賃貸併用住宅とは?賃貸部分を設けるメリットや建築するまでの流れ
公開日: 2022.10.28
最終更新日: 2023.11.28
公開日:2022.09.01
土地活用の方法は目的によってさまざまですが、近年、注目されているのが賃貸併用住宅です。
住宅街などで賃貸アパートや賃貸マンションの共同住宅と戸建ての住宅が壁で対になっている建物を見たことがある人も多いのではないでしょうか。
この記事では賃貸併用住宅の概要やメリットデメリット、建築プランから入居開始までの流れを説明していきます。
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目次
2-1.一戸建てを賃貸併用住宅にするタイプ
2-2.マンション・アパートを賃貸併用住宅にするタイプ
step1.不動産会社などに相談する
step2.土地調査・需要分析
1.賃貸併用住宅とは?
賃貸併用住宅と聞いて、ひとつの建物に賃貸用と居住用の部分がある建物のことであるとイメージする人は多いでしょう。
以下に賃貸併用住宅の基本的な特徴をまとめます。
賃貸併用住宅とはオーナーの自宅に賃貸用の部屋をプラスした物件です。二世帯以上の住戸をつくることができる建物を建てて、その一部を賃貸物件として貸し出す賃貸付き住宅とも呼ばれる建物のことを言います。
賃貸する部分は事務所や店舗であるケースもあります。
賃貸併用住宅は、オーナーと入居者の生活動線を分離するケースが多く、オーナーと入居者の生活は基本的に交わらないように作られるのが一般的です。
そのため、風呂やトイレなどの水回りや設備は世帯の数だけ設置することから下宿とは異なる様式の住宅です。
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2.主な賃貸併用住宅のタイプ
賃貸併用住宅には一戸建てタイプやアパート・マンションタイプなどさまざまなタイプ(種類)があります。
それぞれ解説していきます。
2-1.一戸建てを賃貸併用住宅にするタイプ
例えば戸建てでは、2階建ての戸建ての1階部分を賃貸部分、2階部分を自宅部分に分けるパターンと1階から2階までを縦割りにして片方を賃貸部分、もう片方を自宅部分にする分け方があります。
2階建ての戸建ての1階部分を賃貸部分とするタイプの場合、2階部分を自宅部分に分ける住宅の外に階段を設けることで、賃貸部分を通らずに自宅部分に入れるため、プライバシーが保てます。
2-2.マンション・アパートを賃貸併用住宅にするタイプ
マンションやアパートは一戸建てと比較すると戸数が多いため、より多くの入居者を募集しやすいメリットがあります。
マンションやアパートの場合、オーナー家族が住む部屋は最上階か1階に設けることが多く、最上階に住居を設けると眺望に優れた最上階から景色を楽しむことができます。一方で1階なら広々とした専用庭での時間を満喫できるでしょう。
3.賃貸併用住宅のメリットやリスク・デメリット
賃貸併用住宅には住宅ローンが利用できることや家賃収入があることから収益が期待できるメリットがある一方で、入居率を左右する空室リスクや家賃滞納などのデメリットもあります。
それぞれ解説していきます。
3-1.賃貸併用住宅のメリット
-
- 家賃収入でローンを返済できる
家賃収入があれば、入居者から得た家賃収入をローン返済に充てることでローン負担を軽減できます。
ローン完済後は家賃収入を副収入や老後資金としての備えにすることも可能です。
賃貸住宅経営をすることで老後の不安を払拭できるのではないでしょうか。 - 住宅ローンを利用できる
投資用の マンションやアパートなどを建築する場合、自己資金で一括購入ができなければ金融機関から融資を受けますが、その際は不動産投資ローンを利用するため、住宅ローンよりも金利が高くなる傾向があります。
しかし賃貸併用住宅は自宅部分があるので、住宅ローンが使えます。住宅ローンは金利が低めに設定されていることが多いため、賃貸併用住宅にすることで金利を安くできるメリットがあります。
ただし注意点として、多くの住宅ローンは「自宅の居住部分が50%以上を占めている」ことが条件となっているため、賃貸部分が大半を占めていると利用が認められないので注意が必要です。
また、賃貸併用住宅でも条件を満たせば住宅ローン控除が適用されるため、毎年のローン残高の0.7%が最大で13年間所得税から控除されるメリットがあることも覚えておくと良いでしょう。 - ライフスタイルの変化に対応しやすい
将来的には二世帯住宅や同居を検討している人が賃貸併用住宅を選択するケースもあるため、賃貸併用住宅は二世帯住宅や三世帯住宅としても活用しやすい特徴があります。
その場合、入居者の退去を機にリフォームを実施し、家族を呼んで二世帯住宅に切り替えることができるため転用の柔軟性があることもメリットといえます。
- 家賃収入でローンを返済できる
>>関連記事:「住宅ローンは賃貸併用住宅に使える?ローンの特徴や組むときの流れ」
3-2.賃貸併用住宅のリスク・デメリット
- 空室リスクに備える必要がある
賃貸併用住宅とはいえ、通常の賃貸物件と同様に空室リスクの対策が安定した収益性のある経営においては重要です。
戸建て物件で賃貸併用住宅を経営している場合、入居者用の部屋はあまり多く用意できないため、空室が発生した場合の家賃収入に差が出やすく、空室がある場合は収益物件にも関わらず計画していた 収益が得られない可能性があります。
家賃収入の有無に関わらず、ローンの返済は発生するため賃貸する部屋 の空室期間を極力作らず、収入を安定させることが重要です。
家賃収入が十分に得られず、ローン返済の負担が重くなるのは本末転倒といえます。
また、空室リスクや家賃下落リスクに対応するため、収支シミュレーションをしておくことや定期的な修繕管理などが成功するためのポイントです。 - プライバシーや騒音対策が必要
賃貸併用住宅ではひとつの建物に複数の世帯が住み生活します。
そのため、独立した住宅とは異なり生活音や騒音トラブルなども発生します。プライバシー保護のために設計の段階で建物や自宅部分の出入口の動線確保、目隠しなどをプランに入れることをおすすめします。
騒音対策としては遮音性の高い二重床の導入などが有効です。
>>関連記事:「賃貸併用住宅のメリットとデメリットは?賃貸部分の経営で大切なこと」
4.賃貸併用住宅を建築・運営するまでの流れ
賃貸併用住宅を建築・運営するまでの流れについて理解していきましょう。
Step1.不動産会社などに相談する
賃貸併用住宅の建築や設計を担当している不動産会社やハウスメーカー、工務店や建築・建設会社などに相談します。
「どういった暮らしをしたいのか」、「どのような間取りを希望しているのか」、「費用はいくらくらいを想定しているか」などを伝え提案を受けましょう。
この時点で建築や運営方法に 疑問点がある場合は質問しておくと良いでしょう。
Step2.土地調査・需要分析
オーナー自身が土地を所有している場合は賃貸併用住宅が建てられるのかを調査します。
調査とは、土地の広さや周辺の状況をもとにして、どのような物件が建てられるのかを調べると同時に、調査した土地に賃貸併用住宅を建てて例えば子世帯などのニーズに合うのか否か、入居者募集をすることで入居者が集まるかどうかもシミュレーションすることが大切です。
入居希望者は周辺地域の利便性や周りの賃貸物件の有無、家賃相場などからイメージすることが多いため、プランニングする際は覚えておくと良いでしょう。
検討している土地で賃貸経営をするうえで入居者が見込めそうなことがわかったら、詳細な計画立てに移ります。
Step3.経営計画の立案
賃貸併用住宅は賃貸経営を伴うため、収益モデルを参考に経営計画を建てることが重要なポイントです。
例えば10部屋を賃貸住宅として運用する場合、1部屋あたりの賃料が10万円であれば満室想定で毎月100万円の家賃収入が入ります。
そこから家賃収入をベースとして住宅ローンの返済期間(借入期間)がどのくらいあって返済額がいくらで固定資産税や都市計画税がいくらかかるのか、将来住宅を相続する予定がある場合は相続税対策になるのか、 住宅ローン控除や住まい給付金、軽減措置などの節税効果を加味した際に手残りはいくらになるのか 、経年劣化による修繕計画などのランニングコストも確認し忘れずに経営計画を立てることをおすすめします。
住宅ローンの審査もこの時点で出しておきます。
Step4.建築計画の作成
パートナーとなる不動産会社が決まると設計や間取りを決めて設計を依頼します。
着工から竣工までの期間や設備の導入時期まで建築をするための計画を立てていきます。建築計画が決まれば入居者募集の時期も定まるでしょう。
オーナーが納得できれば工事実施のステップへ進みますが、この際に建築費の一部である着工金の支払いが発生することを覚えておくと良いでしょう。
Step5.工事実施
契約して着工金の支払いが済むと建物の建築へ進みます。
建築期間は建物の規模によって異なりますが、一般的な戸建て住宅の場合、3~6ヶ月程度、アパートやマンションの場合、階数+3~5ヶ月程度が大体の目安となっています。
Step6.入居者の募集
着工したら竣工までに入居者を集めるために入居者の募集を行います。
入居者募集や建物・賃貸管理においては相談した不動産会社にそのまま委託することも可能ですが、管理は他の不動産会社にするといった選択肢もあります。
Step7.賃貸併用住宅の完成・入居
賃貸併用住宅が完成したらオーナーズルームへ引っ越しするのと同時に入居も開始します。
家賃の受け取りを開始し、賃貸経営のスタートとなります。
5.賃貸併用住宅に関するQ&A
ここでは賃貸併用住宅に関するQ&Aを紹介していきます。
後悔しないためにも想定されるトラブルや問題に対してのノウハウや知識を持っておくと良いでしょう。
5-1.違う人が同じ家に住んでプライバシーは確保されるのでしょうか?
設計の工夫次第でプライバシーの確保は実現できます。
賃貸部分と自宅部分の生活動線を分けることで入居者の存在を感じにくくなり、例えば玄関の位置を分ける、防音性能の高い建材を使うなどが有効な対策です。
5-2.どのような失敗が想定されるでしょうか?
間取りや動線の設計を誤り、オーナーと入居者が暮らしにくい家になったという例があります。
設計ミスがある と入居者が集まりにくいのはもちろん、オーナー自身も 快適な暮らしを実現できないため ストレス がかかります。
そのため、オーナーと入居者の両方が満足できる住宅にできるよう、慎重に設計することが大切です。
5-3.考えることが多くて、何から始めたら良いでしょうか?
疑問点が浮かんだ場合は賃貸併用住宅の建築や設計を行っている会社に相談すると良いでしょう。
相談のタイミングは、賃貸併用住宅を建てるかどうか考えている段階で相談しても問題ありません。
相談することでプロによる中長期的なライフプランを含めたアドバイスが受けられます。
無料且つオンライン相談も受け付けていることが多いため、複数の建築会社や不動産会社の情報を調べておくことをおすすめします。
>>関連記事:「知って納得!無料土地診断のご案内」
6.賃貸併用住宅の相談先に迷ったら
相談先に迷ったら賃貸併用住宅の建築実績や賃貸管理の実績が豊富な建築会社や不動産会社に相談することをおすすめします。
選び方は、土地活用や賃貸経営の 実績ある業者であれば、 建物管理や入居者対応を安心して任せられるでしょう。
メリットやリスク、デメリットを 認識したうえで工夫をしていくことで 将来性のある安定した賃貸併用住宅の運営ができるでしょう。
>>関連記事:「土地活用の相談先7選|成功させるために重視したいポイント」
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■監修者プロフィール
宅地建物取引士/FP2級
伊野 文明
宅地建物取引士・FP2級の知識を活かし、不動産専門ライターとして活動。賃貸経営・土地活用に関する記事執筆・監修を多数手掛けている。ビル管理会社で長期の勤務経験があるため、建物の設備・清掃に関する知識も豊富。
【保有資格】
・宅地建物取引士
・FP2級
・建築物環境衛生管理技術者
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