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不動産投資を活用した節税

最終更新日: 2023.11.01

「こんなに稼いでいるのに、残るお金が少なすぎる...」「給料が増えているのに、使えるお金が増えない...」

 

世間では、そもそも低賃金かつ給料が増えないという声が一般的ですが、実際には「高所得者」に分類されるような方でも事情は変わりません。

ご相談をお受けして、むしろ、高所得者ほど高度かつ長時間の仕事をしているにも関わらず、状況が厳しくなっていると感じます。

これは一体なぜなのでしょうか?どうすればいいのでしょうか?

 

そこで、この記事では全5回の連載の形で、高所得者向けのタックスマネジメント(節税)についてお伝えしています。みなさんの疑問解決や手取り収入の増額に、役立てて頂ければ幸いです。

 

3回目の今回は...

高所得者向けの節税手段の一つである「不動産投資」を活用した方法について解説します。

 

■この記事のポイント

・不動産投資を活用した節税(タックスマネジメント)とは、減価償却費の特徴を

 活かしたもの

・最終的に売却するところまでをトータルで考えると、不動産投資の節税効果自体は

 それほどない

・納税時期を先延ばしできることも一つの利益であり、これこそがタックスマネジメントの

 基本的な考え方

 

 1.不動産投資を活用した節税(タックスマネジメント)とは?

一般的に、節税方法は、以下の3つに分けられるはずです。

 

①節税になりうる何らかの「制度や特例を使う」

②税額算出の基になる所得(利益)や財産価格の「評価を下げる」

③税額算出の基になる所得(利益)や財産自体を「減らして(無くして)しまう」

 

前回の記事(高所得者の節税(タックスマネジメント)について)で主にお伝えしたのが、

①の方法になります。

その中での「所得税から法人税の扱いにする」方法が②の方法です。

そして、不動産投資は、主に③の方法を活用した節税になります。

 

不動産投資とは「大家さんになること」が必要です

(自身が持っている)土地に賃貸建物を建てて人に貸し、家賃収入を得ます。

そして、この賃貸経営において「計算上の赤字」を出すことで、その赤字分だけ給与などの他の収入を減らすことができ(=損益通算といいます)、節税に繋がるというのがスタンダードな考え方です。

 

賃貸経営でも、所得税は「(その年の)収入-経費」で計算した額に税率を掛けます。

ただ賃貸経営の場合、最初に建てる賃貸建物の建築費用は「減価償却資産」になります。

 

以後、何年にも渡って「減価償却費」として、経費を分割計上することが可能です。

この減価償却費は賃貸建物の建築費用がベースですから、おのずと金額も大きくなり、結果として税金算出の計算上は「赤字」になりやすいといえます。

 

2.減価償却費・譲渡所得税について

 

2-1.減価償却資産・減価償却費とは?

減価償却資産とは、簡単にいえば上記の賃貸建物のような「少しずつ価値(資産性)が減少していく資産」のことです。

 

減価償却資産の対象となるものは国によって定められており、以後、国が使用可能と定めた期間(この期間を法定耐用年数といいます。実際の耐久性とは違う、あくまで税務上の年数)、毎年少しずつ減価償却費という経費として扱っていきます。

 

実際の賃貸建物の建築費用は、自己資金で用意しようがローンで用意しようが、建築当初に支払うことになります。

ですから、2年目以降は、実際にはお金を支払わないのですが、税金計算上、経費する際には法定耐用年数に分けて計上することができるのです。

 

つまり、実際の現金収支に関わらず、減価償却費の分だけ経費を多くできますから、計算上はその分が赤字になります。

 

同時に所得税を計算する際に、他の所得と合算して総合課税することになるので、例えば、その赤字分は給料など他の黒字分から差し引くことができます。

 

その結果、税金が安くなり、自分で使えるお金も増える...となるわけです。

 

1回目の記事(高所得者の悩み・高所得者の取り巻く環境とは)でお伝えした通り、日本の所得税は累進課税制度を取っています。

高所得な方ほど税率自体が高いため、その税率を下げられるほどに節税効果は高いです。

 

つまり、不動産投資は「高所得な方ほどおすすめ」の投資といえます。

しっかりとした投資計画が立てられるのであれば、高所得な方ほど、減価償却費を多くとれる賃貸物件を建築すると資産保全にも寄与することとなります。

 

 

2-2. 減価償却費は目先の節税だけではすまない

減価償却資産(減価償却費)に節税効果があるのは確かです。

ただし、これには一定の注意点がありますから、リスクを正しく理解し、節税を行っていきましょう。

 

2-3.償却しきった後、格段に税金が上がる

減価償却費という経費は「いずれ終わる」という点に注意が必要です。

減価償却資産の減価償却期間に相当する「法定耐用年数」は、国(国税庁:主な減価償却資産の耐用年数表)によって以下のように定められています(住宅用部分のみ一部抜粋)。

 

・木造・合成樹脂造のもの      :22年

・木骨モルタル造のもの       :20年

・(鉄骨)鉄筋コンクリート造のもの :47年

・金属造のもの           :19~34年(骨格材の肉厚による)

 

先ほどお伝えした通り、減価償却費は高額になりがちです。

だからこそ、減価償却費を経費にできなくなると、途端に経費が少なくなって黒字が増え、格段に税金が上がります。

節税効果が大きかったほどに、その落差は大きく感じがちです。

 

一般的に賃貸建物を建てる際にはアパートローンなどを使いますが、そのローンを完済した時も同様に、途端にローン利息を経費にできなくなって黒字が増え、格段に税金が上がります。

このためローンの返済期間と減価償却期間が同じ場合、さらに税金がハネ上がります。

 

ですから、節税を第一に考えるのではなく、前提として資産運用=投資自体が適正か?をまず判断することが大切です。

 

2-4. (短期間での)売却時にも税金が上がる

土地や建物を売ると、「譲渡所得税」が発生します。

 

この譲渡所得税は「売却代金-不動産の取得費や譲渡費用」で税金の元になる金額が決まり、「建物の所有期間」で税率が変わるとともに、不動産の取得費から「過去の減価償却費分を差し引く」ことがルールです。

所有期間と税率は、以下のようになっています。

 

・所有期間5年以下:短期譲渡所得...譲渡所得金額の30%(+住民税9%)

・所有期間5年超 :長期譲渡所得...譲渡所得金額の15%(+住民税5%)

 

賃貸経営を始めたは良いものの、5年以内に経営に行き詰まり賃貸建物を売却することになると、5年超の場合と比べて倍近い所得税が課せられます。

 

5年超の場合でも、売却時は過去の減価償却費分は購入原価から減っているので、過去に節税した分は調整される仕組みになっています。

 

つまり、売却を前提に投資を考えるなら、所有期間中の税金支払いを売却時まで繰り延べているに過ぎないということです。

 

やはり、目先の節税目的だけで不動産投資(賃貸経営)をするのは危険であり、やるならしっかり先々を見据えた「出口戦略」を意識して、計画的に行うことが大切といえます。

 

 

3. 事例:木造アパートを建築した場合の節税効果

一つの事例をお伝えします。

仮に自身が持っている土地に以下の条件で木造アパートを建築した場合、ざっくり各期間の収支は以下のようになります。

 

<前提>

・建築費用:諸経費込みで8,000万円(ワンルーム10戸)※減価償却期間22

  • ローン:8,000万円、金利3%、22年返済、元利均等返済 ※年500万円返済
  •  家賃:戸あたり月7万円(年84万円×10戸=840万円)※満室として

・運営費用:年200万円(管理費や固定資産税など)

 ※以後の計算も含めて、あくまで概算です。正確な数字は税理士などにご確認ください

 

 

22年目まで

23年目以降

家賃収入

840万円

840万円

運営費用

200万円

200万円

ローン返済

500万円

   0

実際の損益

140万円

640万円

 

 

 

減価償却費

360万円

0

税金計算上の損益

220万円

640万円

 

このような感じで、22年目までは利益を出しながらも税金計算上は赤字のため、その分だけ他の収入から差し引くことが可能です。

 

しかし減価償却とローン返済が終わる23年目以降になると、途端に黒字が大きくなり、その分だけ税金が増えてしまいます。

 

利益が大きくなることは喜ばしいことです。

ただ、収入が増えても納税額が増えて手取り収入はあまり変わらないということもありえます。

逆に節税効果が無くなった分、手取りが減る事も珍しいことではありません。

 

しかし、支払い(納税)時期を遅らせることは、時間を購入するという点で一つの利益です。

その間は手取り収入を増やして他のことにお金を使えますし、保有資金=資産をふやすことになります。

 

結果として、安定収入の確保と安定的な節税効果を同時に得るには、賃貸経営が最適になります。

 

何を目的に不動産投資を、賃貸経営をするのか...ご自身のリスクや理屈、先々の人生も十分に考えた上で、不動産投資を実践していきましょう。

 

 

4.まとめ

不動産投資を活用した節税(タックスマネジメント)とは、減価償却という、実際のお金は出ていかないけれど、税金計算上は経費としてお金が出て行ったものとみなしてくれる特徴を活かしたものです。

その結果、税金が安くなって手元の使えるお金が増えることに繋がります。

 

ただし、最終的に売却するところまでをトータルで考えると、実は節税効果自体はそれほどありません。

しかし納税時期を先延ばしできることも一つの利益であり、これこそがタックスマネジメントの基本的な考え方です。

最終的に売却するまでの間、他にどのようなことにお金が必要なのか、お金があれば何ができるのか...

ライフプランとも重ねながら、じっくり考えてみましょう。

 

次回は、高所得者の年収別の節税効果についてお伝えします。

■執筆者プロフィール

株式会社優益FPオフィス・代表取締役
佐藤 益弘

マイアドバイザー®
Yahoo!Japanなど主要webサイトや5大新聞社への寄稿・取材・講演会を通じた情報提供や、主にライフプランに基づいた相談を顧客サイドに立った立場で実行サポートするライフプランFP®として活動している。
NHK「クローズアップ現代」「ゆうどきネットワーク」などTVへの出演も行い、産業能率大学兼任講師、日本FP協会評議員も務める。
【保有資格】CFP®/FP技能士(1級)/宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/住宅ローンアドバイザー(財団法人住宅金融普及協会)

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