アパート経営でよくある失敗パターン10個と対策案、失敗しやすい人
公開日: 2023.05.08
最終更新日: 2024.06.04
アパート経営を失敗させないためには、オーナー自身が情報を集めることが何より重要です。得られた情報をもとに建築会社とプランを策定し、不動産会社へ入居者募集の仲介委託を行うことで、より成功の確率を高めることができます。その為、事前に他の大家の失敗談を把握し、回避策を用意しておくことが大切です。
そこで今回は、アパート建築やマンション経営などを中心に、失敗例や失敗しないためのコツを徹底解説します。後半では、失敗しないための具体的な手順も紹介します。
最後までぜひチェックしてください。
>>関連記事:アパート経営完全ガイド|建築プラン立てから完成後の業務まで
>>関連記事:マンション経営の種類|それぞれのメリット・デメリットは?
目次
1-3.コストカットを優先しすぎて魅力が少ないアパートになる
1-4.アパートの管理・メンテナンスが不十分で退去が続出する
2-1.想定外を考慮した無理のない資金計画を立てているかどうか
1.アパート経営でよくある失敗パターン10個と対策
まずは、賃貸経営の注意点を知り後悔しないために、起こりがちな失敗事例を対策とともに紹介していきます。
1-1.立地条件が悪く空室を埋められない
立地条件が悪く、アパート経営に失敗するケースは珍しくありません。
例えば、地方の過疎地域の物件や駅から遠い、周辺にコンビニやスーパー、学校などがないなどの条件が重なってしまうと、賃貸需要は低くなる傾向にあります。
特に、相続対策で元から保有している土地を活用するケースでは、土地を変更することができないため注意が必要です。
・対策案
失敗を避けるためには、アパートとして需要があるかを慎重に見極めることが重要です。
土地の条件によって、適した土地活用方法は異なります。アパート経営に限らず、ニーズに即した方法を選びましょう。
その際は、不動産会社に相談するなどして、土地の条件に適した土地活用方法を提案してもらうと良いでしょう。
1-2.間取りが悪く競争力が確保できない
間取りが悪く、入居者が集まらなかったというケースです。
アパート経営では、どうしても周辺の競合物件と比べられます。
風呂とトイレが分かれていない、収納が少ない、部屋の面積が小さいなど、新築アパート施工時に考えなしに設計してしまうと、競争力の低いアパートができてしまいます。
・対策案
対策としては、新築物件の建築時にニーズに合う面積と間取りをきちんと把握し、設計でその間取りを確保することです。
賃貸アパートは、そのエリアの需要に合致した間取りにすることが重要です。周辺競合の間取りを分析し、長期的に競争力を保てる間取りにしましょう。
特に、面積は重要です。設備は建築後に入れ替えることができますが、部屋の広さは変更することできません。
賃貸ニーズにあった間取りのアパートを建てることで、空室率の上昇を防ぎましょう。
1-3.コストカットを優先しすぎて魅力が少ないアパートになる
コストカットを優先しすぎてしまうのも、アパートが競争力を失う原因です。
もちろん、投資額は多いほど家賃設定を高額にしなければならなくなるため、人気の間取りや設備をなんでも採用すればよいというものではありません。
しかし、コストカットを優先し住宅設備や性能のグレードを下げてしまうことは物件の魅力を下げてしまうことにつながります。防音性能や防熱性能の低いアパートは居住者にとっても居心地が悪いものです。
そういった魅力が少ないアパートでは入居率が下落する傾向にあり、売却時も相場より低い値段しか付かなくなってしまいます。
・対策案
魅力が少ないアパートになるのを回避するポイントは、コストをかけるところとかけないところの優先順位をつけ、適切な投資を行うことです。
まず、コストをかける要素としては、前述した通り「部屋の広さ」を優先的に選ぶことをおすすめします。
反対に、外観や共用部、室内の壁紙や床板などの仕上げ材は、コストに対する家賃値上げの効果が薄いため、こだわりすぎないようにしましょう。
建てようとするアパートにどれだけの値段をかけることができるのかは、周辺競合の家賃設定を参考にすることで逆算することができます。収入の欄には設定家賃と売却する場合はその際の予想売却額、支出の欄には各種費用を網羅した収支表を作成し、その物件を所有する期間で収支計画を作成します。設定家賃に対して実現したい利回り、投資回収年数を設定すれば、おのずと投資額を導き出すことができます。
メリハリのきいたお金の掛け方でコスパよく魅力あるアパートをつくりましょう。
1-4.アパートの管理・メンテナンスが不十分で退去が続出する
アパートには様々な日常管理業務があります。エントランスや廊下、エレベーターなどの共用部の清掃や消耗品交換、植栽の水やりなどです。これらの業務を怠ると共用部が少しずつ荒れていってしまいます。
新しい入居者が入らなくなるだけではなく、既存の入居者が退去する可能性も高まってしまいます。
また、アパートには老朽化対策として、10~20年の周期で外壁・屋根塗装を中心とした大規模修繕が必要です。大規模修繕を怠ると外壁・屋根から水分が侵入し、建物の構造部を痛める要因となります。
・対策案
日々の管理業務をしっかり行いましょう。
大家が自分で自主管理をすることもあれば、手数料を支払うことで不動産管理会社に委託することもできます。委託料の相場はおおよそ全体の家賃収入の数%で設定されます。その地域で実績が多い管理会社であれば、安心して物件を任すことができます。
また、大規模修繕については、外壁・屋根塗装の耐用年数である10~20年を目安に実施しましょう。アパートの場合はエレベーターなどの設備がついていないことが多いため、ほぼ屋根と外壁塗装に加え、共用部の微々たる修繕が主な内容となるでしょう。口コミで評判の良い塗装会社などを選定すれば、コスパよく実施できます。
1-5.入居者トラブルが多発している
入居者トラブルの対応についても、気を付けなくてはいけません。
主なトラブルとしては、家賃滞納や夜逃げ、騒音やゴミの出し方・共用部の利用にまつわる入居者同士のトラブルが上げられます。それぞれの問題に対し適正に対処するのは経験の浅い大家では難しく、手間ばかりかかってしまうということもありえます。
・対策案
対策としては、不動産会社に日常管理業務を委託することが挙げられます。
不動産管理会社は多くの賃貸住宅の管理を行っているため、トラブル対応のノウハウも有しています。トラブル対応に自信がない場合には、信頼できる不動産管理会社に管理委託することを検討しましょう。
また、家賃滞納や夜逃げなどのトラブルについては、入居希望者の入居審査賃料支払い能力のある人物を選定することも対策として挙げられます。ただし、建物の年数が経過し、環境が悪化するほど、入居者をえり好みすることはできなくなっていきます。適切なタイミングでリフォームを行いましょう。
1-6.自己資金なしで始め、資金繰りに失敗する
多額の融資を受けた場合、毎月の借入金の返済額に対応できなくなる場合があります。ローン返済において想定しておきたいリスクは2つ。
金利上昇による支払額の増加と、家賃収入の減額です。変動金利を選択している場合は、金利上昇により支払額が増加してしまうリスクがあります。
また、物件は経年劣化に伴い家賃収入が減少していく可能性があるります。これらの要因によりキャッシュフローがマイナスになってしまい、借金の負担に耐えられなくなってしまう可能性があります。
・対策案
対応策はやはり、投資する前にしっかりとした事業計画を立てることです。
経年劣化や周辺エリアの変化を見込んだ無理のない家賃設定と、建築費などの初期費用、修繕費用、税金などのランニングコストを計算し、その物件の生涯にわたる収益性を出しましょう。
こういった収支計画を立てるためには費用に抜け漏れが生じないよう、不動産会社などプロに相談しながら行うことをおすすめします。
1-7.サブリースのリスクを十分に理解せずに利用している
サブリース契約とは、サブリース業者がオーナーからアパートを一括借り上げし、入居者との転貸借契約を締結する方式です。
オーナーからすると契約先がサブリース業者一社にまとまるため、サブリース業者にすべてお任せでき、かつ空室リスクについてもサブリース業者が負うというメリットがあります。
しかし、サブリース契約にはデメリットも存在します。そのリスクを理解しないまま契約してしまうと契約後にトラブルに発展する恐れがあるので注意が必要です。
・対策案
対策は、サブリース契約のデメリットをよく理解することに尽きます。
まず、サブリース契約ではサブリース業者が費用として収受する賃料が全体の約10~20%程度です。また、サブリース契約は契約内容にも注意が必要です。サブリースの広告には、「30年家賃保証」など30年間オーナーが収受する家賃が変わらないように思えるかもしれませんが、実際は数年に一度サブリース業者とオーナーの協議の上家賃改定できるという契約内容になっているのが一般的です。
契約改定の度に、老朽化などを理由としてオーナーの手取りが減らされてしまうという事例もあります。
サブリース契約ではオーナーが賃貸人、サブリース業者が賃借人です。賃借人であるサブリース業者は借地借家法で保護される側であるため、家賃改定や解約などさまざまな場面で交渉力を強く発揮されてしまいます。サブリース業者に契約の中身をしっかりと確認し理解した上で、慎重に判断しましょう。
1-8.高利回りを前提とした無理な経営計画を立てている
不動産を初めて購入する方が陥りがちなのが、不動産会社が出す表面利回りだけを見て投資を始めてしまうことです。
表面利回りとは物件の家賃収入を物件価格で割った割合で、〇%で表現されます。
しかし、実際は各種経費が発生するため、最終的な手元に残るお金を物件価格で割った実質利回りはもっと低くなります。
・対策案
この対応策もやはり、物件購入の前に収支計画を立てることが重要です。
収支計画で抜けがちなのが、経年劣化による家賃収入の逓減と、修繕費の逓増です。アパートは年数が経つにつれて収益性が悪化していくため、それも織り込んだ上で収支計画を立てましょう。
1-9.アパート管理を自身だけでやろうとする
アパート管理をすべて自身だけでやろうとすると、トラブル発生時の対応にミスが発生してしまう場合があります。もちろん、清掃業務などを自分で行えば、管理会社へ支払う手数料を削減することが可能です。
しかし、賃料不払いトラブルや騒音問題による隣人トラブルなどが発生した際、自主管理だと解決に導くノウハウが不足している場合が多々あります。
・対策案
不動産管理会社に相談の上、任せられる業務については管理費を支払い、管理業務を委託するのが良いでしょう。
管理会社によっては、任せる業務の相談に乗ってくれる場合があります。ノウハウが必要だと感じるものについては、予め任せることをおすすめします。
1-10.アパート経営に関する勉強が足りていない
アパート経営はしっかりとした知識を持ち、自ら購入する物件、建築する建物、任せる不動産会社について最良の選択を行うことが成功の秘訣です。しかし、知識が足りていないと、業者に言うままに高額なものばかり選択してしまうという結果になりがちです。
・対策案
普段から、不動産投資に関する情報収集を行いましょう。
知識を体系的に学ぶには、各種資格の取得に挑戦するのもよいでしょう。お金の知識についてはファイナンシャルプランナー検定や簿記、アパート経営については「大家検定」とも言われる不動産実務検定であれば、全体的な知識が学べるためおすすめです。
2.アパート経営で失敗しやすい人と失敗しにくい人の違い
ここまで失敗事例を説明しましたが、失敗しやすい人としにくい人にはどのような違いがあるのでしょうか。特徴を説明します。
2-1.想定外を考慮した無理のない資金計画を立てているかどうか
失敗しやすい人は、リスクを考慮した長期的な資金計画が立てられていない可能性があります。経年劣化や災害による大規模修繕や、家賃滞納などによる家賃収入の不安定化などです。特に災害リスクについては、リスクヘッジとして地震保険や火災保険に加入し、その分の費用を見込んでおきましょう。
失敗しにくい人は、想定外が起きても対応できるように余裕のある資金計画を立てられています。不動産会社などの専門家に相談しながら、シミュレーションを作成しましょう。
2-2.将来性や需要がある土地・物件を見極められるかどうか
不動産投資で重要なのは投資する物件選びです。
地方の中古物件を安い価格で購入するのか、都心の物件を購入し高い家賃で貸し出すのか、これらの選択に正解はありません。投資できる金額と、自らが得意とするエリア、特徴をしっかりと把握し、条件に合う物件を根気強く探しましょう。
2-3.信頼できる管理会社・専門家を見つけられているかどうか
不動産投資は一人ではできません。
投資物件の紹介、入居者の客付け、日々の管理業務、さまざまな場面で不動産会社のサポートを受ける必要があります。
3.アパート経営で失敗しないための進め方
ここからは、アパート経営の失敗を避けるために、流れを確認していきましょう。
step1 土地活用の相談
まずは、土地活用の専門家である不動産会社や建設会社などに相談することから始めます。
相談の段階では、土地活用の方法について何も決まっていない状態でもかまいません。
しかし、土地活用の目的や相談したい内容は考えておくとスムーズに進むでしょう。この際、自身の意向に沿った信頼できる担当者を見つけることが重要です。複数の業者から提案やアドバイスをもらい、比較・検討しましょう。
step2.土地の診断
自前の土地がある場合は、不動産会社がその土地に適した土地活用の方法を提案してくれます。
土地には用途地域や建ぺい率などの法的制限があり、活用方法が限られる場合があります。不動産会社に診断してもらうことで、情報を集めましょう。
step3.需要の調査
不動産会社からの提案が、その地域の需要についても検討されたものであるか確認しましょう。
それに加え、自らでもその土地にどのような需要があるかを調査することが重要です。
例えば周辺に大学があれば、学生向けのワンルームアパートの需要があると考えられます。周辺状況を調べ、適切な活用方法を見出しましょう。
step4.経営計画の立案
大まかな活用方法が決まれば、経営計画を立案します。活用方法やその運営方式を決めた上で、収支計画を策定します。
その際は、土地や建物にかかる初期費用、ランニングコストを、年間の収受家賃と売却時の売却金額でどれだけ回収できるかを確認しましょう。
step5.建築計画の作成
建築会社と、建築計画についてすり合わせを行いましょう。周辺の賃貸ニーズに合わせた物件を、経営計画で算出した無理のない投資額から現実のものとします。仕様を選定するにあたっては、その投資を行うことで賃料が上がるのかという投資採算性の基準から判断しましょう。
step6.工事実施・検査
工事期間中は、なるべく施工現場を確認し、オーダー通りの工事が行われているかを確認しましょう。
一度建ってしまうと、以降は中の構造を把握することはできません。ゆくゆくのメンテナンスにも備え、各種設備の配管など、把握できることはしておくことをおすすめします。建築完了後は、竣工検査を行います。扉や窓がスムーズに開閉するか、隙間風はないかなど、細かい部分を確認し、必要であればしっかりと対応してもらいましょう。
step7.引き渡し・アフターサポート
建築会社によってはアフターサポートがある場合もありますが、基本的には物件の引き渡し以降は、大家が自主管理を行うか不動産管理会社に管理を委託することとなります。
ここから重要なのは入居者の客付けです。地域の客付けに強い会社を選び、仲介を依頼しましょう。
4.信頼のできるパートナー選びで、アパート経営の失敗を回避しよう
今回は、アパート経営の失敗について説明しました。
失敗はいずれも、知識不足、計画不足により起こるものです。それらの不足を補うためには日々の勉強も必要ですが、信頼できるパートナー選びも必要です。
まずは、不動産会社に相談し、提案をもらうことから始めましょう。
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■監修者プロフィール
有限会社アローフィールド代表取締役社長
矢野 翔一
関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。
【保有資格】2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者
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