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相続で得た不動産は売却と賃貸のどっちを選ぶと良い?

公開日: 2025.07.31

最終更新日: 2025.08.08

相続によって、自分の意思とは別にマンションやアパート、一戸建てといった賃貸可能な不動産を取得した人もいるかもしれません。相続したものの住む予定がなく、どう活用すれば良いのか頭を悩ませてはいませんか。

「売却して現金化する」「賃貸経営で家賃収入を得る」といった選択肢がありますが、選択次第では今後のライフプランに影響するため、適切な判断が必要です。

また、空家等対策特別措置法により、管理が不十分な空き家は行政から指導や勧告を受ける可能性があるため、放置することもできません。


この記事では、不動産の売却と賃貸経営それぞれのメリット・デメリットや、それぞれの選択肢が向いている人の特徴を詳しく解説します
また選ぶ際の判断基準や成功させるためのポイントを紹介するため、相続した不動産の活用について迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

1. 不動産売却のメリット・デメリット

1-1. 不動産売却のメリット

1-2. 不動産売却のデメリット

 2. 不動産賃貸のメリット・デメリット

2-1. 不動産賃貸のメリット

2-2. 不動産賃貸のデメリット

3. 【売却・賃貸】それぞれが向いている人の特徴

3-1. 売却に向いている人の特徴

3-2. 賃貸に向いている人の特徴

4. 売却と賃貸、どちらにするか選ぶ基準

4-1. 買い手が見つかりそうかどうか

4-2. 資金がすぐに必要かどうか

4-3. 不動産の状態や立地条件がどうか

4-4. 管理の手間や負担を受け入れられるかどうか

5. 売却や賃貸経営を成功させるためのポイント

5-1. 市場動向をしっかり把握する

5-2. 物件の価値を高めるためのメンテナンスを行う

5-3. 税金や法律面の対策を忘れずに行う

5-4. 不動産会社に相談する

6. 不動産の売却か賃貸かに迷ったらプロへの相談も選択肢

1. 不動産売却のメリット・デメリット


不動産売却は、まとまった現金が得られるという大きなメリットがある一方、賃貸した場合のインカムゲインと将来的な価値上昇によるキャピタルゲインを得られないというデメリットも存在します。

ここでは、不動産売却のメリットとデメリットを具体的に見ていきましょう。

1-1. 不動産売却のメリット

・まとまった現金を得られる

不動産を売却する最大のメリットは、まとまった売却代金を得られる点です。
売却によって得た資金は、各種ローンの返済や資産運用の資金などに活用できます。


また不動産市場が好調なタイミングであれば、査定価格以上の金額で売却できる可能性もあり、売却益が期待できるでしょう。


・管理や維持の負担から解放される

不動産を売却すれば金銭的な負担や管理の手間を削減できます。
不動産を所有している限り、以下のような負担が継続的に発生しているためです。


 ●  固定資産税などの税金

 ●  修繕費や管理費などの維持費

 ●  入居者がいる賃貸物件の管理業務


また遠方や築年数の古い物件では、将来的な管理負担もなくなるため、メリットは非常に大きいでしょう。

1-2. 不動産売却のデメリット

・将来の収益機会を逃す可能性がある

不動産を売却すると、物件を保有していた場合に得られたはずの収益機会を失うことになります。
賃貸に出せばインカムゲインである家賃収入が得られたかもしれません。

また、賃貸経営をしている最中に地価が上昇した場合には、保有し続けた後に売却することによってキャピタルゲイン(資産価値の上昇による売却益)を得るチャンスがあります。
特に都市部や再開発エリアでは、市況の好転や再開発計画などが理由で資産価値が急上昇するケースもあります。

しかし、売却してしまえばこうした収益機会を放棄することになるのです。

・費用や手間がかか

不動産売却では成約までの期間が長くなるほど費用や手間がかかります。
具体的な費用は以下のとおりです。

 ●  仲介手数料

 ●  納税費用(印紙税や譲渡所得税など)

 ●  譲渡費用(抵当権抹消費用 ※住宅ローン残債がある場合、測量費用など)

 ●  その他事務にかかる諸費用(登記簿謄本の取得費用、印鑑証明書の発行手数料、書類の郵送費など)

また買主との価格交渉や内覧対応、必要書類の準備など、売却手続きには相当な時間と労力が必要です。
不動産売却は成約まで数カ月かかることも珍しくありません。

2. 不動産賃貸のメリット・デメリット


不動産賃貸は長期的な視点での資産形成が可能になるメリットがあります。
一方、空室リスクや管理の負担はデメリットです。

ここでは、不動産賃貸のメリットとデメリットを具体的に見ていきましょう。

2-1. 不動産賃貸のメリット

・長期的に資産を保持しながら収益化できる

賃貸経営の最大の魅力は、不動産を手放さずに家賃収入を得られる点です。
入居者がいる限り、オーナーは毎月安定した利回りを確保でき、長期間にわたって不労所得を得られます。

安定した収益物件として運用できれば、生活費の補填や将来の貯蓄に充てることができ、経済的な安心感につながるでしょう。

・不動産の価値が上がれば資産も増加する可能性がある

賃貸物件として所有しているあいだに地価が上昇すると、資産価値が向上します。

将来的な売却の際に、地価が上昇していると現時点での成約価格より高くなる期待ができるでしょう。

・担保としても利用できる

賃貸物件として所有している不動産は、金融機関からの融資を受ける際に担保として利用できます。安定した家賃収入が見込める収益物件は、金融機関からの担保評価が高くなりやすく、例えば新たに別の土地活用を行うための資金調達の際に有利に働く可能性があります。

2-2. 不動産賃貸のデメリット

・収入が安定しないリスクがある

賃貸経営は空室が発生すると家賃収入が途絶えるため、収益の安定性が保証されません。
長期の空室期間が続くと無収入になりますが、管理費や固定資産税など固定費などは発生しており赤字となります。

賃料相場の変化や景気の影響に応じて、リフォームやリノベーションの検討、もしくは家賃を引き下げる必要が出てきますが、安易な賃料の減額はお勧めできません。当初計画していた賃料収入を維持できないため、賃貸経営の収支悪化につながりかねません。

・管理に労力やコストがかかる

賃貸経営には管理が欠かせません。
主な管理業務は以下のとおりです。

 ●  入居者募集

 ●  契約手続き

 ●  家賃の集金

 ●  設備の修繕対応 など

築年数の古いマンションやアパートでは、大規模修繕により修繕費が高額になり、修繕積立が不足すると自費で賄う必要があります。
また、トラブル対応や緊急時の連絡対応などで労力が必要です。

3. 【売却・賃貸】それぞれが向いている人の特徴


売却と賃貸のどちらを選ぶべきかは、個人の状況や希望条件によって大きく異なります。
ここでは、それぞれに向いている人の特徴を具体的に見ていきましょう。

3-1. 売却に向いている人の特徴

・すぐに現金化したい人

不動産をできるだけ早く現金化して使いたい人に向いています。
子どもの教育費や住宅ローン残債の完済など目的がはっきりしているケースです。
資金ニーズの高い人にとって、一度にまとまった現金を得られる売却は非常に有効な手段でしょう。

現金化のスピードを優先する場合は、一括査定サイトを利用して複数の不動産会社、包括的に対応している大東建託などの大手不動産会社を含めた査定価格を比較することで、スムーズな売却が可能です 。

また相続人が複数いる場合、不動産を売却して現金化すれば、遺産分割を円滑に進められます。

・管理や手間を避けたい人

賃貸経営に伴う管理業務の手間がかかるため、一般的には管理会社への委託を検討します。

しかし、管理委託手数料による収益性の低下や場合によっては入居者とのやりとりなどが発生するため、管理や手間を避けたい人には売却がおすすめです。
そのような方にとって売却は合理的な選択と言えるでしょう。

また、不動産経営のノウハウがなく、今後の維持費や空室リスクに不安を感じる場合も、売却を検討するのが賢明です。

3-2. 賃貸に向いている人の特徴

・長期的な収入や将来的な資産価値を期待する人

安定した収入源の確保や将来的な不動産価値の上昇を期待している人には、賃貸経営が向いています。

継続的な賃貸経営で家賃収入を得ながら、長期的な視点で資産を活用したい人におすすめです。

また、所有物件が好立地だったり、将来的な再開発が予定されていたりする場合は、継続的な保有によるメリットが大きくなるでしょう。

・税金対策を考えている人

賃貸経営では、所得税や住民税の節税効果が期待できます。
建物の減価償却費や修繕費、損害保険料管理費などを必要経費に計上して課税所得額を抑えられるためです。


給与所得との損益通算できる点もメリットです。
また、土地や建物を賃貸すると自用地よりも相続税評価額が低く評価されるため、将来の相続税対策としても有効でしょう。

4. 売却と賃貸、どちらにするか選ぶ基準


売却と賃貸のどちらを選ぶべきかどうか判断に迷う人は少なくありません。
ここでは、最終的な決断を下すための具体的な判断基準を4つの視点から解説します。

4-1. 買い手が見つかりそうかどうか

売却を選ぶ場合、買い手が現れそうかどうかが重要な基準です。
物件によっては購入希望者が見つからなかったり、希望条件での売却が困難だったりする可能性もあります。

築年数が古い物件や立地条件が悪い物件は、売却までの時間がかかったり、査定価格を下回る成約価格になったりするリスクがあります。

一方で、買い手が見つからない物件でも物件の工夫を講じることで、賃貸に出すと借主の需要が高まるケースもあるでしょう。

4-2. 資金がすぐに必要かどうか

すぐにまとまった資金が必要な人には不動産売却が向いています。
住宅ローンの完済や子どもの教育資金、高額な医療費などの支払いが必要な場合は、売却による現金化が現実的な選択肢です。

一方で資金を使う必要がなく、経済的にも余裕があるならば、賃貸に出して継続的な収益獲得を目指す選択が効果的です。安定した家賃収入は老後に向けた資産形成に貢献します。

4-3. 不動産の状態や立地条件がどうか

築年数が古く、大規模修繕や設備更新が必要な建物はそのまま賃貸に出すのではなく、まず建て替えという選択肢の検討が重要です。

建て替えにより新しい賃貸物件になると、賃料収入の向上や空室リスクの軽減が期待できます。
建て替えが困難な場合や、費用対効果を考慮した結果によって採算が合わない場合に売却の検討が適でしょう。

一方、駅近の好立地や人気エリアなど利便性の高い物件では、賃貸需要が安定しており空室リスクも低いため、賃貸経営が継続しやすい環境です。

4-4. 管理の手間や負担を受け入れられるかどうか

賃貸経営には、多くの管理業務対応が欠かせません。
例えば、入居者対応や設備メンテナンス、契約更新手続きなどが伴います。

管理会社に管理業務を委託する対応も可能ですが、委託料が発生するため、物件によっては管理委託することによってほとんど収益を得られない、などの状況が発生してしまうかもしれません。
そういった状況から運営していくコストが見合わない場合などは売却による一括処理が適しているでしょう。

5. 売却や賃貸経営を成功させるためのポイント


不動産の売却と賃貸経営のどちらを選んでも、成功のためには事前準備と適切な戦略が必要です。
ここでは、成功に欠かせないポイントを紹介します。

5-1. 市場動向をしっかり把握する

不動産市場は地域や時期によって大きく変動するため、市場分析が欠かせません。
地価の動向や所有不動産周辺の成約事例、賃料相場の推移などの詳しい調査が必要です。

適切なタイミングで不動産の売却やエリアにあった賃料設定を行えば、それぞれの収益を最大化できます。
調査する際には複数の不動産会社から情報収集を行い、市場価値を正確に把握しましょう。

5-2. 物件の価値を高めるためのメンテナンスを行う

不動産の売却・賃貸いずれの場合も、物件を良好に保った状態が売却価格や賃料に影響します。
定期的な清掃や点検、必要に応じた修繕やリフォームによって、物件の魅力を維持・向上できるでしょう。

例えば内見時の第一印象は重要であり、クリーニングや小規模な修繕を行えば、査定額のアップや入居率の向上が期待できます。
不動産を所有している以上、日々のメンテナンスは欠かせません。

5-3. 税金や法律面の対策を忘れずに行う

不動産の売却・賃貸のどちらを選択する場合でも、税務や法律面での適切な準備が必要です。不動産取引には複雑なルールが存在するため、事前の対策がトラブル回避に役立ち、成功につながるでしょう。

具体的には、以下のとおりです。

 

手続き

不動産売却

譲渡所得税の計算

特別控除の適用

不動産賃貸

不動産所得の確定申告

賃貸借契約に関する法律



また所有期間によって税率が変わる長期譲渡所得と短期譲渡所得の違いや、居住用財産の特例適用要件などは、税負担に大きく影響します。
複雑な税制については自己解決せずに税理士へ、入居者との法的トラブルは弁護士へ相談しましょう。

5-4. 不動産会社に相談する

不動産の売却や賃貸経営は頻繁に経験しないため、専門的な知識と豊富な実績を持つ不動産会社のサポートが欠かせません。

主なサポートは、以下のとおりです。

 

サポート内容

不動産売却

●    査定価格の算出

●    売却活動

●    買主との価格交渉

●    売買契約書の締結

不動産賃貸

●    適正な家賃設定

●    入居者募集

●    管理業務の代行



経験のない人にとって専門家からの幅広いサポートは安心感につながります。
複数の不動産会社に相談し、各社の提案や担当者の対応を比較して、信頼できるパートナーを見つけましょう。

6. 不動産の売却か賃貸かに迷ったらプロへの相談も選択肢


相続した不動産には、売却するか賃貸するかの選択が必要になります。
それぞれに大きなメリットがある一方で、デメリットも存在します。

最適な選択は、ライフプランや資産状況、物件の状況によって異なるため、慎重な検討が欠かせません。
市場動向や税金面などのポイントを押さえて検討するためには、専門的な知識と経験が欠かせません。

大東建託では、不動産売却と賃貸経営の両方に豊富な実績とノウハウを持ち、お客様の状況に応じた最適な提案を行っています。
不動産売却をお考えの方には適切な査定と販売戦略を提供し、賃貸経営をお考えの方には入居者募集から管理まで総合的なサポートを提供いたします。

売却と賃貸のどちらを選ぶべきか迷っている方も、まずはお気軽にご相談ください。専門スタッフが丁寧にヒアリングを行い、あなたにとって最良の選択肢をご提案いたします。

■監修者プロフィール

有限会社アローフィールド代表取締役社長
矢野 翔一

関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。

【保有資格】2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者