中古アパートの経営とは?新築と比べたメリットや物件選びのポイント
公開日: 2023.08.30
最終更新日: 2024.09.25
投資用マンション・アパートの一棟経営を始める際、物件選びの大きな選択肢となるのが「中古物件」と「新築物件」です。
アパートの中で特に中古アパートと新築アパートでは、メリット・デメリットが大きく異なるため、投資・経営目的にあったものを選ぶ必要があります。
そこで今回は、中古アパートの選び方やメリット・デメリット、利回りの計算方法、購入手順などについて解説します。
>>関連記事:「アパート経営完全ガイド|建築プラン立てから完成後の業務まで」
1.中古アパート経営のメリット
中古アパート経営とは、既に建てられているアパートを購入し、賃貸として運営することです。
初期費用を抑えやすいといったメリットだけでなく、現物を確認して投資できることや新築よりも利回りが高くなる傾向にあるといった利点もあります。
ここでは中古アパート経営のメリットについて確認しましょう。
1-1.初期費用を抑えやすい
一般的に中古アパートは新築アパートに比べて物件価格が安いため、購入時の負担が軽減できます。
中古アパート経営を始めるにあたって必要な資金が新築アパートよりも少なく済むケースが多く、初期費用を抑えやすいメリットがあります。
初期費用とは、アパート購入費用、仲介手数料や登録免許税などのことで、アパート経営を始めるために必要な費用です。
中古アパートは多くの場合、築年数の経過によって物件の資産価値が下落し、その分価格も下がる傾向にあります。
購入価格の下がった中古アパートだと初期費用を抑えて購入できますので、手元に資金を残しておきやすく、その後の運営リスクを抑えることも可能です。
リスクを抑えたアパート経営ができるため、最初の1棟目に中古アパートを選択される方が多いのも理解できます。
1-2.利回りが高くなりやすい
中古アパートは購入価格が新築物件よりも安く購入できることが多いため、その分高利回りになりやすいといったメリットがあります。
アパート経営において利回りは重要な指標のひとつであり、利回りが高ければ高いほど自己資金の回収も早く、物件としての収益性も高いといえるでしょう。
また、中古アパートは新築物件に比べて初期費用が抑えやすい分、回収も早くなりやすい特徴もあります。
賃貸経営が順調に進めば早く収益を得られるようになり、安定したアパートの運営も可能です。
ただし、必ずしも利回りが高ければ良い物件というわけではありません。
相場よりも高利回りな中古アパートの場合はその分リスクが高い場合があります ので、ご自身の対応できる範囲のリスクかどうかを見極めてから購入するようにしましょう。
また、不動産ポータルサイトなどで記載されている利回りは、一般的に「表面利回り」が記載されています。
実際の利益を把握するためには、運営にかかる諸経費などを加味した「実質利回り」のほうが重要になるので、意味を混同しないように注意しましょう。
1-3.既に建っている物件を見てから購入ができる
中古アパート経営は、既に建っている物件を見てから購入できるので、アパート経営のイメージがしやすいといったメリットが挙げられます。
既に建っている中古アパートだと、物件の状態や管理状態、周辺環境、入居率などを確認してから購入できるため、修繕や改装の必要性、競合物件の状況などを把握することもできます。
これらのことはアパート経営のリスクを抑えるために重要な要素です。
新築アパートは完成前に購入するケースが多く、実際の建物を確認してから判断するケースは多くありません。
中古アパート経営では、既に建っている物件を見てから購入できるので、具体的にイメージができ、より安心して投資判断ができるのではないでしょうか。
また、中古アパートは新築物件と違って既に賃貸物件として利用されているため、購入後すぐに家賃収入を得られる点も大きなメリットです。
1‐4.税金対策としての効果が期待できる
*所得税
所得税は、1年間の総収入金額から必要経費・所得税控除額などを差し引いた「所得金額」に対してかかる税金です。
アパートを取得する際に発生する必要経費などを収入から差し引くことで、所得税の負担を軽減することができます。
新築アパート・中古アパートともに経費を差し引くことで、所得金額を低減できることが可能です。一方、アパート経営における重要な経費である「減価償却費」において、中古アパートの方が利があるケースも。減価償却費は、建物などの年数が経過するごとに減価する資産を一定期間にわたって都度、経費計上することで、減価償却する期間は国によって定められている「法定耐用年数」によって定められています。
当然、中古アパートの法定耐用年数は、同じタイミングで購入した新築アパートよりも短くなるため、1年間に計上できる減価償却費が大きくなり、節税効果を高められる可能性があります。
なお、減価償却費は以下の計算式によって求められます。
【減価償却費の計算式】
減価償却費=建物価格÷減価償却期間
そしてここで利用する減価償却期間は、中古アパートの場合、以下の計算式で求められます。
【中古物件の減価償却期間】
減価償却期間=(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%
*住民税
住民税も所得税と同じく、個人の総所得から経費・控除の金額を差し引いた金額に対して課税される税金です。
そのため確定申告を行い、所得税と同様に中古アパート経営で生じた不動産所得の赤字部分を他の所得の黒字から差し引く「損益通算」を行うことで、課税所得合計額が圧縮されて住民税の税額を減らすことができます。
前述のとおり、住民税の計算も基本的に所得税と同じく減価償却費において中古アパートの利点の反映が期待できるでしょう。
ちなみに法定耐用年数は建物の構造によって異なっており、法定耐用年数が最も短い「中古木造アパート」が減価償却費という点においては特に節税効果が期待できます。
1‐5.価格が下がりにくい
アパートの資産価値を決める要素として、立地や間取り、広さ、規模といった「変動しない項目」と築年数や賃料などの「変動する項目」に大別できます。
新築アパートは築年数を重ねるごとに資産価値が低下するのが一般的で、特に新築・5年・10年以上といった築浅物件から築古物件にカテゴライズされてしまうと、入居者からの人気が大きく下がり、資産価値が低下する可能性も考えられます。
中古アパートの場合、築年数による変動が新築と比べると比較的緩やかなため、ある程度先を見通した経営を行いやすいのがメリットといえるでしょう。
さらに、新築アパートとは異なり過去の利回りや空室率といった実数値を事前に把握でき、購入や経営判断の指標として活用できるのも大きな利点です。
2.中古アパート経営のデメリット
新築と比べて資産価値が低い中古アパート経営には、空室や出口戦略、ランニングコストなど対策が必要なデメリットが存在します。
その詳細を以下で紹介します。
2‐1.空室が埋まらない可能性がある
中古アパートは築年数が経過するほど、人気が低下するのが一般的です。
中古アパートである以上、どうしても共用部分や専用部分の老朽化は免れないうえ、間取りや設備そのものが現代のトレンドから外れているケースも少なくありません。
近隣に賃料などの条件が似通った築浅のアパートがあった場合、競争に負けてしまいやすいのは容易に想定できるでしょう。
結果的に空室が発生する可能性が高まり、家賃収入が少なくなってしまうリスクが高い物件になってしまう恐れがあることは十分に理解しておく必要があります。
2‐2.修繕コストが大きい
中古アパートは老朽化が進んでいることがほとんどのため、修繕費用がかさみやすいのが大きなデメリットの1つです。
現在の資産価値を維持するための工事はもちろん、入居者のニーズに適した運営をするためには大規模なリノベーション工事も重要な選択の1つになります。
また、新築と比較して修繕の履歴が把握しづらかったり、修繕のタイミングまで時間が少なかったりする点も、中古アパートのデメリットといえます。
2‐3.運用後は売却が難しい
アパート経営の出口戦略において、大きな利益獲得や損切りを図る「売却」は重要な選択肢の1つです。
中古アパートは新築アパートと比較すると、資産価値や需要が低いため売却したいタイミングで買い手が見つかりにくい可能性が高いという点に注意を払う必要があります。
また、仮に買い手が売却物件を魅力的に感じたとしても、築古物件は銀行からの物件評価が低いため、融資審査(ローン審査)を受けるための条件が厳しくなるのも大きなデメリットです。その結果、買い手が見つかりづらくなり新築アパートと比べると手放しにくくなるリスクが高まります。
3.中古アパート経営で得られる利回りのシミュレーション
中古アパート経営のメリットの次は気になる収支について解説します。
どれくらいの収入を得られるのか、この章では中古アパート経営で得られる利回りの収支シミュレーションを行います。
例えば、以下の中古アパートでシミュレーションしてみましょう。
物件購入価格 | 1億2,500万円 |
満室時賃料 | 930万円 |
運営費用 | 250万円 |
表面利回り | 7.44% |
購入諸費用 | 875万円 |
購入総費用 | 1億3,375万円 |
頭金 | 4,375万円 |
ローン総額 | 9,000万円 |
返済期間 | 25年 |
ローン金利 | 1.50% |
返済方式 | 元利均等返済 |
家賃下落率 | 0.50% |
空室率 | 5% |
上記中古アパートの購入初年度の年間収支は以下の通りです。
満室時家賃収入 | 930万円 |
空室率を考慮した家賃収入 | 883万円 |
運営費用 | 250万円 |
純営業収益(家賃収入-運営費用) | 633万円 |
銀行返済額 | 431万円 |
税引前CF | 202万円 |
家賃収入から運営費用と銀行返済を差し引いた税引前キャッシュフローは、202万円となりました。
算出されたキャッシュフローはあくまで目安であり、退去や修繕費用がかさむと当然変動します。
中古アパート経営は利回りだけで判断するのではなく、運営費用や空室率、家賃下落率などを考慮した実質利回りまで計算し、5年10年先を見据えた判断ができると失敗しにくいでしょう。
4.中古アパート経営が向いている人の特徴
中古アパート経営に向いている人の代表的な2つの特徴を紹介します。
4‐1.安定した収入や十分な資産を持っている人
中古アパート経営には、特に大きなランニングコストが発生する可能性があるため、初期投資はもちろん、修繕費、空室リスク対策、日々のメンテナンスなどに必要な資金を投入できる余力がある程度ある人が適しているでしょう。
また、中古アパートの資産価値における「変動しない項目」に該当する間取りや立地条件などを事前にしっかりと調べて、中長期的な資金計画・経営計画を立てられる人は中古アパート経営の成功者に多い特徴といえます。
また、他に安定した収入がある人にとっては、新築アパートよりも短期的に大きな所得税や住民税などの節税効果が得やすい中古アパートは魅力になる可能性もあります。
4‐2.購入費用を抑えてで不動産投資に挑戦したい人
中古アパートは購入費用(イニシャルコスト)は新築アパートよりも少ないため、初期の金銭的なリスクを抑えて不動産投資を始めたい人にとってはおすすめです。
5.経営でつまずきにくい中古アパートの選び方
中古アパートは、新築物件に比べて初期費用を抑えて購入でき、既に入居者がいる場合が多いので購入後の経営に安定感があります。
しかし、中古アパートの選び方を間違えると、修繕費や空室率の増加などによって経営が傾く可能性もあります。
そこでこの章では、経営でつまずきにくい中古アパートの選び方について見ていきましょう。
5-1.好立地の物件を選ぶ
アパート経営でつまずきたくないのであれば、好立地の物件を選ぶようにしましょう。
建物は購入後でもお金をかければ修繕できますが、立地は動かすことができません。好立地の物件を購入できれば、その後のアパート運営がしやすくなるので、経営でつまずきにくくなります。
例えば、駅近のような好立地の物件や、周辺にスーパーやコンビニがある物件は入居者が集まりやすくアパートの運営もストレスなく行えるでしょう。
また立地の良い土地は、一定の需要があるうえに希少性があるため、資産価値が下がりにくい傾向にあります。
そのため、売却するときも購入価格と変わらない値段もしくはそれ以上で売れることも珍しくありません。
ただし、好立地の物件は魅力的な分価格も高くなるため、アパートの収益性が低下する可能性もあります。
したがって好立地の物件を選ぶ際には、価格と収益性のバランスを考慮したうえで判断する必要があるでしょう。
5-2.状態が良いアパートを選ぶ
経営でつまずきにくい中古アパートを選ぶポイントとして、状態が良いアパートを選ぶことも欠かせません。
中古アパートの状態によって大規模修繕が必要になることもありますが、状態が良いアパートであれば購入後の修繕やリフォームにかかる負担を抑えることができ、アパート経営の収支も良くなります。
入居希望者は内覧する際には室内はもちろん、建物の外観や廊下などの共用部も確認するケースも少なくありません。
築年数の経過した中古アパートでも室内・外観ともに状態が良く、家賃も適正だと判断すれば入居者も集まりやすい傾向にあります。
そのため、中古アパートを購入する際は、建物の外壁や共用部、室内の状態など、必ず現地で確認することをおすすめします。
自分だけで状態の良し悪しが判断できない場合には専門の業者にも立ち会ってもらい、専門家からの意見ももらうようにすると安心できるでしょう。
中古アパートを購入する際にチェックしておきたいポイントを以下の表にまとめています。
いずれも中古アパート経営を行う際に外せないチェック項目です。中古アパート経営で失敗しないためにも必ず確認しましょう。
|
チェック項目 |
チェックするポイント |
周辺環境 |
駅からの距離 |
徒歩での移動時間など |
|
都心部までの距離 |
アクセスの方法や時間など |
|
商業施設までの距離 |
商業施設の種類や移動時間など |
建物の状況 |
間口と奥行き |
広さなど |
|
窓の向き |
南向きかどうか |
|
洗濯機置き場 |
設置されているかどうか |
|
バス・トイレの状態 |
ユニットバスかどうか |
|
建物や部屋の傾き |
傾きが生じていないかどうか |
|
外壁のひび割れ |
ひび割れが生じていないかどうか |
|
水回りの状態 |
補修が必要かどうか |
6.中古アパート経営の始め方
中古アパートを購入する4つのステップを紹介します。
Step1.中古アパートで投資を行う目的を確認する
アパート経営の目的は人によってそれぞれであり、各目的に応じて選ぶべき物件や重視すべき条件などが異なります。アパート経営の代表的な目的としては「税金対策」、「安定収入(副収入)の確保」、「老後資金の確保」、「資産の組み替え」、「事業化」などが挙げられます。
例えば、税金対策で不動産投資を活用する場合は、前述のとおり中古アパートは新築と比べると大きな節税効果が期待できるでしょう。
構造別の耐用年数は以下の通りです。
構造 |
耐用年数 |
木造店舗・住居用のもの |
22年 |
木造モルタル造 |
20年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 鉄筋コンクリート造 |
47年 |
レンガ・石・ブロック造 |
38年 |
※出典:主な減価償却資産の耐用年数表「主な減価償却資産の耐用年数表」
ただ、基本的にアパート経営は利益を出すことが前提であるうえ、資産価値の低い中古アパートを購入すると、予想以上に空室が出て赤字が大きくなってしまうケースもあるので、慎重な物件選びと経営計画の立案が重要です。
Step2.融資条件を確認する
中古アパートを購入する際は、金融機関からアパートローンの融資を受けるのが一般的です。
ローン審査では年収や勤続年数などの「借主の属性」、アパートの立地、周辺状況、入居率相場といった「アパートの収益性」および「資産価値」、各シミュレーションの「実現性」などが確認されます。
中古アパートは新築アパートと比べると融資条件が厳しくなる傾向があるので、チェックポイントを事前に確認して対策しておく必要があるでしょう。
Step3.物件を探す、決定する
売りに出ている中古アパートの一棟物件は、インターネットなどで自身で調べることができます。
一方、自身の目的に適した物件を見つけることはアパート経営の経験が少ない人では困難であるため、不動産業者や商社などに相談する人も少なくありません。
物件を内見して問題がなければ、不動産会社に買付証明書を提出して買い付けを行います。
Step4.物件購入の契約、決済をする
物件の購入が決まったら、売主・買主のほか、司法書士、不動産会社の担当者、ローンの金融機関担当者など立ち会いのもと、ローンの実行後、残代金や仲介手数料の支払いなどを行います。
7.中古アパート経営で起こり得る失敗の例
中古アパート経営で起こり得る失敗例を知っておくことで、あらかじめ対策を講じやすくなります。
この章で解説する2つの失敗例に気を付けて購入すれば、購入後に取り返しのつかないことが起きる可能性をグッと抑えられるでしょう。
それでは、ひとつずつ確認していきましょう。
7-1.入居者が集まらなかった
中古アパート経営で起こり得る失敗例の1つ目は、購入後に入居者が集まらないことです。
立地や周辺状況、入居率などを考慮せずに中古物件を購入した際に起きやすい失敗例です。
購入費用は安かったものの、空室が多く発生して思うような収入が得られずに収支が悪化してしまうといったケースが少なからずあります。
最悪の場合、家賃収入よりも支出のほうが上回って毎月オーナーの手出しが発生してしまうといったケースが起こり得るでしょう。
入居者が集まらないといった失敗をしないためには、検討している中古アパートに賃貸需要が見込めるかどうかをしっかりと見定める必要があります。
売りに出されている中古アパートのなかには、賃貸需要があまり見込めずに収支がまわらなくなって売却されているものも少なくありません。
もし入居者が集まらない中古アパートを購入してしまったとすると、入居付けが難しいことから家賃を値下げせざるを得なくなり、売却するときの価格も下げなければ決まらない可能性があります。
そうなるとアパート経営で大損してしまいます。
「入居者が集まらずにアパート経営・マンション経営に失敗した」とならないためには、購入前に賃貸需要を調べることです。
賃貸需要のリサーチ方法としては、アパート周辺の不動産会社を複数社まわって聞き込みをすることや、不動産ポータルサイトで近隣類似物件の空室状況を確認することが有効です。
利回りの高さや購入価格の安さだけに惑わされず、検討している収益物件の賃貸需要を調べて失敗の確率を下げるようにしましょう。
7-2.メンテナンスの費用が予想よりかかった
中古アパート経営で起こり得る失敗例の2つ目は、メンテナンス費用が予想よりかかってしまうことです。
物件の状態をよく確かめずに購入した場合に起きやすい失敗例です。
中古アパートの老朽化が進み、建物の劣化が進行していることが多いことから、メンテナンス費用が予想より高額になったことがあるという話は少なくありません。
修繕箇所が多くなると、直すのにかかる費用も高くなります。いくら購入費用が安くても修繕費用が高ければ、トータルの初期費用が高額になるので注意が必要です。
メンテナンス費用による失敗を防ぐためには、売主に過去の修繕履歴を確認することが重要です。
修繕履歴を確認しておけば、いつ・どの箇所に・どのような修繕を今後行えば良いのかおおよその目安がわかります。
そのため、前もってそのために家賃を確保しておくといった対策がとれるようになります。
中古アパート経営は入ってくる家賃収入も大事ですが、メンテナンス費用などにかかる支出も忘れてはいけません。
「思っていたよりも手元に残る現金が少なかった」とならないためにも、購入時には必ず修繕履歴や毎月かかる運営費用も確認しましょう。
8.中古アパートと新築アパート・オーナーチェンジ物件の比較
アパート経営には中古アパート経営以外にも、新築アパートやオーナーチェンジ物件の経営もあります。
中古アパート以外の投資先を理解しておくことでご自身に適した投資対象を選べるようになりますので、ここではそれぞれの特徴を見ていきましょう。
8-1.新築アパートの経営
新築アパート経営とは、新しく建てたアパートを賃貸として運営するものです。
自分で土地を保有している方の土地活用や相続対策、または土地から購入してアパートを建てることで収入源を確保するといった目的で行われます。
新築アパート経営のメリットとしては主に以下の3つがあります。
- 建築にあたって間取りやデザインを決められる
- 入居者のニーズが比較的高い
- 中古アパートと比べると長く保有できる分、家賃収入の総額も増える
ただ中古アパートと比べると初期投資コストが大きいことから、利回りが低くなりやすいといったデメリットもあります。
新築アパート経営を成功させるためには、収支計画や市場調査をしっかりと行い、競争力の高い物件を建てることが大切です。
アパート建築のノウハウがあり、新築物件の実績も豊富な不動産会社に依頼することで成功確率を上げることができるでしょう。
8-2.オーナーチェンジ物件経営
オーナーチェンジとは、入居者がいる状態のまま不動産の所有者を変更することです。
入居者と前のオーナーが結んでいた賃貸借契約を新しいオーナーが引き継ぐので、入居者を募集しなくてもすぐに家賃収入が得られるのがメリットです。
中古アパートの場合は全空状態での売買もありますが、オーナーチェンジ物件は分譲マンションの1室や一戸建て、中古アパート、テナント、事務所に既に入居者がいる場合が該当します。
ただし、物件を購入する際に部屋の中の状態を確かめることや、購入後の契約内容の変更が難しい点がデメリットとして挙げられます。
9.中古アパート経営で気を付けること
中古アパート経営には初期費用を抑えられるなどのメリットもありますが、考慮すべき点が多いのも実情です。
市場には中古アパートがたくさん売りに出されていますが、その中で収益を上げられそうな物件を探すのは非常に難しいです。
収益を上げられそうな物件があったとしてもすぐに買付が入って市場からなくなりますし、建物の融資可能年数が短くて融資期間が伸びずに収支が合わないケースも多くあります。
アパート経営を行う人の大半は、相続税や所得税などの税金対策や資産承継対策、土地活用、資産運用などを目的としていますので、それらの目的を達するためであれば中古アパートだけに固執する必要はないでしょう。
不動産投資家としての経験が少ない方であれば、新築アパートやオーナーチェンジ物件を選択肢に入れて検討してみてはいかがでしょうか。
中古アパート経営はもちろんのこと、新築アパートやオーナーチェンジ物件など、さまざまな投資対象の中からご自身に適した物件を選択することがアパート経営の成功に繋がります。
■監修者プロフィール
有限会社アローフィールド代表取締役社長
矢野 翔一
関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。
【保有資格】2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者
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