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リフォームの基礎知識・リフォームと建替えの違い

公開日: 2023.03.10

最終更新日: 2023.03.13

「入居者が入りにくくなってきた」  「もう少し設定家賃を上げたい」という問題が発生した場合、効果的な対策の一つに「リフォーム」が挙げられます。

ただ、何から手を付けていいか分からない・・・という方も少なくないでしょう。

 

10回の連載の形で、リフォームの基本から現状、今後についてお伝えしています。

今回は第8回目・・・「リフォームと建替えの違い」・・つまりは賃貸物件の老朽化が大きく進んだ場合の対処法について、しっかり違いを見ておきましょう。

 

1.リフォーム・建替えの違いと発想の転換

"建替え"とは「既存の建物を解体・処分して、1から賃貸建物を建て直す」ことをいいます。

 

そもそも"リフォーム"とは、Re-Form・・・つまり、「形、外形、形式、様式(Form)」を「戻す(Re)」ということですから、この場合のリフォームとは「既存の建物を残して、工事をすること」になります。

 

リフォームと建替えのメリット・デメリットをまとめると、以下のようになります。

 

 

リフォーム

建替え

特徴

基礎や躯体を残しての工事

必要な部分だけの工事も可能

既存の建物を解体・処分して、

1から建築

メリット

建替えに比べて費用が割安で、工期も短め

 

すべての不満や不都合を解消

耐震基準対応なども可能

デメリット

既存の構造を上回る間取り変更などは不可

解体+新築の費用・工期が必要

※あくまでイメージであり、建物の立地や、状況により内容が異なります。

※他に税金面の違いもある点に、ご注意ください。

 

費用や手間の面でいえば、"建替え"は元々ある建物を解体・処分する費用と建て直す費用がかかりますが、"リフォーム"は(追加)工事する費用だけなので、比較すると、リフォームのほうが割安になります。

 

また、近年の気候変動問題にともなう国際条約の下、限られた資源の中で再生可能エネルギーを活用しようという動きもあるので、"より"リフォーム"を重視した政策になりつつあります。

 

 

2.そもそも建物の耐用年数は?

建物は、どれくらいの期間まで使えるのでしょうか?

 

国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」では、「建物(住宅)」の基本的な寿命(法定耐用年数)が、以下のとおり記載されており、参考になります。法定耐用年数は税金計算上の年数であり、実務上は「最低限この年数くらいは使える」といった参考(目安)として考えてください。実際に、法定耐用年数を超えていても普通に使える建物も少なくありません。

 

国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」(抜粋)

・鉄骨鉄筋コンクリート造り・鉄筋コンクリート造り :47年
・れんが造り・石造り・ブロック造り :38年
・金属造り(骨格材の肉厚4mm超) :34年
     (骨格材の肉厚3mm超4mm以下) :27年
     (骨格材の肉厚3mm以下) :19年
・木造・合成樹脂造り :22年
・木骨モルタル造り :20年

 

構造によりかなり違いますが、法的な耐用年数は20年~47年になります。

ただし実際には、どれくらいしっかりした管理や修繕などの保守を行うか?で建物の使用可能な年数は変わってきます。

 

耐用年数の範囲であれば、十分にリフォームで対応できると思われますが、建物の土台である「基礎」にも寿命があります。これは、「基礎」を作るために用いられる鉄とコンクリートの寿命に連動しています。コンクリート自体は半永久的に持つ資材ですが、鉄は錆びると強度が落ちます。酸性雨などの問題で、コンクリートが中性化され、中の鉄骨が錆びることにより「基礎」自体が寿命を迎えるといわれています。

 

具体的には、個別に賃貸物件を調査してみないと分かりませんが、まずはこのような基本的な話を知っておきましょう。

2-1.やはり基本が大事!

"建替え"にしても"リフォーム"にしても、多額の費用が必要になります。

通常、費用を工面するには、1)事前に用意しておくか? 2)借入を行うか?の2択になるでしょう。

 

1)事前に用意しておく場合、リフォームを準備するための良い積立制度はなかなかありません。となると、素直にコツコツ貯金していくことが基本になります。工事を実施までの期間が10年以上など長く取れる場合、ある程度運用の不確定要素(いわゆるリスク)を平準化できるので、公社債型投資信託を使った運用も検討できるでしょう(貯金では足りない・不十分なことも少なくないため)。逆に実施時期までの期間が短い場合は、用意しているお金を大きく目減りさせるわけにはいきませんから、預貯金など元本保証で、引き出しやすい金融商品で用意しておく必要があります。

 

2)借入を行う場合は、入念な収支計画をたてる必要があります。家賃収入は「近隣の家賃相場」に強く影響されるため、家賃をどれぐらい上げられるか?吟味する必要があります。

これは経験値の高い賃貸経営者でも、とても悩む点です。

 

 

また、賃貸経営の観点でいえば、「工期の長短」も見逃せない要素です。工事中は入居できずに家賃収入がなくなるので、工期が長引けば、それだけ収入が減る(入らなくなる)期間も長引くことになります。リフォームも大規模なら相応の期間になりますが、建替えはそれ以上です。自身が用意できた予算や他の支出なども考えて、冷静に無収入でも耐えられる期間を計算し、判断しましょう。

 

実際にリフォームや建替えを行うには、たくさんの情報、経験&実績のある不動産業者に相談することが大切になります。ポイントは、万が一の際にしっかり責任を果たしてくれる(能力のある)業者であるか?適切な対処が出来る業者かどうか?です。

3.今回のまとめ

"建替え"と"リフォーム"の選択は、現在の建物の状況や資産承継の時期など様々な要素に左右されます。そのためにも日頃の管理や保守が大切です。

空き家問題など賃貸住宅市場の動きもありますから、適切に判断しましょう。

 

いずれ、地域性の変化などによっては用途変更した方が良いと判断することもあるでしょう。その際、事前にリノベーションが出来る状態にしておくことも大切です。

 

地域性を正しくつかむことは簡単なことではありませんから、なるべく早めに頼れる不動産業者を探し出し、一緒になって今回のリフォームを成功させていきましょう。

最新コラムの更新情報以外にも、少しでも皆様のお役に立つ
資産継承や賃貸経営に関するホットな情報をお届けします。

■監修者プロフィール

株式会社優益FPオフィス 代表取締役
佐藤 益弘

マイアドバイザー®
Yahoo!Japanなど主要webサイトや5大新聞社への寄稿・取材・講演会を通じた情報提供や、主にライフプランに基づいた相談を顧客サイドに立った立場で実行サポートするライフプランFP®として活動している。
NHK「クローズアップ現代」「ゆうどきネットワーク」などTVへの出演も行い、産業能率大学兼任講師、日本FP協会評議員も務める。
【保有資格】CFP®/FP技能士(1級)/宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/住宅ローンアドバイザー(財団法人住宅金融普及協会)