アパート経営の事業計画書の作り方│必要な記載項目や作成ポイント
公開日: 2024.12.19
最終更新日: 2024.12.19
賃貸アパート・マンション経営では、事業計画書を作成する場合があります。
事業計画書はアパートローンなどで借り入れをする際に銀行などの金融機関に提出するために作成しますが、事業全体を客観的に見ることができるようになるメリットもあります。
この記事では、アパート経営において大切な事業計画書について説明します。
その定義や具体的な記載内容、作成における重要なポイントを説明しますので、最後までぜひチェックしてみてください。
目次
1. アパート経営に必要な事業計画書について
アパート経営は自己資金だけでなく、借入金を活用するのが一般的です。
アパート経営でローンを借りる場合、その事業全体を説明する事業計画書が必要です。まずは概要を見ていきましょう。
1-1. 事業計画書とは
事業計画書とは、賃貸経営を始める動機や目的、必要な資金と調達方法、収支シミュレーションなどを記載する計画書のことを指します。
一般的な企業経営では融資や出資などの協力を得る際に必要となりますが、アパート経営においても、アパートローンの融資審査において提出が求められます。
事業計画書に記載される内容は、経営に関する運営計画や収支計画、不動産の立地、設備などです。
後ほど、一つずつ説明します。
1-2. アパート経営に事業計画書が必要な理由
アパート経営に事業計画書が必要な理由は、事業計画が実現可能であることを証明するためです。
アパートローンの融資申し込みを受けた金融機関は、事業計画書を通じて、貸し付けた資金が計画通りに運用、返済される見込みがあるかを判断します。
そのため、土地のオーナーは、資料で賃貸経営事業の収益性や健全性をアピールしなければなりません。具体的には、その物件からどれくらいの家賃収入が見込め、それで借り入れた資金が滞りなく返済できることを、数値と計画を立てて記載します。
説得力のある計画を立てるには、アパートローンの種類やアパート経営にかかる費用を把握しておく必要があります。
2. 事業計画書の作り方例
事業計画書をワードやパワーポイントのツールで一から自作するのは手間がかかるので、テンプレートを利用するのがおすすめです。
ここでは、事業計画書の作り方を簡単に説明します。
2-1. テンプレートを活用する
インターネット上で公開されているテンプレートをダウンロードして活用すれば、手間を抑えることができます。
テンプレートには必要事項が漏れなく記載されているため、重要事項を書き忘れる心配がありません。
>>参考:「国民生活事業 各種書式ダウンロード」(日本政策金融公庫)
2-2. 金融機関の用意したテンプレートを使用する
金融機関によっては、独自のテンプレートを用意している場合があります。
金融機関が独自のテンプレートを用意する理由は、審査する上で記載内容の項目や水準を一定にし、審査しやすくするためです。
テンプレートの記入方法や記入例、注意点は、金融機関の担当者に確認するとよいでしょう。
3. 事業計画書に必要な記載項目
事業計画書の重要性がわかったところで、次はどのような内容を記載していくのか確認していきましょう。
ここでは、一般的な事業計画書に必要な記載項目を説明していきます。
3-1. 申込者の資産状況やプロフィール
まずは、申込者自身の資産・負債の状況です。
職業や年齢、勤務先、勤続年数、年収などを記載し、返済能力や経営能力を示します。
不動産所得以外にも給与などの所得があれば、より返済能力があると見なされます。
また、他にアパートローン以外の借り入れ(住宅ローンや車のローン等)がある場合は、その状況についても記載しなくてはなりません。
3-2. 土地や建物の概要
購入する土地や建物の概要を記載します。
土地に関しては、住所・地番や土地の面積、土地の評価額、法令上の制限、売買価格など、資産価値がわかる内容を記載します。
3-3. 物件のコンセプト
入居者として想定しているターゲット層や賃貸経営の方針などを説明します。
自らの物件が周囲の物件と比べてどのような強みをもっているのか、周辺地域の調査・分析内容を記載しましょう。
4. アパート経営の事業計画書の作成ポイント
アパート経営の事業計画書の記載内容は上記で説明した通りですが、作成するにあたって重要なポイントがいくつかあります。
ここでは、押さえておきたいポイントを解説します。
4-1. リスクを含めた計画を立てる
楽観的な計画では金融機関から信用を得られない可能性があります。
そのことから、災害リスクや周辺環境の変化などのリスクを考慮した計画を組み込むことが大切です。
具体的には、空室のリスクや修繕費発生リスクを見込みましょう。
空室リスクについては、物件の経年劣化とともに、入居率を一定割り引くなどしておきましょう。
また修繕発生リスクについては、投資額の数%ほどの修繕が毎年発生する前提でシミュレーションするほか、建物の老朽化に備えるための大規模修繕積立金を見込みましょう。
その他、アパート経営の代表的な8個のリスクについては、以下の記事で紹介しています。
>>関連記事:アパート経営で知っておくべき代表的な8個のリスクと対策方法
5. もし事業計画書の作成が難しければ、不動産会社に相談してみよう
今回は、アパート経営における事業計画書について説明しました。
事業計画書では、土地活用の概要や、そこで得られる利益を算出し、ローン返済能力があることを金融機関等に説明することができる書類です。
作成することにより、長期的な視点に立って事業全体を把握することができるというメリットもあります。自分ひとりで作成が難しいと感じたら、まずは不動産投資会社などにも相談し、書き方を教わってみるのもよいでしょう。
■監修者プロフィール
有限会社アローフィールド代表取締役社長
矢野 翔一
関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。
【保有資格】2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者
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