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頭金なしでアパート経営は始められる?頭金なしのメリットデメリット

公開日: 2024.08.22

最終更新日: 2024.08.22

不動産投資は初期費用が発生しますが、銀行などから借り入れることで手元資金が少なくても始めることができます。
不動産投資では多くの人が借り入れを利用していますが、なかには「頭金なし」、つまり全額ローンを活用してアパート経営を始めることを考える人もいるのではないでしょうか。    

 

この記事では、賃貸アパートや賃貸マンション経営をスタートさせるオーナーの方に向けて、頭金なしでアパート経営を始める場合の基本的な知識を説明します。

ローンを借りる流れや審査についても詳しく解説しますので、最後までぜひチェックしてください。

目次

1.頭金なしでアパート経営は始められる?

2.頭金がなくてもアパート経営が始められるケース

2-1.共同担保にできる不動産を所有している場合

2-2.不動産投資以外の収入が相応に多く見込めるとき

3. 頭金なしでアパートの融資を受ける具体的なステップ

Step1.融資の事前相談をする

Step2.融資審査の申し込みをする

Step3.担当者と面談を行う

Step4.金融機関の審査結果を待つ

Step5.融資の手続きをする

4. 頭金なしでアパート経営を始める際の注意点

4-1.ローンの返済負担は大きくなる

4-2.アパートを売却しても残債が残りやすい

5. 頭金なしのアパート経営にはシミュレーションと余裕資金が重要

 



1.頭金なしでアパート経営は始められる?


頭金なし・フルローンでもアパート経営を始めることが可能ですが、ローン審査は通りづらい傾向
にあります。

頭金なしの場合、アパートローンのフルローンを組むことになります。アパートローンの審査においては、自己資金の割合も審査項目の一つとなる場合が多いです。

初期費用の1割から3割の自己資金を用意するのが理想とされているため、頭金なしの人は厳しく審査されてしまう恐れがあります。

借入利率の低いローンほど、金融機関の審査が厳しい傾向にあります。
条件が良いローンを使いたい場合は、審査に通るよう自己資金を貯め、頭金を用意しておくのが現実的でしょう。

アパートローンを使わないで行う不動産投資として、比較的少ない資金で始められる区分マンションや、住宅ローンが使える賃貸併用住宅などが選択肢に挙げられますが、どちらの場合もある程度の自己資金は必要です。

頭金がなくてもフルローンを借りるためには、他の審査項目が良くないといけません。
こういったケースは次の見出しで解説します。

2.頭金がなくてもアパート経営が始められるケース


見出し1では説明した通り、頭金を用意しないフルローンの審査は通りづらい傾向にあります。基本的にはフルローンは現実的ではありませんが、ここではフルローンで融資を受けられたケースをいくつかご紹介します。

ただし、いずれも別の資産を有している場合になりますので、あくまで参考程度に留めておくことをおすすめします。

2-1.共同担保にできる不動産を所有している場合

土地がある人は、土地購入の費用もかからないため、借入総額も抑えられ、ローン審査に通りやすくなります。
しかし、フルローンを受けるにはこれだけでは条件を満たさないことがほとんどです。

したがって、所有する別の土地や建物に対して担保(抵当権)を設定する共同担保(共担)の形をとることがあります。アパートを建てる予定の土地と別の不動産を合わせて担保価値を向上させることが目的です。

現金の形で頭金が用意できなかったとしても、既に所有している不動産の価値が認められれば、返済能力があると判断されることがあります。

 

>>関連記事:アパート経営はまとまった資金なしでもできる?「土地あり」の人が資金を得る方法

2-2.不動産投資以外の収入が相応に多く見込めるとき

金融機関は審査において、「オーナーの収入や物件の担保評価から、貸したお金がきちんと返ってくるか」を見ています。
そのため、収入が多く、安定しているほど、審査は通りやすくなるのが一般的です。

例えば、大手に勤めていて給与所得が多かったり、不動産以外の金融資産も豊富に所有していてそこからも収入が得られていたりするならば、「返済が困難になる可能性が低い」と判断され、フルローンが受けられる可能性があります。

 

 

>>関連記事:建物ごとに定められている法定耐用年数とは?構造・建材別の年数一覧

3.頭金なしでアパートの融資を受ける具体的なステップ


融資においては、金融機関への書類提出や契約締結など、複数のステップが存在します。
アパートの融資を受ける具体的な流れを確認してきましょう。

 

Step1.融資の事前相談をする

購入する物件が決まった段階で、金融機関へ融資の相談をします。
金融機関は大手銀行や地方銀行、ネットバンクなどさまざまありますが、物件を購入する建築会社や不動産会社などから紹介を受けるのが一般的です。
この際、融資額や頭金の有無など、分かっている範囲の情報を伝えます。

Step2.融資審査の申し込みをする

紹介を受けない場合は、自ら金融機関へアポイントをとり、融資の申し込みをします。
電話やWebサイトで予約をとりましょう。
また、基本的に頭金なしでアパートローンを受けるのは難しいため、複数の金融機関にローンの申込むケースが多いです。

Step3.担当者と面談を行う

担当者との面談では、自身の返済能力を確認するための質問のほか、投資物件に関するアパートローンには事前審査と本審査があります。
それぞれ必要な書類は金融機関によって異なりますが、物件の概要が分かる設計図面や事業計画書、自身の収入や保有資産、借入状況が分かる書類などが必要とされます。

    

<必要書類の例>

・本人確認書類(免許証など)

・実印・印鑑登録証明書

・源泉徴収票(給与所得がある場合・直近3年間)

・職務経歴書

・所有する金融資産が分かる書類(通帳のコピーなど)

既にローンを組んでいる場合ローン返済計画(予定表)

・投資物件の概要書(重要事項説明書など)

・賃料収入が分かるレントロール(中古物件の場合)

・物件の売買契約書(本審査時)

・物件の登記簿謄本・公図

    

頭金なしの場合は審査が厳しい傾向があるため、より審査項目を評価されやすいように調整する必要があります。
例えば、申し込んだローン以外の借り入れがあればなるべく完済し、満室時の家賃収入に対するローン返済額の割合である「返済比率」を下げて、安全性を示すことが重要になるでしょう。

Step4.金融機関の審査結果を待つ

金融機関は面談と提出された資料をもとに、事業の収益性や返済可能性を検討します。
審査の結果、問題ない場合は事前承認が出されます。融資が下りない場合、理由は言及されない場合が多いため、問題点の洗い出しと改善を行うか、金融機関の変更が必要です。

事前承認が得られたら、オーナーは不動産の売買契約や建物の建築請負契約を締結します。
これらの契約その写しを金融機関に提出し、本審査に入ります。本審査では事前審査の状況と異なる点がないかなどを確認します。また、個人の信用情報の確認も行うのが一般的です。

Step5.融資の手続きをする

本審査の承認が下りれば、オーナーと金融機関の間で金銭消費貸借契約を締結します。
この契約には融資の金額や実行日・返済計画などの条件は細かく記載されています。

融資の実行は、宅地建物の残金決済日に行われるのが一般的です。融資実行と残金決済、物件の引き渡し、その物件への抵当権設定を同時に行います。
不動産の所有権移転登記(アパート建築の場合は建物保存登記)と、抵当権設定の登記を合わせて行い、手続きは完了です。

4.頭金なしでアパート経営を始める際の注意点


フルローンのアパート経営は、物件購入費用における借入金額が大きくなることから資金繰りの問題が発生しやすくなります。
注意点を理解しておきましょう。

4-1.ローンの返済負担は大きくなる

借り入れ額が多くなるほか、金利も高く設定されるケースが多く、返済金額が増加します。
その他のランニングコストを含めると、キャッシュフローが悪化しやすいリスクを抱えながら不動産投資を行うことになるので注意が必要です。

賃貸住宅の経営においては、家賃滞納や入居率の低下で収入が減少してしまったり、物件の修繕などで予定外の出費が発生してしまったりすることがあります。このような場合の影響も大きくなりやすいことから、貯金などで生活に使うお金はきちんと確保しておくのが良いでしょう。

4-2.アパートを売却しても残債が残りやすい

物件を売却した場合、その売却で得た金額はローン返済に充てられます。
この場合、同じ物件でも、フルローンを組んだ場合はそうでない場合に比べ、借入金額が多いことから残債が残りやすい傾向にあります。
物件を売却する場合には、貯金なども含めて、ローンを完済できそうか確認するのが良いでしょう。

5.頭金なしのアパート経営にはシミュレーションと余裕資金が重要


今回は、頭金なしのアパート経営の基礎知識について説明しました。

頭金なしでもアパート経営を始めるケースはありますが、ローン審査や借入条件でデメリットが生じる場面もあります。
また、資金繰りが難しくなる場面も生じやすいことから、ハウスメーカーのような施工会社や管理会社のような土地活用のプロのアドバイスを受け、税理士にも相談し、より綿密なシミュレーションを立てることが大切です。

また、賃貸経営においては、建築費用のほか、仲介手数料、登記費用や印紙代、登録免許税、不動産取得税などの税金が発生します。また、物件の状態によっては、リノベーション費用などが発生する恐れがあります。家賃収入が安定するまでは毎月のキャッシュフローがマイナスになってしまうこともあるため、経営に余裕を持てる資金計画を立てるようにしましょう。

■監修者プロフィール

有限会社アローフィールド代表取締役社長
矢野 翔一

関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。

【保有資格】2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者