知症になれば、不動産取引において不利な状況となってしまう可能性は否定できません。自分が認知症になることはあまり想像できないかもしれませんが、誰にでも起こり得る問題として考えておく必要があるでしょう。

認知症になってしまう前に、所有している土地をどのように活用するのか、また将来誰に管理してもらい、相続はどうするのかといったことは、実際に我が身に起こることとして考えておくことが大切です。

2.土地活用の必要性を検証する

土地活用はそれそのものが目的ではなく、将来の望みを叶えるための手段として検討すべきものです。

さまざまな環境変化の中で、現状のままで理想のライフプランを実現することができるのか、何か問題が生じていないかなどを検証しながら、必要に応じて適切な対応を検討していくことをおすすめします。

具体的には、以下のような手順を実行していくことが求められます。

    • ライフプランニング
    • ライフプランを実現するための課題の整理
    • 各課題への対策検討
    • 課題実行の優先順位付け
    • 対策実行

ライフプランニング

ライフプランニングを実施することで、いつどのくらいの支出が想定されるのか、どのくらいの可処分所得が必要か、いつまでにどのくらいの貯蓄をしておくべきなのかなど、今後のさまざまな課題を洗い出すことができます。

家族が生きていくために必要な費用には、毎月の生活費だけでなく、子どもたちの教育費や将来の自分達の老後資金などもあります。子どもたちの教育費は、子どもの成長や選んだ進路により金額が変わるものです。

また、2019年に金融庁の公表した報告書を発端とした「老後2,000万円問題」などは記憶に新しいと思いますが、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの世帯が老後を迎えた場合、年金だけでは毎月5.5万円不足するため、老後の30年間で2,000万円必要になると言われています。

この報告書に記載されている2017年の総務省「家計調査」データによると、無職世帯での平均的な実収入が21万円、消費支出が26.4万円となるため上述の不足額が生じると想定しています。

もちろん、家族構成やそれぞれのライフスタイルにより必要な生活資金は異なります。大切なことは、将来的な暮らしも確保できるような資金計画を立てて、老後資金としてどのような手段で確保していくか、今から実行していくことでしょう。

ライフプランを実現するための課題の整理

理想のライフプランを確認したら、現状から理想を実現するためにどのような問題があるのかを抽出しましょう。

例えば、子どもが進学を希望しており、そのための教育費捻出が難しいといった場合に、具体的にどのくらいの資金が不足しているか、といったことを把握します。

子どもの教育費については、子どもの年齢によって必要な額が異なり、特に大学受験から卒業までは大きなお金がかかるでしょう。また、進路によってその額が異なる点にも注意が必要です。例えば、国立大学の場合、入学初年度の費用(入学金+授業料)は約82万円ですが、私立大学では令和元年度の平均で約116万円となっています。私立大学では、理系と文系では学費も大幅に異なり、医学部など平均より高い学費が必要になるケースがある他、在学中に海外留学をすることも考えられるでしょう。一人暮らしの場合は、生活費のための仕送りも考えておく必要があります。

教育費捻出が難しい場合には、その期間の可処分所得からどのくらい捻出することができ、またいくらまでなら貯蓄を切り崩せるかといったことを検討します。

各課題への対策立案

将来に向けての課題を抽出したら、次はそれぞれの課題に対しての対策を考えましょう。

将来の教育費捻出のために生活費を削減したり、あるいは収入を増やすために働き方を変えたり、土地活用をして収益を確保したりといった対策が考えられるでしょう。

優先順位決定

各課題への対策立案が済んだら、それぞれの優先順位を決定しましょう。

例えば、教育費の捻出や将来発生が予測される相続対策などの課題がある中で、父親がセカンドハウスを持ちたいという理想を持っていた場合、「教育資金の捻出や相続対策などに対する対策を優先し、その後余裕が出た際に、理想であるセカンドハウスの購入を検討する」など、優先順位を正しく設定することが大切です。

実行

課題解決の手順を策定したら、実行にあたっての阻害要因がなければ、できることから進めていくことが大切です。

また、この手順は一度決めたらそれで終わりではなく、ライフイベントは常に変化していくものです。

実際に実行していく中で問題が生じるようであれば、途中で計画の練り直しをすることも必要でしょう。

3.まとめ

今回は、土地の活用方法を検討する前に、実施しておきたい事前準備についてお伝えしました。

土地活用や資産運用は、あくまでも「望みを叶えるための手段」であるということを忘れてはいけません。

また、土地活用という大きな行動は、家族内での合意形成がなければ進められるものではありません。

まずは、ライフプランニングや現状分析からの未来予測など、将来に向けての課題の有無を検証し、ご家族で将来について話し合うきっかけとされてはいかがでしょうか。

大東建託の個別相談

大東建託では、ライフプランニングや、円満円滑な資産承継に向けた相続対策などの個別相談を行っております。※相続業務の経験豊かな税理士、FPなどの専門家をご紹介することも可能です。

いざ「対策が必要」という時に「できると思っていたことができない、急いで別の方法を検討...」と焦らずに済むように、現状の問題発見やご希望に沿った解決策について、専門家に相談しておくことがとても重要です。ご家庭の資産背景からどのような対策が必要なのか、資産承継上どの程度の対策が打てるのか、土地にどのような需要・収益力があるのか、など事前に知っておくことで「安心」につながります。


監修者プロフィール
岩野 愛弓
【資格】宅地建物取引士・インテリアコーディネーター・日商簿記2級 

注文住宅会社に15年以上従事し不動産売買業務の他、新築・リフォームの内外装、家具・建具造作の現場監修を行う。

オリジナルデザインの住宅を数多く経験。住まいづくりのアドバイザー、不動産・住宅専門の執筆活動も行っている。

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