アパートローンに必要な年収は?目安の借入可能額と増やすポイント
公開日: 2025.08.27
最終更新日: 2025.09.22
マイホームを購入する場合は通常住宅ローンを借りますが、投資用不動産を購入する場合は、主にアパートローンを利用することになります。
この記事では、これから土地活用や賃貸経営を始めようと検討している方のために、アパートローンと年収の関係や年収別に借入可能額の目安、借入可能額を増やす方法まで徹底解説します。
今回の記事を参考にして、アパート経営を成功させましょう。
1. アパートローンと年収の関係
投資物件購入のためのアパートローンと、自分のマイホーム購入が目的である住宅ローンでは、融資条件や審査項目が異なります。
アパートローンは本人の給与収入も審査基準の1つではありますが、特に重要なのは、担保となる物件の収益性や資産価値です。
アパートローンの仕組みを把握していただくために、アパートローンの借入可能額の考え方について説明します。
また、アパートローンの審査基準についても解説します。
1-1. アパートローンで借入可能な金額は?
アパートローンは住宅ローンに比べて、多額な借り入れができる傾向があります。
住宅ローンの借入額は、一般的に年収の5~7倍程度が借入可能額とされていますが、アパートローンの目安は、年収の10倍~30倍ともいわれています。
この違いは一般的には住宅ローンの返済原資は給与や安定した収入が元となることに対して、アパートローンは投資した物件からの賃貸収入が主な返済原資となっていることから、より大きな資金を借り入れることが可能となっています。
もちろん誰もが無条件に、年収の10倍以上の借り入れが可能というわけではありません。
実際の融資額は、個人の属性(年齢や勤務先、勤続年数)や自己資金額、物件の担保価値、収益性、アパート経営の実績、ほかに借り入れがあるかなど総合的に判断されます。
ちなみにすでに所有している土地にアパートを建てて不動産経営する場合、大きな額の借り入れがしやすい傾向があります。
土地の購入費用がかからないため、土地も購入する場合よりも利回りは高くなり、土地の担保評価もプラスされるからです。
したがって土地所有しているかどうか、また投資不動産の土地の評価、アパートの収益性によって、融資額は大きく変わるでしょう。
1-2. 年収が多くなくてもアパートローンの審査に通る可能性は?
自分の年収がそれほど高くなくても、アパートローンの審査が通る可能性は十分あります。
審査では、給与所得は考慮されますが、それだけで判断されるわけではありません。ローンが承認されるかどうかは、いくつかの重要なポイントによって総合的に評価されます。
具体的には、以下の要素が審査の際に重視されます。
・不動産の資産価値・収益性
・個人の属性(年齢・勤務先・勤続年数)
・保有している金融資産の評価
・投資不動産への自己資金の割合
・アパート経営の実績
これらの要素を踏まえた総合的な判断が行われるため、年収がすべてではなく、他の部分でも信用を得ていると審査が通る可能性があります。
2. 【年収別】アパートローンの借入額の目安
この章では、年収別に借入可能額の目安についてまとめました。
ただし、ここまで解説してきたように、アパートローンの借入額は年収以外の要素も影響します。
あくまでも目安の1つとして参考にしてみてください。
ここでは2,000万円以上、1,000万円、700万円、500万円、500万円以下の5つの年収別に、アパートローンの借入額の目安と、押さえておきたいポイントを紹介します。
2-1. 年収2000万円以上の場合
年収2,000万円以上の場合、約2億円〜6億円が借入額の目安です。
金融機関からは返済能力があるとみなされるので、十分な資金を確保できる可能性が高いです。
都心のマンションや、グレードの高いデザイナーズマンションなども候補に入ってくるでしょう。
年収2,000万円の方は所得税が高いため、アパート経営することで税金対策による効果も大きくも期待できます。
2-2. 年収1000万円以上の場合
年収1,000万円以上の場合、約1億円〜3億円が借入額の目安です。
ある程度規模の大きな物件を購入することもできるため、例えば一棟マンションを建築して、賃貸経営することも可能でしょう。
給与所得には問題がないように思えても、投資物件の担保評価やマンション・アパートの収益性によっては、希望する金額を借り入れできない可能性はあります。
後半でアパートローンの借入額を増やす方法を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
2-3. 年収700万円の場合
年収700万円の場合、約7,000万円〜2億1,000万円が借入額の目安です。
比較的中規模なマンションや、アパート経営が選択肢に入ります。
金融機関によっては、アパートローンの審査基準を年収700万円以上としているケースもあり、比較的借り入れしやすい給与所得層です。
しかし前半でも説明している通り、年収だけではなく総合的に判断する傾向があります。
事業計画などの準備は万全を期すようにし、ほかの借り入れがある方は注意が必要でしょう。
2-4. 年収500万円の場合
年収が500万円の場合、約5,000万円〜1億5,000万円が借入額の目安です。
小規模なアパートや、郊外の収益物件が現実的な対象になるでしょう。
ただし年収500万円の場合、自己資金がどの程度用意できるのかがポイントになります。
自己資金を確保したうえで、家賃収入に頼った生活にならないよう生活支出なども踏まえたうえで、長期的な返済戦略を練ることが大切になるでしょう。
金融機関へは事業計画を明確に提示し、十分な自己資金を用意できる旨をアピールするようにしてください。
2-5. 年収500万円以下の場合
年収500万円以下の場合、約3,000万円〜8,000万円程度が借入額の目安です。
借入可能額を考えると、大規模な賃貸経営は難しい可能性があります。
もし土地活用を行うのであれば、まずは小規模な経営で収益を得て、そこから経営規模を大きくしていく戦略がおすすめです。
自己資金を貯めて使える金額を増やすことで、土地活用の可能性を広げられます。
賃貸経営には、アパート経営だけではなく、賃貸併用住宅という選択肢もあります。
賃貸併用住宅とすることで、自身が住みつつ小規模な賃貸経営から始めることで、実績づくりや投資資金を貯めていくことも検討できるとよいでしょう。
賃貸併用住宅のメリットや建築までの流れについては、関連記事で詳しく解説しています。
3. アパートローンの借入可能額を増やす方法
アパートローンの借入可能額を増やすことができれば、レバレッジ効果(※1)によって収益性が向上し、相続税対策にもなります。
アパートローンの借入可能額を増やす方法があるとすれば、それはどのような方法なのでしょうか。
(※1)少ない資金で大きな利益を得られる効果のこと。少ない資金でもアパートローンを併用することで、投資効率を高められます。
ここでは、アパートローンの借入可能額を増やす方法を紹介します。金融機関の融資審査を受ける前に、チェックしておきましょう。
3-1. 金融機関から信用してもらえる要素を増やす
まずアパートローンを組むうえで大切なのは、金融機関から信用を得ることです。
一般的に金融機関から信用を得ている方が融資の承認率や、より低い金利や柔軟性のある条件を引き出せるためです。
金融機関からの信用につながる要素とは、どのようなものが考えられるのでしょうか。誰でも実施できるものでもありませんが、一般的に金融機関が高く信用を置くポイントを紹介します。
・年収が高い
一般的に年収が高いと借り入れ可能金額の増加だけでなく、信頼度も高くなります。 副業などで総収入を増やすことも効果があるでしょう。
また直近で昇進のチャンスがあるならば、そうした後にローンを組むとよいでしょう。
・社会的信用が高い
上場企業や公務員が働く地方自治体など、社会的信用度の高い勤務先で就業していると信頼度は高くなります。
勤続年数も審査対象なので、将来的に不動産投資を検討している方がもし転職をするならは、計画的に行いましょう。
・他の借入リスクが低い
クレジットカードの借入限度額が大きいことは「将来的に借入をするかもしれない」という印象を与える可能性があります。
クレジットカードの限度額を下げたり、使わないカードは整理を行ったりしておくこともよいかもしれません。
・他に借り入れをしていない
オートローンやカードローンなど借り入れがあれば、完済して他の借り入れを無くしておきましょう。
オートローンやカードローンなどの借り入れが残っていると、金融機関が「返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)」を高く見積もり、借入可能額が少なくなる原因になります。
例えば、ほかに多くの返済を抱えている人は、「これ以上ローンを返せる余裕がない」と判断されてしまうのです。
そのため、アパートローンの審査前には、できるだけ他の借り入れを完済し、返済負担率を下げておくことで、より有利な融資条件を引き出しやすくなります。
3-2. 自己資金を多く用意する
堅実で無理のない事業計画であることを裏付けるためには、自己資金を多く用意することも重要と言えます。
自己資金を多く用意することで、金融機関からの信頼性が高まり、借入可能額の増加が期待できるからです。
築費用や初期費用に対して自己資金の割合が高いと、必要な借入額が減るため、月々の返済額が抑えられ、結果として返済負担率も低くなります。
返済負担率が低く、無理のない資金計画であると判断されれば、金融機関からの信用が高まり、審査に通る可能性も高くなるでしょう。
一方で自己資金の割合を抑えて自己資金に対する利益率を高めれば、レバレッジ効果を最大限に生かせます。
事業計画に合わせて適切な自己資金比率を判断することが、事業成功へのポイントと言えるでしょう。
3-3. 収益性の高い事業計画を立てる
金融機関へ提出する事業計画書は、現実的で収益性が高い内容であることが重要です。
事業計画書とは、アパート経営の資金計画や収益性、安定性を示すものであり、金融機関が融資するか否かを判断する材料になります。
しかしだからといって、不安材料を隠すようなものであってはいけません。
アパートの空室率や修繕費など、リスクや支出を織り込んだ収支計画を立てることが重要です。
事業計画書の作成や資金計画に不安があれば、建築会社や不動産会社など、専門家に相談しましょう。
4. 土地を持っていない場合のアパートローンの借入額はどうなる?
現時点で土地を所有していない場合は、アパートの建築費に加えて土地の購入代金がかかるため、必要な借入額は多くなります。
土地を所有している投資家に比べて、より確実で綿密な返済計画が求められるでしょう。
土地がないからといって、決して無理ということではありませんが、物件選びはぜひ慎重に行うようにしてください。
土地なしでアパート経営を始めるメリット・デメリットについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
>>関連記事:土地なしでアパート経営は始められる?メリット・デメリットや注意点
5.アパートローンの借入額は工夫次第で増やせる
年収別に、アパートローンの借入可能額を紹介してきました。
しかし、今回紹介した金額はあくまでも目安であり、本人の属性や収益性などで総合的に判断されることをご留意ください。
より細かい数字や、自分がどれくらい借入可能なのかを知りたい場合は、専門家に相談してみましょう。
アパートローンの借入額を増やすことは可能です。自己資金を増やし、収益性の高い事業計画を作成して金融機関からの信用度を高め、アパート経営を実現させましょう。
大東建託では、お客様に最適な土地・資産の活用を提供しております。
不動産投資物件においても少額投資物件から1棟物件、海外物件などさまざまな物件をご用意しており、お客様の目的に合わせたベストな提案を心掛けています。
また、全国のお客様と取引があることから全国の金融機関と取引があるので、状況に合わせた金融機関のご紹介が可能となっています。
ローンについて気軽に相談できる金融機関とのお付き合いがない方や土地活用や賃貸経営に関するご質問、税金対策に関するお悩みをお持ちの方はぜひご相談ください。
また賃貸経営のノウハウが詰まったカタログを無料でプレゼントしていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
■監修者プロフィール
有限会社アローフィールド代表取締役社長
矢野 翔一
関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。
【保有資格】2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者
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