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土地活用における利回りの種類や計算方法とは?考える際のポイント

公開日: 2024.09.18

最終更新日: 2024.11.01

賃貸アパート建築や、投資商品の購入時に、比較検討に用いられるのが「利回り」です。

利回りは、投資額に対する年間収益の割合を表したものです。期待利回りや平均利回りを比較することで、収益力の高い物件を選ぶことができます。

そこで今回は、土地活用にける利回りについて徹底解説します。

表面利回り・実質利回り・キャッシュフロー利回りそれぞれの計算方法や、

メリットデメリット、利回りを考える際に理解しておきたい重要なポイントを説明します。

最後までぜひチェックしてください。

>>関連記事:「【2024年版】土地活用の方法19選|運用を行うメリットや実際の進め方

1.土地活用における「利回り」とは?


利回りの深い理解を進める前に、そもそも利回りとはどういったものを指すのか、その定義から確認していきましょう。 

1-1.利回りとは

利回りとは、投資や資産運用において、投資金額に対して1年間に得られる収益の割合を指したものです。
利回りは%(パーセンテージ)で表され、その数字が高いほど収益性が高いことを意味します。

不動産の場合、投資金額にあたるのは建築工事費諸経費(登記費用など)です。

そして、年間収入については、物件で得られる家賃収入の合計とするのが一般的です。

ただし、後述する通り、利回りには複数種類があります。

その種類によって計算根拠とする対象は異なるため、注意が必要です。

 1-2.利回りと利率の違い

利回りと利率は似て非なるものです。

利回りは、初期投資に対する収益の割合を指します。

一方、利率は債券や投資信託などの金融商品に対し、年間に支払われる利息の割合を指します。

例えば100万円で購入した債券の利率が2%となると、毎年2万円の利息が支払われるということです。
債券は満期まで待って償還を受ける場合、「償還差益」という差益が得られます。

債券投資で得られる収益はインカムゲインにあたる利息とキャピタルゲインにあたる償還差益の合計です。
この収益合計が投資額に対していくらだったのかは、利回りで表記します。

2.利回りの種類と計算方法


不動産投資における「利回り」には主に、表面利回り実質利回り(NOI利回り)キャッシュフロー利回り3種類があります。

それぞれの利回りの特徴を押さえ、よりよい検討ができるようにしましょう。 

2-1.表面利回り

表面利回りは最も単純な計算式で算出されるもので、年間賃料を、不動産の投資額で割ったものです。
「グロス利回り」とも呼ばれ、一般的に投資物件を広告する場合に表示されているのはこの表面利回りです。

表面利回りは計算が簡単というメリットの一方、オーナーが支払うべき初期費用やランニングコストが考慮されていないというデメリットがあります。

そのことから、実際手元に残る利益とは乖離が生じることは注意が必要です。

*表面利回りの計算方法

表面利回り(%)=年間家賃収入÷投資額×100

例えば購入価格5,000万円の賃貸マンションの年間の賃料収入が500万円の場合、表面利回りは10%となります。

2-2.実質利回り(NOI利回り)

実質利回り(NOI利回り)とは、年間の家賃収入から実際に発生したランニングコストを差し引いた、純収益が投資額に対する割合を計算したものです。

ここでいう投資額とは、オーナーが支払う初期費用すべてを指します。
表面利回りとは異なり、投資にかかるあらゆる初期費用を含めて計算するのが特徴です。

不動産投資にはさまざまな年間経費が発生します。
建物設備の維持管理費や共用部の光熱費、入居者募集にかかる仲介手数料、建物管理会社への管理委託料、固定資産税や都市計画税など、挙げるときりがありません。

これらの必要経費を差し引いた実際に得られる収益を純収益(Net Operating Income)と呼びます。
NOIは減価償却費のような支出を伴わない費用、ローン返済にかかる支払利息のような金融費用、修繕費などの資本的な支出は収入から控除しないため、不動産賃貸で得られる純粋な収益額と言えます。

実質利回りのメリットは、物件の実際の収益力がわかることです。

表面利回りでは考慮しなかった諸費用を考慮するため、実際の収益を確認できます。

一方、デメリットは計算が複雑なことです。特に物件購入前はどの程度のコストがかかるかの知識が不足している場面が多いことから、正確な実質利回りを自分だけで出すのは困難です。

 

*実質利回りの計算方法

実質利回り(%)=(年間家賃収入年間ランニングコスト)÷投資額×100

 

2-3.キャッシュフロー利回り

キャッシュフロー利回りは、手元に残る現金に着目した利回りです。

前述した実質利回りから、さらに借金の返済額(元本・利息含む)や、収益にかかる法人税・所得税などの税金などを差し引き、実際に手元に残る現金を計算します。
最終的に手元に残る現金が、投資額に対してどの程度の割合なのかを表したのがキャッシュフロー利回りです。

キャッシュフロー利回りのメリットは、投資の実質的な収益性をより正確に把握できる点です。
実際の現金の増減を確認できるため、資金繰りを考える上でも効果的です。

デメリットは、実質利回りよりさらに計算が複雑な点です。
計算に必要な項目が多いことから、複数の物件を比較するには手間がかかりすぎます。

*キャッシュフロー利回りの計算方法

キャッシュフロー利回り(%)

=(年間家賃収入-年間ランニングコスト-借入金の返済額-税金)÷投資額×100

 

>>関連記事:賃貸経営と不動産投資の「利回り」について

3.利回りを考える際に大切なポイント


利回りを用いて物件購入を検討する場合に気を付けることは、「利回りだけで判断しない」ことです。
ここでは、利回りの考え方で重要なポイントを説明します。

3-1.利回りのみで判断しない

利回りが高いからといって必ずしも良い投資とは限りません。

高利回りということは、年間収益に対し物件価格が安いということを意味します。

物件価格が安い物件は、立地条件、建物の状態、市場の動向、管理コストなど、何らかのデメリットやリスクを抱えている可能性があります。

ハイリターンな投資は概してハイリスクになる傾向を持ちやすいことから、実態を考慮して総合的に評価することが大切です。 

3-2.利回りの変動も考慮する

利回りは、物件の稼働率とともに変動します。
利回りを考える際には、入居率を満室時で想定した数値だけでなく、変動した場合の数値も確認しておきましょう。

例えば、家賃相場は市場の状況や経済の変動、周辺環境の変化などが影響し増減します。

不動産投資は長期間に及ぶのが一般的ですので、事業期間全体で利回りを考えるのが理想です。 

3-3.空室率を計算する

利回りの変動を考慮する上で特に重要なのが、空室率です。

前述した通り、常に満室を想定して利回りを計算すると、実態とは離れた数値が算出されてしまいます。
空室率を考慮し最低ラインの収入を把握しておくことで、より現実的な利回りを計算できるようになります。

一般的には、空室率は物件の経年劣化に伴い増えるため、年数が増えるにつれ空室率が上昇する前提で想定しておきましょう。

また、例えば、学生向けの新築アパート経営においては、退学のある3月ごろに退去が多くなり、そのタイミングでうまく入居者を入れ替えなければしばらく空室期間ができてしまう場合があります。

このように、投資対象の物件に応じたシミュレーションを行えば、より実際に即した結果が得られるでしょう。

 

>>関連記事:空室率を下げる!賃貸経営における「管理」の重要性

4.土地の活用方法によって変わる「利回り」


土地の活用法や立地や規模によって、利回りの水準は変わります。

例えば、青空駐車場のように、投資がほとんど発生しない活用法では、投資額が少ないことから利回りは高くなりやすい傾向にあります(ただし、実際に得られるキャッシュ総額は他手法より少なくなる可能性があります)。

また、例えば将来価値上昇の可能性が高い都市部などの土地であれば、投資額が多い割に家賃収入が得られない(=低利回り)になる傾向も。

しかし、将来高く売却できる可能性があることから、これもやはり利回りだけでは判断できない一例と言えます。

このように、活用法によってベストな利回りは異なります。
土地の活用方法を決める際は利回りだけに目を奪われず、地域の需要や将来性を考慮する必要があるでしょう。

 

*土地活用の主な種類

・アパート・マンション経営

・賃貸併用住宅経営

・月極駐車場経営・コインパーキング経営

・商業テナント・商業施設経営

・コインランドリー経営

・コンビニエンスストア経営

・トランクルーム経営

 

*それぞれの土地活用にメリットとデメリットがある

前述した通り、利回りはあくまで初期投資に対する年間収益の割合しか指さないため、立地や建物の状態はケースに応じて異なります。

土地活用にはそれぞれ、特有のメリットデメリットがあります。

また、その土地に応じた活用法は異なるため、まずは土地活用のプロである不動産会社やハウスメーカー、建設会社など相談するのがおすすめです。
専門業者からは、適切な提案や役立つアドバイスを受けることで、具体的な活用イメージを固められるでしょう。

 

>>関連記事:土地活用の方法19選|運用を行うメリットや実際の進め方

5.利回りも活用してよりよい土地活用を考えよう。


今回は、土地活用における利回りについて説明しました。

利回りは物件の収益性を比較する上で便利な指標ですが、利回りだけでは投資の良し悪しは判断できません。
自分でそれ以外の情報も集め、総合的に判断しましょう。

また、実際に高い利回りを実現するには、購入後、管理や仲介などで適切な賃貸経営が行われることが必須です。賃貸経営を助けてくれるパートナーを選びましょう。

大東建託では、土地活用に関する相談を無料で受け付けております。大東建託でこれまで手がけた複数の事業事例から、ケースに応じた最適な提案を行います。ぜひお気軽にご相談ください。

 

参考サイト:https://www.kentaku.co.jp/estate/

 

■監修者プロフィール

有限会社アローフィールド代表取締役社長
矢野 翔一

関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。

【保有資格】2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者