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傾斜地を上手く活用する方法は?具体的な活用法と把握したいこと

公開日: 2023.06.15

最終更新日: 2023.11.28

傾斜地とは​斜めに傾いている土地のことを指します。

法的な定義はありませんが、一般的には傾斜の角度が30度以上あると、傾斜地として捉えられます。傾斜地は通常の平らな土地に比べて、利用する際に造成工事などに費用がかかる側面もありますが、​日当たりや眺望、​風通しが良いなど独自の魅力もあります。

 

もし傾斜地を土地活用する場合は、その特徴を十分に活かした方法を選択することが大切です。そこで本記事では傾斜地を活用する方法や把握しておくべき注意点について解説します。


>>関連記事:「土地活用の方法16選|運用を行うメリットや実際の進め方

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1.傾斜地が持つ特徴


傾斜地を活用するためには、まず特徴をよく理解しておく必要があります。以下で主な特徴を解説します。

1-1.建物を遮るものが少ない


傾斜地は隣の建物と高低差があるため、遮るものが少なく、採光に優れた物件が多い傾向にあります。

また、建物を建てる場合、高い位置になりやすいため、眺望が良く、遠くの街並みや夜景などを楽しめることでしょう。

土地の特性上、自然豊かな場所が多いこともメリットの一つであり、平らな土地にはない独自の住環境を得られます。

1-2.そのままの状態で建築物を建てるのは難しい


傾斜地に建物を建てる場合、斜めになっている箇所を平坦にしなければなりません。
そのため、切土や盛土、擁壁の設置といった造成工事のほか、地盤改良が必要になる可能性が考えられます。
こうした作業を行う際、多くの工事費用や手間がかかる点がデメリットといえます。

2.傾斜地で土地活用は可能か?


傾斜地を通常の用途で活用するのは困難ですが、工夫次第では土地活用が可能です。

ただし、平地にはない注意点があるので、事前に対策を考えるようにしてください。

以下に傾斜地で土地活用する場合のポイントを解説します。

2-1.工夫さえすれば土地活用はできる


平坦な土地にはない特性を活かせば、物件や設備の価値を高めることも可能です。

例えば採光や眺望の良さを活かせる方法を選択すると良いでしょう。

ただし、平坦な土地と比較して実現できる活用法が限られている一面はあります。

また、立地や周辺環境にもよりますが、できるだけ傾斜地の物件購入を避けたいと考える方も少なくありません。

そのため、不動産会社やハウスメーカーなどプロのアドバイスを聞きながら、傾斜地の特性を活かせる活用方法を検討することをおすすめします。

2-2.傾斜地で土地活用をする前に把握したいこと


平坦な土地とは異なる特性を持つため、考慮しておきたい点が複数あります。

傾斜地の注意点を把握せずに土地活用を進めると、トラブルに発展するリスクもあるので、事前に理解するようにしてください。

以下に傾斜地で土地活用をする前に把握すべき事項を5つ紹介します。

 

【地盤改良の必要性】

傾斜地で土地活用を行う場合、まず地盤調査を実施しなければなりません。

もし地盤が安全な状態でなければ、地盤改良が必要となる可能性があります。

地盤改良は工事費が高額になりやすく、想定以上の初期費用がかかる可能性があります。

また、建物の規模が大きい場合、杭工事を行う必要もあるため、より多くの費用がかかるでしょう。

 

【傾斜地周辺の立地】

傾斜地周辺の経路も傾斜になっている場合が多く、工事などを実施する際の搬入にも、通常より多くの費用がかかるケースがあります。

 

【急傾斜地崩壊危険区域】

急傾斜地崩壊危険区域とは「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」にもとづき都道府県知事が指定した区域のことです。

急傾斜地(傾斜度が30度以上ある土地)であり、崩壊した場合に多数の人に被害を与えるのおそれのある土地、またはこれに隣接する土地が該当します。

急傾斜地崩壊危険区域では、崖崩れを防止するための工事の施工が必要となるほか、さらに一定の行為が制限されます。

 

【宅地造成等規制法】

宅地造成等規制法とは、宅地造成による崖崩れや土砂災害を防止するための規制を行う法律です。

傾斜地を始め、宅地造成により災害が起こる可能性の高い区域が指定されます。

 

【がけ条例】

がけ条例とは敷地ががけに面しており、一定の高さを超えるがけの上または下に建物を建てる場合の制限を定めたものです。

条例であるため自治体によって規制内容は少し異なりますが、例えば東京都のがけ条例の場合「高さ2mを超えるがけの下端から、がけの高さの2倍以内に建物を建築する場合には、高さ2mを超える擁壁を設けなければならない」と定めています。

 

上記のような注意点の対策としては、所有する土地の地盤の状態を前もって把握しておくことに加え、必要となる費用を多めに見積もっておくことが重要といえます。

また、地盤改良などの工事に多額の費用がかかる場合は、太陽光発電など傾斜を残したままでも活用できる方法も併せて考えることをおすすめします。

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3.傾斜地でできる土地活用の種類


傾斜地でもアパートやマンション、戸建てなどの賃貸経営を行うことは可能です。

しかし、入居者を集めるためには傾斜地の魅力を上手く利用する必要があるでしょう。

また、賃貸物件以外にも傾斜地の特徴を活かした活用法があります。

以下に代表例を紹介するので、ぜひ参考にしてください。

3-1.賃貸アパートの経営


土地の上にアパートを建て、入居者から家賃を得る方法です。

傾斜地ならではの日当たりや眺望の良さが、入居希望者へのアピールポイントになるでしょう。

ただし、規模が大きい物件になると強固な地盤が求められるので、地盤改良に多額の費用がかかるケースが考えられます。

そのため、通常のアパート経営やマンション経営の感覚で始めると、予想外の建築費となる可能性があるため注意しましょう。

特に擁壁工事は多額の費用がかかるので、高低差が大きい土地の場合は、事前確認を行うことが大切です。

3-2.戸建て賃貸の経営


戸建住宅を建築して、入居者から家賃を得る方法です。

ファミリー層が主なターゲットとなり、単身世帯よりも入居期間が長い傾向にある点がメリットといえるでしょう。

戸建て賃貸もアパート同様、傾斜地にある場合、景観や日当たりの良さがアピールポイントになります。


また、傾斜地に戸建てを建てる場合、地下部分ができるため、埋め立てを行わず地下1階にビルトインガレージを設けるなど、傾斜を利用した住まいを提供することが可能です。

このような平地にはない部分を魅力としてアピールすれば、入居者も集まりやすくなるでしょう。

3-3.太陽光発電


ソーラーパネルを設置して発電した電力で収益を得る方法です。

傾斜地は遮るものが少なく、日当たりが良い場所が多いので、太陽光発電との相性が良いといえます。

また、マンションや戸建てのように斜面を平らにする工事は不要であり、傾斜のある状態のまま活用できるため、初期費用や時間を抑えることも可能です。

ただし、電力の買取価格は数年前より下がっているため、設置の負担と予想収益を見比べて、有効な活用方法かどうか慎重に検討することをおすすめします。

4.傾斜地での土地活用が難しそうな場合は


傾斜地を活かす方法は多数ありますが、中には活用が難しいケースもあるでしょう。


検討を重ねたうえで、どうしても活用法は見つからない場合は、土地の買い替えを選択肢に入れることをおすすめします。

傾斜地を売却すれば、そこで得た資金を元手に別の土地を購入して土地活用を始めることも可能です。

ただし、条件の悪い傾斜地は価格が低く、買い手もつきにくい傾向にあるので、売れる見込みがあるかどうか、不動産会社へ事前に相談するようにしてください。

5.傾斜地は工夫次第で活用が可能


一般的に活用が難しいと考えられている傾斜地ですが、工夫次第で有効活用することが可能です。

傾斜地を所有している方は、売却の判断をする前に土地活用できないか考えてみることをおすすめします。

自分で活用方法が思いつかない場合でも、土地活用を専門としている会社もしくは専門家に相談すれば、詳しい情報や適切なプランを提案してもらえるでしょう。

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■監修者プロフィール

宅地建物取引士/FP2級
伊野 文明

宅地建物取引士・FP2級の知識を活かし、不動産専門ライターとして活動。賃貸経営・土地活用に関する記事執筆・監修を多数手掛けている。ビル管理会社で長期の勤務経験があるため、建物の設備・清掃に関する知識も豊富。

【保有資格】
・宅地建物取引士
・FP2級
・建築物環境衛生管理技術者