アパート経営を地方で行うには?成功させるポイントとチェック項目
公開日: 2024.09.26
最終更新日: 2024.09.26
資産形成の手段の一つとして注目されるアパート経営。どうしても人口の多い都市部で行うイメージが強いですが、賃貸需要があるのは都市部だけではありません。
条件さえ揃っていれば地方でのアパート経営も可能です。
しかし、地方のアパート経営は都市圏とは異なる課題があります。
人口減少や経済環境の変化により、賃貸需要の予測が難しいというデメリットの一方、都市部よりは競争が少ないなどのメリットも存在します。
本記事では、地方でアパート経営を始める際のメリット・デメリット、成功のポイントについて詳しく解説します。地方での安定したアパート経営を目指す方必見の内容です。
目次
1.地方で成功しやすいアパート経営のチェック項目
地方でアパート経営を成功させるには、都心部とは異なる戦略が必要です。
地方都市では、人口減少や経済状況により、賃貸需要が限られる可能性があります。
本章では、地方でアパート経営を検討する際の重要なチェック項目を紹介します。
1-1.人口が多い立地か
アパート経営を成功させるためには、立地選びが非常に重要です。特に人口が多いエリアでは、潜在的な入居希望者が多く、アパート経営が安定しやすくなります。
例えば、東京都の人口は増加傾向にあり、以下のように推移しています。
東京都の人口推移(抜粋)
2000年: 11,850,305人
2010年: 12,833,956人
2020年: 13,484,028人
2022年: 13,443,000人
【出典】政府統計の総合窓口e-Stat「人口動態統計」
URL:https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450011&tstat=000001028897
このように、東京都の人口は増加しています。
一方で、人口減少が進んでいる地域もあります。
アパート経営をする際には、このようなデータを基に、エリアの人口が将来的にどのように変化する可能性があるかを調べることが重要です。
特に、10年後、20年後の入居需要について予測することは、アパート経営の長期的な成功に直結します。
なお、不動産会社は地域の詳細な人口動態や将来の開発計画に関する情報を持っていることが多いです。
これらの資料を参考にすることで、将来的な人口増加エリアを見極めることができます。
また、地方自治体が公表している人口動態統計は、エリアごとの詳細な人口推移を提供しています。
このデータを分析することで、将来的な人口増加や減少の傾向を把握することが可能です。
立地選びにおいて人口動態を考慮することは、アパート経営の安定化に不可欠です。長期的な視点でエリアの人口推移を予測し、将来的な入居需要を見越した計画を立てることが求められます。
1-2.商業施設などが周辺にあるか
アパート経営を地方で成功させるには、周辺環境が重要です。
商業施設、特にスーパーやショッピングセンターが近くにあると、入居需要が高まります。
また、中核企業や大学の存在も賃貸需要を押し上げる要因となります。これらの施設で働く人や学ぶ人たちが潜在的な入居者となるからです。
ただし、賃貸需要に影響を与える施設は複数あることが望ましいでしょう。
単一の施設に依存した環境では、その施設の移転や倒産により賃貸需要の喪失といったリスクが高まります。そのような事態が発生すると、賃貸需要が急激に低下し、空室率の上昇につながる可能性があります。
地方都市での不動産投資では、こうした周辺環境を慎重に分析し、安定した賃貸経営ができるかどうかを見極めることが大切です。
1-3.将来的に開発予定があるか
地方でのアパート経営を検討する際、将来的な開発予定も重要なチェックポイントです。
再開発などの事業計画があるエリアでは、地価の上昇が期待でき、不動産投資の価値が高まる可能性があります。
このような地域では、アパートの資産価値が上昇し、家賃収入に加えて将来的な売却益も見込めます。これは、出口戦略を考える上で重要な要素です。
地方都市の開発計画を把握するには、自治体が公表している再開発計画等をこまめにチェックすることが大切です。こうした情報収集と分析が、地方でのアパート経営を成功に導く鍵となるでしょう。
2.地方でアパート経営を始めるメリット・デメリット
地方でのアパート経営には、都市部とは異なる特有のメリットとデメリットがあります。
投資判断を行う前に、これらを十分に理解し、検討することが重要です。
本章では、地方でアパート経営を始める際に考慮すべき主なメリットとデメリットを解説します。
2-1.地方でアパート経営を始めるメリット
地方でアパート経営を始めるメリットとして、まず都市部と比べ競争相手の少なさが挙げられます。
地方都市や田舎では人口が少ない傾向にあるため、同じエリア内でアパート経営を行っている人も限られています。
これにより、競合物件との入居者獲得競争が緩和され、安定した賃貸経営が期待できるでしょう。
また、都心部と比べて初期費用を抑えられることも大きな利点です。
地方では土地も建物も比較的安価な傾向にあります。
これは、人口の多さからくる土地や建物の需要、その土地の利便性、公共サービスの充実さが都市部と比べた際に土地の価格を抑えることができ、建物に関しては都市部と比較し工事のしやすさや人件費などの関係からとなっています。
したがって、新築アパートの建築費や中古物件の購入価格を低く抑えることができます。
この結果、投資額に対する利回りが高くなりやすく、不動産投資としての魅力が高まります。
さらに、初期費用が低いことで、融資の面でも有利になる可能性も。
ローン返済の負担が軽減されるため、キャッシュフローの改善にもつながります。これらのメリットは、地方でのアパート経営を検討する上で、重要なポイントとなるでしょう。
2-2.地方でアパート経営を始めるデメリット
地方でのアパート経営には注意すべきデメリットがあります。場所によっては入居需要が少ないことです。
多くの地方エリアでは人口減少が進み、賃貸需要も低下傾向にあります。
これは空室率上昇のリスクにつながり、安定した賃貸経営を難しくする可能性があるので注意が必要です。
また、融資面での課題も存在します。地方の土地は担保価値が低く評価されがちで、金融機関からの評価額が低くなることが多いです。
その結果、ローン審査が通りにくくなり、資金調達に苦労する可能性があります。
これらのデメリットを十分に理解し、慎重に検討することが、地方でのアパート経営成功への近道となります。
3.地方でアパート経営を成功させるポイント
地方でのアパート経営には、都市部とは異なる独自の課題がありますが、適切な戦略を立てることで成功の可能性を高められます。
本章では、地方でアパート経営を成功させるための重要なポイントをいくつか紹介します。
3-1.立地周辺の環境を調べる
地方でアパート経営を成功させるためには、立地周辺の環境を詳細に調査することが欠かせません。
交通アクセスや日当たりといった基本的な立地条件はもちろん、学校や病院などの生活に密着した施設の有無も重要です。
これらの要素が、賃貸需要に大きく影響するからです。
また、外国人労働者の増加や地方移住者の流入、再開発計画など、需要を喚起する要因についても注意深く調べる必要があります。地方都市特有の動向を把握することで、より的確な経営判断ができるでしょう。
地域を取り巻く環境や状況は常に変化するため、定期的なチェックも不可欠です。
これらの情報を適切に分析し、経営戦略に反映させることが、地方でのアパート経営成功の鍵となります。
3-2.競合物件の状況をチェックしておく
地方でのアパート経営では、競合物件の状況把握が重要です。
周辺の賃貸物件の数、家賃相場、稼働率をチェックしましょう。
競合が少なければ高い入居率が期待できますが、逆に周囲の物件の空室率が高ければ、賃貸需要の低さを示唆しています。
このような競合分析は、投資判断や経営戦略を立てる上で不可欠な要素となります。
賃貸需要が少ないと、入居者として見込める人が少ないということになりますので、アパート経営が失敗する要素になりやすいです。
3-3.入居者のニーズを満たす
地方でアパート経営を成功させるには、入居者のニーズを満たすことが重要です。
まず、駐車場の確保が大切です。
地方では車が主な移動手段となるため、駐車場付きアパートの需要が高くなります。
アパートの建築プランを立てる際は、建物だけでなく駐車スペースも考慮しましょう。
また、空室対策にも力を入れる必要があります。
人気の設備を導入したり、家賃のクレジットカード払いを許可したりするなど、入居者の利便性を高める工夫が効果的です。
これらの施策は、安定した賃貸経営を続けていく上で重要なポイントとなります。
地方の賃貸市場特有のニーズを把握し、それに応える物件づくりを心がけることで、高い入居率と安定した収益を実現できるでしょう。
3-4.表面利回りを重視しすぎない
場所に限った話ではありませんが、アパート経営を考える際には、表面利回りを重視しすぎないことが重要です。
表面利回りとは、物件の年間賃料収入を物件価格で割ったもので、基本的に部屋が満室のときの収益率を示します。
一見高利回りが期待できるように思えてしまいますが、理想的な状況を基にした数字であり、実際の運用では常に満室になるとは限りません。
また経費などを計算に入れずに算出する数値になるため、現実的な数値ではなく参考数値として見るほうが良いでしょう。
一方、実質利回りは、表面利回りから実際の運営費用やローンの諸経費、税金などを考慮して計算されたものです。
管理費、修繕費、税金などの経費を差し引いた後の収益率を示しており、実際の収益により近い数字となります。
したがって、投資判断を行う際には、表面利回りだけではなく、経費や空室リスクを考慮した実質利回りを重視することが重要です。
特に地方の物件では空室リスクが高くなる可能性があります。
実質利回りの確認は欠かせませんが、東京都のような人口が増加しているエリアでも、安定した収益を得るためには実質利回りを基にした慎重な投資判断が求められます。
高い表面利回りに惑わされず、実質的な収益性を見極めることが、地方でのアパート経営成功に欠かせません。慎重な分析と現実的な予測が、安定した賃貸経営につながるでしょう。
3-5.不動産会社や管理会社に相談する
地方でアパート経営を始める際には、不動産会社や管理会社への相談が不可欠です。
これらの専門家は地域の賃貸市場に精通しており、有益なアドバイスを提供してくれます。
特に重要なのは、複数の会社に相談することです。それぞれの会社から得られる情報や提案を比較することで、より広い視野で計画を立てられます。
また、各社の対応や提案内容を見比べることで、信頼できるパートナーを選ぶこともできます。
このプロセスを通じて、地方特有のリスクや注意点を把握し、より安定した賃貸経営の基盤を築くことができるでしょう。
>>関連記事:「アパート経営を始めたいときはどこに相談する?主な相談先について」
4.アパート経営は地方でも成功できる
地方でのアパート経営は、慎重な計画と適切な戦略があれば、魅力的な不動産投資の選択肢となり得ます。
本記事では、地方でアパート経営を成功させるための重要なポイントを紹介しました。
立地の重要性、周辺環境の調査、競合分析、入居者ニーズの理解、そして実質的な収益性の見極めが成功の鍵となります。
また、専門家への相談も不可欠です。
こうした複雑な要素を考慮しながら、地方でのアパート経営を成功させるには、豊富な経験と専門知識を持つパートナーの存在が大きな助けとなります。
大東建託では市場調査から建築プラン提案、資金計画アドバイス、入居者募集、建物管理まで、オーナー様の成功に必要な全てをサポートします。
大東建託の総合的なアプローチにより、地方での安定した賃貸経営を実現することが可能です。アパート経営をご検討の方や不安や疑問を持っている方はぜひ一度お問い合わせください。
■監修者プロフィール
有限会社アローフィールド代表取締役社長
矢野 翔一
関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。
【保有資格】2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者
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