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建物の減価償却とは?耐用年数と計算方法【算出シミュレーション】

最終更新日: 2023.03.14

賃貸用アパート経営などの事業用不動産を所有する不動産オーナーにとって、減価償却費は押さえておきたい費用です。減価償却費とは、取得時に支払った建物価格を耐用年数に応じて少しずつ経費として計上するもので、不動産所得に対する所得税を節税する効果があります。

このコラムでは、そんな減価償却費に関する基礎知識や計算方法、定額法と定率法の違いなどについて説明します。
後半では実際の数字を交えた計算例も紹介します。最後までぜひチェックしてください。

1.建物における減価償却とは

減価償却費は、事業用建物や建物に付帯する設備・器具が対象となります。

まずは、減価償却費の基礎知識をポイントごとに理解していきましょう。

1-1.そもそも減価償却とは

減価償却とは、建物などの固定資産の取得費用を定められた年数(耐用年数)に分けて経費計上することを指します

その対象となるのは一般的に、寿命があり時の経過等によってその価値が減っていくと考えられる資産です。例えば、業務のために用いられる建物、建物付帯設備(エアコンなど)、機械装置(ベルトコンベアーなど)、器具備品(パソコンなど)、車両運搬具(車など)が挙げられます。

一方、減価償却資産に土地は対象となりません。
建物は時間が経つほど劣化して価値が落ちていきますが、土地は減価償却の対象にならないためです。
また、本来対象となる資産であっても、業務用に使用していなければ減価償却の対象とはなりません。
また、例えば社長が中古マンションを購入したとしても、自らの居住用にしか使用していなければ、その住宅における減価償却費を会社の費用として計上することはできません

注意点として覚えておきましょう。

1-2.建物における減価償却の考え方

減価償却における耐用年数は、その資産の構造や用途により異なります。
建物の場合は構造     により変わり、同じ一戸建てであっても、例えば「木造・飲食店用の用途」であれば20年、「金属造(鉄骨造含む)で骨格材の肉厚が4mmを超えるもの・事務所用の用途」であれば38年など、細かく設定されています。


なお、これらの耐用年数は、あくまで会計上設定された数字に過ぎません。
耐用年数を経過した建物でも問題なく使用できます。    

不動産投資における減価償却のメリットや注意点については、以下のコラムで詳しく解説しています。

2.建物における減価償却費の計算方法

減価償却費の計算方法は2種類。定額法と定率法です。
ここからは、それぞれの計算方法と適用条件を説明していきます。

2-1.建物の減価償却費の計算が必要なケース

まず、建物の減価償却費の計算が必要なのは、不動産に関する収入が発生した場合です。
家賃収入と不動産売却益の二つのケースに分けて見ていきましょう。

 

・賃貸経営で家賃収入があるケース

マンションやアパートなどの賃貸不動産を経営し、家賃収入がある場合、確定申告にてその所得を申告しなければなりません。この際、必要経費として、建物の減価償却費を計上することができます。
例えば、転勤によりマイホームを貸し出している場合はこのケースに当てはまります。

 

・不動産を売却するケース

不動産売却により譲渡所得が発生した場合でも、確定申告にてその所得を申告しなければなりません。
例えば、個人の自宅を売却する場合はこのケースに当てはまります。


確定申告において、不動産売却で得た譲渡所得は、「売却金額-(取得費+譲渡費用)」で算出します。「売却金額」は文字通りいくらで売却できたかを表し、そこから必要経費として、取得費(その物件を購入時にかかった建物価格や仲介手数料、各種税金などの費用)と、譲渡費用(売却時にかかった仲介手数料、各種税金などの費用)を差し引き、売却益を算出します。

この際、取得費は購入にかかった価格から、減価償却費を差し引いた額としなければならなりません。例えば、購入した不動産の価格が5,000万円(諸経費含む)、減価償却費が1,000万円の場合、取得費は5,000万円から1,000万円を引いた4,000万円となります。    

2-2.建物の減価償却費の計算に必要な項目

 

・法定耐用年数

法定耐用年数とは、固定資産の「資産価値が帳簿上から消滅するまでの期間」を定めた年数を指します。建物の種類や構造、用途などによって異なる年数が定められており、国税庁のHPでも確認することが可能です。

なお、中古資産を購入した際については、以下の計算式により耐用年数を設定します。

 

・法定耐用年数の全部を経過した資産:法定耐用年数の20パーセントに相当する年数

・法定耐用年数の一部を経過した資産:法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20パーセントに相当する年数を加えた年数

 

また、大規模修繕などの建物の価値を上げるリフォームを行った場合、その費用については建物の構造に応じた耐用年数が設定されます。例えば法定耐用年数20年の木造飲食店を、築10年の時点で大規模修繕した場合、その工事費の耐用年数は20年で設定されます。

 

建物ごとに定められている法定耐用年数については、以下のコラムで詳しく解説しています。

 

・取得価額

減価償却費の計算に次に必要なのが、その物件の取得価額です。この取得価額は文字通りその物件を取得する際にかかったお金のことで、建物の本体価格だけでなく、その他諸費用も含むことができます。

取得価額に含めることが可能な費用は主に以下の通りです。

 

・建物の本体価格(新築の場合は建築費・中古物件の場合は建物の購入対価)・消費税含む

・購入時、不動産会社へ支払った仲介手数料

・不動産登記の諸費用(登録免許税・司法書士への報酬代)

・不動産取得税

・契約書の収入印紙代

・その他、整地にかかった費用や、古屋建物の取り壊し費用

 

 

・償却率

減価償却費の計算に最後に必要になるのが、償却率です。
償却率は次で説明する定額法・定率法ごとに定められており、国税庁のHPで一覧を確認することができます。

2-3.建物における減価償却費の2種類の計算方法

減価償却の算出方法には、定額法と定率法の2種類があります。
建物、建物付帯設備、構築物、ソフトウェアは原則定額法が適用されますが、機械装置、車両運搬具、器具備品については定率法を選択することも可能です。

 

・定額法

定額法とは、原則として毎年の減価償却費を一定にする計算方法のことを指します。例えば2,000万円の資産を10年で償却する場合、減価償却費は毎年200万円となります。

計算式は以下の通りです。

「減価償却費=取得価額×定額法償却率」

定率法償却率は建物の法定耐用年数によって異なります。

※出典:「減価償却資産の償却率等表」(国税庁)

 

・定率法

定率法は、取得価格からこれまでに行った減価償却費の累計額を差し引いたもの(残存簿価)に、償却率を掛ける算出法です。
定率法の場合、減価償却費の額は初年度が最も多く、毎年減少していきます。定率法の償却率は、平成24331日以前であれば「定額法の償却率×250%」、平成2441日以後「定額法の償却率×200%」となります。償却の初年度で定額法の2倍の減価償却費を計上できることから、税務上有利と言えます。

計算式は以下の通りです。

「減価償却費 = 未償却残高(購入年度は取得価額) × 定率法償却率」

例えば2,000万円の資産を10年で償却する場合、1年目は400万円、2年目は320万円となります。このように、年数が経過するほど償却額は低くなっていきます。

3.建物における減価償却費の算出シミュレーション

ここからは、実際に建物で発生する減価償却費を計算してみましょう。
前述した通り、建物などの不動産投資に関連する支出は原則定額法が適用されます。今回は、新築マンションを購入した事例で計算してみます。

 

<建物の前提条件>

✳︎建物:新築マンション

✳︎構造:鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)

✳︎取得価格:2億円

✳︎購入年:2020

 

まず、住宅用の用途で利用される鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の法定耐用年数は47年と定められています。この場合の定額法の償却率は、1÷47≒0.0222.2%)と定められています。(詳しくは国税庁のHPをご確認ください。)

取得価額の2億円に償却率の0.022を掛け合わせると、減価償却費を算出することができます。

 

<減価償却費の計算式>

建物減価償却費:2億円×0.022(耐用年数47年の定額法の償却率)=440万円/年

 

この440万円が、建物の減価償却費として毎年計上されることとなります。

4.建物の減価償却費をきちんと計上して節税につなげよう。

今回は、建物の減価償却費について説明しました。
建物の減価償却費とは、「資産は少しずつ経年劣化していく」という考え方のもと、取得価格を法定耐用年数で定めた年数で少しずつ経費計上していく会計上の概念です。その計算方法は原則定額法で算出され、その費用の分だけ所得を圧縮することができるため、忘れずに計上しておくことが大切です。

ただし、これらの会計知識に不安な点がある方は、信頼のできる不動産会社へ相談することをおすすめします。

大東建託では土地活用に関する相談を無料で受け付けています。不動産投資をすでにされている方も、検討中という方も、ぜひお気軽にご相談ください。

■監修者プロフィール

有限会社アローフィールド代表取締役社長
矢野 翔一

関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。

【保有資格】2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者

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