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資産形成の基本~リスク分散の考え方~わかりやすく解説

最終更新日: 2023.05.11

はじめに

インフレ率の高まりから海外では利上げなどを行い、金融を引き締める動きが起き始めている一方で、日本は相変わらず日本銀行の金融緩和政策により超低金利の環境が続いています。

現在の金利の状況は、政策金利(短期金利)はマイナス金利0.1%が適用されており、また、本来はマーケットが決める長期金利についても、日本銀行が0.25%程度の幅で動くようにコントロールしています。

このような過去に例のない低金利環境が続いているわけですが、今のところ日本銀行の黒田総裁はインフレターゲットである2%の目標を達成するまでは、金融緩和を続けるスタンスを崩していません。

そのためしばらくは大幅に金利が上がるような環境にはならないことが予想されます。


データ出所:財務省のデータを基に筆者作成

資産運用の必要性

このような超低金利環境の中で現実味を帯びてきているのがインフレ(物価の上昇)です。


この背景になっているのが、新型コロナウイルスによる経済へのダメージを小さくするために、世界各国が積極的に金融緩和と財政出動を行ったことです。

世界一の経済大国である米国の消費者物価指数は、2021年12月には対前年比で7%台という、39年ぶりの大幅上昇を記録しました。

このようなインフレは米国だけに留まることはありません。なぜなら米ドルが世界の基軸通貨であり、米国で物価の上昇が起こるということは、その影響は世界中に及んでいくためです。


今回の物価の大幅上昇は昨年(2021年)の春頃から起こり始めていますが、FRB は当初は一時的なものというスタンスでした。

一時的なものと考える理由として、新型コロナウイルスの影響によるサプライチェーンの混乱が最大の原因という認識があったものと思われますが、最近は労働市場に人が戻らないことの影響が予想以上に大きく、とくに年齢が高い労働者がコロナ感染を恐れて、職場に復帰することをためらう傾向が見られます。

米国の失業率はコロナ前の水準に戻りつつあり、労働者不足が顕著になってきています。賃金の上昇圧力が強くなっており。賃金の上昇が企業のコストアップにつながっていくことが懸念されています。

また、強力な金融緩和の影響で住宅価格が上がったことで、家賃の上昇圧力も強くなっています。このような理由から、サプライチェーンが回復しただけではインフレは抑えられず、むしろ長期化するという見方が強まってきています。


日本の食料自給率はカロリーベースで約4割しかありません。6割程度は海外からの輸入に頼っている状況。また、エネルギーや資源に至っては9割以上を輸入しています。海外で物価が上がってしまうと、どうしてもその影響を受けやすい構造になっているのが日本です。

このように物価上昇圧力が強くなっている一方で、預金金利はほぼゼロといっていい状況ですから、預貯金にお金を預けておくと着実にその実質価値は下がってしまいます。

たしかに預金に預けておけば額面が減ることはありませんが、しかし、実質価値が失われていくのであれば看過することはできませんよね。インフレに備えるという意味でも、資産運用が必要になってきているのです。


もう一つ資産運用が必要になっている理由として、公的年金のことにも触れておきましょう。日本の公的年金は世代間扶養の仕組みになっています。

世代間扶養は、自身が若い時から貯めたお金を将来に老齢年金として受け取るのではなく、現役世代が現在老齢年金を受け取っている高齢者世代を支えるという仕組みです。

この仕組みは人口がピラミッド型に増えていった昭和の高度成長期に時代に設計されたものです。
当時は人口が急激に増えていましたから、将来人口が減っていくことなんて想定していなかったのでしょうね。

しかし、ご存知の通り、現在の日本は若年人口が急激に減り始めています。

データ出所:総務省統計局「令和2年国勢調査」


将来私達の老後を支えてくれるはずの老齢年金がもらえなくなるなどと危機感を煽るつもりはけっしてありませんが、その支給水準は今後も引き下げられていくと思われます。

また、支給水準の引き下げだけでは年金財政が回らないという事態になれば、支給開始年齢の引き上げが行われることも十分可能性があるのではないでしょうか。

以前に国際通貨基金(IMF)が日本に対して公的年金の支給開始年齢を引き上げるように勧告をしたことがありますが、現在は先進国の多くで公的年金の支給開始年齢の段階的引き上げが行われています。


もしも公的年金の支給開始年齢の引き上げを行うことになれば、国民の反発が相当強くなることが予想されるため、政治的に決断することが極めて難しいと思います。


しかし、財政が厳しい日本が現在の状態を維持し続けられるとは考えないほうがよいと考えています。当然ながら政府も公的年金の財政悪化への懸念を持っており、近年は国民の自助努力で老後資金を確保してもらおうという動きが顕著です。


「NISA」や「つみたてNISA 制度」といった非課税制度の創設、個人型確定拠出年金(iDeCo)の対象範囲の拡大や年齢上限の引き上げなどの税制優遇制度の拡充が次々に行われているのは、自助努力での老後資金の確保を促すことが目的です。

私たち生活者はこのような流れを踏まえて、国に頼り切ろうとしないで、自立を目指していく意識を持っておく必要があるのではないでしょうか。

資産三分法

このような事情から資産運用の必要性が高まりつつありますが、それでは資産運用を行う前に最低限知っておかなければいけないことは何でしょうか?


その一番目はそれぞれの金融商品の持つ特性を知っておくことです。

資産運用の手段には株式や債券、不動産など様々な手段がありますが、安全性や流動性(換金性)、収益性の全てを兼ね備えている金融商品は存在しません。

例えば預貯金は安全性や流動性の面では優れているものの、現在の金利環境においては収益性を期待することはできません。

また、株式の場合は、収益性は期待できますし、流動性の面でも比較的優れているといえますが、投資先の株価が大幅に下落してしまうリスクがあるため、安全性が高いとはけっして言うことができません。

不動産の場合は、株式のように短期的に高収益を期待することはできないものの、長期に渡って安定的に収益を得られる可能性があります。

したがって不動産は収益性を期待することができる資産といえるでしょう。

しかし、その一方で、売却してお金に変えようと思ってもすぐに換金することができないことも考えられるため、流動性の面では弱い資産です。

このように安全性・流動性・収益性の全てを兼ね備えた資産はないため、それぞれの金融商品の特徴を踏まえて、バランスよく保有することが重要になってきます。


有名な資産運用の考え方に「資産三分法」というものがあります。

「資産三分法」とは、それぞれの金融商品の特性を踏まえて、現金・不動産・株式など三つのジャンルに分けて保有する資産を分けるというものです。

個人が様々な金融商品を組み合わせて運用することをポートフォリオ運用と言いますが、資産三分法は最も単純なポートフォリオの考え方と言っていいでしょう。


それぞれ特徴の異なる資産を分けて持つことが大切になる理由として、値動きの異なる資産を組み合わせることで、全体の価格変動幅を低く抑えることができることがあります。

運用が上手くいって値上がりしている時に不満を持つ人はいないと思いますので、やはり気を付けなければいけないのは値下がりしてしまう場面ですよね。

同じような値動きをする資産ばかりを保有していると、市況が悪化した時に保有している資産の全てが値下がりしてしまうような事態になりかねません。

そのためこれから儲かりそうな(上がりそうな)投資対象ばかりを狙って買うのではなく、反対に動く資産を含めて、異なる値動きをする物を組み合わせて保有することが重要なのです。

このような異なる値動きをするかどうかという点については、各資産間の相関係数で確認をすることができます。相関係数は数字が1に近ければ近いほど同じように値動きをすることを表します。

逆にマイナス1に近ければ近いほど、反対の値動きをすることを示します。分散投資を行う際には必ず相関係数を確認して、どのように資産を組み合わせるかを考える必要があるのです。

マネー管理における資産配分の考え方

これはなかなか出来ていない人が多いのですが、楽しむことが目的の趣味の運用と、教育資金や老後資金のような将来必要とする大切な資金の運用は基本的に分けて考えるべきだということです。


それに投資の成果をもたらす要因には、銘柄選択、投資タイミング、資産配分(アセット・アロケーション)の3つがありますが、さまざまな研究結果から、資産配分(アセット・アロケーション)の影響が最も大きいことがわかっています。

そのため大切な資金の運用を始めるにあたっては、どの商品を選ぶとか、いつ買っていつ売るとかということよりも、まずは将来に向けてご自身のライフプランの検討をしっかりと行って、ライフプランを実現するための資産配分(アセット・アロケーション)を決めることが最も大切になってくるのです。

ライフプランから資産配分を決めることは、具体的な運用目標を定めるためも欠かすことが出来ません。具体的な運用目標を決めないまま資産運用を始めてしまうと、ついつい高収益を狙ってしまったりして、過度にリスクを取ってしまうようなことが往々にして起きてしまうものです。

そのためライフプランを検討しながら、保有している金融資産を家計口座(流動性資産)、使用予定資金、確実性資金(安定運用資産)、利殖性資金(積極運用資産)など目的別に配分をして、それぞれの資産ごとに目標とする運用利回りを決めるようにしたほうがいいですね。

各資産の位置づけはこのようなものです。


    • 1. いつでも引き出せるお金(流動性資金)
    • 2. 使い道が決まっているお金(使用予定資金)
    • 3. 安定的に運用するお金(確実性資金)
    • 4. 積極的に運用するお金(利殖性資金)



流動性資金は日常生活で使うお金や突然の急な出費などに備えておくもので、半年分程度の生活費を目安にするとよいでしょう。

いつでも引き出せるようにしておかなくてはいけないため、1,000万円まで預金保護の対象となっている普通預金などが選択肢になります。そのため現在の金利環境では、この流動性資金から収益を期待することはできません。

使用予定資金は住宅のリフォームやクルマの購入、子どもの結婚援助など、数年以内に使うことが決まっているお金で、その使用時期に応じて預け先を決めることが大切になります。

流動性資金と同様、現在の金利環境ではこの使用予定資金の部分から収益性を期待することは難しくなっています。安定的に運用するお金(確実性資金)の部分は、日本人に最も欠けている部分だと思います。

生活していく中で流動性資金が不足した時には、この確実性資金の部分から補填できるように、できるだけ価格変動を抑え確実に運用することが求められます。

確実性資金の部分に期待する収益率は、インフレターゲットの目標利回り程度(現在の日本の場合は2%)を目処にするとよいでしょう。預け先としては実質金利がプラスの時期であれば、高格付け債券やリスクの低い債券ファンドあたりが候補になります。

しかし、現在のような実質金利がマイナスの局面においては債券に投資をしても、資産の実質的価値は下がってしまうだけなので、その点には注意をしておく必要があります。


流動性資金はリスクを取って、積極的に収益を求めて運用を行っていく部分です。価格変動リスクや為替リスクなどを許容しながら、国内外の株式やREIT(不動産投資信託)・コモディティ、現物不動産などの資産に投資をして収益性を求めていきます。

しかし、あまりにも高い収益性を求めてしまうと、それだけ大きなリスクを抱えることにもなりかねません。そのためどの程度リスク(価格変動)を許容するかはあらかじめ考えておく必要があります。

まとめ


このように資産運用は金融商品の持つ特性をしっかりと理解して、自身のライフプランに沿った形で計画的に、投資対象を分散させながら進めていくことが重要です。これは失敗のリスクを軽減することにもつながるので、ぜひ実践してみてください。




筆者プロフィール
FPオフィス クライアントサイド 代表 久保 逸郎(クボ イツロウ)

マイアドバイザー®。大学卒業後、大手リース会社の営業職としてファイナンスリース、自動車ローン・住宅ローンなどのローン商品の営業・与信業務に従事した後に、外資系保険会社を経て、2003年春にフィナンシャルプランナー(FP)として独立開業。
顧客のライフプラン実現のサポートを行う実務家FPとして活動する傍ら、ライフプランや資産運用などのお金のことについて全国各地で年間100回近い講演や、マネー雑誌や金融誌等の執筆を行っている。
<主な執筆及びメディア実績>
読売新聞・朝日新聞AERA・東洋経済・財界九州・エコノミスト・FPジャーナル・Financial Adviser・みずほ銀行おかねアカデミー・FBS福岡放送「めんたいワイド」・九州朝日放送「ニュースぴあ」・RKB毎日放送「今日感ニュース」ほか





監修者プロフィール
株式会社優益FPオフィス 代表取締役 佐藤 益弘

Yahoo!Japanなど主要webサイトや5大新聞社への寄稿・取材・講演会を通じた情報提供や、主にライフプランに基づいた相談を顧客サイドに立った立場で実行サポートするライフプランFP®/マイアドバイザー®として活動している。
NHK「クローズアップ現代」「ゆうどきネットワーク」などTVへの出演も行い、産業能率大学兼任講師、日本FP協会評議員も務める。

【保有資格】
・CFP®・FP技能士(1級)・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
・住宅ローンアドバイザー(財団法人住宅金融普及協会)



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