1. TOP
  2. 土地活用ナビ
  3. 賃貸経営
  4. リフォームの基礎知識・リフォームと原状回復、リノベーションの違い

土地活用に役立つ情報が満載!土地活用ナビ

リフォームの基礎知識・リフォームと原状回復、リノベーションの違い

公開日: 2023.03.10

最終更新日: 2023.03.13

「入居者が入りにくくなってきた」  「もう少し設定家賃を上げたい」という問題が発生した場合、効果的な対策の一つに「リフォーム」が挙げられます。

ただ、何から手を付けていいか分からない・・・という方も少なくないでしょう。

 

10回の連載の形で、リフォームの基本から現状、今後についてお伝えしています。

今回は第7回目・・・「リフォームと原状回復、リノベーションの違い」についてです。それぞれ用途が異なり、それぞれに大切な工事ですから、しっかりと違いを理解しておきましょう。

 

1.原状回復とリフォーム、リノベーションの定義の違い

"原状回復" "リフォーム" "リノベーション"・・・それぞれの意味や違いをご存じでしょうか?

曖昧に使われていて、正しく理解されていない方も多くいると思います。

 

"原状回復"と"リフォーム"、"リノベーション"の違いは、おおよそ以下のようになっています。

 

 

原状回復

リフォーム

リノベーション

目的

次の入居者のために

室内を元の状態にする

古くなった内観・外観や設備を最新のものにする

間取りや用途自体を改善するため、最新の状態にする

頻度目安

入退去の都度

10~15年に1回程度

20~30年に1回程度

主な

実施内容

壁紙や床材の修復や部屋の清掃等

外壁の再塗装や

室内設備の取換え・追加等

間取りの変更や部屋の作り直し、

共用設備の取替え・追加

効果(目的)

劣化防止・新規入居準備

空室減少・賃料アップ

ターゲットの拡充

費用感覚

リフォームより割安

リノベーションより割安

建替えに準じる程度

※あくまでイメージであり、建物の立地や、状況により内容が異なります。

 

まず、"原状回復"についてですが、「元の状態に戻す(保守)」ことを言います。例えば、入居中のキズや摩耗、経年劣化等により状態が悪化したので、元の状態・品質に戻すということです。

 

ただ、「入居者が入りにくくなった」という悩みを解決するためには、原状回復レベルの工事では足りないことが多いでしょう。時代は変化し、新築物件の品質自体が向上しているからです。時を経た分、競合物件との比較ではどうしても見劣りしてしまいます。

 

"リフォーム"とは「使い道自体は元のまま、状態を良い≒高い水準に向上させる(レベルアップ)」ことをいいます。例えば、時が経ち、品質が陳腐化したので、元の品質よりも向上している今現在の品質の設備に変更することです。

こうすることにより、みなさんの物件よりも後に建築された競合物件との比較でも見劣りしないようになります。

 

ただ、賃貸住宅に求められているニーズ自体が変化することもあります。そうなると単に状態を元に戻したり(原状回復)、向上させたりした(リフォーム)するだけでは、「入居者が入りにくくなった」という悩みを解決することができません。

 

"リノベーション" とは「使い道を変更して、かつ元の状態よりも良い状態に向上させる(改良)」ことを言います。例えば、それまで2DKだった部屋を、柱や壁を取り払い、1LDKに変更することです。合わせて、品質が陳腐化し、入居者のニーズも変わったので、現在のニーズに合う新しい設備にも変更することです。

こうすることにより、リフォーム同様、みなさんの物件よりも後に建築された競合物件との比較でも見劣りせず、時代のニーズに適応することで差別化することができます。

2.原状回復とリフォーム、リノベーションのタイミングと費用負担

"リフォーム"と"リノベーション"、どちらが良いかはみなさんの置かれた状況によります。

 

まず、実施時期≒タイミングについて考えてみましょう。

 

"原状回復"については、程度の差こそあれ、入居者が退去する度に必要となりますから、選択≒判断の余地は限られています。

 

国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、経過年数68年で住宅設備等の残存価格(価値)は0(ゼロ)になると想定されています。つまり、68年以上入居した場合、残存価格がほとんど残っていないので、入居者からの預かり金である敷金は、入居者が負担する部分を除いて返還することになります。

 

設備等の経過年数と賃借人負担割合(耐用年数6年及び8年・定額法の場合)
賃借人負担割合(原状回復義務がある場合)   

画像①.png

 

"原状回復"に比べ、"リフォーム"と"リノベーション"については、実施する時期について選択の余地があります。むしろ、いずれ判断≒決断が求められるというほうが正しいかもしれません。例えば、上記の期間が経ち陳腐さや古さを感じたとか、実際に入居募集の問合せが減った時にはリフォームを検討する時期になります。最終的には賃貸オーナーの判断次第ですが、入居者のニーズなど不動産業者と確認しながら、具体的に進めましょう。

 

次に費用負担について考えてみましょう。

仮に「入居者が入りにくくなった・・・」状況になったとしても、行き届いた管理や計画的な補修を行っていて、建物自体の劣化や設備の陳腐化の程度が低ければ、比較的費用が抑えられる"リフォーム"で十分だと思われます。

 

逆にしっかりとした管理や計画的な補修を行っていなかったため、建物自体の劣化や設備の陳腐化の程度が高かったり、地域の居住環境が大きく変わり、入居希望者のニーズも大きく変化したりした場合は、ダイナミックな変化が求められますから 比較的費用がかかる"リノベーション"を選択した方が良いでしょう。

 

"リノベーション"は建替えに準じる程度の大きな費用がかかる可能性もあります。ですから、"リノベーション"は建替えとも比較して、検討することになるのです。

 

勘違いしてはいけないのは、工事費用を安くすれば良いというわけではないということです。

"リフォーム"や "リノベーション"を行う以上、一定の費用はかかりますから、上手に効率良くお金を使うべきです。「必要な工事だけ行い、そうでない工事はしない」などご自身でスタンスを決めたほうが良いでしょう。

 

工事をどのように行うにしても、費用負担は安いと感じるような金額ではないはずです。日頃からの管理や補修を行いつつ、費用の準備も意識しましょう。足りなそうな場合はリフォームローンなどをじっくり探しておきましょう。

2-1.リノベーションは、ターゲット拡充時に利用?!

別のコラム「リフォームの基礎知識・人気のリフォームについて」でお伝えしましたが、これから増えてくる入居者層は、年代的には「高齢者層」、世帯構成では「単身者層」となります。

現役世帯と高齢世帯では、身体の問題からバリアフリーやコンパクトな住まいなど「求められる居住空間」が違います。また2人以上世帯と単身世帯でも、求められる広さや間取りが違ってきます。

 

このようにターゲットを拡充する場合、リフォームではなく、リノベーションが必要になるケースもあります。

 

現役世代向けに仕様を変更するのであれば、コロナ禍によりリモートワークが増えていて、ワークスペースのニーズが高まっています。今までデッドスペースであった場所を活用することも可能でしょう。

また、同時に室内での居住時間も伸びていますから、日当たりも重視されています。窓がないリビングの場合、日の当たる部屋との間をクリアーガラスなどで仕切ることで日の光を感じられるようになりますから、この場合もリフォームではなく、リノベーションが必要になります。

 

ターゲットを拡充する場合、住宅設備自体の品質も時代とともに向上しますから、総合的な提案をしてもらえる不動産業者に相談するのも一案です。

3.今回のまとめ

"原状回復" "リフォーム""リノベーション"の違いをしっかり理解した上で、空室への対策を検討しましょう。
ご自身が保有されている賃貸住宅のおかれた環境を念頭におき、工事を行う場合は効率性を重視することをおすすめします。賃貸経営のノウハウを持った不動産業者から定期的な情報収集などをしておくと良いでしょう。

■監修者プロフィール

株式会社優益FPオフィス 代表取締役
佐藤 益弘

マイアドバイザー®
Yahoo!Japanなど主要webサイトや5大新聞社への寄稿・取材・講演会を通じた情報提供や、主にライフプランに基づいた相談を顧客サイドに立った立場で実行サポートするライフプランFP®として活動している。
NHK「クローズアップ現代」「ゆうどきネットワーク」などTVへの出演も行い、産業能率大学兼任講師、日本FP協会評議員も務める。
【保有資格】CFP®/FP技能士(1級)/宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/住宅ローンアドバイザー(財団法人住宅金融普及協会)