アパート一棟を建てるにはいくら必要?一棟経営のメリットや成功のポイント
公開日: 2024.10.31
最終更新日: 2024.11.05
アパート一棟を建築して賃貸経営を始めることは、
不動産投資の1つの選択肢として、多くのメリットがあります。
この記事では、アパート一棟経営に必要な初期投資額の目安から、
賃貸経営を成功させるためのポイント、さらにはアパート経営と区分所有マンション投資の比較について詳しく解説します。
これから不動産投資を始める方にとってアパート一棟経営のことがわかる内容をまとめました。
1.アパート一棟を建築するにはいくらかかる?
アパート一棟を建築する際に必要な費用は、構造や規模によって大きく異なります。
ここでは、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の3つの構造別に、費用の目安を紹介します。
アパート一棟を建築する際の費用は、以下の計算式で算出することが一般的です。
「建築坪単価×延べ床面積+諸費用」
この計算式に基づき、大まかな費用をシミュレーションします。
ちなみに建築費の計算には延べ床面積の代わりに施工面積が使われることがあります。
施工面積は延床面積に加えてバルコニーや玄関の外側、吹き抜け、階段など、実際に施工するすべての面積を含んだ広さのことです。
延べ床面積を使った計算は、建築確認申請や固定資産税の算定など、法的根拠が求められる際に使われます。
なお、建築費ですが近年の労働者不足・賃金高騰や急激な為替変動、建築資材の需給バランスの変動などによって変動することがあるため、あくまで参考値としてお考えください。
建築坪単価は、建築着工統計調査のデータをもとにしています。また、 施行会社ごとに費用項目が異なるため、幅を持たせた数字となっています。
シミュレーション1:木造アパートの場合
坪単価: 60万円~
坪数: 70坪(ワンルームタイプが10室を想定)
計算: 60万円 × 70坪 = 4,200万円
木造アパートの建築費用は、低く見積もっておおよそ4,200万円程度です。
これに諸費用(設計料、申請費用、外構工事費など)が加わります。
シミュレーション2:鉄骨造アパートの場合
坪単価: 90万円~
坪数: 70坪
計算: 90万円 × 70坪 = 6,300万円
鉄骨造アパートの建築費用は、約6,300万円からとなります。
鉄骨造は、材料そのものの強度が高く、耐震性や耐久性に優れていますが、高温に弱いという特性もあります。
耐火性能を高めるためには、防火対策が必要となる場合もあり、用途や環境に応じた設計が重要です。
シミュレーション3:鉄筋コンクリート造アパートの場合
坪単価: 90万円~
坪数: 70坪
計算: 90万円 × 70坪 = 6,300万円
鉄筋コンクリート造アパートの建築費用も、鉄骨造と同様に約6,300万円からとなります。
この構造は、特に耐火性が高く、資産価値が長期間維持される特徴がありますが、他の構造に比べて建設コストが高くなる傾向があります。
これは、鉄筋コンクリートを使用するため、材料の種類や工事の手間が増えることが主な要因です。
また、RC造は重量があるため、強固な地盤が必要になります。
地盤が弱い場合、建物の傾きや倒壊のリスクを避けるために地盤の補強工事が必要となり、その分、追加費用が発生します。
さらに、補強工事により工事期間が長期化することも、コストが高くなる理由の一つです。
加えて、諸費用として数百万円から数千万円が必要になることも。
これには、設計料、申請費用、外構工事費、登記費用、そして予備費が含まれます。
アパート一棟を建築する費用は、
上記の場合、木造の場合でおおよそ4,200万円から、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の場合で6,300万円からとなります。
これに諸費用が追加されることを考慮すると、最終的な総費用はもう少し高くなります。
また、アパート建築にかかる費用は、経済や国際の情勢によって資材価格や為替の影響などもあり、変動します。
より詳細な費用相場を知りたい場合は、不動産会社や建築会社・ハウスメーカーなどを尋ねて見積もりを依頼するとよいでしょう。
>>関連記事:アパート経営を始めたときにかかる費用と続ける際にかかる費用は?
>>関連記事:中古アパートの経営とは?新築と比べたメリットや物件選びのポイント
2.アパート一棟を建築して賃貸経営を始めるメリット・デメリット
アパート一棟を建築して賃貸経営を始めることは、安定した家賃収入や節税効果を期待できる一方で、初期投資が大きく、空室リスクや管理の手間が発生するなどのデメリットも存在します。
ここでは、アパート一棟買いによる賃貸経営のメリットとデメリットを解説します。
2-1.アパート一棟を建築して賃貸経営を始めるメリット
空室リスクを分散できる
アパート一棟を所有することで、マンション一室の区分所有に比べ、空室リスクを効果的に分散できます。
複数の部屋からの家賃収入が期待できるため、一部の部屋が空室になった場合でも、他の部屋からの収入でリスクを抑えることが可能です。
管理やメンテナンスを効率化しやすい
アパート一棟を所有することで、管理やメンテナンスを効率化しやすいという利点があります。
一棟全体の管理を一括で行うことができるため、個別の物件を複数所有している場合と比べて手間を減らすことが可能です。
賃貸アパートでは、定期的なメンテナンスや修繕が必要になりますが、こういった作業もまとめて業者に依頼できます。
これにより、管理会社に依頼する際も手続きが複雑になりづらいです。
修繕や改装の自由度が高い
アパート一棟を建築するということはオーナーのアパートになるので、修繕や改装などは自由に行えます。
各部屋のリノベーションだけでなく、共用部分の改修などもオーナー自身の判断で自由に行えるため、物件全体の魅力を高めることが可能です。
これにより、入居者にとってより魅力的な住環境を提供し、入居率を向上させることが期待できます。
また、賃貸アパートとしての競争力を維持しやすく、長期的な資産形成にも有利に働きます。物件の価値を高めることで、安定したキャッシュフローの確保にもつながるでしょう。
資産価値が下がりにくい
アパート一棟と土地をあわせて所有する場合、資産価値が下がりにくいというメリットがあります。
建物自体は減価償却により資産価値が少しずつ減少しますが、土地の地価は比較的安定しており、変動が少ない傾向にあります。
アパートと土地をセットで所有することで、総合的な資産価値を維持しやすくなるでしょう。
さらに、適切なメンテナンスやリフォームを行うことで、物件の魅力を保ち、長期的な資産形成につなげることが可能です。
2-2.アパート一棟を建築して賃貸経営を始めるデメリット
初期投資が大きい
アパート一棟を建築して賃貸経営を始める場合、初期投資が大きいというデメリットがあります。
物件価格が高額なため、多額の自己資金が必要になるだけでなく、金融機関のローンを利用することも多いです。
このため、ローンの返済が長期間にわたり大きな負担となるリスクも伴います。
また、ローンを利用することで、毎月の返済がキャッシュフローに影響を与えるため、慎重な資金計画が求められます。
特に初期費用や諸費用も含めて、十分な準備が必要です。
管理や修繕の負担が増える
アパートを一棟所有することで、管理や修繕の負担が増えるというデメリットがあります。
部屋ごとの管理だけでなく、一棟全体のメンテナンスや修繕も必要になるため、手間がかかります。
特に、築年数が経過した物件では、修繕や設備交換の頻度が高くなり、費用負担も増加するでしょう。
流動性が低い
一棟物件は、購入可能者が限られているため、売却を希望しても物件価格に見合った買い手を見つけるのに時間がかかることがあります。
そのため、急な資金需要に対応しにくい場合もあり資産を現金化するのが難しいことがあります。
不動産投資としての安定性はあるものの、売却時にはタイミングや市場の状況を慎重に考慮する必要があるでしょう。
3.アパート一棟経営と区分所有マンションのどちらがおすすめ?
アパートの一棟経営と区分所有マンションのどちらが不動産投資として適しているかは、
オーナーの目指す収益性やリスク許容度によって異なります。
アパート一棟経営は規模が大きく、安定した収益を期待できる一方で、初期投資や管理の負担が大きいです。
一方、区分所有マンションは手軽に始められる反面、収益性がやや劣ることもあります。
ここでは、それぞれの向いている人の特徴を解説します。
アパート一棟経営が向いている人
・余裕を持って資金を準備できる ・すでに土地を所有している ・できるだけ利回りを高めたい ・部屋だけでなく建物全体をプロデュースしたい ・長期的な投資を考えている |
アパート一棟経営は、まとまった資金を投入できる方や、すでに土地を所有している方に特に適しています。
高い収益性を求めている方には、全体の管理を通じて利回りを最大化できる可能性があります。
また、長期にわたって安定した収入を得たいと考えている方には、アパート一棟の経営がおすすめです。
さらに、建物全体のプロデュースに興味があり、自己の管理手腕を発揮したい方にも向いています。
区分所有マンションへの投資が向いている人
・初期投資を抑えたい ・流動性を重視している ・異なる地域や物件タイプに複数の投資をしたい ・災害や需要の変化によるリスクを分散したい ・短期的な投資を考えている |
区分所有マンションへの投資は、少ない資金で始めたい方や、物件を売却しやすい流動性を重視する方に向いています。
また、異なる地域や物件タイプに分散して投資することで、リスクを分散させたいと考える投資家にも適しています。
さらに、比較的短期間で利益を得たい方や、不動産市場の変動に迅速に対応したい方にも、区分所有マンションへの投資が向いています。
リスクを分散しつつ、複数の物件で収益を狙うことができるため、柔軟な投資戦略が可能です。
>>関連記事:【アセトラ】不動産投資の種類
4.アパート一棟経営を成功させるためのポイントは?
ここでは、アパート一棟経営を成功させるために押さえておきたい重要なポイントについて解説します。
・まずは専門家に相談する ・競争力の高い物件を選ぶ ・余裕を持った収支計画を立てる ・信頼できる管理会社を探す |
アパート一棟経営を成功させるためには、まず不動産や税務の専門家に相談することが重要です。
専門家のアドバイスを受けることで、物件選びや資金計画、法的手続きなど、初心者が見落としがちなポイントを把握できます。
次に、立地条件や周辺環境、賃料相場をしっかりリサーチし、競争力の高い物件を選ぶことが成功の鍵です。
また、予期せぬ空室や修繕費用に備え、余裕を持った収支計画を立てることも大切です。
さらに、信頼できる管理会社を選ぶことで、メンテナンスや入居者対応の負担を軽減し、経営の安定性を確保できます。
5.アパート一棟経営を成功させるために今すぐ始めるべきこと
アパート一棟経営は、大きな初期投資と管理の手間を要するものの、長期的な資産形成や安定した収益を期待できる魅力的な投資手法です。
成功のためには、専門家のアドバイスを受け、競争力の高い物件を選び、余裕を持った収支計画を立てることが重要です。さらに、信頼できる管理会社を見つけることで、経営の安定性を確保できるでしょう。
大東建託は、賃貸住宅分野で培った豊富なノウハウと実績を活かし、最適な土地活用プランをご提案します。
全国に広がるサポート体制と強固な財務基盤により、安心してアパート経営を始めることができます。
土地活用をご検討の方は、ぜひ大東建託にお問い合わせください。
資料請求や無料相談も受け付けています。
■監修者プロフィール
有限会社アローフィールド代表取締役社長
矢野 翔一
関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。
【保有資格】2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者
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