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建物ごとに定められている法定耐用年数とは?構造・建材別の年数一覧

公開日: 2022.10.28

最終更新日: 2023.07.28

公開日:2022年5月30

建物賃貸事業を運営するにあたり、建物の法定耐用年数を把握することが重要です。法定耐用年数とは国税庁により建物の用途・構造別に定められた基準であり、減価償却を行う際に主に利用します。


耐用年数の期間は減価償却費の計算に大きな影響を与えるため、事前に計算方法などを把握しておけば、現実的な収支計画を立てやすいでしょう。

本記事では法定耐用年数の概要や主な用途・構造別の年数の違い、減価償却費の計算方法を解説しますので、ぜひ参考にしてください。

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目次

1. 建物における法定耐用年数の概要

1-1法定耐用年数とは
1-2法定耐用年数と賃貸経営の関係
1-3法定耐用年数と建物の寿命は等しいとは限らない

2. 【種類別】建物と関連設備の法定耐用年数

2-1鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)、鉄筋コンクリート造(RC造)の法定耐用年数
2-2鉄骨造の法定耐用年数
2-3木造、合成樹脂造の法定耐用年数
2-4木造モルタル造の法定年数
2-5レンガ造、石造、ブロック造の法定耐用年数
2-6建物に付属する設備の法定耐用年数
2-7駐車場に付属する設備の法定耐用年数

3. 法定耐用年数を用いた減価償却費の計算方法

3-1減価償却費を計算する2つの方法
3-2【定額法】減価償却費の計算

4. 法定耐用年数の重要性を理解しよう

 

建物における法定耐用年数の概要

法定耐用年数の基礎知識と勘違いされやすい「建物の寿命」との違いについて解説します。

法定耐用年数とは

法定耐用年数とは、固定資産の「資産価値が帳簿上から消滅するまでの期間」を定めた年数を指しています。
資産は使用されれば物理的な消耗が蓄積されるため、価値は使用期間に応じて減少していくという考え方に基づき、国税庁が定めているものです。

国税庁の「主な減価償却資産の耐用年数表」により、建物の用途・構造別に定められているので、特に所得税の節税に関係してきますので、不動産投資を検討する方は事前に確認することが大切です。

法定耐用年数と賃貸経営の関係

賃貸経営で法定耐用年数を参考にするタイミングは、主に所得税算出時に減価償却費の計算をするときです。
減価償却とは固定資産の取得価額を法定耐用年数に応じて案分し、その年に相当する金額を経費に計上することです。

したがって、建物の法定耐用年数と取得費が明らかになれば、減価償却費の計算が可能となります。

減価償却費の計上によって、会計上の収益が減少すると、課税所得が下がり節税につながります。

なお、不動産の場合、アパートやマンションなどの建物の付属設備も減価償却資産に該当しますが、設備の法定耐用年数は建物とは別に決められているため、個別に計算する必要があります。

法定耐用年数と建物の寿命は等しいとは限らない

法定耐用年数は減価償却費の計算をしやすくすることを目的に、国税庁が画一的に定めた目安です。そのため、法定耐用年数を超過しても資産の実際の価値はなくならず、建物が即座に利用できなくなるとは限りません。


また、建物は修繕やリフォームを適切に行っていけば、劣化防止につながり寿命を延ばすことが可能なので、法定耐用年数を超えた後もしっかりと利用できるでしょう。特にアパートやマンションでは大規模修繕を数十年置きに計画し、実施することが重要です。


なお、大規模修繕にかかった費用は、減価償却費として計上する場合と、その年の経費として計上する場合があります。判断する際の基準としては、大規模修繕が「修繕費」と「資本的支出」のどちらに該当するかによって決まります。

修繕費とは現状の機能維持や原状回復工事などが該当し、資本的支出とは建物の資産価値を向上させるための工事を指しています。※修繕費と資本的支出は区別が難しいため、詳しくは国税庁「資本的支出と修繕費」で確認するようにしましょう


法定耐用年数が長い建物は、基本的に物理的な耐用年数も高いと考えられているので、単に税務上のメリットがあるだけでなく、長期的な活用をする場合でも有効です。また、法定耐用年数の残存年数が高い物件は、金融機関からの融資も受けやすい傾向があるため、ローンを組んで投資物件を購入する場合は有利に働きます。

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【種類別】建物と関連設備の法定耐用年数

法定耐用年数は建物の用途や構造ごとに定められています。


また、エレベーターや空調機など建物に付随する設備も種類別に年数が定められているため、アパート経営やマンション経営を行う方は、併せて把握する必要があります。

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以下で代表的な構造ごとの耐用年数表をまとめます。

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)、鉄筋コンクリート造(RC造)の法定耐用年数

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)、鉄筋コンクリート造(RC造)は強度が高く、耐震性、耐火性に優れた構造です。高層ビルやタワーマンションなど大規模な建物で使用されることが多く、法定耐用年数も最も長い期間が定められています。
一方、安全性が高く住心地が良いことから、工事にかかるコストは他の構造と比較して高いという特徴があります。

建物の用途 法定耐用年数
住宅用 47年
事務所用 50年
店舗用 39年

鉄骨造の法定耐用年数

鉄骨造は柱や梁に鉄骨を使用した構造です。骨格材の厚みによっても強度やコストに違いがあり、法定耐用年数も厚さに比例して長くなる特徴があります。

骨格材の厚さ 建物の用途 法定耐用年数
厚さ3mm以下 住宅用 19年
事務所用 19年
店舗用 22年
厚さ3mm以上~4mm以下 住宅用 27年
事務所用 30年
店舗用 25年
厚さ4mm以上 住宅用 34年
事務所用 38年
店舗用 31年

木造、合成樹脂造の法定耐用年数

木造は木材で造られた構造、合成樹脂造とはガラス・プラスチックなど人為的に製造された物質で造られた構造のことです。

建物の用途 法定耐用年数
住宅用 22年
事務所用 24年
店舗用 20年

木造モルタル造の法定年数

木造モルタル造は、モルタルによる外壁仕上げを施した木造の建物のことです。

耐震性などに難があり、現在ではほとんど利用されていないのが現状です。

建物の用途 法定耐用年数
住宅用 20年
事務所用 22年
店舗用 19年

レンガ造、石造、ブロック造の法定耐用年数

レンガ、石、ブロックなどを利用した構造のことですが、こちらも歴史的建造物などを除き、現在ではほとんど利用されていない構造です。

建物の用途 法定耐用年数
住宅用 38年
事務所用 41年
店舗用 38年

建物に付属する設備の法定耐用年数

給排水、ガス設備、エレベーターなど大規模な建物に付属する設備の耐用年数です。1015年程度が多い傾向にありますが、設備の種類ごとに年数が異なる点に注意しましょう。また、所有する建物に該当する設備があるかどうかのチェックも必要です。

設備名 法定耐用年数
蓄電池電源設備 6年
蓄電池電源設備をのぞく電気設備 15年
給排水設備・衛生設備 15年
ガス設備 15年
冷房・暖房 13年
通風設備・ボイラー設備 15年
エレベーター 17年
エスカレーター 15年
消火設備・災害報知設備 8年
格納式避難設備 8年
自動ドア 12年
アーケード・日除け設備(金属製) 15年
アーケード・日除け設備(金属製以外) 8年

駐車場に付属する設備の法定耐用年数

駐車場に付属する設備であり、主に駐車場経営をする場合に関係します。

機械式と青空式で必要な設備や維持管理にかかる費用が大きく異なる特徴があります。

設備名 法定耐用年数
アスファルト舗装 10年
外周フェンス(金属製) 10年
コンクリートブロック塀 15年
無人駐車管理装置(駐車機器) 5年
中央監視制御装置 10年

【出典】『耐用年数(建物/建物付属設備)』(国税庁)

法定耐用年数を用いた減価償却費の計算方法

法定耐用年数を用いた減価償却費を計算する場合、定額法と定率法のどちらかを用いる必要があります。それぞれの計算方法と実際の事例を以下に紹介します。

減価償却費を計算する2つの方法

減価償却費の計算には、定額法定率法の2種類があります。


定額法とは、法定耐用年数の期間中、毎年同じ額の減価償却費を計上する方法です。例えば1,000万円の資産を10年で償却する場合、減価償却費は毎年100万円となります。

定率法とは、取得価額から減価償却累計額を差し引いて償却率を掛けて算出する方法です。そのため、1,000万円の資産を10年で償却する場合では、1年目は20万円、2年目は16万円...と経過年数に応じて減少していきます。


ただし、建物の減価償却費を計上する際、定率法は適用できず、定額法のみが認められています。また、建物に付属する設備は定額法・定率法それぞれの適用が可能でしたが、2016年4月1日以降に取得した建物付属設備については、建物と同様、定額法のみの適用となります。

【定額法】減価償却費の計算

建物・付属設備ともに現在は定額法を適用するのが原則です。したがって、これから不動産経営を始める方にとっては、定率法よりも定額法の計算方法を理解しておくことが有効であるため、ここでは定額法の計算方法を解説します。


定額法における減価償却費は「取得価格×定額法の償却率」で求められます。定額法の償却率は、国税庁が公表している「減価償却資産の償却率表」を見て判断しますが、表を確認するためには、現在の法定耐用年数の残存年数を把握しておく必要があります。
そのため、減価償却費を計算するには、建物の法定耐用年数と現在の築年数を知っておくことが不可欠といえます。
では、実際に以下の条件を用いて、減価償却費の計算を行ってみましょう。


【物件の条件】

建物:新築マンション
構造:鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)
取得価格:1億円

この場合では「主な減価償却資産の耐用年数表」から、法定耐用年数は47年、「減価償却資産の償却率表」から、定額法償却率は0.022であると確認できます。
以上をもとに減価償却費の計算をしていきます。


【計算式】

1億円×0.22=2,200万円

よって、この条件では2,200万円が減価償却費となります。

法定耐用年数の重要性を理解しよう

アパートやマンションなどの賃貸住宅の法定耐用年数は、入居者にとっては日常生活ではあまり関わらないため、気にしていない方が多いかもしれません。

しかし、不動産投資をおこなうオーナーにとっては減価償却費の計算時に必要となり、上手く活用すれば税金を抑える手段にもなるため、重要な意味を持つ数値といえます。


また、現在はほとんどのケースで定額法を用いた計算が行われるため、事前に計算式を理解しておくことが大切です。


ただし、不安な点や疑問点がある方は、信頼のできる不動産会社へ相談してアドバイスを受けることをおすすめします。
大東建託では土地活用に関する相談を無料で受け付けていますので、お悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。



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監修者プロフィール
伊野 文明

宅地建物取引士・FP2級の知識を活かし、不動産専門ライターとして活動。賃貸経営・土地活用に関する記事執筆・監修を多数手掛けている。ビル管理会社で長期の勤務経験があるため、建物の設備・清掃に関する知識も豊富。

【保有資格】
・宅地建物取引士
・FP2級
・建築物環境衛生管理技術者

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