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土地活用で太陽光発電を選ぶメリットは?向いている土地の特徴

公開日: 2023.12.11

最終更新日: 2023.12.12

昨今、地球環境の保全のために再生可能エネルギーが注目されています。再生可能エネルギーが生産でき、比較的安定して収益を生み出せる事業としておすすめの土地活用法が、太陽光発電です。太陽光発電は、遊休地に太陽光発電パネルを設置し、その発電量に応じた売電収入を得る土地活用です。最近では、戸建て住宅の屋根に太陽光パネルを設置されることも増えています。

この記事では、太陽光発電について詳しく紹介します。収益を得る仕組みや太陽光発電用地に向いている土地の特徴、太陽光発電のメリット・デメリットを詳しく解説します。



>>関連記事:「土地活用の方法16選|運用を行うメリットや実際の進め方


1.太陽光発電事業の概要

太陽光発電は、賃貸住宅の需要が少ない田舎でもできる土地の有効活用です。

まずはその基礎知識を確認していきましょう。

 

1-1.太陽光発電事業で収益を得る仕組み


ソーラーパネルが発電した電気を電力会社に売却し、収益を得ます。売却時の単価は太陽光発電事業を始める時点で決定します。
太陽光発電事業では、電力会社と「電気1kwh(キロワットアワー)あたり◯円」で買い取るといった契約を締結するのが一般的です。かつて、契約先は地域の電力会社が主流でした。

しかし今は、電気買い取りを受け付けている電力事業者が複数あるため、それらの企業の中から選ぶのが一般的になってきています。

 

1-2.太陽光発電事業の運営形態


太陽光発電の運営形態は主に二種類です。

ひとつは、土地の所有者がすべての業務を担当する自主方式です。
ソーラーパネルの設置からメンテナンスなどの運営に関わる業務をすべて自ら担い、売電報酬からそれらの費用を引いた金額利益がとなります。

もうひとつは、太陽光発電の事業者に土地を貸与する方式です。
この場合、ソーラーパネルの設置から運営業務はすべて事業者が行います。土地の所有者には、借地にかかる地代収入が振り込まれます。

 

2.土地活用で太陽光発電が向いている土地の特徴

太陽光発電は宅地、雑種地、原野、山林など、さまざまな地目で設置することが可能です。
そのことから、市街化調整区域など建物を建てることが難しい地域で採用される傾向にあります。

ここでは、太陽光発電に成功しやすい土地の特徴について、特徴を見ていきましょう。

 

2-1.面積が広い土地


太陽光発電を始めるにはパネルに加えて発電や送電に必要な装置の設置場所も必要です。
また、ソーラーパネルが発電する量はパネルの面積に比例します。パネルを設置できる場所が広ければ広いほどより多く発電できるため、面積は広いに越したことはありません。

なお、太陽光発電システムのうち、発電規模が1,000kW以上のものをメガソーラーと呼びます。
この規模ともなると2ヘクタールほどの土地の広さが必要ですが、産業用太陽光発電に興味がある方は検討してみてもよいでしょう。

 

2-2.十分に日が当たる土地


同等の発電設備でも、日照時間が短かったり、日射量が少なかったりすると発電効率を上げることが難しくなります。
そのため、日の当たる土地であることは重要です。日照時間が短い地域や、一年を通して雨量が多い地域は向いていないため避けたほうがよいでしょう。

また、日射量の少ない季節は発電量が落ちます。基本的に日照時間が長い春夏に収入が最大化し、冬に収入は少なくなってしまうため、その点は留意しておきましょう。

日照時間に恵まれた地域だとしても、近くに高い建物がある土地や、山林に囲まれた状況では、日光が遮られるケースがあります。
また、周囲に住宅があると、太陽光パネルが反射する光で近隣住民から苦情が発生する事例もあります。そういったことから、周囲に高い建物がある土地避けるほうがよいでしょう。

    

また、山林に地盤が弱い条件も重なると、土砂崩れが発生するリスクもあります。そういったことから、土地が平坦であることも重要です。

各地域の日照時間については、気象庁のHPでも確認することができます。

 

2-3.電柱が近い土地


田舎でもできる太陽光発電ですが、周囲に電柱がなければ、周囲の電力会社の電線網に送電するための工事が別途必要となります。
具体的には、電柱を新設しなければなりません。これらの工事は電力会社に依頼することで行ってくれますが、工事負担金は太陽光発電事業者側が負担しなければなりません。

そういったことから、電柱が近くにある土地のほうが初期費用を抑えることができます。

 

2-4.地価が安い土地


地価が安い土地の場合、毎年発生するランニングコストである固定資産税も低くなります。
そういったことも、太陽光発電が田舎に向いている土地活用と言える理由のひとつです。

 

3.土地活用で太陽光発電を選ぶメリット

土地オーナーにとって、太陽光発電は安定収入、郊外エリアの土地を活用できるなどのさまざまなメリットがあります。

詳しく説明します。

 

3-1.長期間にわたって安定した収入が得られる


太陽光発電は、売電価格を10年間もしくは20年間保証する固定価格買取制度(FIT)があります。

これは、太陽光や風力などの再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が一定期間一定の買取価格で買い取ってくれる制度です。交付期間が終了した後は、再度買取り価格が設定されます。

 

1kWhあたりの調達価格

発電量

10kW未満

発電量

10kW以上50kW未満

発電量

50kW以上

2021年度

19円

12円

11円

2022年度

17円

11円

10円

2023年度

16円

10円

9.5円

交付期間

10年間

20年間

20年間

 

買取価格・期間等|FIT・FIP制度|なっとく!再生可能エネルギー (meti.go.jp)

 

表でご確認いただけるとおり、買取価格は年々下がる傾向にあります。

投資額がきちんと回収できるかシミュレーションした上で実施するのがよいでしょう。

 

3-2.事業ができる条件を満たしている土地が多い


太陽光発電は賃貸物件のように利用者を集める必要がありません。
そのため、周囲に住んでいる人が少ない郊外のエリアでも事業ができます。

例えば、市街化調整区域は、建物の建設が原則不可とされています。しかし、ソーラーパネルであれば設置可能という事例があります。

なお、田や畑などの農地で太陽光発電をする場合は、農地転用の手続きが必要です。
地域の農業委員会へ相談しましょう。

 

3-3.初期費用が比較的安い


不動産投資の手法の中で、太陽光発電設備は導入にかかる初期投資が少ない活用方法と言われています。

賃貸住宅経営の場合に建設するマンションやビルなどの建物と異なり、太陽光発電は田舎の遊休地でも同じ金額の収入を得ることができ、土地の取得費用を抑えることが可能です。

また、木を伐採したり、整地したりという工事費用は発生しますが、太陽光発電装置の設置費用が初期投資のメインとなります。

自治体によっては補助金制度もあるため、こういった制度を活用すればより早く投資回収を狙えるでしょう。

 

3-4.メンテナンスコストが少ない


太陽光発電は、維持管理費用が少ないこともポイントです。
太陽光発電において発生するランニングコストは、固定資産税などの税金に加え、定期点検・修繕などのメンテナンス費用、損害保険料が挙げられます。

しかし、大規模なメンテナンスをせずとも発電の機能を維持できることから、賃貸マンションなどと比べ清掃などにかかるランニングコストを抑えられるでしょう。

 

 

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4.土地活用で太陽光発電を選ぶデメリット

太陽光発電は得られる収益が高い事業というわけではありません。
そのことを織り込んでおかなければ、失敗する可能性があるので注意してください。

ここでは太陽光発電を選ぶ上での注意点をお伝えします。

4-1.得られる収益は減少傾向にある


太陽光発電は初期投資や経費が少ないメリットがありますが、その分収益性はそこまで高くありません。

電気の買取価格はFIT制度が開始されてから徐々に下落しています。
初期投資が多少かかってもリターンを得たいと言う場合には、アパート経営やマンション経営などの賃貸物件の経営の優先順位を上げたほうがよいでしょう。

 

4-2.自然災害のリスクを伴う


不動産投資全般に言えることですが、太陽光発電には災害リスクが伴うことを注意しなければなりません。
昨今は地球温暖化の影響により、台風や大雨などの被害規模が拡大しています。また、日本は地震が多い国であることから、地盤などの土地情報を確認しておくことが大切です。

このことから、自然災害で故障する可能性に備えて、損害保険に加入するのが一般的です。
また、工事業者やメーカーによっては、設置後の施工保証を行っているため、なるべく長い保証期間を設けている業者を選ぶと、トラブル発生時に安心できるでしょう。

 

5.まとめ

 

今回は、太陽光発電について説明しました。

太陽光発電の売電価格は毎年下落する傾向にありますが、土地活用法として、いまだに太陽光発電は有力です。
特に賃貸住宅など他の用途の需要が少ない地域においては他の活用が難しいため、人流が必要なく、手間もかからない太陽光発電は有力な選択肢と言えるでしょう。

しかし、太陽光発電に合う土地かどうかは向き不向きがあります。
まずは、不動産投資の専門会社に相談して土地にあった運用方法を提案してもらい、自分の期待にあった、信頼できるプランを選択しましょう。

■監修者プロフィール

有限会社アローフィールド代表取締役社長
矢野 翔一

関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。

【保有資格】2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者