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アパート経営の経費で落とせるもの一覧|判断基準や計上できないもの

公開日: 2024.09.20

最終更新日: 2024.09.25

アパート・マンション経営などの賃貸住宅では、家賃収入からさまざまな出費を引いた手残りが利益となります。

しかし、経費にできるものを知らなければ、本来なら経費で落とせるようなものも見逃しているケースがあります。

そこで今回は、アパート経営を例に、不動産投資で計上できる出費について説明します。

経費の判断基準や、経費で落とせるもの、落とせないものを一覧で紹介します。
経費にできる出費を把握し、会計上の悩みを解消しましょう。

目次

1アパート経営における経費の判断基準とは

2.アパートアパート経営において経費で落とせるもの一覧 

2-1.パート経営に関わる税金 

2-2.損害保険料

2-3.修繕費

2-4.青色事業専従者への給与修繕費

2-5.減価償却費  

3減価償却費

3-1.アパートローン返済の元本部分 

3-2.アパート経営とは関係がない税金

3-3.修繕が行われていない場合の修繕積立金 

4.アパート経営で適切に経費を計上するためのポイント

4-1.赤字でも黒字でも確定申告をする 

4-2.損益通算を活用する

4-3.信頼できるプロの相談先を見つける

5.アパート経営の経費で落とせるものを見極め、賃貸経営の最適化を図ろう 

1.アパート経営における経費の判断基準とは


*アパート経営における経費とは

アパート経営における経費とは、収益を得るために必要な支出を指します。

具体的には、以下のような基準で判断されます。

 

*アパート経営に直接関連する支出

その支出が、賃貸アパートの経営に直接関係したものであることが必要です。

 

*アパート経営との関係性が明確

発生した経費が、アパート経営の業務遂行上必要があったという関係性を

説明できるものでなくてはなりません。

 

*合理的な支出の範囲内

過度に高額な支出や不必要な支出は、税務署から経費として

認められない可能性があります。

修正申告などを求められる可能性があります。
 

2.アパート経営において経費で落とせるもの一覧


アパート経営へ計上できる経費の判断基準を理解したところで、具体的な経費で落とせるものを紹介していきましょう。

 

経費で落とせるもの

具体例

アパート経営に関わる各種税金

固定資産税、都市計画税の納税額など(後述)

損害保険料

物件に付与する火災保険料、地震保険料など(後述)

修繕費

共用部の修理費用や、入居者が入れ替わる際のリフォーム代など(後述)

交通費

アパート経営に必要な電車賃、ガソリン代など

通信費

インターネット料金や電話代など

新聞書籍代

不動産投資に関する情報収集を目的とした書籍や新聞の購入代金

事務用品費・消耗品費

アパート経営において必要となる備品・少額のものは消耗品費で計上するが明確な区別はない(例:ボールペン・消しゴム・トイレットペーパーなどの消耗品)

接待交際費

アパート経営において取引先の接待などに用いる飲食費・手土産代など

専門家への報酬

税理士や司法書士、弁護士に業務を依頼した場合の報酬

青色事業専従者給与

青色申告を行う個人事業主が事業に従事する家族従業員に支払う給与のこと(後述)

立ち退き料

建て替え等で居住している個人を立ち退かせる場合、交渉の一手法として支払う代金

仲介手数料

入居者募集を行う不動産会社に支払う成功報酬。募集のために使われる広告宣伝費が入る場合もある

借入金利息

ローン返済金のうち、支払利息部分(後述)

管理委託料

オーナーが管理業務を賃貸管理会社に委託する場合にかかる費用。清掃・点検などのメンテナンス費用含む

減価償却費

初期投資を法定耐用年数に応じて毎年経費計上するもの(後述)

ローン金利

アパートローンの金利

(元本部分は対象外)

自分の給与 ※法人の場合のみ

アパート経営を通して得た利益から支払う給与

役員報酬 ※法人の場合のみ

経営方針の決定、業務や会計の監査などを担う人に対する報酬

 

ここで注目なのは、個人事業主と法人で経費計上できる項目に違いがある点です。法人化すると、経費として落とせる範囲が広くなります。法人化については以下の記事で詳しく解説しています。

 

>>関連記事:賃貸経営の法人化のメリットとデメリット|個人事業主との違いは?

 

 

表であらわしたように、経費で落とせる項目は複数あります。

今回はこれらのうち特に重要なもの、詳しい説明があったほうがより理解しやすいものを5つピックアップしました。

それでは1つずつ解説していきます。 

2-1.アパート経営に関わる税金

アパート経営に直接関係している税金の部分のみが勘定科目の「公租公課」として費用計上できます。

経費処理できる主な税金としては、建物や土地にかかる固定資産税・都市計画税、不動産取得税、不動産を不動産登記簿に登記したときに発生する登録免許税、不動産を購入するとき・建物の建築請負をするときに作成する契約書に必要な印紙税などが挙げられます。 

2-2.損害保険料

賃貸アパートの災害リスクに備えるべく、火災保険や地震保険に加入した場合は、その保険料を経費として計上できます。


ただし、契約期間が複数年の場合、その年の経費として処理できるのはその年1年分だけです。
例えば3年分をまとめて払う場合には、3分の1をその年の損害保険料として経費計上し、残額は長期前払い費用として帳簿に記載し、翌期以降に経費として処理します。 

2-3.修繕費

賃貸アパートでは、入居者が入れ替わるタイミングで居室内のクリーニングや修繕を行います。
また、共用部の設備などについても、壊れた場合は修繕費用が発生します。

これらの修繕費についても、経費として計上することが可能です。

なお、修繕費とよく似た項目に資本的支出があります。
資本的支出とは、物件の価値を向上させたり、耐用年数を延ばしたりするための費用です。

例えば、設備の大規模な改修や増築が該当します。
資本的支出は経費として一括で計上することはできず、耐用年数に応じて減価償却します。 

2-4.青色事業専従者への給与

個人事業主で、かつ青色申告をしている場合は、

家族を従業員として給与を支払い、その給与を経費計上できます。
青色事業専従者となる要件はさまざまあり、その給与が適正でないと経費として

税務署から否認されてしまう恐れがあるため、適正な金額を設定しましょう。

2-5.減価償却費

減価償却費は不動産購入にかかる建築費や設備購入費用などの初期投資を、法定耐用年数に応じて毎年少しずつ経費化するものです。


法定耐用年数とは、税法上定められている使用可能期間のことで、建物の構造や材質などにより細かく年数が設定されています。

例えば木造アパートの法定耐用年数は22年と定められており、木造アパート建築にかかった初期費用は22年に分割し少しずつ経費計上していきます。

 3.アパート経営で経費計上ができないもの


ここまで経費として認められるものを紹介しました。ここからは、アパート経営では経費計上ができないものを紹介します。

 

経費計上ができないものは主に以下の3つです。

・アパートローン返済の元本部分

・アパート経営とは関係がない税金

・修繕が行われていない場合の修繕積立金

3-1.アパートローン返済の元本部分

ローン返済金は、元本と利息に分かれます。
そのうち元本部分は借りたお金を返しているだけであるため、経費としてはみなされません。

実際の仕訳では、元本部分は貸借対照表上の借入金を減らす処理をし、利息部分は損益計算書上の費用を増やす処理をします。 

3-2.アパート経営とは関係がない税金

税金の中でも、アパート経営とは関係のないものは経費にはなりません。

例えばアパート経営に関係のない買い物をしたときの消費税や、賃貸アパート以外の不動産に関する固定資産税や都市計画税などが挙げられます。

また、利益に対して発生する所得税・住民税や、法人化している場合、法人税は経費として計上できません。  

3-3.修繕が行われていない場合の修繕積立金

修繕積立金とは、マンションの大規模修繕工事に向け、管理組合が積み立てる資金のことを指します。

マンションの管理組合が入居者から毎月定額を集め、修繕が発生した際に使われます。

修繕積立金は、支払うタイミングではまだ修繕工事を行っていないため、その時点では費用計上できません。
「修繕積立金」もしくは「前払い費用」などの資産として貸借対照表上に乗せ、実際修理が行われたタイミングで、「修繕費」として費用計上します。

 

なお、個人事業主において発生する費用の中には、アパート経営とプライベートの両方で使用するものがいくつかあります。
例えば自宅の一部を事務所とする場合は、自宅にかかる水道光熱費や通信費の一部は、アパート経営にも用いられたと考えられます。
このような場合は、「家事按分」という考え方で費用の一部を計上することが可能です。

 

*アパート経営における家事按分の具体例

例えば、自宅の面積100㎡のうち、事務所として20㎡使用している場合は、家賃のうち20%の割合を「地代家賃」などの費用として計上できます。



4.アパート経営で適切に経費を計上するためのポイント


アパート経営で適切に経費を計上するためには、確定申告を毎年行うこと、損益通算を活用すること、プロの相談相手を見つけることなどのコツがあります。

それぞれ説明していきましょう。 

4-1.赤字でも黒字でも確定申告をする

原則、給与所得の他に年間20万円以上の所得がある場合は確定申告が必要です。

確定申告には白色申告と青色申告の2種類があり、青色申告者が利用できる青色申告特別控除は、最大で65万円の所得控除が受けられます。

赤字の場合でも、確定申告することはメリットがあります。確定申告することで、その年の損失を翌年以降3年間に渡って繰り越し、利益と相殺することが可能です。これを「繰越損失」と呼びます。

また、確定申告をすることで、不動産所得から必要経費や各種控除を適用でき、税負担を軽減できます。
節税対策のメリットだけでなく、継続的に申告を行い事業実績を積み重ねれば、金融機関からの信用度も向上しやすいでしょう。 

4-2.損益通算を活用する

損益通算とは、ある事業で出た損失を、他の所得から控除することで納める所得税や住民税を軽減することができるものです。

不動産投資では、不動産事業で出た損失を給与所得や他の事業所得と通算することで、給与所得などで生じる所得税・住民税を減らせます。 

4-3.信頼できるプロの相談先を見つける

アパート経営で最も大切なことは、サポートしてくれるパートナーを見つけることです。

土地活用に特化した会社であれば、専門家の知識と経験を活用することで、初心者でもリスクを抑えてアパート経営ができます。

適切に経費を計上し、課税所得を減らすことで税金対策にもなり経営の効率化を図れます。

資料請求やセミナー参加を行い、良いパートナーを見つけましょう。

5.アパート経営の経費で落とせるものを見極め、賃貸経営の最適化を図ろう


今回は、アパート経営で計上できる経費について説明しました。

アパート経営で計上できる経費は、アパート経営に直接関連している必要があります。

今回はそれらを説明しましたが、疑問を持ったときに、相談できるパートナーを見つけることをおすすめします。

大東建託では、不動産投資に関わる相談を幅広く受け付けています。

土地に最適なプランを提案するだけでなく、土地活用が始まった後もパートナーとして運用をお手伝いいたします。ご相談は無料です。
お気軽にお問い合わせください。

参考サイト:https://www.kentaku.co.jp/estate/

■監修者プロフィール

有限会社アローフィールド代表取締役社長
矢野 翔一

関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。

【保有資格】2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者