改めて知っておきたい最新の賃貸管理の方法!
公開日: 2024.12.26
最終更新日: 2024.12.27
ここ数年、賃貸マンションやアパート、分譲マンションなどの集合住宅に対する管理の重要性が高まっています。
ヒトだけでなく、管理や補修の不徹底からくるモノ=特に建物の高齢化問題も叫ばれています。実際、自分自身でやれる管理の領域は個々人にノウハウがないため難しくなっており、やれることも限られてきています。
そのため、賃貸住宅管理業法の施行などの集合住宅に関する法整備が進んでいます。今後も、管理については時代に合わせて複雑化&高度化しながら変化していくはずです。
そこで今回は、今までの管理と現状、そして今後求められる管理について考えていきたいと思います。
1. 新たに施行された賃貸住宅管理業法とは?
2021年6月、賃貸住宅管理業者、並びにサブリース契約を規制するため、賃貸住宅管理業法が施行されました。
サブリース契約とは、簡単にいえば賃貸物件を賃貸住宅管理業者が一括で借り上げることで、一定の家賃収入を保証する契約のことを指します。
この法律が施行された背景として言えるのは、一部の問題業者によるサブリース契約の濫用によるトラブルが増えていたことです。
有名な事件としては、特に銀行の不正融資も絡み、不誠実なサブリース事業者が経営破綻した事件が挙げられます。
他にもオーナー側の無理解や業者側の不誠実な対応などを理由として、さまざまなトラブルが起きていました。
この法律の施行によって、まず管理戸数が200を超える業者は国への登録(届け出)が必要になりました。
またサブリース契約について、不当な勧誘の禁止や契約締結前の重要事項説明なども盛り込まれています。
簡単にいえば、より安全・適正にサブリース契約を活用できるようになったということです。まずは、このような賃貸住宅市場における最新の動向について把握しておきましょう。
2. 過去の賃貸住宅の管理とその理由
ここからは賃貸住宅の管理方法について、時代の流れに即した形でお伝えしていきます。
元々、賃貸住宅の管理方法は「自主管理」を念頭に制度設計されていました。
自主管理の最大のメリットは「委託費がかからない」点です。
また「賃貸経営に関するノウハウが得られる」「入居者との交流が図りやすい」などの点も喜ばれていました。
つまり、昔の賃貸経営は「高齢者による定年後の仕事」、または相続対策として(高齢者が)賃貸物件を相続したことで経営を始めることが多かったためと思われます。
つまり賃貸経営を「新たな仕事・生きがい・社会との接点」と捉えて取り組んでいたためです。
少し古い情報ですが、国土交通省の2019年「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査(家主)」によると、現代でも以下のように、自主管理をしている方は同様の傾向があるように伺えます。出典:国土交通省 2019年「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査(家主)」
ただ、時代の流れによって少しずつ、この自主管理は廃れていきました。
このアンケート調査によると、現代で自主管理をしている賃貸オーナーは2割にも満たない結果です。
3. 現在の賃貸住宅の管理とその理由
現在の賃貸住宅の管理は、委託型が主流となっています。
委託型とは、賃貸経営におけるさまざまな業務を賃貸住宅管理会社に委託する管理方法です。
委託型にすると、一定の委託料が必要になるものの、賃貸住宅経営に関するさまざまな業務=手間から解放されることになります。
自主管理が廃れ、委託型が主流となったのは、「時代が変わった」のが最たる理由です。
近年の賃貸住宅経営は、現役サラリーマンの方が副業として行うことも増えてきました。
また複数の物件を賃貸経営するケースも増えたことで、自分で賃貸経営を勉強したり賃貸物件のすべてを管理したりすることが困難になっています。
また、従来の高齢の賃貸オーナーにしても、最近では認知症などの健康問題や定年後の生きがいの多様化などの観点から、自主管理による不都合を感じる方も増えてきました。
合わせて、近年の賃貸経営は以前と比べて複雑化&高度化しています。
以前はただ部屋を貸すだけで良かったのが、最近では賃貸物件自体の増加や人口減少により競争が激化しています。
入居者から求められる賃貸物件や附帯サービスの水準、つまり賃貸経営に必要な管理力が上がり続けているので、求められる賃貸物件や附帯サービスの質が常に向上している状況です。
以上のことから、賃貸オーナーが個人で対処し続けるのは極めて困難な時代になってしまい、近年では委託型が賃貸住宅経営の主流となっています。
4. 未来の賃貸住宅のあるべき姿とは?
今後の、未来の賃貸住宅経営の管理方法は、どのようになっていくのでしょうか。
あくまで筆者の見解ですが、最近の時代の流れとともに今回の法律賃貸住宅管理業法の施行を踏まえると、今後は「サブリース契約による管理形態」が多くなるのではないかと考えています。
先ほども少し触れましたが、最近は賃貸経営でもDX化(デジタル化)が進みつつあり、今後ますます管理の高度化が進んでいくと思われます。
国など行政としても、賃貸経営のDX化を推奨している状況ですから、この流れは今後、加速していくでしょう。
>>関連記事:改めて知っておきたい賃貸経営における「DX化」とは!?
ということは、本業で賃貸経営者になろうと思う方以外は、今後ますます自主管理が困難になるはずです。
また、最近では競争が激化しすぎていることもあり、「空室リスク」が問題視されています。
総務省の令和5年「住宅・土地統計調査」によると、最近の空室状況は以下の通りです。
顕著なのは賃貸以外の物件ですが、賃貸物件も着実に空き家が増えています。
出典:総務省 令和5年「住宅・土地統計調査」
頼りになる賃貸住宅管理業者とサブリース契約を結んでおけば、空室か否かに関わらず「保証賃料」を受け取れるようになります。
一般的な保証賃料は「家賃の80~90%程度が相場」です。
一般的な委託料は5%程度とされていますから、それを上回る費用が必要になるものの、それで賃貸オーナーからすれば家賃収入が入らない空室リスクを避けられることになります。
すでに多くの方がサブリース契約を結んでいるのも頷けるのではないでしょうか。
5. 土地オーナー、賃貸オーナーに与える影響≒留意することは?
ここまでお伝えした通り、以前の賃貸管理は自主管理が主流、言い換えれば多くの方が自主管理できる程度の難易度でした。
しかし管理の高度化・DX化が起こったことで、近年は自主管理が極めて難しくなっています。
この状況で土地オーナー・賃貸オーナーが考えるべきことは、まず「自身の管理力はどの程度なのか」です。
早い話、現在の経営状況はいかがですか? 今後の経営について、十分な見通しが立っているでしょうか?
一人でも十分にやっていける自信と見通しがあるならともかく、ないのなら素直にサブリース契約を含めた委託管理の検討をおすすめします。
また、「今後のライフプランをどう考えているのか」も大切です。
簡単な話、賃貸管理など以外の仕事やプライベートでのやりたい事などについて、どうお考えですか? 合わせて、自身の健康や相続などについて不安はありませんか?
賃貸経営は長期に渡るものですから、先々も含めた計画性が大事になります。
先々を含めて、自主管理に負担や不安を感じる部分が少しでもあるなら、早めに対策を取ったほうが無難です。
なお、賃貸住宅管理会社も一律ではありません。中小企業もあれば大手企業もあり、蓄積してきた経験やノウハウ量もさまざまです。
これから管理を委託する企業を探すなら、なるべく経験やノウハウ量が多い、ひいては管理力の高い、大手の管理会社をパートナー候補として検討しましょう。
6. まとめ
2021年6月に賃貸住宅管理業法が施行されましたが、それほど近年では賃貸管理の委託やサブリース契約が主流となっています。
賃貸管理の高度化・DX化によって、オーナー個人では対応しきれないほど、求められる管理力が高まっている状況です。
合わせて近年では空室リスクも高まっているため、保証賃料が得られるサブリース契約が主流となる流れは当面、変わらないと思います。
少しでも自主管理に不安のあるオーナーは、なるべく管理力の高そうな大手の賃貸住宅管理業者を探して、相談してみましょう。
>>物件管理のご相談は、こちらまで
■監修者プロフィール
株式会社優益FPオフィス 代表取締役
佐藤 益弘
マイアドバイザー®
Yahoo!Japanなど主要webサイトや5大新聞社への寄稿・取材・講演会を通じた情報提供や、主にライフプランに基づいた相談を顧客サイドに立った立場で実行サポートするライフプランFP®として活動している。
NHK「クローズアップ現代」「ゆうどきネットワーク」などTVへの出演も行い、産業能率大学兼任講師、日本FP協会評議員も務める。
【保有資格】CFP®/FP技能士(1級)/宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/住宅ローンアドバイザー(財団法人住宅金融普及協会)/JーFLEC認定アドバイザー(金融経済教育推進機構)
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