
駐車場経営とは?
最終更新日:2022年4月18日
土地活用の方法のひとつに「駐車場」として活用する方法がありますが、
今回は駐車場経営にはどんな形態があるのか、他の土地活用手法との違い(特徴)、今後の需要予測など、
基本的な内容をご紹介してきたいと思います。
駐車場経営とは
駐車場経営とは、土地に駐車場を作り駐車料を収入として得る土地活用の方法で、賃料収入の得る方法として主に月極と時間貸し(コインパーキング)の2つがあります。
「月極駐車場」の利用者は契約者が固定になり、契約台数=収入ですが、「コインパーキング」の利用者は不特定多数になり、昼夜問わずの時間あたりの利用者が多いと収入も増えます。
初期投資費用においても、「コインパーキング」は料金精算用の機械は必ず導入しなければならないので、その分の費用はかかります。
運用形態としては自身が貸主として駐車スペースを貸出す形態と、土地を事業者に貸し出して運営会社から地代を得る形態があります。
また平面(地面)にそのまま駐車する平置きと機械を用い立体的に駐車する機械式など幅広い形態があります。
駐車場経営とほかの土地活用手法の違い(駐車場経営の特徴)
駐車場経営のメリットは、他の土地活用手法と比較して初期投資額を大幅に押さえることができ、建物所有を目的としていないので、借地借家法の適用外になり規制が緩やかになります。
一方、駐車場経営のデメリットは、駐車場が更地扱いになるため、税金の軽減や減額の恩恵はないので、経費算入が少ないこと(相続税を考えるとき駐車場の状況によっては自用地扱いか貸付事業地の扱いか注意が必要)や、平置きの場合には容積率を活かした空間利用ではなく、平面利用となるため大きな収益が見込みにくいということなどが挙げられます。
駐車場経営を始めるにあたり、駐車場業界の現状や展望などを見ていきます。
駐車場業界の現状
国土交通省令和2年度(2020年)自動車駐車場年報から抜粋したものです。保有台数と駐車場総台数はともに、上昇していることが読み取れます。
平成17年ごろから平成20年ごろでは車の保有台数は減少していました。しかしその後は緩やかながらも増加傾向となっています。
2020年に入り、新型コロナの影響で、3密回避の意識が高まり、公共交通機関の利用を控え、マイカー通勤などにする人が増えたことも、車の保有台数の増加傾向につながった一因のようです。
駐車場業界の今後の展望
車の保有を考えた場合、大都市圏では地価が高いこともあるので、駐車場の賃料を考えると経済的負担が多くなります。その上に、車を保有すると、維持費用もかかり、さらなる負担増となります。
大都市圏内では、公共交通機網の整備も進んでおりますので、あまり不便を感じず、車の必要性を感じず生活ができるのではないでしょうか。
このようなことに加え、必要な時に利用が可能な"カーシェア"が増えている傾向があります。新型コロナウイルスの影響もあり、カーシェア利用のニーズは大都市圏では高まっています。
反面、大都市圏以外では、公共交通機網を利用しての移動というよりは、マイカー移動が主となり、一家で複数台保有ということも見受けられます。
これらのことから近い将来においても車の保有台数は緩やかに伸びてく一方、更に長い期間で考えると年齢別人口をみてわかる通り、これから運転ができることになる20歳代の人口は減少していることから、長期的には車の運転者も減少していくことが読み取れます。
つまり現状から近い将来は、駐車場の需要増加も予測されますが、人口推移からすれば、長期的には需要の減少もありえる状況ではないでしょうか。

出典:人口動態調査(厚生労働省)を基に筆者作成
駐車場経営と税金
冒頭でも触れましたが、駐車場は更地扱いとなるため、収入に対して税制面での優遇措置はほとんどありません。
また、理解しておきたい税金として、以下のものがあります。
<固定資産税・都市計画税>
土地所有者のため、固定資産税は課税されます。さらに、市街化区域内にある場合は都画計
画税も課税となります。(市街化区域内の場合は課税されません)
固定資産税=課税標準額×税率1.4%
都市計画税=課税標準額×税率0.3%
課税標準額とは、固定資産税評価額の70%です。4~5月に行政より送付される納税通知書で確認できます。更地扱いのため、課税標準の特例措置はないので、住宅用地よりも高くなります
<償却資産税>
アスファルト舗装や隣地との間に設置したフェンスなど駐車場設備にかかる税金です。
償却資産税=課税標準額×税率1.4%
こちらの課税標準額とは、設備ごとに取得した金額を100とします。一定の償却率で計算し、年々減少していきます。
<消費税>
青空駐車場と言われるような、ロープなどの区分けやアスファルト舗装など土地の整備をしていない更地に近い状態での貸付けであれば非課税です。
「月極」・「コインパーキング」のどちらの形式でも、地主または業者のどちらかが土地の整備をしたかによって、課税区分が変わります。
・地主は土地を貸し、業者が整備し駐車場を運営した場合:地主は「非課税」
・地主が整備し、業者あるいは地主が駐車場を運営した場合:地主は「課税」
つまり、地主は土地貸しのみであれば、「非課税」ということになります。
(相続税の観点からいうと青空駐車場は小規模宅地の特例(貸付事業用宅地)が使えないことが多いので注意)
駐車場に必要なスペースとは
どちらの形式にしても、駐車スペースにはどのくらいの寸法が必要なのかを知っておくことが重要になります。駐車スペースが狭すぎると、利用者から敬遠される可能性があります。
一方で、駐車スペースが広いことは利用者からすれば、喜ばしいことですが、駐車台数が減り、収入も減ることになります。また必要なスペースを確保できないということは駐車場経営自体が難しいということになるので下記参考にしてください。
車室の確保とは
駐車場経営では、駐車台数を多く確保することで、高い収入を得ることになります。
そのため、1台でも多く車室を確保することが、安定的経営を実現する最も重要なポイントとなります。
とは言え、車室を多く確保することのみで設営すると、1台ごとの車室は狭くなります。
その結果、利用者からすれば、使いにくい駐車場と判断され、敬遠されることにつながります。
このようなことを避けるためには、最低限の広さの車室を設営することが必要になります。前述のように、車のサイズは決められています。
<車室に必要な寸法>
軽自動車 :長さ3.6m×幅2.3m
小型自動車:長さ5.0m×幅2.3m
普通自動車:長さ5.5m×幅2.5m
以上が一般的な車室の寸法になります。
しかしながら、コインパーキング形式においては、車種ごとに明確に区割りをしても、利用者がその通りに駐車をしてくれるとは限りません。
その結果、軽自動車と普通自動車の区割りになることが多く、その寸法は、軽自動車:長さ3.6m×幅2.3m・普通自動車:長さ5.0m×幅2.5mが一般的です。もちろん、土地の広さに余裕がある場合は、普通自動車の長さは5.5mをおすすめします。
車室以外の必要なスペース
適切な車室があるにも関わらず、利用しにくい駐車場にならないように、車室以外にも必要なスペースがありますので見ていきましょう。
<車路>
公道から車室に駐車する時に通るスペースのことです。車路幅がしっかり確保されていないと、車室に駐車する際の切り返しが難しくなったりします。
その結果、接触事故やドライバー同士のトラブルなどが起こる可能性が発生します。このようなことより、適切な車路幅の確保が必要となります。設営にもよりますが、車路幅を5m以上は確保したいところです。
まとめ
初期費用をかけたくない、現状更地の土地を将来どうするかなどを決めていないから一時的に駐車場をおこなうなどさまざまな理由から、駐車場経営を考える方はいると思います。
しかし賃貸住宅事業などと比べて固定資産税の優遇措置や相続税の節税効果が高いわけではありません。
駐車場経営にかかわらず土地活用・資産活用はどのような方法にもメリットやデメリットがあるわけですが、一番重要なのはそれらを理解して選択しているのか、そのご家庭にとってどうなのかということです。
駐車場経営を考えるうえでは、土地の環境・家庭の事情・将来のライフプラン・社会情勢など多角的な方面から考えて最適な活用方法なのか検討することが重要といえます。
以上
マイアドバイザー®
大学卒業後、建設分野で20年携わり、その後不動産・相続分野で10年以上携わっている。
(一社)神奈川県ファイナンシャル・プランナーズ連合会にも所属
【保有資格】
AFP/宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/相続アドバイザー協議会認定会員
マイアドバイザー® Yahoo!Japanなど主要webサイトや5大新聞社への寄稿・取材・講演会を通じた情報提供や、主にライフプランに基づいた相談を顧客サイドに立った立場で実行サポートするライフプランFP®として活動している。
NHK「クローズアップ現代」「ゆうどきネットワーク」などTVへの出演も行い、産業能率大学兼任講師、日本FP協会評議員も務める。
- 【保有資格】
・CFP®・FP技能士(1級)・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
・住宅ローンアドバイザー(財団法人住宅金融普及協会)
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