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マンション経営にかかるランニングコストは?収益性を高めるポイント

公開日: 2024.04.23

最終更新日: 2024.04.25

マンションの建築後にかかる費用の総称をランニングコストと呼びます。

経営を続けていれば確実に発生する費用であり、収益性に大きく影響するので、どのような種類があるのか把握しておくようにしましょう。

また、ランニングコストが高すぎると収益を圧迫しますが、本来必要なものまで削減してしまうと収益性が下がる要因となり得るため、バランスを考えなければなりません。本記事ではマンション経営におけるランニングコストの種類や抑える方法について解説します。

 



1.マンションの一棟経営にかかるランニングコスト(維持費)


マンションの一棟経営ではさまざまなランニングコストがかかります。

主なランニングコストの種類を以下に解説します。

1-1.管理委託費

マンションは戸建て物件と違い、建物の維持管理業務に大きな手間がかかります。

特に戸数が多いマンションでは、修繕やメンテナンスのほか、家賃の管理や入居者のクレーム対応などにも苦労するでしょう。

そのため、不動産管理会社に委託するのが一般的ですが、その場合は管理委託費を支払う必要があります。

なお、不動産管理会社が担当する業務には、賃貸管理(入居者募集、家賃集金など)と建物管理(共用部部分の清掃、共用設備の点検など)の2種類があることを覚えておきましょう。

1-2.原状回復費

原状回復費とは賃貸住宅の賃借人が退去した後、入居時の状態に戻すときの作業にかかる費用のことです。

たとえば専有部の壁クロスやフローリングの張り替え、浴室やキッチンのクリーニングなどがあります。

借主の故意または過失によって生じた損耗は借主に修繕義務がありますが、通常の使用によって生じたものはオーナー負担で修繕しなければなりません。

なお、原状回復の範囲は国土交通省が策定した「原状回復ガイドライン」に基準が示されているので、に基づいて判断されるので、事前に目を通しておくと良いでしょう。

1-3.修繕費

マンションは築年数が経過すると劣化が進行するため、定期的に修繕を実施する必要があります。

修繕費用を節約するために、修繕をおろそかにしていると、かえって大きなトラブルが起こり、より多くのコストがかかってしまう可能性があるので注意しましょう。

特にまた、修繕を怠ってきた中古マンションを購入すると、設備の故障や不具合が頻発するリスクがあります。

中古の場合、購入費は新築より安価ですが、修繕費は高くなりがちなので、事前に過去の修繕履歴などをしっかりと確認することをおすすめします。

また、新築マンションの場合も10年~15年に1回程度の頻度で実施する大規模修繕(外壁塗装、屋上防水など)に備え、購入後、早い段階から修繕積立金を蓄えておくことが大切です。

近年は材料費や人件費の値上がりにより、工事金額も上がっているので、将来、予算オーバーになることがないように、管理会社のアドバイスを受けながら、できるだけ的確な長期修繕計画を策定することも重要です。

1-4.損害保険料

火災保険、地震保険、施設賠償保険などの保険料もランニングコストになります。

施設賠償保険とは事業用の施設や建物の欠陥が原因となり、他人に損害を与えてしまった場合に、所有者が支払う損害賠償などを保障する保険のことです。

自分の住まいとしてマンションを利用する場合は必要ありませんが、賃貸経営を行う場合は重要な保険といえるでしょう。

1-5.ローン返済の元金や金利

マンション経営は初期費用が多くかかる投資方法です。

特にマンション建築・購入時に多額のコストがかかる傾向があるため、ほとんどのマンション経営は金融機関から融資を受けて始めます。

借入金額や返済期間の長さによって毎月の支払額は異なるので、シミュレーションを入念に行い、無理のない返済計画を組むようにしましょう。

また、マンションの物件価格も立地や築年数などの条件によって大きく変わるので、購入時にはさまざまな物件を比較してから判断することをおすすめします。

1-6.広告宣伝費

広告宣伝費は入居者募集の際にかかる費用です。

近年は不動産ポータルサイト、SNSへの物件情報掲載など、インターネット広告が主流になっています。

このほかに新聞折込、フリーペーパーといった紙媒体広告、内覧会の実施などを組み合わせれば、より大きな宣伝効果が期待できます。

広告宣伝費は一般的に家賃の1~2カ月分が平均的な金額とされていますが、不利な条件にある物件の場合、相場以上の費用をかけて大々的に宣伝を行わなければ、入居者を集めるのは難しいでしょう。

1-7.税金

税金の支払いもランニングコストの一部です。

特に「固定資産税・都市計画税」「所得税・住民税」は、負担の割合や利率までしっかりと理解しておく必要があります。

・固定資産税や都市計画税

固定資産税は、所有者の財産に課せられる「不動産の税金」です。

建物は固定資産税評価額(課税標準額)に標準税率である1.4%、土地は0.3%を乗じて算出されます。

さらに所有するマンションが都市計画地域に含まれる場合、都市計画税も納める必要があります。

税率は上限0.3%と決まっていますが、自治体によって異なるので、事前に確認しておきましょう。

なお、マンションの固定資産税額の計算方法は以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。

 

>>関連記事:【試算】マンションの固定資産税はいくら?計算方法や目安、軽減措置

・所得税や住民税

所得税や住民税は不動産所得に対し発生します。

マンション経営などの不動産投資では家賃収入が主に関係しますが、物件売却時に発生する利益も不動産所得の対象になります。

実際に課税される金額は不動産収入から必要経費(管理費・修繕費など)を引いた金額に対して適用されることも覚えておきましょう。

なお、法人としてマンションを経営している場合は法人税が徴収されます。

2.マンション経営のランニングコストを抑える方法


マンション経営では多くのランニングコストがかかることが理解できたでしょう。

では、ランニングコストをできるだけ抑え、経営を有利に進めるためにはどうすれば良いのか解説します。

2-1.ローンの借り換えを検討する

マンション経営では多くの方がローンを組んで物件を購入または建築します。

ローンは適応金利や諸条件によって、同じ借入金額でも月々の返済額や総返済額が異なるため、借り換えによってランニングコストを抑えられる場合があります。

たとえば現在組んでいる金融機関のローンより金利の低いローンに借り換えれば、支払利息や返済期間を削減できるでしょう。

ただし、ローンの借り換え手続きを行う際、多くの事務手数料が発生する場合もあるので、費用対効果をよく考えなければなりません。

また、ローンを予定より多く返済する「繰り上げ返済」も有効な手段です。

繰り上げ返済を行えば、ローンの返済期間を短縮できるので、トータルで支払う利息の合計額を削減できます。

しかし、手元資金が減るほか、繰り上げ返済手数料がかかる場合もあるので、タイミングによっては逆に損をしてしまうケースもあるでしょう。

2-2.加入中の保険を見直す

火災保険や加入中の各種保険は加入当時のプランを継続せず、定期的に見直すと良いでしょう。

マンションの状態に合わせて適宜必要な保障内容にすることが大切です。

また、支払い方法を長期一括払いにすれば、年払いより保険料を抑えられる場合があります。

2-3.適切に経費計上を行う

マンション経営に関係がある費用は経費計上できます。

維持費が直接安くなるわけではありませんが、経費計上すると事業の支出扱いになるので、事業の所得から経費計上分が引かれ、所得税の額が下がることがあります。

マンション経営で経費になる費用の代表例は以下の通りです。

 

*管理委託費用

管理会社へ支払う手数料です。月額で支払うのが一般的で「家賃収入の38%」程度が金額の目安になります。

 

*保険料

火災保険、地震保険などの保険料です。マンション経営に関わる保険はすべて経費計上可能ですが、自宅部分の保険は対象外となります。

 

*税金

固定資産税、都市計画税、不動産取得税、登録免許税などは経費になりますが、所得税や法人税は対象外です。

 

*ローンの手数料やローン返済額のうち支払利息分

ローン契約にかかった手数料と、返済額の利息分は経費になります。元本部分は対象外です。

 

*広告宣伝費用

入居者募集など、マンション経営に関係する広告宣伝費用は経費になります。

 

*減価償却費

固定資産の購入額を耐用年数に合わせて分割し、その期ごとに費用として計上するための勘定科目。経費扱いが可能。

 

*司法書士や税理士への報酬

マンション購入時に行う不動産登記の手続きは、ほとんどの方が司法書士に依頼します。また、確定申告などの手続きは税理士に依頼することもあります。

その際に支払う報酬は経費として計上可能です。

 

*仲介手数料

物件購入時に仲介を担当した不動産会社への仲介手数料です。経費として計上可能です。

 

*通信費

マンション経営に関係する通信費は経費扱いになります。
たとえば不動産管理会社や入居者との連絡時に使用する電話代、物件検索や入居者募集に使用するインターネット接続料などです。

 
*消耗品費

書類作成などに使用する文房具、パソコン、プリンターなどの消耗品費も、マンション経営に関係するものであれば経費として計上できます。

 

マンション経営でかかる経費の中にはコストカットできるものもあります。

経費計上によって所得税などの税金を減らすのも有効な手段ではありますが、経費そのものを削減するのも、ランニングコストを抑える方法としておすすめです。

たとえば管理会社への委託費用は高すぎないか、火災・地震などの保険料は必要以上のプランを加えていないかなど、定期的に見直しを行い、最適な方法を考えることが大切です。



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3.マンション経営の収益性をより高めるポイント

マンション経営ではランニングコストの削減も重要ですが、同時に収益性を上げることも意識しなければなりません。

以下に収益性を高めるポイントを解説します。

3-1.空室の発生を極力抑える

キャッシュフローを悪化させないため、アパートの入居率を高い状態で維持することが重要です。

入居者がいない部屋からは収益が生まれないため、空室の発生は極力抑えなければなりません。

もちろん、入居者の退去を完全になくすことはできませんが、対策や工夫次第で減らすことは可能です。

たとえば建物のメンテナンスを徹底して快適な住環境を維持することなどが、有効な手段として考えられます。

ただし、入居率を上げるために入居審査を緩めるのは、あまりおすすめできません。

入居審査を緩めると、家賃滞納者が出やすいデメリットもあるので、一定以上の基準は設けておくことが大切です。

3-2.マンションの価値を向上させる

マンションの価値を向上させ、新しい入居希望者がすぐに現れる物件を目指すことも、収益性を高める手段になります。

主な対策として、定期的な修繕や水回りなどのリフォーム、設備の追加や共用部分の改善、インターネット設備の設置があげられます。

ただし、無計画に実施するのでなく、マンションの立地や賃料、入居者のニーズに合わせて検討する必要があります。

特にリフォームは必要な支出も多く、回収までに長期間要する場合もあり、よく考えずに実施すると、結果的に収支を悪化させるリスクもあるので注意しましょう。

3-3.管理会社に相談する

管理会社とはマンションの運営に関わる業務を委託して行う会社であり、入居率を上げる取り組みや年間のキャッシュフローについて相談することが可能です。

収益性アップに限らず、マンション運営を円滑に進めるには信頼できる管理会社との協力が欠かせません。

4.想定されるランニングコストを把握しよう

マンション経営は安定した収益を上げやすい特徴があり、老後の年金対策や相続税などの税金対策としても人気があります。

しかしローンの返済、修繕費などさまざまなランニングコストが発生する点も忘れてはなりません。

また、マンション経営のランニングコストは、物件の状態、エリアなどによって種類や金額が異なります。

したがって、所有する賃貸マンションで賃貸経営を行った場合、毎月または毎年どの程度の費用がかかりそうか、事前に資金計画を立て、シミュレーションすることが大切です。

そのうえで必要な費用と削減できそうな費用の区分けを行い、適切な管理をしていくようにしましょう。

もし不安な点や分からない点があれば、実績豊富な不動産会社へ相談することをおすすめします。

■監修者プロフィール

宅地建物取引士/FP2級
伊野 文明

宅地建物取引士・FP2級の知識を活かし、不動産専門ライターとして活動。賃貸経営・土地活用に関する記事執筆・監修を多数手掛けている。ビル管理会社で長期の勤務経験があるため、建物の設備・清掃に関する知識も豊富。

【保有資格】
・宅地建物取引士
・FP2級
・建築物環境衛生管理技術者