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アパート経営に生かせる資格にはどのようなものがある?

公開日: 2023.10.26

最終更新日: 2023.12.26

不動産投資や賃貸経営をするにあたって、資格は必須ではありません。

しかし、不動産系資格の学習をする過程において、金融資産運用や不動産業界で必要となる実務知識を網羅することができます。
基礎知識を身につけておけば、さまざまな場面で適切な判断ができるようになるでしょう。

そこで今回は、アパート・マンション経営を行うオーナーが理解しておきたい、おすすめの資格試験について解説します。

>>関連記事:「アパート経営完全ガイド|建築プラン立てから完成後の業務まで」


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1.なぜアパート経営をするにあたって資格勉強をする人がいるのか

 

*資格勉強を通してアパート経営に役立つ知識を得るため

不動産投資において、知識は判断力のもととなります。
不動産投資では、ローンの組み方やどういった建物を建てるか、どういった管理体制で建物の管理を行うかなど、オーナーが判断しなければならない場面は多くあります。
資格の取得を目指す過程で、法律や会計など経営に必要な知識を学べ、判断できるようになります

また、勉強することでアパート経営で起こり得るリスクを知ることができます。リスクと対処法を把握できるため、何かあった際にも適切な判断を下せるようになります。

2.アパート経営に生かせる資格

それでは、アパート経営と関係のある資格を紹介します。

どれも受験しすい資格試験なので、気になったものをチェックしていってください。

 

2-1.賃貸不動産経営管理士


賃貸不動産経営管理士は、不動産管理の専門家を育成する目的として、一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会が主催する国家資格です。
この資格は賃貸住宅管理業務を行う会社が営業所ごとに1人以上の設置を義務付けられている「業務管理者」の要件ともなっており、賃貸住宅管理の知識を体系的に習得することができます。

その内容は、賃貸不動産を管理受託する上で必要となる、法令や維持保全に関する事項、賃料等の金銭に関する事項、その他実務全般となります。

賃貸管理会社からの提案や条件を判断する目が養えることから、オーナーに広くおすすめできる資格です。

 

学べる内容

賃貸住宅の管理業務に必要な知識

試験日程

毎年11月中旬ごろ(年1回)

試験形式

四肢択一、全50問 試験時間は2時間

受験料

12,000円

合格率

27.7%(令和4年度試験)

 

 

2-2.不動産実務検定


不動産実務検定(旧大家検定)は、一般財団法人日本不動産コミュニティーが主催する民間資格です。    

2級・1級とあり、賃貸経営を始める大家さんが知っておきたい実務的なノウハウを学ぶことができます。

2級では、賃貸管理運営(満室経営)実務に関する知識を学びます。
具体的には、賃貸経営に必要な法律知識、税務、ファイナンス、満室経営維持に必要な管理実務知識、賃貸借契約の種類と締結方法、リスクへの対処法、リフォームなどの修繕に関する知識、入居者の多様化に伴う賃貸経営実務知識が対象です。

1級では、不動産投資に関する実務知識を学びます。
ライフプランニングに応じた投資スタイル、不動産投資の調査や関連法規、借地取引の基礎、競売の実務、事業収支計画、税務、ファイナンス、建築構造に関する知識など、総合的かつ専門的な不動産投資実務が対象となります。

どちらもDVD教材とテキスト教材がセットになった認定講座があり、受講すると修了試験は5問免除となります。

 

学べる内容

大家業務に必要な知識

試験日程

随時(試験会場であるテストセンターにおいて事前予約の上受験可能)

試験形式

四肢択一、全50問 試験時間は1時間

受験料

2級 7,700

1級 8,800

合格率

 

認定講座受講者:161%、276%。

一般検定受験者:150%、259%。

 

 

2-3.宅地建物取引士(宅建)


宅建士は、不動産取引の専門家を認定するための国家資格です。
日本では、不動産の取引を業として仲介する業者(宅地建物取引業者)に対して、事務所ごとに一定数の宅建士を置かなければならないと定められています。

不動産の売買契約書や賃貸借契約を締結する際、業者から物件や取引情報の重要事項を説明する「重要事項説明」が実施されます。この重要事項説明書の記名押印、説明は宅建士でなければ行うことが許されていません。

すなわち、不動産会社にとって宅建士は必要不可欠な存在です。不動産取引における民法や借地借家法などの法律知識を深く学べるだけでなく、不動産業者が守らなければならない法律についても学べるため、不動産業者とコミュニケーションを取ることが欠かせない不動産投資においては、勉強しておくと安心な資格といえます。

 

学べる内容

不動産取引に関する法律を中心とした知識

試験日程

毎年10月の第3日曜日(年1回)

試験形式

四肢択一、全50問 試験時間は2時間

受験料

8,200円

合格率

17.0%(令和4年度試験)

 

 

2-4.土地活用プランナー


土地活用プランナーは、公益社団法人 東京共同住宅協会が認定する民間資格です。
土地活用に関する賃貸管理、建築、税務、法務、事業収支などの様々な専門知識が出題されます。

土地に対して適切な活用方法を提案することができるように設けられた資格ですが、オーナーとしても、自分で受けた提案を判断できるようになるメリットがあります。
失敗を避けることは経営者にとって大切な要素なので、物件取得の前に試験範囲の知識を確認しておくだけでも価値があるかもしれません。

 

学べる内容

賃貸住宅の管理業務に必要な知識

試験日程

2022年度は2月・9月の年2回実施。

試験形式

四肢択一、全40問 試験時間は1時間

受験料

7,700円

合格率

相対評価となり合格基準点は変動(20199月の試験では、試験結果を集計後、合格率7075%となるよう合格基準点を設定。合格率は徐々に下げていく方針とのこと)

 

 

2-5.管理業務主任者


管理業務主任者は、一般社団法人 マンション管理業協会が認定する国家資格です。

分譲マンションの管理業者は、管理組合等に対し重要事項説明や管理事務報告を行います。
この際、管理業務主任者が必要とされているため、マンション管理会社などへの就職には有利な資格です。

得られる知識は、マンションの管理事務における全般的な知識です。
管理組合の会計や、建物の修繕計画、マンション管理に関する関連法令などが挙げられます。

 

学べる内容

マンションの管理業務に必要な知識

試験日程

毎年12月第1日曜日(年1回)

試験形式

四肢択一、全50問 試験時間は2時間

受験料

8,900円

合格率

18.9%(令和4年度試験)

 

2-6.サブリース建物取扱主任者


サブリース建物取扱主任者は、NPO法人日本住宅性能検査協会が認定する民間資格で、サブリースを取り扱う不動産会社の経営者・担当者が知っておくべき知識を問うものです。

サブリースとは、不動産のオーナーから物件を賃貸し、入居者に転貸するビジネスモデルです。

この試験では、サブリース業者の担当者が実務を行う上で必要となる基礎知識として、サブリース契約書の契約事例や、過去に実際に発生したトラブル案件などを学ぶことができます。

サブリースに特化した内容のため万人におすすめするものではありませんが、サブリース契約の締結を今後検討しているオーナーであれば、受験を検討してもよいでしょう。

学べる内容

サブリース業務に必要な知識

試験日程

通信講座のため無し

試験形式

通信講座受講とレポート提出により資格付与

講習は約4時間

受験料

認定講習受講料:29,800

合格率

非公開

 

2-7.不動産コンサルティングマスター


不動産コンサルティングマスターは、国土交通大臣の許可を受けて公益財団法人 不動産流通推進センターが認定する民間資格です。

この資格は、依頼者からの相談を受け、不動産の利用・取得・処分・管理・経営・投資のアドバイスをする不動産コンサルタントを養成するものです。
試験範囲は事業、経済、金融、税制、建築、法律の6科目と広く、試験方式も択一式試験と記述式の筆記試験の両方を1日かけておこないます。

不動産売買等の仲介業務の担当者が、顧客からの信頼度を上げる目的で取得することもあるものなので、不動産投資をする上では参考になる知識が多く得られるでしょう。

 

学べる内容

不動産投資に関する知識全般

試験日程

毎年11月中旬ごろ(年1回)

試験形式

択一式試験(午前)及び記述式試験(午後)

受験料

31,500円

合格率

42.7%(令和4年度試験)

 

2-8.ファイナンシャルプランナー(FP)


ファイナンシャルプランナー「日本FP協会」と「金融財政事情研究会(略称:金財)」の2つの機関が実施する国家検定で、個人のライフプランニングをする上で必要となるお金の知識を幅広く学ぶことができます。

その内容は、ファイナンスの基礎知識や、税金、資産運用、年金制度、生命保険、不動産など様々です。

いずれも個人の生活と大きく関わりのある内容であり、不動産投資家でなくとも勉強時間を割く価値があります。

FP技能検定には、1級、2級、3級の等級があり、日本FP協会と金財によって試験形式や合格率が異なります。

ここでは日本FP協会のFP3級試験内容についてご説明します。

 

学べる内容

個人のライフプランニングで必要となるお金の知識

試験日程

毎年1/5/9月上旬(年3回)

試験形式

180分(学科:120分、実技:60分)

・学科試験 三択式の602時間

・実技試験三択式の201時間

※日本FP協会の実技試験科目は「資産設計提案業務」のみ

受験料

学科試験4,000円・実技試験4,000

合格率

学科試験88.25%・実技試験86.83%(令和55月度試験)

 

2-9.日商簿記検定試験(簿記)


簿記は、各地の商工会議所が実施する技能検定です。不動産投資は、家賃収入を得て、経費を支払うというキャッシュフローが日々発生します。
これらのお金の流れを仕訳し帳簿に残し、決算書(個人事業主は確定申告書)を作成できるようになる知識を学ぶことができます。

もちろん、決算書は税理士に委託すれば作成してもらうことができます。
しかし、簿記の知識があれば、お金に強くなり、会計処理や収支計画を自ら建てることができるようになります。

なお、不動産投資をする上では、簿記3級の知識があれば十分実務に活かすことができます。
2級からは工業簿記の知識が求められるため、より専門的な知識を得たい場合は挑戦するとよいでしょう。

3級試験の概要は以下の通りです。

※なお、簿記試験では202012月よりネット試験が行われるようになりましたが、以下は従来型(統一試験)の内容です。

 

学べる内容

商業簿記に関する知識

試験日程

2023年度は6月、11月、2月に開催

試験形式

記述式、試験時間は1時間

受験料

2,850円

合格率

34.0%(2023.6.1統一試験)

 

2-10.マンション管理士


マンション管理士は、公益財団法人マンション管理センターが実施する試験で、マンションの管理の専門家を養成するものです。
前述した管理業務主任者はマンション管理業者の事務所で働く実務者であるのに対して、マンション管理士は管理組合側の立場から、管理組合の運営に関して助言を行う立場であるのが特徴です。

この資格を学ぶことで、マンションの構造や管理規定など区分所有者同士のルール、長期修繕計画、入居者同士のトラブルの対処などの知識を得ることができます。

 

学べる内容

マンション管理に関する基礎知識

試験日程

毎年11月中旬ごろ(年1回)

試験形式

四肢択一、全50問 試験時間は2時間

受験料

9,400円

合格率

11.5%(令和4年度試験)

 

2-11.住宅診断士(ホームインスペクター)


ホームインスペクターとは、住宅の維持管理を目的とし、劣化状況や欠陥の有無を目視で判断し、修繕箇所やその時期、費用などをアドバイスする専門家のことを指します。

この試験では、ホームインスペクターが知っておくべき住宅に関する建築法令、その他法令、劣化の診断で必要となる実務知識、不動産売買に関する知識が問われます。

住宅診断という専門知識ながら、中古住宅を専門とする不動産投資家であれば学んでおくべき価値があると言えるでしょう。

 

学べる内容

賃貸住宅の管理業務に必要な知識

試験日程

毎年3/6/9/12月(年4回)

試験形式

四肢択一、全50問 試験時間は90

受験料

15,000円

合格率

39%(令和56月試験)

 

3.アパート経営に関する知識に自信がない場合はどうしたら良い?

知識習得も重要ですが、パートナー選びも重要です。
賃貸アパートを個人で管理するのは大変です。

そういったことから、不動産管理会社と管理委託契約を締結し、業務委託するのが一般的です。管理会社にはアパート経営に関する不安や悩みも相談でき、専門的な知識や過去のノウハウに基づいたアドバイスがもらえます。

知識習得と合わせて、実績豊富なパートナー探しにも力を入れましょう。

 

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4.資格勉強でアパート経営の知識レベルをアップさせよう

 

今回は、アパート経営で活用できる関連知識を得られる資格について説明しました。

今回ご紹介した資格は、いずれも不動産投資や賃貸経営においてなんらかの形で有利に働くものばかりです。

資格の勉強は体系的な知識を得ることでき、賃貸経営のさまざまな場面で自信をもって判断できるようになります。
不動産運用を成功に導くためにも、まずは気になったものから勉強してみましょう。

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■監修者プロフィール

宅地建物取引士/FP2級
伊野 文明

宅地建物取引士・FP2級の知識を活かし、不動産専門ライターとして活動。賃貸経営・土地活用に関する記事執筆・監修を多数手掛けている。ビル管理会社で長期の勤務経験があるため、建物の設備・清掃に関する知識も豊富。

【保有資格】
・宅地建物取引士
・FP2級
・建築物環境衛生管理技術者