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資産を受け継ぐあなたへ② アパート経営、相続したらどうする?

公開日: 2022.10.28

最終更新日: 2023.12.25

公開日:2019.01.09

両親がアパート経営をしている場合、将来そのアパートを受け継ぐのは誰でしょうか。
例えば、親が認知症を発症した場合、家族として資産を活かすために取れる対策は、残念ながら非常に限定的となってしまいます。
親が元気なうちにアパートなどの資産をどうするのか、今のうちからご家族みんなで話し合っておくことが大切です。

本記事では、アパートなどの不動産資産を相続する予定がある方に向けて、今からできる将来の経営改善に向けた指標やチェックポイントをお伝えします。

>>関連記事:「アパート経営完全ガイド|建築プラン立てから完成後の業務まで」

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この記事のポイント
  • 経営見直しの指標は「空室率」
  • 親が元気なうちに今のうちから家族で話し合うことが大切



まずは現状を把握しよう

所有するアパートをどのように管理し、月にいくらぐらいの賃料収入を得ていて、ローンはいくら残っているのでしょうか。
経営されているアパートについて詳しく知らないという方は、意外と多いのではないでしょうか。

事前に相続財産の知識がなかったため正しい評価がわからず、「残債が残っていて財産にならないと思い売却し納税資金のために現金化の手続きをしてしまった」、「借入金が大きかったため相続放棄をしてしまった」などとならないよう現状を知ることは大切です。

まずはどのようなアパート経営をしているのか、引き継ぐ家族がしっかりと現状を知ることから始めましょう。そのうえで、将来円滑に資産承継をするために、今のうちから対策を考えていきましょう。

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今のやり方をそのまま引き継いでもよいのか?

賃貸経営の内容は確認してみてどうだったでしょうか。

親は長く経営を続けてきていますが、その運営方法が必ずしも最善かどうかは分かりません。
近年、賃貸住宅市場には、人口減少に伴う空室の問題や、建物老朽化による耐震性・耐久性への不安などが出てきています。両親の持つアパートやその周辺環境によってさまざまな課題が浮き彫りになってくるかもしれません。



今後起こりうる賃貸経営のさまざまなリスクに対応していけるかどうか、確認していきましょう。

経営見直しの指標は、空室率

賃貸経営を見直す際に、指標としたい代表的なものが「空室率」です。一般的に空室率が高いのであれば改善を検討する必要があります。

総務省で公表している「住宅土地統計調査」によると、賃貸住宅の空室率は2013年時点で18.8%です。とはいえ、この空室率には老朽化が著しいなど実際に稼働していない賃貸住宅も含まれているため実態はもっと低い数値になるはずです。
首都圏のサブリース物件に絞った場合、公益財団法人 日本賃貸住宅管協会が出す「日管協短観」によると、2017年10月-2018年3月の空室率は3.2%です。この日管協短観は、首都圏や関西圏を中心とした不動産管理会社に対して賃貸住宅の景況感を調査するもので、現場の管理会社による管理戸数がベースのため、実際に稼働している賃貸住宅の空室率としてはかなり実態に近いことが想像できます。



この数値と比べて、両親の賃貸住宅の空室率の状況はどうでしょうか。
もちろん、入居者の入れ替わり時に原状回復のためのメンテナンスに1か月近く空室になる場合もありますから、23か月程度空いている場合を空室と考えるとよいでしょう。

空室率が全国平均より高ければ、その要因を見極め、この空室リスクにどのように対策を講じ、備えていくかをポイントごとに検討する必要があります。

チェックポイント① 集客は十分にできているのか?

これまでどのように入居者募集を行ってきたのでしょうか。

賃貸住宅の入居者募集を個人で管理している場合、費用が抑えられる分、入居者対応や仲介業者の手配などのすべてをオーナーが自ら行います。そのため、入居者の募集方法も個人によって差があり、やり方によっては入居者が入りやすかったり、逆に入りにくくなってしまうことも起こり得ます。


一方、管理会社に委託した場合、管理手数料は掛かりますが、入居者募集は全て管理会社側で行い、効率的に入居率を高めることができます。

入居者募集には、入居者を見つけるための募集体制と入居しやすいサービスの2つのポイントがあります。


入居募集体制については、物件を取り扱う仲介ネットワークの規模や、物件を掲載するホームページなどの取り扱い物件数が参考になるでしょう。入居検討者が物件を探す場所やタイミングに合わせて多様なチャネルを揃えておくと、見つけてもられるチャンスも高まります。身近に店舗があったり、「ここなら自分の求める物件が見つかりそう」と感じてもらえるような物件情報量は、入居検討しやすい環境に繋がります。
また、最近はスマートフォンを利用することで、いつでも気軽に物件探しができるようになりました。タイムリーに物件探しができるよう、例えばSNSや独自のアプリケーションを使ったりできることもポイントとなるでしょう。

物件探しの他で入居検討してもらえるポイントが、入居者向けサービスです。例えば、保証人が不要だったり、敷金や退去後クリーニングの負担費用を抑えられたり、家賃の支払がクレジットカードでできたりするのは、魅力となります。また、入居後に住まいのトラブルが発生した時に24時間365日いつでも対応してくれたり、鍵の解錠を無料でできたりするのは、入居者にとって安心になります。

入居する際、そして入居中に得られるサービスの改善によって、入居者の暮らしやすさは変わり、そして満足度へと繋がります。これから住む場所を選ぶ際の、大きなメリットとなるでしょう。

チェックポイント② 管理体制はどうなっているのか?

賃貸経営を続けるうえで避けられないのが、原状回復費や修繕費などのメンテナンス費用です。

前述の個人で管理をした場合と、管理手数料を支払って管理会社に委託した場合で比較してみましょう。



上記のデータによると、ここ20年で管理戸数が約400万戸上昇しているのに対し、その内訳では、個人管理の割合は縮小し、逆にプロによる管理は16.5%から35.4%と倍以上に伸びています。また、実際の物件の稼働率については、プロによる管理は90%を維持している一方、個人管理は84%から9%ダウンし75%となり、稼働率の差が開く結果となっています。


賃貸住宅の管理業務は入居者の対応から建物の管理・事業の運営まで多岐に渡ります。これらのことを個人で全て行う負担を考えれば、管理会社に委託した場合の方が、費用負担以上に空室率改善にもつながるという効果も得られ、オーナーにとって心強いパートナーとなるのかもしれません。

>>関連記事:空室率を下げる!賃貸経営における「管理」の重要性

30年間で約1,450万円の修繕費が必要?

原状回復費や修繕費は、どのくらいの頻度で発生し、どれだけの金額がかかるものか、予測がつけにくいものです。
それぞれどれくらいの費用が掛かっているのか、確認していきましょう。

入居者の入れ替わりの度に発生する原状回復費は、金額や頻度の予測がつきにくく、住んでいた入居者の使い方や室内の建築資材によって変わるため、賃貸経営の不安材料になりがちです。
また、建物のメンテナンスや部屋設備の交換など、修繕費は大きなコストとなります。2階建、8戸の場合、エアコンやテレビアンテナ、外壁塗装などにかかる修繕費は30年間で計算してみると約1,450万円にもなります。

これらの費用全てを都度負担をしていくのはかなり大変です。さらに、金額や頻度も明確に出せないことから、不安も尽きないでしょう。

サブリースで賃貸住宅を一括借り上げする管理会社の中には、サブリース契約の中で原状回復費や修繕費用をカバーし、オーナーの負担が軽減される会社もあります。
管理会社に任せることを検討する際は、管理会社側でカバーされる範囲がどこまでなのか、確認して選ぶことも大切です。管理会社の選び方次第で、空室率だけでなくキャッシュフローも改善することができるでしょう。

チェックポイント③ 物件の耐久性、耐震性は十分か?

建物の耐久性や耐震性は十分でしょうか?

日本の耐震基準は1981年に改正し、この前後で建物の耐震強度の基準に違いがあります。建物の倒壊を防ぐ基準が、震度5強から、1981年以降は震度6強7に引き上げられました。つまり、改正前に建てられた賃貸住宅は大きな地震による倒壊の可能性がより高いと言えます。

近年、各地で起こる地震や台風などの自然災害による建物被害の影響もあり、多くの人が暮らす賃貸住宅の強度に対する目も厳しくなっています。
また、被害を受けた際に及ぶ賃貸経営への影響も見過ごせません。修理に掛かる費用だけでなく、その間入居者が入らないことによる家賃収入の減少など、掛かる負担は大きなものになります。

耐震性は、耐震改修を行うことで強度を上げることが可能です。しかし、建物の状況や建て方によって掛かる費用も変わるうえ、安全性は担保できても、入居者の居住環境は変わりません。そのため、入居率を上げるためには、入居者のニーズに合わせた物件になるよう、別で改善策を講じる必要があるでしょう。

なお、建物の耐震性を向上させる耐震改修には膨大なお金がかかることも多いことから、全てを一新する建て替えを検討した方が、全体で考えたときにメリットが大きくなることも少なくありません。信頼できる建築会社や専門家がいれば、建築費がどれくらいかかるのか、銀行などの金融機関に債務可能かなど相談しても良いかもしれません。

まとめ

賃貸住宅の経営改善という視点から、集客や管理体制、耐震性についてお伝えしてきました。
これら賃貸経営の指標となるポイントについては、昔とは環境が大きく変わってきており、市場やニーズにマッチしなくなってきていることも数多くあります。これらのほかにも 相続人として賃貸物件を引き継ぐ予定であるなら現在どれくらい相続税評価額あり相続時にいくらの相続税額がかかるかの検証、遺産分割協議をスムーズに行うことはできるか、それに伴う相続税対策としてアパート建築を行ったら節税効果がどれくらいあるのかの検証や生前贈与などの相続対策(承継対策)を検討して相続後の土地活用をシミュレーションすることをおすすめします。(手間に感じるかもしれませんが、税理士に相談しましょう)

とはいえ、ご両親も現在進行形で経営されているのであれば、そのことについてはご存知のはずです。改善を進めるのであれば、やり方を否定するのではなく、じっくりと話を聞きつつ相談しましょう。本記事を参考に少しずつ改善のための準備や提案を早めに行っていくとよいでしょう。

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