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アパート経営に必要な資金│アパートローンの種類や活用のポイント

公開日: 2024.09.27

最終更新日: 2024.09.30

不動産投資の選択肢として、アパート経営が多くの人々の関心を集めています。入居者からの家賃は長期的かつ安定して得られる収入源として魅力的ですが、経営を始める際は物件の建築費をはじめとする多額の資金が必要です。

株や証券などと比較して、賃貸物件の経営は初期費用がかかりますが、アパートローンと呼ばれる融資を活用して事業資金を確保できるという特徴があります。

 

本記事では、アパート経営に必要な資金の内訳、アパートローンの特徴と活用法、そして資金面で考慮すべきリスクについて詳しく解説します。

    

アパート経営を検討している方は資金計画の立て方や重要なリスク対策が学べますので、

ぜひ最後までお読みください。

1.アパート経営に必要な資金の額を決める要素


アパート経営に必要な資金は、立地や規模、構造などの複数の要素によって大きく変動します。

一概に「これだけ」と言えるものではありませんが、具体的な金額を知りたい場合は、不動産会社や建築会社に相談するのが最適です。

プロフェッショナルの専門知識を活用することで、より正確な資金計画を立てることができるでしょう。

1-1.初期費用

アパート経営の主な初期費用は以下の通りです。

 

・本体工事費(アパート建築の基本費用)

・建物附帯・外構工事費(設備、駐車場など)

・土地調査費用

・不動産取得税

・設計料

・登記費用(保存登記、抵当権設定登記など)

・登録免許税

・仲介手数料

・司法書士報酬

・印紙税

・火災保険料・地震保険料

・事務手数料

・管理会社への初期費用

 

これらの費用は物件の規模や立地、構造によって大きく変動します。
特に本体工事費は総費用の大部分を占めるため、慎重な検討が必要です。また、土地を購入する場合はさらに高額になります。アパート経営は初期投資が大きいため、綿密な資金計画が不可欠です。

1-2.維持費

アパート経営において発生する維持費は多岐にわたります。
以下に主な維持費を箇条書きでまとめます

 

・修繕費(建物や設備の補修、更新)

・広告料(入居者募集のため)

・管理委託費(管理会社への委託費用)

・固定資産税

・火災保険料・地震保険料

・水道光熱費(共用部分)

・清掃費

・除雪費(地域による)

・空室時の家賃損失

・原状回復費用(退去時)

 

これらの維持費は、物件の規模や入居率、管理方法によって変動します。
特に修繕費は建物の経年劣化に伴い増加する傾向にあるため、長期的な視点での資金計画が重要です。

また、空室対策や入居者の満足度向上のための投資も必要となるでしょう。

 

>>関連記事:アパート経営を始めたときにかかる費用と続ける際にかかる費用は?

 

2.アパート経営の資金を賄えるアパートローン


アパート経営は、土地取得や建築費用など、多額の初期投資を必要とします。

これらの費用を全て自己資金で賄うのは、多くの投資家にとって現実的ではありません。

 

そこで活用されるのが、不動産投資向けに各金融機関が提供するアパートローンです。

このローンを利用することで、必要な資金を調達し、アパート経営をスタートさせることができます。

2-1.アパートローンの特徴

アパートローンは、投資目的の不動産購入や建築費用を賄うための特別な融資制度です。

このローンの大きな特徴は、土地や建物、またはその両方を担保として借り入れができることです。

これにより、自己資金だけでは難しい大規模な投資が可能になります。

 

さらに重要な点は、レバレッジ効果が期待できることです。

レバレッジ効果とは、少ない自己資金で多額の資金を借り入れることにより、その資金を使って大きな投資を行うことです。これにより、投資から得られる利益が自己資金だけを使った場合に比べて大きくなる可能性があります。

 

ただし、レバレッジ効果は損失も拡大させる可能性があるため、慎重な資金計画と市場分析が不可欠です。

 

>>関連記事:アパート経営の資金計画に備えよう~アパートローン~

2-2.アパートローンを組める金融機関      

アパートローンは、さまざまな金融機関で取り扱われています。
それぞれの金融機関には特徴があり、提供しているアパートローンの金利や融資条件も異なります。

自分に合ったアパートローンを選ぶためには、各金融機関の特徴を理解することが重要です。

 

・メガバンク

大手の都市銀行であり、安定した経営基盤と豊富な資金量を誇ります。審査基準が厳しく、融資条件も慎重に審査されます。

しかし、金利が低く、返済負担が比較的少ないのが特徴です。

また、豊富な商品ラインナップから、ニーズに合ったローンを選ぶことができます。

 

代表的な金融機関としては、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行があります。

 

・地方銀行や信用金庫

地域に密着した金融機関で、地元の不動産事情に詳しい傾向があります。

審査基準はメガバンクほど厳しくなく、柔軟な対応が期待できます。金利はメガバンクより若干高めですが、地域性を考慮した商品設計がされていることが多いです。

 

・ネット銀行

店舗を持たないオンライン中心の銀行で、24時間申し込みが可能です。低運営コストの利点を生かして、比較的低金利でローンを提供することが多いです。申し込みから審査、契約までの手続きがオンラインで完結し、迅速な対応が可能。ただし、対面でのきめ細かいサポートは期待できない場合があります。

 

・ノンバンク

ノンバンクとは、銀行法に基づく免許を持たずに金融サービスを提供する金融機関のことを指します。銀行よりも審査基準が緩く、融資の柔軟性が高いのが特徴です。金利は他の金融機関より高めですが、銀行での融資が難しい場合の選択肢となります。

 

・住宅金融支援機構

政府系金融機関で、長期固定金利の融資を提供しています。長期固定金利などの条件でローンを提供しているため、初めての不動産投資者や低リスクを好む投資家に適しています。

 

また、金利が低く、最長35年の長期返済が可能です。

ただし、融資対象となる物件や条件に制限があり、審査も厳格という点に注意してください。

 

これらの金融機関を選ぶ際は、自身の投資計画や資金状況、地域の市場状況などを考慮し、

最適なパートナーを選ぶことが重要です。

2-3.アパートローンの申し込み方

アパートローンの申し込み方には主に2つの方法があります。

1つ目は、不動産会社が提携している金融機関のローンを利用する方法です。

この場合、不動産会社が仲介役となるため、手続きをスムーズに進めやすいというメリットがあります。
また、提携ローンは通常のアパートローンと比べて金利が低く、審査のハードルも比較的低いことが多いです。

 

2つ目は、オーナー自身が直接金融機関を探して申し込む方法です。

この方法では、より幅広い選択肢の中から自分に合った条件のローンを見つけられる可能性があります。

 

なお、アパートローン以外の資金調達方法も存在します。

例えば、国や地方自治体が独自に設けている補助金や助成金制度などです。

これらの制度は、地域の活性化や特定の政策目標の達成を目的としていることが多く、制度ごとに利用条件が設定されています。

 

アパート経営を検討する際は、こうした制度についても確認してみると良いでしょう。
条件に合致すれば、初期投資の軽減や経営の安定化に役立つ可能性があります。

3.アパートローンの審査で見られる項目の例


アパートローンの審査では、通常の住宅ローンとは異なる基準が適用されます。

主に物件の収益性や物件の担保価値、個人の経歴、返済能力などが重視されます。

ここでは、金融機関が審査時に注目する主な項目について解説します。

3-1.建てる物件の収益性

アパートローンの審査では、建築予定の物件の収益性が重要な判断基準となります。

金融機関は立地、間取り、価格、設備、賃貸需要などの要素から、その物件が安定した家賃収入を生み出せるかを評価します。

 

また、事業計画書も収益性判断の重要な資料です。事業計画書には通常、以下のような内容が記載されます:

 

・物件概要(所在地、規模、構造など)

・市場分析(周辺の賃貸需要、競合物件の状況)

・収支計画(予想家賃収入、運営経費、ローン返済額など)

・入居者募集戦略

・長期的な物件管理・運営方針

 

これらの情報を通じて、金融機関は事業の実現可能性と持続性を判断します。

3-2.物件の担保価値

アパートローンの審査では、対象物件の担保価値も重要な判断基準です。

これは、万が一返済不能となった場合に物件売却で債務を回収できるかを評価するものです。

 

立地条件や建物の質、市場性などが考慮され、担保評価が高いと判断されれば融資が通りやすくなります。
つまり、物件の資産価値と将来性が融資の可否に大きく影響します。

3-3.個人の経歴

アパートローンの審査では、物件の収益性が主眼となりますが、借入人の個人的な経歴も考慮されます。
現在の年収、勤務先、勤続年数、年齢、健康状態などが判断基準となり、これらから返済能力を評価します。

 

また、他のローンの借入状況やクレジットカードの支払い履歴も重要です。

滞納や遅延がある場合、融資の可能性が低くなる可能性があります。総合的に借入人の信用力と返済能力を判断します。

4.アパート経営の資金に関係するリスク


アパート経営には、魅力的な不労所得を得られる可能性がある一方で、資金面に関連する重要なリスクも存在します。

主に金利上昇リスク、借入金返済リスク、オーバーローンリスクの3つが挙げられます。

 

これらのリスクを理解し、適切に管理することが、長期的に安定したアパート経営を行う上で不可欠です。各リスクの特徴と対策を知ることで、より安全な投資が可能になります。

4-1.金利上昇リスク

金利上昇リスクは、変動金利でアパートローンを組んだ場合に直面する可能性があります。

経済状況の変化により金利が上昇すると、毎月の返済額が増加し、当初の計画よりも多くの資金が必要です。

 

これは、キャッシュフローを圧迫し、利益を減少させる可能性があります。

長期的な資金計画を立てる際は、このリスクを考慮し、固定金利との比較検討も重要です。

4-2.借入金返済リスク                                                        

借入金返済リスクは、アパート経営における重要な懸念事項です。

空室率の上昇や家賃の値下げにより、予定していた家賃収入が得られなくなることで、ローンの返済に支障をきたす恐れがあります。

このリスクに備えるためには、十分な資金的余裕を持つことが重要です。

4-3.オーバーローンリスク

オーバーローンリスクとは、不動産売却時に売却価格がローン残高を下回るリスクです。

建物の売却時、市場価格が下落している場合、物件の評価額がローンの残債を下回ってしまう可能性があります。

 

そうなると、たとえ物件を売却しても、ローンを完済することができず、多額の借金が残ってしまうという事態に陥ります。

オーバーローンのリスクを回避するためには、物件の評価額よりも低い金額でローンを組むことや市場が好調なときに売却を検討することが有効です。

5.アパート経営の成功は資金計画とリスク管理が大切


アパート経営は、適切な資金計画と慎重なリスク管理が成功の鍵となります。

初期費用や維持費用を正確に把握し、アパートローンを活用して効果的な資金調達を行うことが重要です。

 

ローンの審査では、物件の収益性や担保価値、個人の信用力が重視されます。

また、金利上昇リスクや借入金返済リスクなど、資金面でのリスクにも十分な注意が必要です。これらのリスクを理解し、適切な対策を講じることで、長期的に安定した経営が可能となります。

 

綿密な事業計画の立案や十分な資金的余裕の確保が、アパート経営成功への道筋となるでしょう。専門家のアドバイスを受けながら、慎重に計画を進めることをおすすめします。

■監修者プロフィール

有限会社アローフィールド代表取締役社長
矢野 翔一

関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。

【保有資格】2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者