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木造アパートのメリットは?知っておきたい防音性と耐震性のこと

公開日: 2023.11.21

最終更新日: 2023.12.26

木造アパートを選ぶとき、防音性能や耐震性能に不安を感じることはありませんか?実は、木造アパートには多くのメリットがあり、適切な設計や工夫により、これらの悩みも解決できるのです。

 

この記事を読むことで、木造アパートのメリットや、防音・耐震性に関する疑問がクリアになり、アパート経営に役立つ情報を得られるでしょう。これまでの知見から、木造アパートのメリットとデメリット、そしてそれをどう対処するかの方法を詳しく解説します。

 

相続対策や土地活用、税金対策などで賃貸物件の新築を検討している方は、アパート経営の実現にぜひお役立てください。

>>関連記事:「アパート経営完全ガイド|建築プラン立てから完成後の業務まで」

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1.木造アパートが持つメリット


不動産投資において、木造アパートは他の建築方法と比べてさまざまなメリットを持っています。

ここでは、木造アパートがなぜ多くの投資家に支持されているのか、その背景にあるメリットを探ってみましょう。

 

1-1.建築にかかる費用を抑えやすい


木造アパートの特徴の一つは、建築コストの低さです。
鉄骨造や鉄筋コンクリート造(RC造)と比較して、木造の建築費は抑えられる傾向にあります。

木造は軽量で建物重量が軽くなるため、地盤改良費、基礎工事費、構造躯体費などのコストを抑えられます。
特に軟弱地盤のエリアでのコスト差は大きいです。

 

このように、木造アパートの建築コストが低いと、経営が順調な場合の投資回収速度もスムーズになります。
初めての不動産投資や予算に限りがある方には、木造アパート経営がおすすめです。

 

1-2.柔軟な設計が可能


木造アパートは、設計の柔軟性が高いため、さまざまな土地条件や入居者のニーズに応じて建築が可能です。
木材の加工性が優れているため、多様な形状やデザインの建物が実現できます。このため、狭小地や変形地でも建築がしやすくなり、土地の選択肢が広がるでしょう。

 

土地の選択肢が広がれば、土地購入と建築トータルでのコストにも影響するでしょう。
また、木材の加工のしやすさとデザインの自由度から、多様なニーズに合わせた建物を設計できるのがポイントです

 

この設計の自由度は、魅力的な間取りやデザインを追求する際の大きなアドバンテージとなり、多くの経営者から木造アパートが選ばれる理由の一つです。

 

1-3.減価償却期間が短い


木造アパート経営の経済的メリットの一つは、減価償却の期間が短いことです。
減価償却とは、資産の購入価格を法定耐用年数で分割し、経費として計上する仕組み。
この期間が短ければ、1年で計上できる経費が増えるので所得税の納税額が結果的に少なくなります。

 

損益通算は、一定の損失を他の所得から控除することです。
これを活用すると、さらなる税圧縮が期待できます。法定耐用年数は建物構造ごとに違いがあり木造住宅が22年、重量鉄骨造は34年、鉄筋コンクリート造は47年です。
このため、木造アパートは他の建築物よりも早く経費を計上できるのでその分税金を軽減できます

 

1億円の木造アパートを建てると、「1億円÷22年」で年間約454万円の減価償却費用の経費計上できます。
対照的に、鉄筋コンクリート造の場合は約212万円です。木造アパート経営は、税金の節約やキャッシュフローの向上が期待できる点で、長期的な経営戦略において重要です。

 

1-4.調湿効果がある


木造アパートは、木材の自然な調湿効果により、入居者が四季を通じて快適に過ごせます。
木材は周囲の湿度に応じて水分を調整するため、湿気の多い季節には水分を取り込み、乾燥する季節には放出します。

 

この特性で、室内湿度が適切に保たれ、快適な空間が生まれるでしょう。さらに、木材の通気性が良いので、結露やカビのリスクが低減します。このような環境は、入居者の健康や生活の質を高めるポイントとなります。

 

木造アパートの魅力は、木の調湿効果で快適な室内環境を提供することです。これは、入居者の満足度や長期的な入居率の維持にも寄与します。

 

1-5.火災に強い


一般的に木造アパートは火災に弱いと思われがちですが、実は火災に強い特性を持っています。
多くの人は木が燃えやすいと感じるかもしれませんが、実際は鉄よりも焼け落ちにくいです。

 

木の熱伝導率が低いため、太い木材を使うと炭化まで時間がかかります。
つまり、火災時には木の表面は燃えても中心部への燃え広がりは遅れるのです。

 

さらに、最近の技術進化で木造建築の火災対策が向上しています。
耐火処理された木材や火災に強い建材を使用することで、火災リスクを低減できます。万全な管理で防火に努めるのが大前提ではありますが、設計と材料選択を適切に行えば木造アパートでも火災に十分に耐えうるでしょう。

 

2.木造アパートのデメリットと対処法

木造アパートのメリットがある一方で、維持管理に関する懸念も抱えています。
これは、木材が天然素材で劣化しやすい性質を持つためです。特に、水分や湿気に長時間さらされると吸湿性が高いことから木材が腐りやすく、また、空気中の菌やシロアリの被害も考慮しなければなりません。

 

また、丈夫で長持ちする家であるかをしるための指標に、劣化対策等級という項目があります。
劣化対策等級は、住宅の性能を示す指標の一つで、建物の材料が時間とともにどれだけ劣化するかを評価します。

 

この等級は、建築材料が劣化を防ぐための対策がどれだけ施されているか、また、住む人がメンテナンスを容易に行えるかどうかを基に、3段階に分けられています。劣化対策等級3は最も高い性能を持ち、75〜90年の耐久性が期待される一方、等級1は建築基準法の基本的な対策を満たすものとなっています。

 

特に木造建築においては、水分の浸入を防ぐことが最も重要な劣化対策とされ、そのために耐久性の高い材料の選択や、早期の劣化察知と対策が求められます。

 

木造の注意点としては、対策を怠ると湿気による腐食が進み、大規模な修繕が必要になることもあります。修繕や改修が必要となると、経費が増加するリスクも伴います。

 

しかし、これらのリスクには対策があります。
防腐薬剤の注入や、湿気を防ぐための基礎の高さ調整、シロアリ対策としての防蟻剤の散布など、適切な手段を取れば、木造アパートのデメリットは最小限に抑えられるでしょう。

 

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3.木造アパートに関するQ&A

ここでは、木造アパートで多く寄せられる質問にお答えします。
木造アパートを不動産投資として検討されている方の参考になるかと思いますので、ぜひご確認ください。

3-1.木造アパートは音が響きやすいのでしょうか?


木造アパートは、建物構造上、音が響きやすいというイメージがありますが、実際の音の響きやすさは採用している防音素材や構造によって大きく変わります

 

たしかに木材自体は、鉄筋コンクリートや軽量鉄骨造に比べて音を伝えやすい性質を持っているため、騒音トラブルを心配されるかもしれません
しかし、音の響きやすさは住宅で採用されている防音素材や構造によって決まるため、木造アパートでも工夫次第で部屋の防音性能を高めることが可能です。

 

例えば、遮音材の使用や二重窓の設置を行うことで、隣接する部屋や外部からの騒音・話し声・などの音漏れを大幅に軽減できます。木造アパートは、適切な防音対策を施すことで、音の響きを抑えることができます。

 

3-2.木造アパートは地震に弱いのでしょうか?


木造アパートは、適切な耐震基準に基づいて建設されれば、地震に対しても十分な耐震性を持つことができます。
新耐震基準に沿って建てられた建物は、木造であっても一定の耐震性を備えているためです。    

 

特にモノコック構造を採用した木造住宅は、その耐震能力が高いため、地震に対する安全性を求める不動産オーナーに適しています。

 

モノコック構造とは、床や壁、天井を構造用合板や木質パネルで一体として組み立てる方法で、従来の「在来工法」に比べて、耐震性能や防音性能、耐火、断熱などの性能が全体的に向上しています。

 

また、よく知られる「2×4(ツーバイフォー)工法」も、このモノコック構造のバリエーションの一つとして位置づけられます。

 

耐震基準は、阪神・淡路大震災の被害を受けて2000年に改正され、現行の基準に沿った建物は震度6強~7程度の地震で倒壊のおそれが生じないように設計されています。

 

最近の木造アパートは、耐震性能や防振の効果を発揮する設備の追加により、地震のリスクにさらに備えることができます。
木造アパートも一定の基準に沿って建てられるため、地震のリスクは他の構造と大きく差はありません。

 

工夫次第で、耐震性能や防振などの設備を追加し、地震リスクを最小限に抑えることができます。
しかし、完全にリスクを排除することはできないため、常に備えを心がけることが大切です。

 

【出典】木造住宅の耐震性について(林野庁)

 

4.木造アパート経営で成功するには建築会社選びが重要


木造アパートには多くの利点があるものの、経年劣化のようなデメリットも存在します。しかし、適切な対策を施せば、これらのデメリットを抑えることができます。建築会社ごとに独自の技術や特徴があるため、それらを理解することで、最適な選択が可能となるでしょう。

 

アパートを建てる際には、各建築会社の特色を参考にし、メリットを活かしながらデメリットを軽減する工夫をすることが重要です。

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■監修者プロフィール

有限会社アローフィールド代表取締役社長
矢野 翔一

関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。

【保有資格】2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者