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建物の減価償却とは?耐用年数と計算方法【算出シミュレーション】

公開日: 2023.01.16

最終更新日: 2025.11.27

賃貸用アパート経営などの事業用不動産を所有する不動産オーナーにとって、減価償却費は押さえておきたい費用です。減価償却費とは、取得時に支払った建物価格を耐用年数に応じて少しずつ経費として計上するもので、不動産所得に対する所得税を節税する効果があります。

このコラムでは、そんな減価償却費に関する基礎知識や計算方法、定額法と定率法の違いなどについて説明します。
後半では実際の数字を交えた計算例も紹介します。最後までぜひチェックしてください。

目次

1.建物における減価償却とは

1-1.そもそも減価償却とは

1-2.建物における減価償却の考え方

2. 建物における減価償却費の計算方法

2-1.建物の減価償却費の計算が必要なケース

2-2.建物の減価償却費の計算に必要な項目

2-3.建物における減価償却費の2種類の計算方法

3. 建物における減価償却費の算出シミュレーション

3-1.新築の鉄骨鉄筋コンクリート造マンションを購入したケース

3-2.法定耐用年数が残っている中古の木造アパートを購入したケース

3-3.耐用年数を超過した中古の木造アパートを購入したケース

3-4.土地と建物を一括で購入し、価格の内訳が不明なケース

3-5.年度の途中で建物を購入したケース

4 .建物の減価償却費の仕訳

4-1.直接法による仕訳

4-2.間接法による仕訳

5 .建物の減価償却を行う際に注意が必要な点

5-1.法定耐用年数を超えた建物の扱いについて

5-2.転用した建物の扱いについて

5-3.資本的支出と修繕費の違いについて

6. 建物の減価償却費をきちんと計上して節税につなげよう。

1.建物における減価償却とは


減価償却費は、事業用建物や建物に付帯する設備・器具が対象となります。

まずは、減価償却費の基礎知識をポイントごとに理解していきましょう。

1-1.そもそも減価償却とは

減価償却とは、建物などの固定資産の取得費用を定められた年数(耐用年数)に分けて経費計上することを指します

その対象となるのは一般的に、寿命があり時の経過等によってその価値が減っていくと考えられる資産です。例えば、業務のために用いられる建物、建物付帯設備(エアコンなど)、機械装置(ベルトコンベアーなど)、器具備品(パソコンなど)、車両運搬具(車など)が挙げられます。

一方、減価償却資産に土地は対象となりません。
建物は時間が経つほど劣化して価値が落ちていきますが、土地は減価償却の対象にならないためです。
また、本来対象となる資産であっても、業務用に使用していなければ減価償却の対象とはなりません。
また、例えば社長が中古マンションを購入したとしても、自らの居住用にしか使用していなければ、その住宅における減価償却費を会社の費用として計上することはできません

注意点として覚えておきましょう。

1-2.建物における減価償却の考え方

減価償却における耐用年数は、その資産の構造や用途により異なります。
建物の場合は構造により変わり、同じ一戸建てであっても、例えば「木造・飲食店用の用途」であれば20年、「金属造(鉄骨造含む)で骨格材の肉厚が4mmを超えるもの・事務所用の用途」であれば38年など、細かく設定されています。


なお、これらの耐用年数は、あくまで会計上設定された数字に過ぎません。
耐用年数を経過した建物でも問題なく使用できます。

不動産投資における減価償却のメリットや注意点については、以下のコラムで詳しく解説しています。

2.建物における減価償却費の計算方法


減価償却費の計算方法は2種類。定額法と定率法です。
ここからは、それぞれの計算方法と適用条件を説明していきます。

2-1.建物の減価償却費の計算が必要なケース

まず、建物の減価償却費の計算が必要なのは、不動産に関する収入が発生した場合です。
家賃収入と不動産売却益の二つのケースに分けて見ていきましょう。

・賃貸経営で家賃収入があるケース

マンションやアパートなどの賃貸不動産を経営し、家賃収入がある場合、確定申告にてその所得を申告しなければなりません。この際、必要経費として、建物の減価償却費を計上することができます。
例えば、転勤によりマイホームを貸し出している場合はこのケースに当てはまります。

・不動産を売却するケース

不動産売却により譲渡所得が発生した場合でも、確定申告にてその所得を申告しなければなりません。
例えば、個人の自宅を売却する場合はこのケースに当てはまります。


確定申告において、不動産売却で得た譲渡所得は、「売却金額-(取得費+譲渡費用)」で算出します。「売却金額」は文字通りいくらで売却できたかを表し、そこから必要経費として、取得費(その物件を購入時にかかった建物価格や仲介手数料、各種税金などの費用)と、譲渡費用(売却時にかかった仲介手数料、各種税金などの費用)を差し引き、売却益を算出します。

この際、取得費は購入にかかった価格から、減価償却費を差し引いた額としなければならなりません。例えば、購入した不動産の価格が5,000万円(諸経費含む)、減価償却費が1,000万円の場合、取得費は5,000万円から1,000万円を引いた4,000万円となります。

2-2.建物の減価償却費の計算に必要な項目

・法定耐用年数

法定耐用年数とは、固定資産の「資産価値が帳簿上から消滅するまでの期間」を定めた年数を指します。建物の種類や構造、用途などによって異なる年数が定められており、国税庁のHPでも確認することが可能です。

なお、中古資産を購入した際については、以下の計算式により耐用年数を設定します。

・法定耐用年数の全部を経過した資産:法定耐用年数の20パーセントに相当する年数

・法定耐用年数の一部を経過した資産:法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20パーセントに相当する年数を加えた年数

また、大規模修繕などの建物の価値を上げるリフォームを行った場合、その費用については建物の構造に応じた耐用年数が設定されます。例えば法定耐用年数20年の木造飲食店を、築10年の時点で大規模修繕した場合、その工事費の耐用年数は20年で設定されます。

建物ごとに定められている法定耐用年数については、以下のコラムで詳しく解説しています。

・取得価額

減価償却費の計算に次に必要なのが、その物件の取得価額です。この取得価額は文字通りその物件を取得する際にかかったお金のことで、建物の本体価格だけでなく、その他諸費用も含むことができます。

取得価額に含めることが可能な費用は主に以下の通りです。

・建物の本体価格(新築の場合は建築費・中古物件の場合は建物の購入対価)・消費税含む

・購入時、不動産会社へ支払った仲介手数料

・不動産登記の諸費用(登録免許税・司法書士への報酬代)

・不動産取得税

・契約書の収入印紙代

・その他、整地にかかった費用や、古屋建物の取り壊し費用

 

・償却率

減価償却費の計算に最後に必要になるのが、償却率です。
償却率は次で説明する定額法・定率法ごとに定められており、国税庁のHPで一覧を確認することができます。

2-3.建物における減価償却費の2種類の計算方法

減価償却の算出方法には、定額法と定率法の2種類があります。
建物、建物付帯設備、構築物、ソフトウェアは原則定額法が適用されますが、機械装置、車両運搬具、器具備品については定率法を選択することも可能です。

・定額法

定額法とは、原則として毎年の減価償却費を一定にする計算方法のことを指します。例えば取得価額2,000万円の資産を10年で償却する場合、減価償却費は毎年200万円となります。

計算式は以下の通りです。

「減価償却費=取得価額×定額法償却率」

※出典:「減価償却資産の償却率等表」(国税庁)

・定率法

定率法は、取得価額からこれまでに行った減価償却費の累計額を差し引いたもの(未償却残高)に、償却率を掛ける算出法です。

定率法の場合、減価償却費の額は初年度が最も多く、毎年減少していきます。定率法の償却率は、平成24年3月31日以前であれば「定額法の償却率×250%」、平成24年4月1日以後「定額法の償却率×200%」となります。償却の初年度で定額法の2倍の減価償却費を費用計上できることから、税務上有利と言えます。

計算式は以下の通りです。

「減価償却費 = 未償却残高(購入年度は取得価額) × 定率法償却率」

例えば2,000万円の資産を10年で償却する場合、1年目は400万円、2年目は320万円となります。このように、年数が経過するほど償却額は低くなっていきます。

3.建物における減価償却費の算出シミュレーション


減価償却費の金額は、建物の構造・築年数・購入タイミングなどによって大きく変わります。ここでは、実際に条件を設定したシミュレーションを通して、ケースごとの減価償却費の算出方法を紹介します。

3-1.新築の鉄骨鉄筋コンクリート造マンションを購入したケース

【条件】

・物件

・建物:新築マンション

・構造:鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)

・物件の取得費:2億円 ※土地の取得価額は含まない

・購入年:2020年


まず、住宅用の用途で利用される鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の法定耐用年数は47年と定められています。この場合の定額法の償却率は、1÷47≒0.022(2.2%)と定められています。(詳しくは国税庁のHPをご確認ください。)

取得価額の2億円に償却率の0.022を掛け合わせると、減価償却費を算出することができます。

<減価償却費の計算式>

建物減価償却費:2億円×0.022(耐用年数47年の定額法の償却率)=440万円/年

この440万円が、建物の減価償却費として毎年計上されることとなります。

3-2.法定耐用年数が残っている中古の木造アパートを購入したケース

【条件】

・物件:中古アパート

・構造:木造(法定耐用年数:22年)

・用途:住宅用

・築年数:10年

・物件の取得費:3000万円 ※土地の取得価額は含まない

・物件取得日:2025年1月

住宅用として利用される木造アパートの法定耐用年数は22年です。
ただし、中古物件の場合は、新築時からの経過年数を考慮して耐用年数を再計算する必要があります。計算式を使うと、以下の計算になります。

(法定耐用年数 − 経過年数)+(経過年数 × 0.2)

(22年 − 10年)+(10年 × 0.2)=14年


したがって、中古木造アパートの耐用年数は14年です。また、木造住宅の耐用年数14年における定額法の償却率は減価償却資産の償却率より0.072です。したがって、減価償却費を算出すると、以下のように計算します。

<減価償却費の計算式>

建物減価償却費:3,000万円 × 0.072(耐用年数14年の定額法の償却率)=216万円/年

中古物件の場合、新築に比べて耐用年数が短くなる分、取得費が同額でも1年あたりの減価償却費を大きく計上できます。

3-3.耐用年数を超過した中古の木造アパートを購入したケース

【条件】

・物件:中古アパート

・構造:木造(法定耐用年数:22年)

・築年数:25年(法定耐用年数)

・用途:住宅用

・物件の取得費:2000万円 ※土地の取得価額は含まない

・物件取得日:2025年1月

木造住宅の法定耐用年数は22年ですが、今回のケースでは築25年と法定耐用年数を超過しています。
耐用年数を超過した場合は、「法定耐用年数の20%」を新たな耐用年数として設定するため、次の計算式で算出します。

法定耐用年数×0.2

= 22年×0.2=4.4年

1年未満の端数は切り捨てるため、今回の中古木造アパートの減価償却における耐用年数は4年です。
また、耐用年数4年における定額法の償却率は、減価償却資産の償却率により0.250です。したがって、減価償却費は以下のように計算します。

<減価償却費の計算式>

建物減価償却費:2,000万円 × 0.25(耐用年数4年の定額法の償却率)= 500万円/年

法定耐用年数を超過した物件は減価償却の期間が短くなりやすい分、1年あたりの減価償却費は大きく経費計上が可能です。

3-4.土地と建物を一括で購入し、価格の内訳が不明なケース

【条件】

・物件:新築アパート

・構造:木造(法定耐用年数:22年)

・用途:住宅用

・物件の取得費:5000万円 (土地・建物の内訳不明)

・物件取得日:2025年1月

木造の新築アパートを土地付きで一括購入した場合、契約書に土地と建物の価格が分けて記載されていないケースがあります。一般的な按分方法は、固定資産税評価額の比率を用いる方法です。

仮に評価額が以下のとおりだった場合での計算した比率は以下のとおりです。

● 建物の固定資産税評価額:1,500万円

● 土地の固定資産税評価額:3,500万円

● 建物の比率:1,500万円÷5,000万円=0.3

上記で計算した比率をもとに、建物の取得価額が算出できます。

建物の取得価額=5,000万円 × 0.3=1,500万円

木造アパートの法定耐用年数は22年と定められており、定額法の償却率は減価償却資産の償却率より0.046です。したがって、減価償却費は以下のように計算します。

<減価償却費の計算式>

建物減価償却費:1,500万円 × 0.046 = 69万円/年

取得価額の内訳が不明でも、固定資産税評価額の比率を根拠にすれば建物価額を算出でき、正確な減価償却処理が可能となります。

3-5.年度の途中で建物を購入したケース

【条件】

・物件:新築アパート

・構造:木造(法定耐用年数:22年)

・用途:住宅用

・物件の取得費:3,000万円(※土地の取得価額は含まない)

・物件の取得日:2025年9月

木造アパートの法定耐用年数は22年と定められており、定額法の償却率は減価償却資産の償却率より0.046です。したがって、本来の減価償却費は以下のように計算します。

<年間の減価償却費(満年償却時)>

3,000万円 × 0.046=138万円/年

ただし、減価償却は取得月から開始となるため、1年目の2025年は取得月の9月~12月までの4ヶ月分しか計上できません。

<1年目の月割償却>

138万円 × 4/12=46万円

したがって、2025年分の減価償却費は46万円、翌年以降は年間138万円ずつ償却可能になります。

4.建物における減価償却費の算出シミュレーション


減価償却費の仕訳方法には「直接法」と「間接法」の2種類があり、それぞれ建物の帳簿価額への反映方法が異なります。ここでは両者の違いと具体的な仕訳例を紹介します。

4-1.直接法による仕訳

直接法とは、固定資産の帳簿価額から減価償却費を直接差し引く方法です。つまり、建物の勘定残高が年々減少していく形になります。

例えば、減価償却費を100万円として計上した場合は、以下のとおりになります。

借方

貸方

減価償却費 100万円

建物 100万円



実務上はあまり採用されませんが、減価償却費の仕組みを理解する上では基本的な考え方です。直接法が使われるケースとしては、記帳の手間を省きたいなどの処理を簡単にしたいときに使われることがあります。

4-2.間接法による仕訳

間接法では、減価償却費を「減価償却累計額」という別勘定を用いて記録します。
建物の取得価額自体はそのままにし、減価償却の累計額を別途積み上げていく方法です。一般的に、実務の場では間接法が採用されています。

減価償却費を100万円として計上する場合の仕訳例は以下のとおりです。

借方

貸方

減価償却費 100万円

減価償却累計額 100万円



帳簿上の建物勘定には取得価額がそのまま残ります。直接法と異なり、分析などもしやすいため、一般的に普及している形になります。

5.建物における減価償却費の算出シミュレーション


建物の減価償却は正確な計算方法だけでなく、税務上・会計上のルールや状況にあった取り扱いが重要です。

ここでは、減価償却を行う際に押さえておくべき注意点を具体的に解説します。

5-1.法定耐用年数を超えた建物の扱いについて

法定耐用年数を超えた建物は、帳簿上の建物価値が1円になっているため、原則として減価償却費を経費計上できません。 建物を使用できなくなるという意味ではなく、継続して安全に使用できるケースは多くあります。
耐用年数はあくまで税務上の償却期間であり、実際の物理的劣化や修繕発生時期とは必ずしも連動しません。建物の状態を確認し、必要に応じた修繕計画やリフォームの検討が重要です。

5-2.転用した建物の扱いについて

建物の用途変更である転用を行った場合は、用途によって耐用年数は異なるため、新しい用途に応じた耐用年数の再設定が必要です。

例えば、木造建物を事務所用(24年)から店舗用(22年)へ転用した場合、経過年数を考慮しつつ「22年」の耐用年数を新たに適用します。この場合、転用した年の1月1日以降は「22年」の耐用年数を用いて減価償却を算出します。

>>【出典】:建物を転用した場合の減価償却費の計算(国税庁)

5-3.資本的支出と修繕費の違いについて

建物の工事費や修繕費は、すべて同じように費用化できるわけではありません。
「資本的支出」か「修繕費」かによって、会計処理や税法上の取扱いが大きく異なります。

・資本的支出 資本的支出とは、建物の資産価値を高め、使用可能期間を延ばす目的で行った支出です。
例えば、外壁を高耐久素材に張り替えたり、間取り変更や設備更新によって付加価値を高めたりした場合などが該当します。 資本的支出は減価償却資産として扱われ、法定耐用年数に応じて分割し、減価償却費として費用計上します。

・修繕費 修繕費とは、建物の原状回復や維持管理を目的とした支出です。基本的に修繕費になるか否かは個別判断となり。
例えば、雨漏り修理や壁紙の張り替え、などの日常的なメンテナンス費用が該当するケースがあります。 修繕費は減価償却費としでではなく、支出した年の経費として一括計上できます。

6.建物の減価償却費をきちんと計上して税負担の軽減につなげよう。


建物の減価償却費とは、「資産は時間の経過とともに価値が減少していく」という考え方に基づき、取得価額を法定耐用年数に応じて少しずつ経費として計上する仕組みです。

適切な処理によって税負担の軽減が可能になります。

減価償却の計算方法や耐用年数の設定、修繕費との区分、年度途中の取得など、実務上は注意すべきポイントも多くあります。処理を誤ると修正申告が必要になるケースもあるため慎重に確認しましょう。

会計や税務の扱いに不安がある場合は、信頼できる不動産会社や専門家に相談し、正確な処理を行うことをおすすめします。

大東建託では、土地活用に関するご相談を無料で受け付けています。すでに不動産投資を行っている方はもちろん、これから検討を始める方も、ぜひお気軽にご相談ください。

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■監修者プロフィール

有限会社アローフィールド代表取締役社長
矢野 翔一

関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。

【保有資格】2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者